研究: 砂糖で甘味をつけたドリンクや人工甘味料を使用したドリンクは悪い

Fact Checked(事実確認)
ドリンク 人工甘味料 を使用した ドリンクは

早分かり -

  • 普通のソフトドリンクやダイエットソフトドリンクを一日に一缶も飲まなくても心臓血管病のリスクが高くなります
  • 一日に普通のソーダや砂糖で甘くしたソーダを約185 cc飲んだ人は、追跡調査期間の中央値6.6年以内に心臓血管の異常をきたすリスクがはるかに高い
  • 人工甘味料で甘くしたドリンクを一日約180 cc飲んだ人も心臓血管病リスクが同様に高くなることがわかりました
  • 砂糖で甘味をつけたドリンクや人工甘味料を使用したドリンクは腸内フローラのバランスを崩し、炎症応答を増大させ、腸の上皮完全性の調節に悪影響を及ぼします
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Dr. Mercolaより

多くの人は、人工甘味料で甘くしたドリンクや製品はカロリーが少なく砂糖を含まないので健康によりよいと誤信しています。しかし、砂糖で甘味をつけたドリンクや人工甘味料を使用したドリンクは一日に缶半分しか飲まなくても心臓に害があることをある研究が明らかにしました。

その研究はソルボンヌ大学パリ北校の科学者グループが先導し、Journal of the American College of Cardiologyに公表されました。砂糖で甘味をつけたドリンクと人工甘味料を使用したドリンクの心臓血管病のリスク要因である肥満との相関性について明らかにしてきた長年の研究を実施しました。

多くの専門家によると、肥満や心臓血管病の増加はなかでも砂糖の多いドリンクやソフトドリンクが寄与しているファーストフード(駄物)が大部分原因であろうと考えます。Healthy Food Americaに掲載されたあるレポートによると、米国では大多数が毎日少なくとも一回は砂糖で甘いドリンクを飲んでいます。

2000年のピーク以降消費は減少傾向にあるとはいえ、業界の売上高データからは近年減少傾向にはありません。そのレポートが公表された時点では、添加された全ての砂糖のほぼ半分は砂糖で甘い飲み物から来ていました。

しかし、COVID-19のためこの状況が変わったようです。流行病の期間に砂糖で甘いドリンクの消費はアルコールの使用と相関して増加しており、たとえ砂糖で甘いドリンクの代わりにダイエットドリンクにしても、心臓の健康に重大な影響が及ぶおそれがあります。

普通のソーダまたはダイエットソーダ

人工甘味料のリスクを証明した研究は年を経るにつれ増加の一途です。しかしフランスの最近のある研究は、砂糖で甘くしたまたは人工甘味料で甘くした缶約半分のソーダによりこうしたソーダをまったく飲まない人より心臓血管の異常が発生するリスクが高くなることを特定しました。

その研究ではアルコールや全粒穀物、マメ科や全体的なカロリー摂取量を含む複合要因について調整しました。その研究で行われた分析は心臓血管病に影響する他の併存疾患例えば、高血圧2型糖尿病等も考慮しました。その研究の評価項目は、心臓発作や脳卒中、急性冠動脈症候群、一過性虚血発作等の心臓血管病が初めて生じた症例でした。

そのデータから、一日に普通のソーダや砂糖で甘くしたソーダを約185 cc飲んだ人は追跡調査期間の中央値6.6年以内に心臓血管の異常をきたすリスクがはるかに高いことがわかりました。人工甘味料で甘くしたドリンクを一日約176 cc飲んだ人も心臓血管病リスクが同様に高くなったことがわかりました。

一日に47 cc以下しか飲まない人に有害事象は発生しませんでした。すなわち、八日おきにソーダ一缶を飲んだ人には有害事象が発生しなかった反面、二日おきに一缶以上飲んだ人のリスクは高いことがわかりました。

