緑茶化合物は亜鉛の吸収をよくする

Fact Checked(事実確認)
緑茶 利点

早分かり -

  • 濃度2 %の緑茶口内洗浄液は歯垢や歯肉炎を軽減するのに有用で、緑茶を飲むと唾液の抗菌活性が増します
  • 緑茶に含まれるポリフェノールの一種、3没食子酸エピガロカテキン(EGCG)は細胞内への亜鉛吸収を促し、風邪ウィルスの複製を停止させます
  • 緑茶を局部に塗ると、水虫等の真菌感染に対して効き目があるほかにも、膿痂疹(とびひ)に対する抗生物質に匹敵するほどの治癒率があります
  • 腸内細菌に害がなく、プレバイオティクスとして作用するのでビフィズス菌を含む善玉菌が増えます
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Dr. Mercolaより

健康とウェルネスのための主な要因の一つは栄養です。私のニュースレターをお読みの方ならソーダではなく、毎日純水を豊富に飲んでいればよいと願っています。水の次に一般的によく飲まれているものはコーヒーとお茶です。

ソーダとは異なり、有機のコーヒーとお茶(紅茶も)なら有益な抗酸化物質ポリフェノールを摂り易いです。全米茶工業会 によると、茶は世帯のほぼ80 %に普及しており、全米で一日に1億5900万人以上が茶を飲みます。

2019年に米国では、840億杯の茶のうち15 %が緑茶で、84 %が紅茶でした。米国は世界第三位の茶輸入国で、欧米諸国の中では茶輸入量に匹敵するだけの茶を生産して消費している唯一の国です。しかし、海外では熱いお茶を飲みますが、アメリカでは約75 %の人がアイスティーとして飲んでいます。

同工業会の予測によると、この産業は最大3 %の年率で成長しており、この原因は健康のメリットに関する知識の普及、利便性、高級スペシャルティティーにより促されていると見られています。自宅で茶を入れる場合、米国では一杯の茶のコストが約3セント、さらに高価な製品でも一杯10セントもしません。

PubMedのメニュー「茶と健康」には7,000件以上の研究が記録されていますが、ようやく近年になってから科学者らが茶の抗菌物質としての利用可能性について調査し始めました。茶の健康のメリットは茶の原料である植物チャノキの葉に由来します。

緑茶には4種類のポリフェノールが含まれ、そのうち3没食子酸エピカテキン(ECG)、エピガロカテキン(EGC)、3没食子酸エピガロカテキン(EGCG)に最大の抗菌活性があります。

EGCGで人体の亜鉛利用能が高まる

風邪とインフルエンザの季節になり、新たなCOVID-19流行の波もささやかれる中、多くの人は感染予防のために亜鉛のサプリメントの重要性について取り上げています。亜鉛は全身に含まれる必須ミネラルであり、ほぼ3,000種類のタンパク質の共通因子です。

COVID-19の初期症状に対して効果的な療法の一つはヒドロキシクロロキン亜鉛との組み合わせです。最初の頃、ニューヨーク大学の医者チームはヒドロキシクロロキンとアジトロマイシンを使用していました。

その後、硫酸亜鉛が治療実施計画書に追加されました。 二つのグループの予後を比較するため、その医者チームは遡及的観察を行った結果、硫酸亜鉛を投与された患者のほうが退院頻度が高く、換気装置の必要性があまりありませんでした。

流行病のさなかで研究が迅速に公表されたため、公表された結果は必ずしもデータによる裏付けが甘い正確なものではないことがわかりました。例えば、Lancetの2020年5月22日号に掲載されたある研究の執筆者らは、ヒドロキシクロロキンのみを投与したかアジトロマイシン等のマクロライド系抗生物質と併用して投与した患者の生存率が下がり、心室性不整脈が増加したことを指摘しました。

その結果は後日撤回されましたが、そのタイミングが、世界保健機関がこの薬の処置計画採用を止め、他の治験主任者らが調査終了を発表した後からでした。ヒドロキシクロロキンは亜鉛のイオノフォアとして作用し、亜鉛が細胞に入り易くなり、細胞内でウィルスの複製進行を阻止しうる物質です。

カテキンはよい健康のための戦略的カギでありうる

緑茶のカテキンは健康にさまざまな経路で影響します。50,000人以上が参加したある研究で、科学者らは虚血性心臓病と脳卒中が最も多い死因であり、早死に全症例のほぼ半数を占めることを特定しました。単に緑茶や紅茶を飲む習慣だけでも血圧が下がりやすくなり、高血圧は心臓病と脳卒中の原因の一つです。

25件の検査を検討したある文献レビューで、別の研究者グループは、12週間緑茶か紅茶を飲んだ人は、茶を飲まなかった人より、収縮期血圧が平均2.6 mm Hg、拡張期血圧が平均2.2 mm Hg下がったことを発見しました。緑茶の売上高は紅茶の売上高と比べて人気が低かったですが、緑茶のほうが最適な結果が出ました。

その執筆者らによると、この削減からして脳卒中リスクの8 %減少、冠動脈疾患による死亡リスクが5 %、全原因死亡率の4 %減少を期待できるそうです。そのデータは一日に茶を3、4杯飲むと心臓病リスクが削減されうることを示した他の研究を裏付けています。

研究者らは、この量の茶を毎日飲むと心臓と心臓血管の健康がよくなり、内皮細胞機能によい効果があるため、心臓発作や脳卒中リスクが下がることを特定しました。

緑茶を飲むとアルツハイマー病進行に関連するアミロイドベータのプラーク形成も阻害される場合があります。アミロイド線維の構造変化によりアミロイド線維の毒性が下がりうるのです。残念ながら、研究で使った濃度は現実には消費しえないほど多量でした。緑茶を飲むメリット:

