Dr. Mercolaより
プラスチックの問題は現実としてあります。環境破壊せずに破棄するのが困難なだけではなく、私たちはあらゆる使い捨て品に依存しきっているようです。米国でプラスチックは日常生活からこれ抜きは考えられない必須の要素と見られています。近所の食料品店内をざっと見まわすだけでパッケージングから買った商品を入れる袋までプラスチックに不健康なほど依存していることがわかります。
生鮮食品はプラスチックに包装されていたり、プラスチックカバーに入ってスライスされ、シュリンクラップされています。ナッツ、チーズ、牛乳、レタスは全てプラスチックケース入りです。2013年に世界全体で2億9900万トンのプラスチックが生産され、その多くは海洋に至り、生物と環境の脅威になっています。
世界経済フォーラムのレポートによると、プラスチックパッケージの場合、材料価額の95 %すなわち、毎年推定800億ドルから1200億ドルが初回使用後に損失し、他の問題に加えさらに経済問題を投げかけています。今や科学者らがプラスチックを食品に変換する方法について検討しています。
軍事的ロジスティックの改善に焦点を当て、国防高等研究計画局(DARPA)はアイオワ州立大学と提携先に男女軍人の食事にするためのプラスチックや紙廃棄物製食品開発費270万ドルを出資しました。紙やプラスチックを食品に変換する能力があれば短期的に兵士用栄養補給を助け、長期任務の際軍事的ロジスティックを改善できることを目指したものです。
開発者らはプロジェクト完了までに出資額が総計780万ドルに及ぶものと見ています。この研究の提携者にはアメリカ化学技術者協会RAPID研究所やデラウェア大学、サンディア国立研究所が含まれます。当初この変換システムのことを耐乏配備用主要栄養素新式酸化分解法(Novel Oxo-degradation to Macronutrients for Austere Deployments (NOMAD))と呼びました。
その目的は、紙廃品を砂糖に変換し、プラスチック廃品を脂肪酸と脂肪アルコールに変換することです。これらの副産物を処理して配備先で単細胞バイオマスに変換します。単細胞たんぱく質のその他の例にはベゲマイトや栄養酵母があります。このNOMADシステムは軍隊が配備や抽出中に携帯できるようにする特定の要件を満たすことを目指します。
DARPAは軍部が実地に使用するためのプロジェクトを開始した一方、その他の人々にも安価な食糧として提供する手段になるシステムが提案されるまでそう長くかからないでしょう。アイオワ州立大学のプレスリリースによると、このプロセスは「プラスチック処分という膨れ上がり続ける問題の解決および実現可能な世界的食物連鎖を確保するために有用になりうる」としています。
アイオワ州立大学のロバート・ブラウン氏はこのプロジェクトの主任研究者です。同氏が以下でプラスチックや紙が配備先現地で生物分解可能になる方法や食用酵母あるいは細菌の増殖のための利用法を説明しています:
「酸素の存在下で熱や紫外線に暴露されると、プラスチックは微生物が消費しうる酸素化された化合物に変換されます。実際にプラスチックは生物分解性ですが、そのプロセスは環境内のプラスチック廃棄物の堆積としてはっきりわかるように、大変遅いです。
この研究では何百度にも熱してプラスチックの脂肪化合物への酸化分解を急速に進めます。冷却した生成物を使い酵母や細菌を培養して食用に適する単細胞たんぱく質に変換します。」
この周知の諺は、ナポレオンやフリードリヒ大王が軍隊は栄養需要を賄えばよりよい成果を上げる能力がつくことを指して言ったといわれています。軍隊に支給するこの食品が「自然な」単細胞たんぱく質であるという議論は可能なのかもしれませんが、穀物で飼育した牛肉について周知の教訓を思い出すことが重要です。
家畜を過密家畜給餌事業体(CAFO)で飼育することには、環境、水供給、家畜の優しい世話、汚染除去のための塩素その他の毒素の添加等いくつもの問題をかかえています。CAFOに関しては嘆きの声が高まる一方で、いまだに工場式農場が世界に食品を供給できると主張する人が多いです。問題はその代価です。
栄養分析から明らかなように、問題はCAFO内部とその周辺住民に対する問題だけに限られません。牧草で育った牛の肉と穀物で飼育されて終わる牛肉の栄養価には驚くべきほどの差があります。草で育てた牛肉はよりよい脂肪酸の組成や抗酸化成分があります。
草で育った牛肉のほうが共役リノール酸(CLA)やCLAの前駆物質が豊富にあり、これらは脂肪の代謝のためによい機能をし、体脂肪レベルが下がって、身体の組成によい効果を与え、心臓代謝のリスク要因が減ります。草で育てた牛肉はオメガ3脂肪も豊富で、コレステロールが増える脂肪は少ないです。
教訓とは、健康そうに見える牛肉だからといって、健康的な環境で育った物と同じ栄養価があるわけではないことです。当然同じことはインポッシブルバーガーやその他実験室製の食品についてもあてはまります。短期的には軍事的課題かもしれませんが、そこで止まると思いますか?
