Dr. Mercolaより
私が以前慢性背痛の戦略に関してインタビューしたことがあるデビッド・ハンスコム博士はご自分のクリニックを廃業し、手術せずにペインを無くすためのコンサルティングに注力し始めました。最近ではご自分がCOVID-19を生き延びた後は、予防と生き延びることに注目して、同氏のお話の肝心な部分を占めています。
食生活、運動、その他の処置によりCOVID-19のリスクを根本的に減らせることはすでに周知です。ハンスコム氏のCOVID-19予防法はストレスと不安の削減による免疫機能の強化に着目し、そのやり方について詳しい推奨事項を含みます。
ハンスコム氏の説明によると、ペインはほとんどがストレスと不安の症状であり、これらは心理的要因よりはるかに炎症によって起きやすいです。
「自分は安全だと実感する必要があります。安心していれば、身体の化学的組成が奥深く変化します。アドレナリンやコルチゾール、ヒスタミン、炎症性サイトカインが減り、成長ホルモン、ドーパミン、セロトニン、GABAが増えます—これらはすべて想像できないほど効力があるホルモンで抗炎症性[化合物]です。つまり、身体の化学的組成が深淵な変化を遂げ、ペインが解消されます。ペインを管理できるだけにとどまりません。ペインが解消します。」
サイトカインは異なる組織を調節する小さいタンパク質です。サイトカインには炎症性と抗炎症性の二種類があります。サイトカインは免疫系と免疫機能の調節に関わっているためCOVID-19と固有に関連してきます。
ストレスや不安を減らしたり解消すると、炎症性サイトカインが減り、免疫系はよく機能するようになりますハンスコム氏は情報交換と議論のために週一回の会議を開いている作業班を立ち上げました。
この班のメンバーにはポリヴェーガル30理論(多重迷走神経説)の開発者で行動神経学のスティーブン・ポージェス博士やサイトカインの専門家で小児科医のデビッド・クローソン医師がおられます。
「サイトカインは全身に存在します。どの細胞にもサイトカインがあります。要はサイトカインどうしのシグナリングのしかたにあります。脳組織をつなぐグリア細胞がサイトカインを生産することは周知です。欠陥内壁の細胞である内皮細胞も同様です。
脅威を感じた時—外科医はこれを筋肉の緊張、発汗、心拍数としてとらえる—その脅威とは脅威応答であって、リラックスしており再生中の安全な状態と対峙している状態になります。私が気づいていなかったことは、脅威が免疫系を炎症させ、『脅威』はあらゆる種類の実体であるということでした。ウィルスや細菌、がん細胞、いじめ、気難しい上司だけではなく、思考、感情、抑圧された感情もそうです。
神経科学はこうした思考や感情が物理的脅威と同じ脳内経路で処理されることを示しました。どの変性疾患でも、クローソン氏が言うように、同じスープであることがかっています言い換えると、心臓病、重症血管病、成人になってから発症する糖尿病、肥満、パーキンソン病、アルツハイマー病は炎症性障害の数例にすぎません。全ては炎症に起因します。」
自律神経系が不調になると、 — ハンスコム氏に起きたように — ある日を期して気分よく感じなくなり、翌日には突如としてパニック発作が起きます。同氏の説明によると:
「不安や躁鬱、うつ、精神分裂は全て炎症プロセスであることがわかっています。炎症に起因しています。心理的に起因しているのではありません。不安とは脅威の帰結であることを覚えておいてください。[脅威]は原因です。
脅威により身体に応答が起き、これには免疫系を含み、アドレナリンやコルチゾール、炎症性のサイトカインによって起きる感覚が不安の感情です。脳は無意識下で1秒に約2000万ビットの情報を処理しており、意識上の脳は40ビットしか処理しないので、物事に対して自分の意識(マインド)では処理できません。
私は13年間精神科医にかかり、よく医者と話していたものです…それでも悪化しました。慢性ペインの解決策は実際に脳を別の方向に向けます。問題について話すとほど、実は問題がむしろ大きくなっていきます。
