Dr. Mercolaより
旧来の医学ではウィルス感染に効く療法は知られていないそうですが、免疫系がウィルスと闘いやすくするために行える手順は存在します。抗生物質とは細菌に効くものであるためウィルスには効果がありません。ウィルスはそれ自体では複製できないため、正常な細胞に侵入し、そこで細胞機能を利用して増殖します。
身体はウィルスを検出して攻撃し破壊するための複雑なプロセスを使用します。その方法の一つが細胞内の亜鉛を使い、ウィルスの増殖を止めることです。亜鉛は普通の風邪を33 %早く治し、最近発展してきた研究によると亜鉛はCOVID-19でも機能をします。
亜鉛は通常の場合細胞に含まれています。亜鉛はたんぱく質やDNAさらに約100種類の酵素の生成にも使われるほか、治癒、細胞分裂にも必要です。興味深いことに、味覚と嗅覚の維持には適度の亜鉛が必要です。COVID-19を引き起こすウィルスSARS-CoV-2の初期症状にはこれらの感覚の損失があります。
亜鉛は様々な食品から吸収できますけれども、赤肉と鶏肉が標準的西洋食では主な摂取源です。亜鉛が豊富な他の食品にはナッツ、乳製品、強化朝食用シリアルがあります。他の人よりも亜鉛を食事から吸収するのが困難な人がいます。これには以下のような人が含まれます:
2020年欧州コロナウィルス疾患に関する臨床微生物学感染病学会で発表されたデータが、血漿中亜鉛濃度が低いとCOVID-19で入院した場合生存率が悪く予後が乏しいことも示されました。
その研究は2020年3月15日から2020年4月30日まで三次治療大学病院から回収した患者のデータ結果を解析しました。この期間中、COVID-19患者が病棟に入院した際、空腹時亜鉛濃度を日常的に検査しました。研究者らは患者249名から集めたデータを解析し、亜鉛濃度の平均ベースラインが 61 μg/dLであることを特定しました。
死亡した患者が21名(8 %)で、そのベースライン濃度は43 μg/dLでした。生存者のベースラインは63.1 μg/dLでした。コンピュータモデルと統計解析を使った研究者らは低亜鉛濃度すなわち50 μg/dL以下の場合、入院中に死亡する確率が2.3倍高いことを特定しました。
交絡要因について調整した後のデータからは入院時に亜鉛濃度が一ユニット多いごとに入院中死亡する確率が7 %下がることがわかりました。その研究主任でバルセロナのロベルト・ギュエリフェルナンデス医師のコメントによると:
「今回の研究と試験管内研究数本をもとに一つの論文を提出し、そこで、亜鉛がウィルス制御のために臨床的に有意であることを証明しました。これらの結果が確認されれば亜鉛サプリメントを使った継続研究を行えるはずであると思います。
さらに、数本の研究は亜鉛と呼吸器感染症に関してすでに実施されました。亜鉛低濃度の患者さんはおそらく最もメリットを受けられる人ではないかと思います。」
この遡及的解析の結果は、ウィルスとCOVID-19予防と処置への亜鉛の作用を実証した他の研究を裏付けます。治療選択肢の必要性について説明したある研究は「最小限の副作用で応用が簡単な費用効果的で世界的に利用可能かつ安全な方法」を求めています。
その執筆者らはさらに「亜鉛は上記全ての基準を満たす」としています。その結論: 「最後に、直接抗ウィルス性があるため亜鉛の投与はほぼ全人口にとってメリットがあり、特に亜鉛レベルが不足している人に効果が高い。」別の論文が文献を見直したところ、亜鉛にはCOVID-19の治療と予防に効能があるという結論が出ました。
亜鉛がウィルス複製に対してそれほど強力な戦略である理由は、亜鉛が細胞内でウィルスを食い止める機能をするからです。下の動画で説明されているように、細胞核内のDNA二重らせんは一連のみのRNAに転写されます。このRNAが核から出て、細胞の細胞質に入ります。
そこでさらに変化をとげ、リボソームがコードを解読してたんぱく質を生成します。ここでできたたんぱく質が細胞の活性を促し、最適な健康を支持します。例えば、これらのたんぱく質は酸素をヘモグロビンと結合させたり、細胞代謝を調節します。
コロナウィルスが細胞の細胞基質に入ると、身体のRNAと同じ頭部と尾部があります。リボソームがこのRNAを解読してしまうと、生産的たんぱく質ではなく、RNA依存性RNAポリメラーゼを生成します。この酵素は次にウィルスのRNAを解読して複製していきます。
このためウィルスが増加するため、RNA依存性RNAポリメラーゼを「複製酵素」ともいいます。細胞基質の中で、亜鉛が複製酵素を遮断し、ウィルスが複製できなくなります。
しかし、亜鉛はイオンであるため、これ自体では助けなしに細胞膜を通過できません。ある研究で、研究者らは亜鉛イオノフォアを使い、細胞内の亜鉛の効果を試験しました。イオノフォアは担体として機能し、亜鉛に細胞膜を通過させます。亜鉛が細胞内でRNA依存性RNAポリメラーゼの活性を停止する効果があることを研究者らは特定しました。