リサイクルはプラスチック汚染にともなう問題を減らすもう一つの対策です。しかし、最もよい状況下で見ても、微々たる効果しかないようなことを示す根拠が増え続けるなか、リサイクルが信頼しうる解決策かどうかについては疑問が残ります。
The Guardianによると、アース・アイランド研究所が大企業10社を相手に訴訟を起こしました。この団体の望みは、組織が責任を取り、各企業が生産している製品による環境と生態系の破壊の代価を支払わせることです。リサイクルを盛んにすることは一つの方策のように聞こえますが、バーゼル・アクション・ネットワークのジム・パケット執行理事がRolling Stone誌でこう語っています:
「各企業はプラスチックの一部しかリサイクルされていないので、リサイクルは可能であるという考えを売り込みました。これは偽りです。プラスチックのリサイクルについて掘り下げると単なる神話であることに気づきます。」
パケット氏は、1950年以来生産されてきたプラスチックの91 %はリサイクルされたこがないとする、2017年に公表されたある研究を引用します。さらに、Rolling Stoneリポーターのティム・ディキンソン氏によると:
「反復リサイクル可能なアルミニウムとは異なり、プラスチックは再処理中に分解していき、一回以上再利用されることはほぼありえない。例えば、プラスチックソーダボトルは分解されカーペットに再加工されることはありえる。」
海洋投棄されるプラスチックの増加率からみると、2050年までには魚よりプラスチックのほうが多くなる見込みです。
お皿に乗る食品を含め、環境にはほぼあらゆる所にプラスチックの断片は含まれています。マイクロプラスチックと呼ばれる断片の場合5 mm以下の物を指し、食品や飲料から検出されてきました。水道水は、研究者らが平均的な人で毎週1,769粒の粒子を飲むと推計するほど最大の侵入源です。
そうかといって、ボトル入り飲料水は水道水よりさらに多いプラスチックを含むので解決策ではありません。Environmental Science and Technologyに掲載されたある研究はボトル入り水しか飲んでいない人は水道水を飲む人より多くのマイクロプラスチックを消費しているようであることを示しています。
プラスチック汚染はボトルやキャップの製造工程で発生している可能性が高いです。ボトル水11品種から259本を検査した研究者らは1 L当たり平均325粒のマイクロプラスチックを検出しました。検査したブランドには、とりわけAquafina、Evian、Dasani、San Pellegrino、Nestle Pure Lifeが含まれます。
WWF Internationalの研究結果に基に、Reutersは一人が一定期間に消費しうるプラスチックの推計量を示す図解を作成しました。その推計によると以下のような数値になります:
これを身近に言い換えると、乗用車のタイヤ1本が約9 kgあります。つまり、生涯プラスチック消費量はタイヤ2.2本分に相当するわけです。世界野生生物基金が主催したある研究に関わっていたニューキャッスル大学のタバ・パラニサミ氏がReutersでこう語っています:
「人類は数十年以来プラスチックを使ってきましたが、マイクロプラスチックやナノプラスチックの微粒子による健康への影響については本当にはわかっていません。…唯一わかっていることは実際に飲み込んでいること、毒性反応を起こす可能性があることだけです。これは確かに懸念の一因です。」
いくつかのフロントでプラスチック汚染との闘いは行われています。アース・アイランド研究所の提訴に加え、WWFはマイクロプラスチックを飲んだ生物に対する影響に関して深い研究をするよう、いくつもの政府に求めています。同基金の分析によると:
「プラスチック危機への現行の世界での対策は失敗に終わっている。政府はプラスチックシステムでの全参加者が自然と人間に対するプラスチック汚染の真のコストについて説明責任を負うことを確実にするための要である役割を負っている。」
各自が日常生活で簡単なことを変えるとかなりの効果を生むことを覚えておきましょう。以下に参考になる方策例を挙げます:
プラスチックの袋やバッグを使わない。日常品の買い物には特に、再使用可能なバッグを使う
コーヒーを飲むなら自分のマグカップを持ち運び、蓋とストローを使わない
ボトル水を買わずに、ガラス瓶に自宅で水を入れて持ち運ぶ
リサイクルしようとする物が実際にリサイクル可能な物かを確認する
プラスチックの容器と冷凍用の袋ではなく、ガラス容器やメイソンジャーに食べ物を貯える
外食するなら食べ残しを持ち帰る入れ物を持っていく
加工食品を食べない。加工食品は通常プラスチック包装やプラスチック膜のあるペーパーボックス入りです。新鮮な食品を買い、自宅から持っていく野菜入れバッグを使う
新聞やドライクリーニングにプラスチック包装は不要と伝える
使い捨て不可のシェーバー、布おむつ、ぼろ布を使う。(着古しのシャツや靴下は雑巾として最適です)
使い捨て食器やストローを避け、できる限り食品をまとめ買いする
衣類やその他のアイテムは中古ショップから買う。より新しい衣類に含まれているマイクロファイバーは買い物プラスチック袋より破壊的になりうるものです
プラスチック製でなく、木製や未処理布地製の子供のおもちゃやペットの玩具を購入する
BPAとBPS による人体への影響と疾病増加
マイクロプラスチックで汚染されているほとんどのボトル入り水
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