初乳はインフルエンザワクチンよりよく効く

Fact Checked(事実確認)
初乳 利点

早分かり -

  • プレバイオティクスとプロバイオティクスを含むサプリメント、ベフィビールと初乳の併用はインフルエンザワクチンよりインフルエンザに対してより効果的です
  • 疾病管理予防センターが公表した2018年から2019年のインフルエンザワクチンの調整後有効率は50歳以上では12 %から14 %でした
  • 初乳を飲むと白血球細胞の一種で内生免疫系を構成するナチュラルキラー(NK)細胞が増えます
  • 規則的な運動やベータグルカン、プロバイオティクス、メラトニンを含むいくつかの戦略によりNK細胞を増やすことをお考えください
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Dr. Mercolaより

ある研究は初乳とプロバイオティクスの併用のほうがワクチン投与よりインフルエンザの予防のためにはるかに効果的なことを特定しました。初乳とは哺乳類が新生児の免疫力を保護するために役立つ、出産直後に出す栄養価の高い液体です。インフルエンザの予防以外にも、初乳には全体的な健康へのメリットがいくつもあります。

風邪やインフルエンザ等多くのウィルス性疾患は季節性です。一年を通していつでも病気になることはありますが、米国では風邪とインフルエンザは10月から3月がいちばん流行ります。これにはいくつもの理由があり、その主な原因には太陽光に当たらないことやそのためのビタミンD生産の減少です。

インフルエンザによる一般人口への影響を削減するために取り組む多くの専門家は毎年インフルエンザ予防注射を受けるように勧めます。しかし、この方法には効果があったことはなく、毎年秋にマスコミによる過大な流布には意味がないことを表しています。ありがたいことに、免疫系を強くし、病気になる可能性を大きく減らすには他の方法があります。

プロバイオティクと初乳の方がワクチンより効く

ワクチン投与の成功判断基準は病気や異常の予防でなければなりません。ある公表された研究は、参加者における初乳とベフィビールの併用とインフルエンザワクチン投与のインフルエンザ予防効果を比較しました。ベフィビールは細菌五菌種とプレバイオティク繊維質を含むサプリメントです。

Journal of Clinical Gastroenterologyに掲載されたある研究は、プロバイオティクスとプレバイオティクスのサプリメントには「風邪の季節に呼吸器系疾患の発症と重度ともに削減する」効能があることを実証しました。

この研究では初乳とベフィビールの併用とインフルエンザワクチンの効能を比較し、年齢と性別に従い被験者を4つのグループに分けました。一切予防措置を受けなかった対照群の参加者では、結果としてインフルエンザの重症症例8人と軽症症例12人となりました。

ワクチンのみを受けた人も同様で、インフルエンザの重症症例8人と軽症症例13人という結果になりました。インフルエンザワクチンと免疫刺激剤ベフィビールと初乳を受けたグループでは、重症症例4人と軽症症例9人という結果になりました。

免疫刺激剤のみ受けたグループが最もよく、重症症例3人と軽症症例8人という結果になりました。研究者はワクチンと免疫刺激剤を受けたグループと免疫刺激剤のみ受けたグループは他の二つのグループよりはるかにインフルエンザ発症率が低いことを見出しました。

興味をそそる点としては、ワクチンを受けた人の場合インフルエンザに罹っていた日数が他のグループの二倍も長かったことです。免疫刺激剤には何の耐性上の問題もなく、また副作用は皆無でした。

「免疫刺激剤の投与は非常に費用効果的で、インフルエンザ予防のためにワクチンよりはるかに効果的である」との結論にその研究者は至りました。

初乳が免疫系を強くする根拠は増え続けている

初乳の免疫系への効能を評価したのはその研究が初めてでも最新でもありません。胃腸感染症の治療に牛の初乳を使い、免疫系や骨格筋の修復、成長を促すことが証明されてきました。

牛の初乳の成分は大部分が胃腸で分解されず、小腸下部で活性を維持するため、腸の健康にも免疫系の健康にもよい効果があります。初乳は牛乳アレルギー反応が出る人以外には安全なことはすでにわかっています。ある研究は、牛の初乳の高度な訓練を受けたロードサイクル選手グループの免疫系への効果を分析しました。

このグループは最初に40 km(24.8マイル)のタイムトライアルで試験を受け、次にランダムに、初乳を受けた人と対照群に分かれました。このサプリメントを五週間飲んだ選手はさらに一回タイムトライアルを行い、次に五日連続で高強度集中トレーニングを受け、その最終日にはタイムトライアルを一回行い、翌週さらにこのラウンドを反復しました。

研究者はタイムトライアル毎にその前後に採血し、上部呼吸器の症状があれば記録しました。牛の初乳サプリメントを受けた自転車選手は測定した免疫パラメータが調節されていることを示し、また、上部呼吸器の症状が低下する傾向もありました。

Frontiers in Nutritionに最近掲載されたある論文は、牛の免疫グロブリンが人間の免疫系に及ぼす効能についての最近の文献を検討しました。そこでは牛の初乳から得られたIgGは実験的感染症を無害化し、炎症を制限し、病原体やアレルゲンに結合する機序を説明しています。

研究者はこれらのメカニズムを使って牛の初乳から得たIgGが人間に及ぼす効果について説明し、この初乳が高齢者や免疫力の低い人を含む脆弱な人々の免疫系強化のためのアプローチとして利用しうると考えています。

初乳はナチュラルキラー細胞を増やす

牛の初乳を飲むとナチュラルキラー(NK)細胞が増えます。NK細胞白血球細胞の一種で内生免疫系を構成し、細菌感染や組織損傷の制御に役立ちます。また、器官移植や免疫療法、自己免疫疾患にも役立ちます。

