Dr. Mercolaより
肥満とは過剰な脂肪の蓄積が特徴です。皮下脂肪という皮膚の直下に溜まる脂肪があのぶるぶる揺れる脂肪です。別のタイプの体脂肪は内臓脂肪といって内蔵器官に絡みつきます。
両方の脂肪ともいくつもの慢性病をはじめ、致死疾患まで多くの健康の異常をきたします。疾病管理予防センター(CDC)によると、体重過剰または肥満により13種類のがんのリスクが増えます。これらのがんは診断されるがんの40 %を占めます。
肥満は糖尿病につながり、高血圧リスクを高め、コレステロール濃度間のバランスを崩し、メタボリックシンドロームになりやすくするため心臓病につながりなりやすいです。その他の健康上のリスクには脳容量の減少、骨や関節の異常、睡眠中無呼吸症、肝臓病や胆石が挙げられます。
CDCによると、肥満率は2000年の30.5 %から2018年の42.4 %へ増加しました。多くの研究は体格指数(BMI)によって体重過剰か肥満かを判定します。これは身長と体重を使って肥満度を計る算術的尺度です。
筋肉質量が多いと場合によってはBMIが増え、偽陽性につながります。しかもBMIでは余分な脂肪にともなうリスクを識別できません。よりよいリスク判定基準はBMIでは把握できない内臓脂肪の存在を示す指標であるウェストサイズ対ヒップサイズの比を計算することです。
低脂肪食に人気が出た理由の一つは、1 g当たりカロリー数が炭水化物より脂肪のほうが9対4と多いからでした。このため炭水化物を多く食べて体重を維持したり減量しうると信じ込まれるようになりました。しかし長期データがこの逆こそ真であることを如実に示します。
炭水化物が多い食事は空腹感を増し、さらに食べるようになります。体重過剰や肥満の人が増加することから野菜に含まれる植物栄養素の研究が盛んになりました。
カナダのウェスターン大学の研究者がみかんやオレンジに含まれる分子ノビレチン(NOB)について研究しました。その結果、「NOBが脂肪の蓄積を減らし、脂質異常や高脂血症、さらにインスリン抵抗性を回復させることを示す結果が出た」初期研究からこれらの事実を確認しました。
研究班はノビレチンを動物にやると高脂肪高コレステロール食の作用が減ることを特定しました。マウスは肥らず、スマートになり、インスリン抵抗性が下がり、高脂肪高コレステロール食のみやった対照群よりコレステロールが減っていました。
このことは10年以上代謝へのノビレチンの効果を分析してきたマレー・ハフ博士による近年の研究成果でした。同氏によると:
「ノビレチンでも処置可能なことを証明できた。肥満による全ての悪い症状がすでにあったマウスにノビレチンを投与すると症状が軽くなり、アテローム硬化症という動脈へのプラーク蓄積が減りさえしました。」
その研究者らはノビレチンはエネルギーレベルが低いときにエネルギーの酸化を活性化する酵素AMPKに効果を及ぼすという仮説から開始しました。基本的にこの酵素で身体に蓄積されているエネルギーが消費され始めます。しかし、高脂肪食をやったマウスにおいてさえわかったことがありました:
「…ノビレチンは肥満や、脂肪肝、脂質異常、インスリン抵抗性を防止し、Ampkβ1 -/-、AccDKIおよびiβ1β2AKOマウスのエネルギー支出がWT対照群と同じ程度まで改善した。このため、試験管内でのノビレチンによる代謝への効能は、肝臓内あるいは脂肪細胞におけるAMPKの活性化から独立的に生じることが判明した。」
その研究者らはこの分子の作用機序については正確に把握しませんでしたが、ハフ氏はこの分子が糖尿病薬メトフォルミン等、AMPK系統と相互作用するように設計されている薬に干渉しないことを実証できたと考えます。次の段階は人体実験の開始であると同氏は考えています。
ノビレチンは伝統中国医療で使用されるみかんの皮から抽出可能です。ある研究で、この抽出物にはミカンの皮に含まれる他のフラボノイドとともに幼いひよこの抗酸化防止機能に効能があることがわかりました。別の研究による結果では以下のような健康的効能が大いにあることが確認されました:
実験室内では特に大腸がん細胞に対して抗がん作用がある
反応性酸素種を生産する酵素NADPHを阻害して心臓肥大を防止する
マウスを使ったある研究で示されたように、老化にともなう認知機能低下を緩和する
ある動物実験結果からは、糖尿病にともなう心臓血管病を減らす
ある動物実験で示されたように、虚血性心臓発作と再灌流後の心筋損傷が軽減する
動物実験を実施した研究によると、ひきつけが減る
実験室と動物実験で確認されたところでは、関節炎を改善する
ある動物実験で実証されたように、健康的な老化、運動での持久性、寒冷耐性等の肉体活動を強化する
オートファジーとミトコンドリアの生合成を促す
ある動物実験の結果によると、血圧を下げる
ある動物実験で示されたように、記憶障害を改善し、ニューロン損失を削減する
風邪、インフルエンザやCOVID-19はウィルス性で、抗生物質では治療できません。抗生物質は二次的な細菌感染があれば効果がありますが、過剰投与は抗生物質に耐性がある病気につながります。
