このよく見かけるハーブは糖尿病と血圧に役立つでしょうか?

Fact Checked(事実確認)
月桂樹の

早分かり -

  • インドネシア・ベイ・リーフには2型糖尿病患者の空腹時血中グルコースを減らし、妊婦に対しては降圧効果があることが研究で示されています
  • 月桂樹の葉の飲み物は痛風による尿酸濃度を下げ、ある動物モデルでは虚血性損傷後の早く治る血管新生効果もあることが検査から示されました
  • 本物の月桂樹の葉はベイ・リーフ(学名Laurus nobilis)と呼ばれますが、以上の試験で用いた葉はインドネシア・ベイ・リーフ (Syzygium polyanthum、シジギウム・ポリアントゥム)の葉でした。米国で販売されている月桂樹の葉はほとんど輸入品です
  • L. nobilisに関する研究から傷の治りがよく、抗ウィルス性、鎮痛、抗コリン作用その他いくつもの効能がわかっています
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Dr. Mercolaより

月桂樹の葉はよくピクルスやマリネ、シチューの風味料、スープや詰め物に好んで利用されます。地中海諸国が減産のベイ・ローレルの木(月桂樹)から取れます。葉の長さは約7.5 cmに及ぶものもあり、アーモンド形をしています。月桂樹の葉を香ばしいスープやシチューに加え、食べる前に取り除くように勧めている料理番組やレシピをご覧になったことがあるでしょう。Serious Eatsには月桂樹の葉についてこう説明されています:

「この葉がついでのものと考えやすいのにはわけがあります。月桂樹の葉はその性質上その他の主な食材に添える脇役をします。しかし、一削り掛ける黒胡椒やアンチョビのソテーや柔らかくした長ネギと同じように、シチューの中ですぐにそれとわからないことが多いでしょうが、料理のスター的食材のために微妙な背景曲を加えてくれます。」

一味嗅いだだけではヴィックスのVapoRubを思い起こさせるように、その香りは月桂樹の葉に最も多く含まれる化学物質ユージノールによるものですが、一時間から二時間煮込むと風味が変化し、スープやソースで多くの人が楽しむような複雑な横顔が料理に加わります。

月桂樹の葉を噛んでも心地よいものではなく、料理の際は葉のままで入れられ、食べる前に取り出されています。たいていの食料品店で生や乾燥した月桂樹の葉を売っています。乾燥月桂樹の葉は大部分が地中海地域からの輸入品で、生の月桂樹の葉はカリフォルニア州で生産されています。どちらも月桂樹の葉と呼ばれ、ほぼ同じように使われますが、これらの植物は別物です。

お宅の香辛料の容器に入っているのはどちらの月桂樹の葉でしょうか?

本物の月桂樹の葉(ベイ・ローレル)は西アジア、北アフリカ、南欧が原産の常緑広葉樹です。学名はLaurus nobilisといい、家庭で育てられます。

しかし葉がよく似た形や香りがあり、風味も似ていることがときどきあるため月桂樹の葉としてよく売られている別の種の葉をおそらくご覧になったことがあるでしょう。これらの代用品の例を挙げます:

  • シナモムム・タマラ (インディアン・ベイリーフ)
  • リツェア・グラウケスケンス (メキシカン・ベイリーフ)
  • ピメンタ・ラケモサ (西インド諸島ベイリーフ)
  • シジギウム・ポリアントゥム(インドネシア・ベイ・リーフ)
  • ウンベルラリア・カリフォルニカ(カリフォルニア・ベイリーフ)

外見はよく似ていますが、料理後の風味や匂いはL. nobilisに期待するものとは全く異なります。Serious Eatsの執筆者によると、月桂樹の葉を一枚ベシャメル・ソースに入れると、「冷たい薬一瓶をこぼしたかのような味」がすると表現しています。