その研究にボランティアとして参加した104,760人は六か月おきに24時間の食事の記録を取りました。一人平均5.7件の記録が追跡調査中に回収されました。その科学者はこの研究には、調整に含めなかった潜在的な交絡要因をはじめ、限界があることは認めました。

ソフトドリンクでは全原因死亡率が高くなります

以上の結果は欧州10カ国から451,743人に関する20年に及ぶ別の研究と同じでした。そのデータからは、ドリンクが砂糖で甘いか人工甘味料入りかを問わず、一日にグラス二杯以上のソフトドリンクを飲んだ人の全原因死亡率がより高いことが明らかでした。

この研究では、人工甘味料で甘くしたソフトドリンクと循環器疾患の相関性が判明し、さらに、砂糖で甘いドリンクと消化系の疾患にも相関性があることがわかりました。その研究で使用したグラス1杯は250 cc (8.4オンス)相当であったこと、これは米国では標準的なソフトドリンクの缶の容量355 cc (12オンス)より少ないことに注意しなければなりません。

言い換えると、ソーダ1缶は一回分の約1.5倍あること、二缶ならその研究で測定した量を大幅に超すことです。二つの研究の結果は人工甘味料によって製品を再調製することにより砂糖の消費を削減することを意図した政策が、実際には破滅的結果をもたらすことも示しています。

脂肪肝の子は増えるいっぽう

2006年以前の子供の脂肪肝蔓延率は比較的知られていませんでした。2歳から19歳の子の生検742件に関する遡及的精査からは、脂肪肝が13 %の子供に発生しており、肥満の子では最も高く38 %の発症率となっていました。砂糖で甘いドリンクを飲むことがこうした増加傾向に寄与している可能性が高いです。

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は成人からも検出されました。余分な脂肪が肝臓に貯蔵されていると、より深刻な非アルコール性脂肪肝炎と単なる脂肪肝という二種類のNAFLDのいずれかが発症します。これは二つの異なる病気で、子供は通常いずれかに罹ります。

専門家の推定によると、子供の肥満が増大し続ける中、NAFLDのほうが一般的になり、ある研究では検査した人の23 %で肝臓に過剰な脂肪が見つかりました。この病気は人種や民族を問わず子供に発生しており、特にヒスパニック系とアジア系アメリカ人の子供に多いです。

リスク要因としてはインスリン抵抗性、糖尿病、前期糖尿病、コレステロールやトリグリセリドの異常濃度が挙げられます。重度の瘢痕化が肝臓内に発生するまで自覚症状がないことは頻繁にあります。この病気は体重管理や日常的な肉体活動等によるライフスタイルの変更によって回復できます。

ペプシの売上高はソーダ市場シェア43.7 %をかき入れ、コカ・コーラに次ぎます。長年、科学的根拠が高濃度果糖コーンシロップ(HFCS)、肥満、NAFLDの相関性を証明してきたにもかかわらず、ペプシは製品に含まれるHFCSの正当化を止めません:

「その名に反してHFCSに果糖はあまり含まれていません。HFCSと食卓の砂糖にほぼ等量の果糖が含まれ、いずれも通常の量であれば有害であることは証明されたことはありません。

HFCSと食卓の砂糖はカロリーと甘さが等しく、いずれを使用するかの判断はその他いくつもの要因に基づくものです。例えば、HFCSは液体であるため消化されやすい成分です。また、食卓の砂糖より安価で消費者によくに製品コストを抑え続けるために役立っています。」

肥満という疫病に直面したコカ・コーラの社内文書には十代の消費者を標的にする同社の取り組みが明記されていました。Washington Postは「Movement Is Happiness」(動きは幸せ)という表題のPRキャンペーンについて報告しており、これが「十代のコークブランドの健康スコアを高めること」と「健康と健常な生活空間における(製品への)信頼度を堅める」ことを目指すものであると指摘しています。