NK細胞は体内に侵入した病原体にすぐ応答する一種のリンパ球です。これらの細胞がウィルスをやっつけ、早期がん細胞を抑止することは周知です。NK細胞はサイトカインを分泌し、これが他の免疫細胞にシグナルを送り、最終的に免疫応答を高めます。

これらの細胞は適合し、記憶細胞を生み出すことを科学者がすでに発見しているため、これらの細胞が人間の健康を保護している内生免疫応答のために果たす役割について新たな知識が得られました。これらの細胞は末梢血液供給分の15 %を占めますが、大多数は脾臓、骨髄、リンパ節にあります。

NK細胞の活性は免疫系の監視以上の機能をし、たんぱく質アレルゲンと接触すると活性化されます。この活性はアレルギー感作を改善するほか、気道過敏性に関わっています。感染して活発なアレルギー応答が起きると、NK細胞が喘息の重度をさらに高め憎悪させます。

インフルエンザワクチンは高齢者では失敗

インフルエンザ季節に起きる病気等呼吸器系インフルエンザの70 %以上はA型やB型インフルエンザによって起きていません。従って、インフルエンザ予防注射に極めて効果があったとしても、インフルエンザ季節中に起きる呼吸器感染の大部分を予防できません。しかし、インフルエンザワクチンの効能は典型的に、非常に効能があるようなレベルには決して至りません。

これは何百種類ものインフルエンザウィルスが存在することと、これらが常時進化しているためです。すなわち、毎年、保健当局は来るシーズンに最も流行りそうな菌種について情報に基づいた推測をしていることを意味します。A型やB型インフルエンザウィルスのうち3、4種類をピックアップし、季節性インフルエンザワクチンに添加しています。

このためワクチンの効果は変動し、たいていは目的を達成できません。インフルエンザワクチン投与によって高齢者の入院件数や死亡症例数が減るとよく言われますが、Annals of Internal Medicineに掲載されたある2020年の研究は、この主張に大きな疑義を投げかけています。

その研究者は2000年から2014年まで55歳から75歳の階層に発生した1億7000万症例と760万人の死亡症例を検討しました。目的は、イングランド・アンド・ウェールズにの高齢住民におけるインフルエンザ ワクチンの効能を判定することでした。研究者らの結論:

「高齢者を優先している現在のワクチン投与戦略はこの人口階層における重篤な発病率と死亡率の削減のためには考えられているより効果は少ないようであり、補足戦略が必要なことを示唆している。」

歴史を振り返ってみると、たとえワクチンが流行りの菌種と偶然合致しても、ワクチン投与後の所与の年内におけるインフルエンザ発症確率は50/50です。

2019年9月10日に更新されたCDCのデータによると、2018/2019年のA型やB型インフルエンザに対するインフルエンザワクチン(全ワクチン種)は全年齢階層について調整後の有効率が29 %でした。年齢階層別に見ると、幼い子供のみ有効率が50 %に及びそうなところまであり、この階層によってその他全年齢階層の有効率を引き上げた計算になります。

  • 生後6カ月から8歳までの子供で48 %
  • 9歳から17歳までの子供では7 %
  • 18歳から49歳の成人で25 %
  • 50歳から64歳では14 %
  • 65歳以上では12 %

NK細胞を自然に増やす

健康は自己管理でき、自分の免疫系は自分で強くできるため、ウィルス性疾患に対して薬の介入に依存する必要がないことを必ず覚えておきましょう。加齢に伴うNK細胞の変性のことを医学用語では「免疫老化」といいます。このため病気になりやすくなりますが、以下のようないくつかの方法で自然にこの減退を阻止することができるのはよいお知らせです:

規則的な運動 — ある研究で、緩い運動でがん患者のNK細胞の機能が強くなりました。

喫煙を絶つ — 絶煙してもNK細胞が増えませんが、喫煙はNK細胞の能力を阻害するため機能は回復します。

酵素操作米糠(EMRB) — EMRBは椎茸から分離した酵素に米糠の繊維質を暴露して生産します。ある研究では、MGN-3という酵素操作アラビノキシランは多発性骨髄腫患者のNK細胞活性を三カ月投与後に「明瞭に増加」させたことを実証しました。

カルダモン(ショウズク)と黒胡椒 — ウコンの仲間カルダモンは強力な免疫力増進効果で知られます。カルダモンと黒胡椒にはNK細胞の細胞毒性活性を増強する能力があることはすでに証明されました。

初乳 — 牛の初乳は人の初乳と顕著に似た乳で、初乳製品は通常牛から取られます。初乳は子が必要な一連の免疫因子や成長因子を含みます。

ある研究では、牛の濃縮後期初乳とそのスキムミルクを経口投与したら免疫系が活性化し、NK細胞の活性が強化されてインフルエンザに感染しなくなることが示されました。

キノコ — 椎茸や舞茸、 ヒラタケ等のキノコに含まれるベータグルカンもNK細胞活性を増強します。

AHCC(活性化糖類関連化合物) — AHCCはシイタケを発酵させて得ている市販エキスで、NK細胞の活性を高め、健康な免疫機能を促進します。

プロバイオティクス — 伝統的な発酵食品の中にいる善玉菌はNK細胞活性をアップします。NK細胞が少ない人は健全な量のNK細胞がある人よりプロバイオティクサプリメントのメリットをよりよく受けられる傾向にあります。

朝鮮人参 — パナックス・ジンセンあるいはアジアジンセンともいう朝鮮人参はNK細胞を刺激し、炎症性応答を低減するサイトカインを刺激します。

メラトニン — メラトニンは松果体で生産されている神経ホルモンで、NK細胞の生産とサイトカイン放出を刺激します。