ビタミンCが豊富な柑橘類は免疫系のために大切です。ビタミンCが豊富なその他の食品には、シシトウ、ブロッコリ、芽キャベツ、カリフラワー、トマトがあります。インフルエンザから保護するためにビタミンCが利用する経路を特定することに研究者らは注力しました。このビタミンが子供の上部呼吸管感染を予防しやすくすることは周知です。
有機のオレンジの皮はビタミンCが豊富なもう一つのものです。オレンジの皮テーブルスプーン1にビタミンCが8.2 mg、1カップ(テーブルスプーン16杯分)のオレンジジュースに124 mg含まれます。8.2 mgにテーブルスプーン16杯を掛けるとジュースと等量より少し多め131.2 mgが得られます。以前の記事「有機のオレンジの皮は食べましょう」に挙げていたようなその他の健康的メリットがオレンジの皮にありますが、これを食べるには注意すべき点があります。
フロリダオレンジの市販品はほとんどがカンキツグリーニング病の防止のための抗生物質を大量に噴霧されているので、必ず有機オレンジを食べることです。この病気はミカンキジラミによって広まり、みかんの木に細菌を感染させます。感染した木はたいてい二三年以内に枯れます。その間売り物にならない実が成ります。
フロリダ産の柑橘類の90 %に発生したことがあるので、EPA(米国の環境庁)は柑橘類の木に抗生物質の無制限使用を認可しました。US PIRG(公共利害研究団体)のマット・ウェリントン氏は感染病研究政策センター(CIDRAP)に以下の報告を行いました:
「EPAは柑橘類の生産のために抗生物質の使用を無制限に拡大する提案の中で、私たちの生命を救う抗生物質の賭けに出ています。柑橘類への医療用に重要な抗生物質を何万トンも噴霧することは、これらの薬を可能な限り少なく、必要なときのみ使用するべきという基本原則に違反しています。」
この使用が始まった初年の季節後、フロリダ大学はオキシテトラサイクリンを六か月間使用した結果、柑橘作物の樹木の生存率を上げる効果はなかったことを実証したある研究を公表しましたこの研究はさらに、EPAが政策決定のために使用した薬剤供給者から当初入手したデータは偽造されていたことも証明しました。
その研究者らは抗生物質を注入した樹木では確かに細菌の増殖を削減しうることは特定しましたしかし、これは高価であり、EPAが認可していません。有機オレンジを選べば抗生物質がこのフルーツに着いているあるいは皮に残留した物と接触するおそれがありません。さらに、抗生物質耐性疾患の拡散を増やすだけの行為を支持することにもなりません。
ノビレチンに関するカナダの研究で発見された効果を得るには一日にオレンジジュースを2.5カップ飲む必要がある計算になると、研究者らは推計します。凍結濃縮液から作る甘味料無添加のオレンジジュース100 gに果糖が2.43 g含まれます。言い換えると、毎日オレンジジュースを2.5カップ飲めば、一回に13.88 gの果糖を飲む計算になります。
平たく言えば、オレンジジュースを飲むとノビレチンのメリットを得ることができるようですが、肥満や関連する疾患につながりやすい添加糖も飲むことになります。さらに関連指標からは体脂肪が全身にいかに分布しているかまではわからないという課題もあります。
ウェストサイズで少々把握できるでしょうが、これさえよい基準になるとは限りません。人によってはやせ型でも肥満の人が苦しむような高血圧、糖尿病、心臓病等同じ病気があることもあります。基本的問題は内臓脂肪とインスリン抵抗性、メタボリックシンドロームです。
ほとんどすべての場合に、果糖は高果糖コーンシロップという液で消費されています。しかし、果糖が果物本来のものであっても、何グラム食べるかは問題になります。代謝負荷は肝臓に掛かり、余分な果糖を取ると腹腔に集まる内臓脂肪が増えます。このため心臓病やメタボリックシンドロームのリスクが高くなります。
本質的に毒性がなくても、食べ過ぎれば肝臓は代謝しきれなくなります。以前取り上げたように、自然な果物を含め、一日に摂り込む合計果糖量を25 gまでに抑えるようお勧めします。オレンジジュース2.5カップに含まれる果糖の量はすでにこの限度の半分を超えています。
その他の果物や野菜、加工食品、飲み物がこれに加われば、この限度を簡単に超し、体重を維持できていてもメタボリックシンドロームになるリスクは高くなります。
減量と体重の維持という課題は食品の種類や食事時間、活動レベル、睡眠、運動等多くの要因から影響を受けます。とりわけ食事時間と食事時間は健康と体重の維持のために最優先すべきで、食生活が乏しいと運動しても効果がないのでどれほど試しても無駄だからです。
細胞に栄養を与え、毒素を不活性化し、体重のバランスを維持するために適切な栄養素が必要です。これを実現するためにとても効果的な方法が私のベストセラー「Fat for Fuel」(脂肪を燃料に)の出版後に私が開発したケトファスト法の利用です。ケトファスト法で代謝が柔軟に戻り、脂肪を燃料にしやすい体質になります。
これでミトコンドリアと脳細胞を支持できると同時に、メタボリックシンドロームや肥満に関連する多くの慢性病リスクも低くなります。絶食とケトン食計画の実践という組み合わせは段階的に行うので、ご自分の食習慣を変えることに圧倒されてしまう困難さがありません。
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