不安を減らす方法は単にこうしたストレス応答を減らすことです。このことは直接的手段によって行うのです: 心して注意を向けること(マインドフルネス)、瞑想、リラグゼーション、抗炎症性食生活。抗炎症性食生活がとても有用なことがわかっています。そのわけは、常時脅威を受けていると何が起きるかというと、炎症です。これには加工食品を含みます。こうした炎症性細胞が自分の体を蝕み始めます…
そこから導き出せる主な教訓は、[すなわち]不安は脅威に対する生理的応答であることです。全身に火がついたようなものです。不安を無くし、サイトカインを減らし、例のストレス応答を削減する必要があります。繰り返しますと、身体が炎症すると、不安を感じるようになります。」
食生活に関して、加工食品がなぜ炎症を起こすかにはいくつかの理由があります。まず初めに、加工食品は精製炭水化物が非常に多い傾向があり、食べ過ぎると、インスリン抵抗性になり、このため炎症性サイトカインが増え、COVID-19のリスクが膨大に増加します。さらに加工食品は工業精製オメガ6植物油をたっぷり含んでおり、これが炎症を促します。
ハンスコムによると、脅威を無くし、安心すると、炎症マーカーが減り、ペインが解消するだけではなく、SARS-CoV-2またはその他どんな病原体でも外界からの侵入者に勝つために適切な応答ができる免疫力も強くなります。
「当然のことながら、ウィルスは脅威で[あるので]免疫系が応答して欲しいのです。ほぼ全員はこのウィルスに直ぐに勝てますが、部屋の中の大きな物体のごとく着目すべき明白な要因は、COVID-19で死亡したと言われるほぼどの患者さんでも「リスク要因」を持っていたことです。… [しかも]これらのリスク全要因が炎症マーカーを増やしました。
要点は、自分の健康を掌中に把握して、こうした炎症マーカーを減らせば、正常なサイトカインが増加します。言い換えると、正常なサイトカインは[ウィルス]に対する防衛です。閾値より少ないままの正常なサイトカインがあるわけです。
特定の閾値に達すると、炎症応答が強くなりすぎ、肺が炎症応答で溺れます。全てが炎症するため自分の体液に溺れるわけです。COVID-19で亡くなられた方はほとんどがこうした炎症プロセスが制御できなくなるある程度のリスク要因がある人でした。」
ハンスコム氏の説明によると、副交感神経系の主要な部分で第10脳神経である迷走神経は交感神経系を制動する役目をします。交感神経系は脅威に応答して活性化しますが、副交感神経系は弛緩応答(リラックス)することにより活性化します。
「迷走神経はこの入力を全て把握しており、身体に関してどう応答すべきかを決めます。このため代謝、内分泌系、血糖レベル、サイトカインに直接影響します。脅威を受けると、副交感神経系の制動が効かなくなります…迷走神経には二つの部分があります。腹側の方は顔面と首の筋肉につながっています。これで人間は社交ができるのです。これを共調節といいます。
本能的に人間は競争性の種であり、生き続けたいのです。私があなたに真正面から歩み寄ると、あなたの表情が見え、あなたには私の表情が見えるので、ここで共調節というものが行われ、自律神経系が落ち着きます。COVID-19での問題はマスクを使用していることです。お互いの顔が見えず、社会的に孤立しています。ポージェス博士が指摘するように、これが自律神経系を不調にします。
私にパニック発作が起きたとき、自律神経系が不調になったのであり、炎症性サイトカインが膨大に交感神経系に印加されたわけです。自分のパニック発作がサイトカインストームだったかどうかについてはいくらかの疑問がありますが、起きてしまった以上、自分では制御できなかったのです。