がんのリスク低下

減量

2型糖尿病のリスク低下

脳機能の増進

目の保護

運動の成果改善

関節リウマチによるペインと炎症の減少

自己免疫疾患のリスク低下

歯肉炎に苦しんでいらっしゃいますか?緑茶を検討しましょう

国によって歯周病の発生率は、異なりますが、一部の専門家の推定では、世界人口の約半数に発生しているといわれます。歯周病の原因には薬、口内衛生状態の悪さ、糖尿病、ストレスがあります。歯周病が心臓血管病リスクが19 %上がりうること、2型糖尿病における血糖制御の改善を助けうると考えられています。

全米歯科学会によると、一日二回歯ブラシで2分間歯をみがくと食物の残骸や歯垢が取れ、虫歯のリスクが下がるそうです。残念ながら、正しい歯ブラシの使い方はよく守られていません。

13,070人についてのある研究では、糖尿病発病と参加者の歯磨き時間の相関性が特定されました。歯をよくみがく人は病気リスクが低いことがわかりました。

2015年のある研究では、緑茶が歯の問題処理を助けることがわかりました。その研究チームは歯垢指数1.5を初期値として開始し、参加者を無作為に二つのグループに分けました。第一グループの人は濃度2 %の緑茶口内洗浄液で一日二回口をゆすぎ、他のグループはプラセボマウスウォッシュを使いました。28日後、相違点を解析したデータから、緑茶に「歯垢と歯肉炎スコア減点効果」があることがわかりました。

さらに、緑茶を飲むと唾液の抗菌力が高まりました。テコンドー選手についてのある研究は二時間トレーニング後に緑茶を飲んだときの効果を評価しました。

唾液試料をトレーニングの直前と直後、お茶を飲んだ30分後に収集しました。データ解析の結果、トレーニングによって唾液の抗菌力に差は出ませんでしたが、緑茶は抗菌力を強くしました。

局部感染症が緑茶に応答する

緑茶を飲むと効能があることはすでに実証されていますが、局部に塗っても効能があります。ある実験室研究はEGCGの抗真菌活性を調べ、フルコナゾールとフルシトシンという薬と比較しました。

EGCGの作用はフルコナゾールの四倍高く、フルシトシンより16倍まで高いことがわかり、白癬菌を阻害する力があることがわかりました。EGCGを白癬感染における抗真菌薬として単剤で投与可能なことをその研究者らは示しています。

この研究を参考にして、のちに別の科学者グループは指間足白癬つまり水虫がある94人の患者について調べました。参加者にプラセボ療法か緑茶ポリフェノール(GTP)を煎じた足浴のいずれかを行いました。

12週間の処置後、結果の比較から、緑茶を煎じた足浴グループでは、感染域が大幅に小さくなったことがわかりました。研究者らは緑茶ポリフェノールは効能があるという結論に至り、「GTPには抗真菌活性があるようである」としています。

145,028人の子供から集めたデータについて検討したある文献レビューでは、膿痂疹のメディアン(中央値)発生率が12.3 %であり、研究が行われた世界の地域別にこの値は4.2 %から19.4 %にばらつきがあることがわかりました。通常この皮膚病は抗生物質軟膏や局部クリーム塗布により治療します。

しかし、緑茶軟膏の局部塗布により膿痂疹の人の81.3 %もの有効完治率をデータが示していました。この治癒率は局部抗生物質塗布による場合の72.2 %、経口抗生物質による治癒率78.6 %と対照的に呈示されました。

濃度2 %の緑茶ローションを軽度から中度の湿疹に塗布しても効能が実証されており、被験者20人の異常の重度と病変が軽くなりました。ここでは一日二回緑茶ローションを六週間塗布し、二週間おきに評価しました。

緑茶の抗菌作用は腸内フローラに無害

緑茶の抗ウィルス性と抗真菌性はいくつものウィルスや病気について実証されてきました。しかし、そのポリフェノールは腸内では同じ抗菌作用がないようです。しかし、このため腸内細菌叢の組成を調節するという根拠は存在します。

ある研究で、12人の健常なボランティアの処置前、一日に400 ccを飲んでから二週間後、投与停止後体外排出から一週間後に再度回収した唾液と便試料を使ってこれらの変化を調べました。

その目的は、緑茶による細菌叢への効果を調べ、腸内細菌叢の変化が抗がん活性と整合的であるという仮説の検証でした。その研究者らはデータが腸内細菌叢の変化は緑茶を飲んでいた期間経過後も持続することを示していることを特定しました。

この研究結果はビフィズス菌増加傾向を実証した過去の研究データを裏付けました。データ解析の結果、「細菌組成比率の変化は菌種間の移行によるのではなく、菌種間増減によって誘発されていた」ことを特定しました。結論として、緑茶の消費はプレバイオティクスとして作用しうること、ビフィズス菌菌種の比率を増やすことにより腸内環境を改善しうる、ということでした。

お茶から最も取り込むには

茶には緑茶、紅茶、ウーロン茶の三つの主な種類があります。その違う点はお茶の葉の処理工程です。興味深いことに、EGCGは水温に敏感で、80 ℃で煎じてもお茶の葉のEGCGのうち60 %しか放出されません。煎じる際に茶の量を測る際は、茶小さじ1に対してお湯約245 ccをご使用ください。

茶の健康のメリットを最も得るには入れ立てを熱いうちに飲みましょう。数時間置いておいたのではよく取り込めません。紅茶にミルクを入れると、抗酸化物質の効能が減るので、レモン汁を一絞り入れると、そのメリットが増し、カテキンが吸収されやすくなります。

+ 出典および参考資料