その情報はオーストラリアのディーキン大学が米国のNPOでU.S. Right to Know (USRTK、合衆国知る権利)と共同して生成されました。何千ページもの文書を精査した結果、USRTKのゲリー・ラスキン共同ディレクターはこの問題が最近起こってきたものであることに気が付きました。

甘味料は腸内細菌を変性する

腸内細菌は免疫系を含む全身の健康のために重要な機能をしています。腸内細菌叢が劣化しても肥満のリスクは高くなります。この事実は砂糖や人工甘味料で甘くしたドリンクがウェストを太くする一つのメカニズムです。

代謝疾患や心臓血管病に関連するリスクは腸内細菌叢によって一部が媒介されます。腸内細菌叢の組成と機能性は食生活の影響を受けます。砂糖を多く摂りこむとプロテオバクテリアが繁栄し、バクテロイデス門の細菌が減ります。

こうした変性が起きることにより腸内フローラのバランスが崩れ、炎症応答が高まり、上皮細胞の完全性調節が弱まるため、腸管壁浸漏症につながります。腸内細菌叢を変調することで、砂糖は全身の炎症と代謝調節障害をきたします。

研究により、米国のFDA(食品医薬品局)が認可し安全とみなした人工甘味料が実はDNAを損傷し、腸内細菌叢の正常な健康的活性を阻害することもすでに証明されています。

Business Insiderの報告によると、その研究チームの結論は全ての検査対象甘味料が「有毒なストレスの影響を及ぼし、腸内細菌が増殖し再生産困難になる」ということでした。その執筆者は甘味料に抗生物質特性があることは直接には言及していませんが、細菌を殺すものである以上、抗生物質は基本的に腸内細菌を殺します。検査した人工甘味料:

人工甘味料 ブランド名
アスパルテーム NutraSweet、Spoonful、Canderel、Equal、NatraTaste Blue
スクラロース Splenda、Zerocal、Sukrana、SucraPlus、Candys、Cukren、Nevella
サッカリン Sweet 'N Low、Sweet Twin、Sugar Twin、Necta Sweet
ネオターム ニューターム
アdバンターム (ブランド名無し)
Acesulfame potassium-k(アセスルフェイムポタシウム-k) Sunnette、Sweet One、ACE、ACE K、Sweet 'N Safe

ゼロカロリーは健康には影響がゼロなわけではない

人工甘味料の需要喚起はカロリー削減に始まりました。しかし何年でもこうした物質を使用したため、肥満という疫病に何らよい効果がなかったことは明らかです。実際に、その影響は効果があるどころか害悪を及ぼしました。

1980年代以来、肥満の蔓延率は成人では増加の一途にあります。The State of Obesityによる2019年のデータは、2012年には肥満率が35 %を超えていた米国の州は無かった一方では、近年の統計によると、肥満率が35 %を超す州が九つあり、肥満率が25 %未満はたった一州であることを示しています。

フィラデルフィア市では人工甘味料で甘くしたドリンクと砂糖で甘いドリンクの売り上げを削減する取り組みとして、2017年に飲料税が導入されました。ある研究は税制定後の価格と売上高の変化を対照都市として税賦課がないボルチモア市と比較しました。

その結果、この課税によってドリンクの売上高が大幅に減少したことがわかりました。しかし、その売り上げ減少分は隣接州での売り上げ増により一部は相殺されました。二番目の研究は、職場での砂糖で甘いドリンクの販売を禁止することで雇用主が及ぼしうるよい効果を実証しています。

成人214人に関して実施したこの禁止前後についての比較研究からは体質量あるいはインスリン感度が変化せずに胴回りが減ったことが判明しました。しかし、この禁止は勤務時間中のみ適用されたものだったので、勤務者は仕事が終わったら好きなように飲むことができました。このことは、一週間に五日間一日8時間から10時間でも砂糖で甘いドリンクを飲まないだけでも、勤務者のウェストラインに効果がじゅうぶんに上がることを意味します。