最近のある研究では、ナイジェリアの市場で一般的に売られているLaurus nobilisをシジギウム・ギネエンセ(S.guineense)とシジギウム・ユーカリプトイデス (S. eucalyptoides)と比較してベイ・ローレルの代用品として使えないかを調べました。

その研究は市販のLaurus nobilisを絶対基準として、水蒸気蒸留によって得た精油と比較し、ガスクロマトグラフィー・質量分光分析により分析しました。L. nobilisの主成分はユーカリプトール、アルファピネン、カンフェンでした。

L. nobilisには75種類の成分が含まれ、うち16種類はS. guineenseの精油と共通し、6種類はS. eucalyptoidesのものと同じでした。シジギウム・ギネエンセはアフリカ諸国では民間医療で歴史的に利用されてきました。研究者は精油の抗菌性と抗酸化性を分析しました。

シジギウム・ユーカリプトイデスは西オーストラリア原産で、実を食べるとがん予防や喘息の緩和、糖尿病リスクの低下に役立ちます。シジギウム・ポリアントゥムの葉と樹皮、実は高血圧や胃炎、下痢、皮膚の治療を含め伝統的にさまざまな利用法があります。

月桂樹の葉エキスで空腹時血糖値が下がる

過去に行われたシジギウム・ポリアントゥムの研究ではその精油に含まれるエタノール抽出物に抗酸化性があり、人に安全に使用できることが示されました。インドネシアで開催された第6回公衆衛生国際会議で発表されたある研究について、研究者は2型糖尿病患者の空腹時血糖値に対するそのエタノール抽出物の効果を調査した結果について発表しました。

このパイロット研究では僅か8名の被験者についてランダム化対照試験を実施しました。処置を受けた人はエキスの350 mgカプセルを一日一つ、14日間飲みました。対照群は同期間プラセボを飲みました。

処置開始の前日と14日間のサプリメント投与後にデータを取りました。この処置後、サプリメントを飲んだ人の場合空腹時血糖値が対照群より下がりました。

そのパイロット研究での差異は試料数が小さいことにより統計的に有意ではないと研究者が考えた一方、シジギウム・ポリアントゥムのエタノール抽出物は2型糖尿病患者の血糖値を下げる効果的手段になりうるという結論が出ました。

その結果は血糖低減活性に関するシジギウム・ポリアントゥムのメタノール抽出物を使った以前の動物実験を裏付けました。インドネシアの伝統医療で糖尿病患者の血糖管理のためにこの葉をよく使ってきたことをその研究者は指摘しています。

そのエキスが血糖降下活性を及ぼす考えうるメカニズムを評価した研究者は、小腸からのグルコース吸収を阻害し、筋肉組織への吸収が増えることを特定しました。別のある動物実験では、シジギウム・ポリアントゥムを投与されたラットが対照群より血中グルコースが65.91 %下がることが示されています。

月桂樹の葉とトゲバンレイシは尿酸濃度の低下に役立つ

Scientific Reportsに掲載されたある研究では痛風と2型糖尿病の潜在的な双方向的関連性を明らかにしようとしましたこの研究はSingapore Chinese Health Studyから得たデータを使用し、結論として、正常体重の被験者において痛風発生が糖尿病発生に関係していること — しかし、糖尿病患者の場合痛風になりにくいことが示されました。

ある二件目の研究でも、痛風が発病した人は糖尿病になるリスクが高いことがわかりました。痛風は尿酸の生産増加か排出量減少が原因による血中濃度の増加によって起きます。Partnership to Fight Chronic Diseaseによると、米国でほぼ400万人が痛風患者であると推計されています。この病気は一種の炎症性関節炎です。

この 組織による評価研究では、痛風の治療費が患者一人当たり年間$11,000を超過していること、これが過去の推計値よりはるかに高額であることがつきとめられました。インドネシアのペリンティス健康科学研究所の研究者は、インドネシア・ベイ・リーフの飲み物とトゲバンレイシジュースの尿酸濃度低下効果と痛風発病への影響について比較を試みました。

