オレガノオイルの免疫系と感染症対策へのメリット

Fact Checked(事実確認)
オレガノ オイル

早分かり -

  • オレガノオイルの主なフェノール化学物質は胃腸炎を起こすネズミノボウィルスに対して効能があるカルバクロールです
  • オレガノオイルを含むエッセンシャルオイルの混合液が腸内細菌の異常増殖を阻止するために薬と少なくとも同じ程度の効能があることはわかっています
  • オレガノオイルにはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む細菌に対して効能があります
  • 混ざり物の製品を販売する業者があるので定評のあるメーカーのオイルを買うようお勧めします。オレガノオイルは強いので皮膚や粘膜を炎症させるため薄めずに使わないでください
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Dr. Mercolaより

オレガノ(Origanum vulgare)はイタリア料理でよく使われますが、原産はギリシアと考えられています。マルジョラム(Origanum majorana) によく似ており、しばしば混同されます。

メキシコ原産のオレガノ(Lippia graveolens)品種はアメリカに渡る前、何世紀も使われてきました。第二次世界大戦後になるまでアメリカのお料理の本には取り上げられていませんでした。地中海原産のものとメキシコ原産のものとは少々違います。

メキシコ産は風味が強いですが、地中海産の葉はより小さく、色が淡く、風味はよりマイルドです。料理でどちらかを選ぶ際は、香辛料の効いた風味にはメキシコ産がよく、地中海品種はイタリア料理やギリシア料理をよく補います。

オリガヌム・ブルガーレは多年草で、高さ約1 m、幅は約70 cmまで育ちます。7月から10月にピンク系紫や白い花が咲きます。オレガノは陽がよく当たる場所を好み、蝶を惹きつける手入れの手間が少なく済む植物です。干ばつや浸食にも強いです。

このハーブは効能が高い抗酸化作用がある植物性化学物質フェノール類を豊富に含んでいます。最も豊富に含むのがチモールとカルバクロールです。オレガノは伝統的療法で弛緩剤や鎮痛剤、抗菌剤として利用されてきました。免疫系も強くします。オレガノオイルは抗ノボウィルス作用がある。

世界でノボウィルスが胃腸炎の全症例の20 %ほどを起こしており、下痢や嘔吐につながります。11月から4月にかけて最も急激に発生しやすく、新型菌種が出た年にはこの率が50 %増になる場合があります。

ノボウィルス感染の症状には吐き気や嘔吐、胃痛、下痢があります。人によっては発熱、全身の痛み、頭痛も発生することがあります。感染から12時間から48時間後に症状が出始め、たいていの場合発症の翌日から三日後には回復します。

毎年(米国では)ノボウィルス感染により900人が死亡し、入院件数109,000件、発症例は最大2100万件にのぼります。こうした突発的発生の多くは介護施設や学校等の密な場所で起きます。健康や経済に影響があるにもかかわらず、未だ予防にも治療にも薬はありません。

さらに、ヒトノボウィルスは培養が困難で、小規模な動物モデルも存在しないため、このウィルスの多くの点が知られていません。ノボウィルスはネズミや牛、豚から特定されており、なかでもネズミノボウィルスは細胞培養や小形動物の中で複製されます。このため実験室ではこの種のノボウィルス菌種を研究しています。

オレガノオイルの主要成分の一つカルバクロールがネズミノボウィルスに対して効くことが研究からわかっています。ある研究で、科学者らは細胞培養とならんで細胞結合分析および透過型電子顕微鏡を使った実験を行いました。

オレガノオイルとカルバロールに接触させてから15分以内にウィルス感染性が無くなりましたが、カルバクロールのみを使用するとはるかに効果が強くなりました。カルバクロールに関する研究者らの結論:

「… [ネズミノボウィルス]を暴露させるとウィルスのカプシッド、次にRNAにに直接作用して1時間以内に不活性化する。本研究におけるこの事実はオレガノオイルとカルバクロールの抗MNV性について画期的発見であり、カルバクロールをヒトノボウィルスの防疫のため食品や表面(媒介物)の自然消毒剤として使用可能なことが実証された。」

オレガノオイルとカルバクロールは食中毒につながることがあるキッチンに存在するその他の細菌に対して効能があります。別のある研究では、オレガノエッセンシャルオイルがステンレス鋼の表面から若いおよび成熟した黄色ブドウ球菌の生体膜を除去することがわかりました。

オレガノオイルには腸内細菌の異常増殖に対して効能がある

腸内細菌過剰繁殖(SIBO)は腸内で異常に細菌が発生することを表した用語です。この異常は手術や病気、投薬によって腸の機能が下がり、細菌増殖の温床になり発生します。腸内細菌叢が免疫ホメオスタシスを制御しているので、この異常が発生すれば免疫力が弱くなります。

胃腸の運動性に異常をきたす健康上の問題には強皮症、ループス、糖尿病が挙げられます。抗攣縮剤や、プロトンポンプ阻害薬の長期投与、抗生物質および麻薬系薬剤の頻繁投与がSIBOにつながります。

異常な細菌増殖により体重が減ったり、栄養失調や下痢の症状を起こします。ジョンズホプキンズ医学部が利用する主な治療法は抗生物質リファキシミン(Xifaxan)の投与ですが、症例によってはリファキシミンとネオマイシンを併用しています。

