古代から伝わるハーブ アンドログラフィスの治癒力

Fact Checked(事実確認)
アンドログラフ

早分かり -

  • アンドログラフィスは強壮効果のあるあるいはストレスへの適応力を高めるハーブでその癒しの効能には抗ウィルス性、血糖の減少、肝臓保護、抗炎症性が挙げられます
  • アンドログラフィスには鎮静効果および抗不安効果があり、多発性硬化症 (MS)の人の記憶力、震え、倦怠、失禁を改善するのに役立ちます
  • 「苦味反射」は苦い物を食べたときに刺激されます。人体はガストリンというホルモンを分泌して消化機能を高め、この反射により膵臓と腸内の細胞修復が刺激されます
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Dr. Mercolaより

センシンレンはアジアの広域に分布する植物です。伝統的に感染症や肝臓疾患、発熱の治療に利用されてきました。この強壮効果のあるあるいはストレスへの適応力を高めるハーブは苦く、中国やインド、東南アジアが原産です。高さ30 cm (11.8インチ)から110 cm (3.6フィート)に成長し、正方形の茎をして小さな白い花が咲きます。

強壮効果のあるあるいはストレスへの適応力を高めるハーブは人体が物理的、感情的ストレスによりうまく対処できるようにします。東洋医学ではこの植物を数百年間利用して普通の機能を過剰に刺激したり阻害せずに人体に効能があるため利用してきました。

伝統的アユルベーダの健康維持法では、他のハーブとともにアンドログラフィスを使った調製剤が26種類あります。このハーブは通称「苦味の王様」とかチレッタといいます。このハーブは、ハーブや低木がほぼ全てであるキツネノマゴ科の仲間です。

アンドログラフィスは他のハーブと組み合わせてカンジャン(Kan Jang)、コールドケア(Kold Kare)、コームコールド(KalmCold)、パラクチン(Paractin)といった製品に含まれます。アンドログラフィスの有効成分はジテルペノイドであるラクトンであり、一酸化窒素の生産とシクロオキシゲナーゼ-2の発現を抑制し、抗炎症効果があります。

この植物には人体にいくつもの効果があることを研究者は発見しました。治験で使った用量は一日3 gから6 gでした。HIV患者にこれより若干多い用量で実験したことがありますが、副作用が出たため中止されました。

アンドログラフィスの癒しのパワー

苦味はしばしば最も好まれず、料理に使われることもめったにありません。しかし、多くの苦いハーブや香辛料は全体的健康によい貴重な効能を加えてくれます。European Journal of Herbal Medicineに掲載されたある論文の執筆者によると:

「非常に多くの苦いハーブが存在し、そのほとんどは多くの文化において医療用途に使用されてきた長い歴史があるが、『排尿系統のみ苦味のある物を投与して直接効能がない唯一の系統であるようである』ということは想像がつく。」

典型的に、昆虫と哺乳類は苦い植物を避けます。一つの仮説としては、苦味に毒性を結び付けることを習得したからであるというものがあります。アンドログラフィスの化合物やエキスには抗糖尿病、抗菌、肝腎保護特性があることは伝えられてきました。

アジアやアメリカ、アフリカ大陸全体でいくつもの病気を治すためにより人気がある薬草に含まれます。生体活性成分はアンドログラホリドと呼ばれるジテルペンです。アンドログラフィスの毒性評価研究はいくつも実施されてきましたが、動物実験ではどの研究でも急性毒性は確認されたことがありません。

苦味のある成分が植物を昆虫から保護するのと同じように、人体にも細菌の増殖や炎症、酸化を阻止することで保護効果があるようです。研究者らはいくつかの効能を発見しました:

抗ウィルス性 — このハーブは伝統中国医療とアユルベーダで普通の風邪薬として利用されてきました。アンドログラフィスとシベリア朝鮮人参を混ぜた調製剤でカンジャンという製品が風邪や上部呼吸器官の感染症、鼻炎、インフルエンザの治療に関して研究されてきました。どの場合にもこれらの病気を治す効果があることが証明され、有効であることがわかりました。

ある無作為化二重盲検を行った研究者らは上部呼吸器官の感染症患者についてセンシンレンのエキスであるコームコールドという製品の効能を評価しました。これらのサプリメントは耳痛以外はこの感染症の症状をほとんど抑制する効果がありました。

患者7,175名を含む33件の無作為化対照治験に関する系統的吟味研究では、アンドログラフィスが急性上部呼吸器官の感染症を治すために役立つことを裏付ける根拠が得られました。この製品はや喉あれを早く治し、病欠日数が減りました。

別の文献検討研究で、学者はアンドログラフィスが咳の頻度や重度を減らすためにプラセボより卓越していることを示す「強力な根拠」を見つけました。

血糖を減らす — 何世紀も前から2型糖尿病に伝統的薬草治療が利用されてきました。その研究の執筆者らは、血糖値を下げる効果がある419種類の役立つレシピを発見しました。その研究ではアンドログラフィスを含む被子植物から74種類のレシピを特定し、これらが最も血糖低減活性がある上位14のランキングに含まれました。

ある8週間の治験で研究者はアンドログラフィスのエキス混合液にメトフォルミンを併用しました。この研究では空腹時血糖値、体重、血圧、肝臓と腎臓の損傷マーカー、さらにその他のマーカーも測定しました。

