Dr. Mercolaより
野菜を食べるとよいと勧められたことは今回が初めてではないでしょうが、ここで新たなことを宣言させていただきます: 特にあまり好きではない野菜を食べること。
野菜をよく食べない人の場合、じゃがいもやにんじん、とうもろこし(とうもろこしは野菜ではないですが、ついでに加えます)等で一日に2~3食分は埋め合わせることは技術的には可能でしょう。しかし、これらがいちばんお好きな野菜に含まれるかもしれませんが、いくぶんの健康的メリットは確かにありますが、最適な栄養価の高いものではありません。
ブロッコリや芽キャベツ等のアブラナ科野菜(アメリカでは最も嫌われている野菜の一つ)には心臓の保護を含むはるかに多くのメリットがあります。
British Journal of Nutritionに最近掲載されたある研究の中で、研究者らは西オーストラリアの高齢女性684人から回収したデータを解析した結果、アブラナ科野菜をより多く食べていた人は、心臓から血液を送り出す主な動脈である大動脈内のカルシウムの異常な堆積リスクが低いことを特定しました。
例えば、毎日アブラナ科野菜を45 g以上つまり1/4カップ以上の調理したブロッコリや1/2カップ以上の生キャベツを食べた研究対象女性は、アブラナ科野菜をほとんど食べないまたはまったく食べない女性より大動脈内のカルシウムの異常な堆積リスクが46%低いことがわかりました。
カルシウムの堆積はアテローム性動脈硬化症や構造的な血管病の主要マーカーの一つであるため、この率には大きな意味があります。大動脈内にカルシウムが堆積すると動脈が「硬くなり」、血流を妨げ、体内を循環する血液量が減ります。こうした一連の生理的変化は心臓発作や脳卒中の主な根本的原因と従来考えられいます。
ついでにいうと、動脈閉塞という考え方を軽視し、反論する他の作業仮設が存在します。2004年に出版された「The Etiopathogenesis of Coronary Heart Disease」(冠動脈疾患の疾病原因)という著作の中で、著者ジョルジョ・バロルディ医師は、心臓発作発症に関して実施された最大規模の研究は、心臓発作があった人の実際には41 %しか動脈閉塞がなかったと記しています。
このうち閉塞の50 %は心臓発作の前ではなく心臓発作が起きた後に発生しています。すなわち心臓発作の少なくとも80 %は閉塞した動脈と全く関連性がないことになります。
「Human Heart, Cosmic Heart」(人間の心臓、宇宙のハート)を著し、ウェストン・A・プライス基金の創設委員の一人で、現職は内科医のトーマス・コウワン医師によると、心臓発作を引き起こす主な三つの根本原因は副交感神経の応答減少、これに続く交感神経系の活性化、側副血行路の不全(心臓への微小循環欠如)、ミトコンドリア機能障害による心筋内の乳酸増大です。
米国では心臓病あらゆる人種や民族に共通して男女ともに主な死因で、37秒に一人がこのため死んでいます。心臓病による死亡全体以外にも、アメリカ人の12.1 %はなんらかの慢性的心臓病があります。
その多くは遺伝子的素質が原因であると考えるかもしれませんが、特定の病気になりやすい体質であっても、心臓病の発生は食生活に関連することをその研究は特定しました。この研究はアブラナ科野菜が心臓病予防に役立つ実際の機序を示したため画期的です。
その研究の主な研究者の一人ローレン・ブレケンホースト博士は、アブラナ科野菜にたいへん豊富なビタミンKが血管の石灰化を阻止するのに役立つと説明しています。しかし、心臓によい効果があるその他の栄養素もあります。
最も注目に値するものの一つはアブラナ科野菜の匂いの元であるイソチオシアネートの一種スルフォラファンです。ブロッコリや芽キャベツを料理したことがある方なら、この匂いをご存じでしょう。これらの化合物は確かに不快に感じられるでしょうけれども、健康に関しては匂いの強さと同様に非常に効果があります。
スルフォラファン以外にも心臓の健康によいアブラナ科野菜の栄養素を挙げます:
アブラナ科野菜はグルコシノレートという硫黄を含む化合物も豊富です。アブラナ科野菜を噛んだり、細かく切ると、グルコシノレートが分解を促進する植物酵素と接触し、がん予防に役立つ二次化合物が生成されます。