イオンは担体が必要であるため亜鉛サプリメントを飲むだけというほど単純な話ではありません。2014年にある研究チームはクロロキンの抗がん活性を調べ、亜鉛吸収率を高くすること、その結果細胞のリソソーム内の亜鉛濃度が高くなることを発見しました。
Medical Hypothesisに掲載された二つ目の論文では、クロロキンとヒドロキシクロロキンが細胞内小胞内のpHを高め、このためウィルスの複製を阻害するという、直接抗ウィルス性の概略をまとめました。亜鉛とヒドロキシクロロキンの併用が薬剤の効能を強くすると研究者らは考えます。
また、亜鉛欠乏は糖尿病と心臓血管病の高齢者や人でより頻繁に発生し、これらの人こそCDCがCOVID-19で重症になり予後が暗い確率が高いと特定した人口セグメントです。クロロキンと亜鉛の併用を評価するための治験を増やす要求の中でその研究者らはこう考察します:
「クロロキンで亜鉛の細胞基質への吸収が誘発され、亜鉛がRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、結局、幹細胞内でのコロナウィルスの複製を停止することができる。
現在、数か国で現在数件の治験が実施中であり、クロロキンの抗コロナウィルス剤としての効能を評価している。クロロキンは抗マラリア薬として普及しているため、安全であることは確かである。」
クロロキンとヒドロキシクロロキンはマラリアの治療に数十年来使われてきた薬です。副作用は把握されており、たいてい軽度で耐えられる程度しかありません。
亜鉛はクリス・マスタージョン博士が指摘するように、ウィルス感染防止のために必須である一方、過剰な亜鉛を取り込むと免疫系が弱くなり、健康に害があります。
これら二種類の薬は概してよく耐えられる一方、処方が不要な自宅でできる亜鉛イオノフォアのその他の選択肢が存在することはよい点です。2014年にケルセチンと3没食子酸エピガロカテキン(EGCG) を亜鉛のイオノフォアとしてとらえたある比較研究が公表されました。EGCGは緑茶に含まれるポリフェノールです。
その研究者らは、ポリフェノールが亜鉛イオノフォアとして作用するという仮説を立て、これをマウスの肝臓がんヘパ1-6細胞を使って実験室で実証しました。ケルセチンとEGCGともに、ウィルスが健康な細胞に感染する際使用する酵素を阻害するという別の利点もあります。2020年のある研究によると、ケルセチン、EGCG、その他のフラボノイドもSARSコロナウィルスを阻止できます。
ケルセチンがCOVID-19治療において希望を託せる物質であることがわかるいくつかの根拠があり、これらについて私はかつて「ケルセチンを日常サプリメントに加えるとよいもう一つの理由」で取り上げたことがあります。亜鉛イオノフォアとしての機能以外にも、ケルセチンはウィルスへのインターフェロンの応答を増強し、サイトカインストームに関わる応答を抑えます。ビタミンCと併用するとよいことを示した根拠があります:
「...並行投与により抗ウィルスと免疫調節特性、ケルセチン再利用というアスコルビン酸の機能による相乗的抗ウィルス活性が作用し、効能が増強される。」
自宅で可能な最も効果的処置方法の一つは、私が考える限り、噴霧過酸化水素です。
ケルセチンと亜鉛は初期段階に非常に効果的な一方、噴霧過酸化水素は息切れに対して特に効果的です。
安全で、処方せずに自宅で自分でできます。私の考える限り、COVID-19のような呼吸器ウィルス感染症のために明確に最適な療法の一つです。デビッド・ブラウンステイン医師は100名のCOVID-19患者さんを治癒するために成功したこの療法についての症例論文を公表しました。
同氏は最近のインタビューの中で「噴霧過酸化水素がいかに呼吸器感染症に効くか(原題How Nebulized Peroxide Helps Against Respiratory Infections)」に掲載された以上の効能について話しておられます。器具と過酸化水を常備しておくことが大切で、これは症状が出た後この処置を早く始めるほど、結果がよいからです。
しかし、予防のためにはこの方法は不要であり、お勧めできません。むしろ上部呼吸器感染症の病気になった人に会ったときに使用しましょう。私は食品品質のH2O2を普通の生理食塩水に溶かした0.1 %希釈水溶液を勧めますが、ブラウンステイン医師はこれよりさらに低濃度0.04 %を使います。
市販グレードの3 %過酸化水素水は有毒な安定化剤を含み製品の有効期限を延ばしているため、ブラウンステイン医師も私もお勧めできません。最適な効果を得るには、食品グレードの過酸化水素水を買い、安定化剤が入っていないため、冷蔵して長持ちさせるとよいです。
動画で私が説明しているように、この処置は息切れや発熱、咳がでたら初期の数時間以内に一時間に一回使用してください。通常は、初期に数回処置するだけで気分がよくなります。次に4時間から6時間おきに処置を反復して、完全によくなるまで行います。
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