繰り返すと、一秒当たりたった40ビットの情報に対して2000万ビットの情報がやりとりされるからです。迷走神経はこの過程全体の中心に位置します。私の意気を盛んにさせる点は、ストレスが心理的構造としてとらえられていながら、実際にはそうではないことです。ストレスを最も強く実感するストレスとは自分で管理できないストレスであるため、ストレス管理という語は誤った言い方です。慢性ストレスなのです。
何が起きるかというと、慢性的に脅威を受けていると、免疫系が燃え上がります。こうして人々は社会的に孤立し、さらに免疫系の炎症が進行します。共調節が効かなくなり、社会的に孤立し、神経伝導率が二倍になり、ペインがさらに増え、この自律的応答が継続し続けると、30種類以上の肉体的症状が起きます。
私の場合同時に17種類が発生しました偏頭痛、耳鳴り、皮疹、胃の異常、背中の痛み、首の痛み、足の燃える感覚、ただひどくなっていくだけでした。何が起きているかまったく見当がつきませんでした。また繰り返しになりますが、その感覚が不安であって、これは心理的なものではなく、生理的なものです。
ストレスは問題ではありません。これは脅威に対する生理的応答です。不安を落ち着ける方法は単に身体の化学的状態を抑えることです。これこそ私が体得したことで、一種の偶然でした。不足している部分をポージェス氏が埋めてくれました…
心して注意する態度(マインドフルネス)を続けていると実際にサイトカインを直接減らしていることになります。これは心理的なことではなく、肉体への物理的効果です。食事についても同じことです。食生活とリラグゼーション、神経系の鎮静と炎症性サイトカインを結び付けても、何らの違いも生みません。これらの応答を肉体の化学組成に結び付けることに関する簡素な問題の答えに至るには回り道なだけです。」
では、こうした迷走神経の応答を活性化してリラグゼーションを誘発し、炎症マーカーを減らす方法とは?インタビューでハンスコム氏は以下の項目を含むそのために行われてきたいくつかの戦略をまとめています:
• 表現的作文 — ハンスコム氏によると、表現的作文がウィルス負荷と炎症マーカーを減らすことを示した研究論文が1,000本以上あります。その方法: 自分の考えていることを単に書き留め、ページを破って捨てます。
• 質のよい睡眠 — なん十種類もある睡眠の衛生に関するヒントについて、私の記事「睡眠:必要な理由とよく寝れるようにするための50の方法」をご参照ください。
• 寛大さの練習 — 不安の対極が制御です。自分を制御できなくなると、身体はストレスホルモン、サイトカインを増やし、憤怒や不安を起こします。
• 間歇的絶食または食事時間帯の制限 — これにはいくつかのやり方があります。最も一般的な食事時間帯の制限予定表の一部がこれ。最もやりやすい方法は食べる時間を毎日6時間から8時間の枠内に限定して、一日の最後の食事を遅くとも就寝の三時間前までに済ませる方法です。食事時間帯の制限で炎症マーカーが著しく減少することは研究から周知です。
• 外生ケトン体 — 食べる時間帯制限と間歇的絶食はケトン体の生産を増やしますが、ケトンサプリメントを利用することもできます。ケトン体は炎症を減らす代謝経路の触媒機能をしています。例えばケトン体はNRLP3による炎症を阻止し、NRF2を活性化させます。
ハンスコムが説明するように、ウィルスはケトン体も好みません: ウィルスは糖分を好むのでケトン体が多いとウィルスの複製が減ります。同氏の作業班は世界的流行病を解決しうると考えられる栄養計画を開発しました。
迷走神経を活性化し、これによって弛緩(リラックス)応答を発生させ、炎症マーカーを下げるその他の簡単なやり方には以下のものがあります。これらの方法がいかに機能するかについて、インタビューまたはその写本をご参照ください。
深い呼吸運動
常時よく心して気を正していること
瞑想
弛緩させる
口ずさむ
子守唄を聞く
おでこに冷たいおしぼりを当てる
鍼治療
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