過敏性腸症候群(IBS)等小腸に異常をきたす病気の患者についてこの異常増殖が研究されました。研究文献についてのレビューで研究者らは50本の研究を特定し、IBS患者の38 %以上がSIBO陽性であることを発見しました。その蔓延率は診断法によって異なりましたが、IBSによる女性、高齢者、下痢症状のある患者ではリスクが高くなりました。

別のある研究でSIBO陽性の104人からデータを収集しました。参加者は研究による介入および事後的試験を完了しました。

被験者に4 週間毎日リファキシミンの投与とハーブセラピーを実施しました。この研究ではハーブの組み合わせを用いて幅広いカバレージを意識しました。オレガノオイルは「腸内細菌を直接殺し、増殖を強力に阻害する。オレガノオイルにはヒト大腸がんcaco2細胞の細胞死を誘発する等その他の有益な特性がある」という資料が豊富にあるので含まれたオイルの一つでした。

研究の最後に、各被験者のラクツロース呼気検査(LBT)を実施し、SIBOの存在を検査しました。ハーブ療法を受けた患者の46 %は陰性でしたが、リファキシミンを投与した患者の34 %より奏効率が多かったです。リファキシミンに応答しない患者が31.8 %で、ハーブによる救援治療を受けました。この治療を受けた人の57.1 %は治療後にLBTで陰性でした。研究者らの結論:

「ハーブ療法はLBTで見る限り少なくともリファキシミンと同程度のSIBO治癒効果がある。ハーブはさらに、リファキシミンに応答しない患者に対するSIBOの救援治療として三重抗生物質療法として効果もあるようである。さらに、これらの事実の妥当性を検証するための計画的研究が必要であり、難治性SIBO患者のために追加的な代替療法を探る必要がある。」

オイルは抗生物質耐性を削減するのを補助する可能性がある

抗生物質耐性は人間の健康にとり脅威です。抗生物質耐性病原菌による感染症は時として治療できないことがあります。医療関係の専門家は数十年以来、人や農作物への抗生物質濫用がかつては容易に治療可能であった病原体による死亡の爆発的増加のおそれがあると警告してきました。

2014年にイギリス首相が抗生物質耐性に関する見直しを要請しました。薬剤耐性がある感染症が欧米で年間50,000人の命を奪っていることがデータから示されました。世界的には少なくとも700,000人以上と見られます。

しかし、別の推定によると米国ではこれよりはるかに多く毎年162,000人とされています。さらに、専門家は世界的には2050年までに1000万人に及ぶのではないかと予測しています。同年に見込まれているがん死者数より200万人も多いです。

オレガノオイル等のエッセンシャルオイルが抗生物質耐性の削減に寄与しうると考えられます。ある研究では、フランキンセンス、ラベンダー、レモン、タイム、オレガノ、ギンバイカのエッセンシャルオイルによる緑膿菌や大腸菌(E.Coli)、大便連鎖球菌、クレブシエラ・ニューモニエ(肺炎桿菌)、黄色ブドウ球菌等の蔓延している病原菌に対する効能を評価しました。

これらの細菌は胃腸病や皮膚病等数種類の感染症を起こす病原体です。その研究者らは水性抽出物とミセル抽出物を使い、最小阻止濃度(MIC)と最小殺菌濃度(MBC)を同定しました。最も抗菌作用があるオイルは、オレガノオイル、レモン、ラベンダー、タイムのエッセンシャルオイルでした。

オレガノオイルのMICとMBCはエチルアルコールより64倍低いです。オレガノオイルが最も良く効いた細菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)でした。オレガノとラベンダーの水性エキスは肺炎桿菌に対して効能がありました。研究者らの結論:

「本研究結果より、オレガノ、タイム、レモンオイル等自然エッセンシャルオイルのコロイド懸濁液あるいはミセル懸濁液の調製剤により抗菌作用を補助しうることが示された。抗菌活性に優れるオレガノまたはタイムのエッセンシャルオイルの水性エキスも選択的ケースにおいて使用することができるはずである。」

オレガノオイルの選定には注意を要する

オレガノオイルを買うなら、混ざり物を売る業者があるので信頼されているメーカー品を求めましょう。以前にも記事にしたことがありますが、一部のオイルは同じ健康的メリットがない製品から製造されています。

オレガノオイルは水で薄めるか担体オイルと混ぜてご使用ください。私が最優先している担体はオリーブオイル、ココナッツオイルまたはホホバオイルです。ご自分の皮膚の一部に着けて反応がないことを確認してからご使用ください。純粋なオイルのままだと皮膚に炎症を起こす場合があり、粘膜を刺激するので、希釈してご使用ください。ひりひりする箇所や切り傷には塗らないでください。

ハーブの臨床専門家ミシェル・リンデさんによるとこのハーブ油を希釈する最適な比率はオレガノ油:担体油比が1:3です。数滴のエッセンシャルオイルを気化器やディフューザーに落としてもアレルギーや鼻炎、慢性気管支炎、咳の症状対策になります。

しかし、希釈してもこのオイルは妊娠中や授乳中には避けるべきで、乳児や子供には与えないでください。また、高血圧や心臓に異常があればオレガノオイルは使用しないでください。内服すると、強い味がします。希釈オイルをジュースやはちみつと混ぜるかピザソースに入れてお使いください。