その結果2型糖尿病の治療にメトフォルミンと合わせて補完的薬剤としてそのエキスを利用すると効能がありうることがわかりました。

炎症とがん — アンドログラフィスから取れた生体活性分子は実験室での実験動物モデルで抗炎症性と抗がん活性が実証されました。アンドログラホリドには喘息や脳卒中、関節炎に対して抗炎症性があるほか、サイトカイン、ケモカイン、一酸化窒素が減りました。

さらにがん細胞の拡散、転移、血管新生を阻止することもわかり、研究者は「この物質は新たな種類の抗炎症薬、抗がん薬開発のために有望な戦略」であると考えるようになりました。

抗炎症性と抗酸化性があることから研究者はアンドログラフィスを膝の変形性関節症患者について評価することにしました。アンドログラホリドを含むサプリメントを84日間毎日投与しました。プラセボを投与した対照群と比較して、研究中に痛みが大幅に減り、生活の質評価でより高いスコアが得られました。

消化不良 — アンドログラフィスには消化不良に対する効能もあることが証明されました。そのエキスを使って潰瘍性大腸炎患者を処置したら、プラセボ対照群より臨床的応答性がよいことがわかりました。

アンドログラフィスを潰瘍性大腸炎の治療に使われる非ステロイド抗炎症薬であるメサラジンと比較したある研究では、大腸の寛解と応答はほぼ合致することがデータから判明し、研究者は「潰瘍性大腸炎のためにメサラジンに替わる効能のよい代替剤になりうる」という結論に至りました。

肝臓を保護する — 動物実験でアンドログラフィスのエキスを使った科学者は肝臓を保護する活性があることを実証しました。アンドログラフィスは雄のマウスに誘発させた肝臓損傷に対して効能がありました。

別のある研究でも研究者は「アンドログラホリドが標準的肝臓保護薬シリマリンよりはるかに効能が優れることを特定した」としています。アンドログラフィスは肝臓障害に対して伝統的に利用されてきました。

さらに別の研究で、動物モデルを使った研究者はアンドログラフィスにアユルベーダで使用される他の二種類の薬草を併用して評価しました。そのエキスが肝臓損傷の血清指数によって示されたように優れる保護効果があることを発見しました。

神経系 — 行動障害と老化による障害にみられるストレスに誘発された倦怠や認知機能障害の影響を削減するために強壮効果のあるあるいはストレスへの適応力を高めるハーブの利用に興味を抱いていた研究者は、センシンレンとアシュワガンダ (Withania somnifera)を六週間の治験で使用しました。

研究者らは脳の17個の野におけるEEGの周波数変化および気分と睡眠の評価を標準的アンケートによって測定しました。その結果、このサプリメントには鎮静効果と抗不安効果があることがわかりました。

別の文献レビューを行った執筆者は、多発性硬化症 に対する薬草利用について評価しました。 多発性硬化症は認知力、知覚能力、運動能力を阻害します。アンドログラフィスを含む天然のハーブは記憶力、震撼、けいれん、倦怠、失禁の治療効果があることがわかりました。

多発性硬化症患者に共通して倦怠におそわれます。ある治験実施者はアンドログラフィスが再発寛解型多発性硬化症において発生する倦怠に効能があるかを評価しました。被験者はそのサプリメントを12カ月飲み、インターフェロンを併用しました。認識しうる再発率の相違がなかった一方、アンドログラフィスを飲んでいた人はプラセボを飲んだ対照群より倦怠が大幅に減りました。

苦い物と胃腸

苦味の消化系に及ぶ刺激的効果はいわば「苦味反射」によって起きます。苦い物を食べると身体にガストリンが分泌されます。このホルモンは唾液、塩酸、ペプシン、内因子の分泌を刺激して消化機能を支持し強くします。内因子はビタミンB12の吸収のために必要です。

この反射によって食欲が促され、小腸が収縮して身体が食べる態勢になります。また胆汁の流れを刺激し、消化がよくなり、肝臓への老廃物堆積を阻止します。さらに膵臓や小腸の壁の細胞修復も刺激します。

腸壁の完全性に支障があると、未消化の食物や細菌、代謝老廃物等の異物が血流に漏れ出るようになります。これが腸管壁浸漏症症候群で、体内の炎症プロセスが悪化します。

苦味反射による作用は舌で苦味を感じると発生します。European Journal of Herbal Medicineによると、カプセルで苦い物を飲んで味覚を迂回したのでは「事実上無用」としています。

苦い物を日常の食事に含める方法

旧来、食前30分くらいに苦い物を食べ、食欲を促し、胃腸を食べる態勢にしていました。アルコールに溶かした基本的に濃縮エキスである苦味インキは市販されています。

もう一つの方法はサラダに苦い緑葉野菜を加えそのサラダを最初に食べることです。こうした野菜にはチコリー(キクニガナ)、たんぽぽ、アルグラ(ロケットサラダ)、赤チコリ、アンディーブ、ゴボウが挙げられます。こうした食材は食事中に苦味反射の利点を活用しやすくします。

概してアンドログラフィスは指示の通りに摂る限り安全ですが、苦味のある物は妊娠中や授乳中、代謝不調、慢性的気管閉塞症、胃腸の重篤な浸食性や潰瘍性の疾患がある人は避けるべきです。

治験では副作用が確認されたことはほとんどありません。しかし、アンドログラホリドを使った治験では、頭痛や発赤、下痢、掻痒、性欲減退等の副作用は記録されたことがあります。