トゲバンレイシジュースはグラビオラとも呼ばれ、クリーミーな質がパイナップルやイチゴみたいという人もいる、風味が強い果物です。この研究では月桂樹の葉の飲み物を飲んだ被験者17名とトゲバンレイシジュースを飲んだ17名の被験者に関する処置前後の検査を行いました。

両群とも尿酸濃度は処置終了時に下がっていましたが、研究者らはトゲバンレイシジュースを飲んだ人のほうがより多く減っていることを特定しました。しかし、月桂樹の葉は伝統的アユルベーダ医療ではお茶としても外用としても、痛風の治療に利用されてきました。

サプリメントに降圧効果があり血管新生を促す

インドネシア・ベイ・リーフ(Syzygium polyanthum)は血管系にも影響します。2020年に公表されたあるインドネシアの研究は、月桂樹の葉のエキスで血管内壁が成長するかを評価しました。

この研究は動物モデルを使い、手術によって急性冠動脈症候群を誘発させ、実験動物を月桂樹の葉のエキスで治療しました。評価したところ、処置群では対照群より血管内壁の成長が有意であることがわかりました。

その結論として、月桂樹の葉エキスは血管新生効果があり、「虚血性組織の再灌流についてよりよい予後」につながりうる補助療法的効果があると考えられました。組織の虚血性損傷を起こす心臓血管系の損傷後の回復が早くなる可能性があります。

International Journal of Innovative Science and Research Technologyに掲載された二件目の近年のある研究は、高血圧の妊婦における収縮期と拡張期血圧へのインドネシア・ベイ・リーフの効果を評価しました。

この研究には妊婦39人が参加し、処置群19人と対照群20人に分けました。処置群の女性に14日間(1日に)80 mgのインドネシア・ベイ・リーフのナノ粒子と10 mgのニフェジピンを投与し、対照群にニフェジピンのみ投与しました。

ニフェジピンは高血圧や狭心症の治療に用いられるカルシウムチャネル阻害剤で、妊娠中の高血圧治療に処方されます。月桂樹の葉のナノ粒子で強化した薬を受けた処置群では収縮期、拡張期ともに血圧が大幅に減ったことをデータが示しています。

Laurus Nobilisにはいくつもの健康に良い効能がある

以上の研究の多くは月桂樹(インドネシア・ベイ・リーフ、Syzygium polyanthum)の抽出物を使用しましたが、他の研究が本物の月桂樹の葉(Laurus nobilis)の健康的メリットを評価したところ、薬理学的によい効能があることがわかりました。伝統的にこれらの葉は下痢止めや抗炎症性、抗糖尿用療法として利用されてきました。動物実験からは本物の月桂樹の葉には以下のような効果があることがわかっています:

創傷からの治癒

痙攣防止活性

鎮痛作用

遺伝子変異プロセス

免疫力強化

抗ウィルス効果

抗コリン作用

蚊よけ

枯草菌、ブドウ球菌、スタフィロコッカス・インターメディウスに対する抗菌効果

Laurus nobilisという学名表記により販売されている月桂樹の葉を買おうとするときは、装飾植物製の偽物ではなく本物であることを確認する必要があります。本物の月桂樹から取ったものでなければならず、品質を求めて買い求めてください。ハーブ類の中には乾燥させると粉砕され味気がなくなるものがありますが、月桂樹の葉は乾燥しても香りがほとんど落ちません。

月桂樹の葉は風味のよいソースに使われてきた定番の具で、海産物や肉、多くの野菜料理に添えるとおいしくいただけます。ご参考までに: 月桂樹の葉のオイル(ベイ・オイルとも)はユージノール濃度が高いため皮膚や粘膜を刺激することがあります。まとめ買いしたときに月桂樹の葉のもちよく保管するには、フリーザーにしまうとよいです。