これらの化合物は発がん性物質を対外に排出しやすくするため、がんに至る場合があるDNAの損傷につながりません。また、正常な細胞ががん性の細胞に変わることも防止します。
スルフォラファンを含むアブラナ科野菜のイソチオシアネートが顕著な抗がん活性を有することを数件の研究も確認しました。イソチオシアネートが数百種類の遺伝子変化の起爆剤となり、がん細胞と闘う特定の遺伝子を活性化し、腫瘍を促すような遺伝子を無効にします。
ある研究では、スルフォラファンが動物の乳腺腫瘍の発生率およびその化学物質による誘発率を下げることが証明されました。さらに、ヒトの培養した乳がん細胞も細胞死に至らせるため成長を阻害することがわかっています。その研究の主執筆者オルガ・アザレンコ氏によると:
「女性のがん死の第二の原因である乳がんは、キャベツやキャベツの仲間ブロッコリとカリフラワー等のアブラナ科野菜を食べると予防しうる。」
アザレンコ氏によると、スルフォラファンは抗がん剤タキソールとビンクリスチンと同じ機序で効能を発揮するのですが、有毒な副作用がありません。これらの野菜は次のような他の種類のがんからも保護するメリットがあることが他の研究によって確認されています:
心臓病とがんの予防はアブラナ科野菜のメリットですが、このほかいくつものよい点があります。いくつもの研究が示したアブラナ科野菜を食べるとよいメリット:
代謝障害を予防し、2型糖尿病のリスクを下げる
体重を管理しやすくなり、肥満リスクが下がる
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による呼吸器合併症の予防
呼吸器疾患に関連する炎症を軽減し予防する
酸化ストレスを防止するためアルツハイマー病リスクが下がる
高齢者の認知力減退を遅延する
緑膿菌やアイロゲネス腸内菌、サルモネラ血清型チフス菌、大腸菌(E.Coli)、ソンネ赤痢菌等の病原菌に対する抗菌作用
喘息の予防
身体の自然な解毒経路の活性化
アブラナ科野菜の代表格ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツはすでに触れましたが、その他のこの仲間もあります。アブラナ科野菜やアブラナ類に含まれる野菜:
カリフラワー
コラードグリーン
ケール
カブカンラン
カラシナ
ルタバガ
カブ
チンゲン菜
白菜
ルッコラ
赤カブ
ラディッシュ
ワサビ
クレソン
成人は2.5カップから3.5カップの野菜を毎日食べること、つまりおよそ3食分から7食分を食べるように現在は勧められています。アブラナ科野菜に関して具体的な米国農務省(USDA)による推奨値は現在ありませんが、成人の場合は活動量に応じて、毎日アブラナ科を含めて1カップから3カップの野菜を食べるべきであるとされています。
芽キャベツ等のアブラナ科野菜の調理方法も重要です。2011年のある研究は、芽キャベツが体内のがんを誘発する特性をデトックスしてくれる酵素を生産するだけではなく、蒸しても最適なメリットの組み合わせを得られることを示しました。
これに対して、煮るとミロシナーゼを放出し、グルコシノレートを活性化し両者がともに代謝生成物を生成する代謝プロセスを破壊してしまいます。そこで、生のまま食べる決心ができれば、咀嚼だけでもグルコシノレートを活性化できます。
アブラナ科野菜が甲状腺がんを予防するのではなく、甲状腺の健康によくないか甲状腺がんさえ起こしうることはお聞きになったことがあるかもしれません。その理由はグルコシノレートの分解により、甲状腺ホルモンの分泌を妨げ、甲状腺の機能が低下する甲状腺機能低下症を起こしうるゴイトリンという化合物が生成されるからです。
グルコシノレートの分解により、さらにヨウ素と競合する化合物も生成され、ヨウ素が不足しても甲状腺機能低下症になりやすくなります。アブラナ科野菜を豊富に食べたあるマレーシアの女性についてがんが懸念されました。その女性はヨウ素の摂取も少なく、若干ヨウ素欠乏であったため、研究者らはがんに対して効果があると考えました。
この点は無視できませんが、バランスのよくとれた食生活が最もよく効果的です。言い換えれば、アブラナ科野菜を食生活の一環にしても、主食にしない限り、甲状腺への悪影響を心配する必要はありません。
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