より少なく食べると代謝に好影響

Fact Checked(事実確認)
より少なく 食べる

早分かり -

  • ある動物実験でカロリー制限と温度が病気を起こさず健康な期間と寿命を延ばすために主な要因であることがわかりました
  • その研究の焦点は概して副作用が起きやすい薬による解決策に替わる自宅で容易にできる方策を特定することでした
  • 間歇的絶食とカロリー制限の健康的メリットは動物研究と人体実験で実証されてきました
  • カロリー制限すると身体がストレスに適合するにつれて強くなるホルメシス効果があります。その他の戦略には間歇的絶食、運動、熱や寒冷への暴露があります
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

健康的な体重にしてそれを維持しようと苦しむ人は毎年増え続けています。重度の肥満蔓延率は9.2 %で、男より女のほうがこの率が高いことが判明しました。

減量市場も2018年一年中に4.1 %増加し、成長し続けており、2023年までに年率2.6 %で成長すると見込まれます。しかし処方薬やダイエットソーダあるいは減量フランチャイズ業の市場は拡大していません。むしろ、代用食シェークやバー、さらに減量手術が定着し、成長しているようです。

ダイエット中の人はGMO非含有、人口添加物無しのより「清潔な」方法も求めています。このため企業は販売内容を再調製するためにダイエットディナーその他の加工食品を供給せざるを得なくなりました。減量への焦点はしばしば外見をよくしたり特定の基準に達することに置かれていますが、体重管理は病気せずに生活する方法に関するものであるべきでしょう。

余分な体重があると心臓病、2型糖尿病、脳卒中、高血圧、特定のがんにつながります。こうした長期的健康上の懸念に加え、COVID-19等特定の感染症リスクも高くなります。

より少なく食べると長生きできるでしょうか?

「若さの泉」は何世紀も求められてきました。しかし、目的は単に長生きするだけではなく病気せず不調もなく長生きすることでもあります。科学者らはこれを健康期間と呼びます。これは病気せずに生きていられる年数を指します。研究者らはより少なく食べるための二つの方法を研究してきました。

一つはカロリー制限で、栄養失調にしたり必須栄養素を失うことなく毎日の摂取カロリーを減らします。二つ目の方法は、絶食で、一日や一週間、一カ月のうちにカロリーを摂らないか厳しく制限します。

動物実験の結果によると、カロリー制限で健康期間が長くなった理由の一つは体幹温度の低下です。研究者らは、体幹温度の低下が健康期間を長くするためのカロリー制限能力に及ぼす効果を評価しました。

その実験では温度制御室の中に入れたマウスのカロリー制限餌への応答を比較しました。この研究の焦点は促進要因としての体幹温度でした。一群のマウスを22 ℃、別の群を30 ℃の室内に置きました。

暖かい室内は科学用語で熱中性状態を維持しました。これは生物の体温と環境温度が同じであり、体内温度の調節は不活性なままであることを意味します。部屋ごとに半数のマウスに欲しいだけの餌を与え、残りには半分の餌に制限しました。

研究を通して視床下部と血漿内の代謝活性を測定しました。温度が低いほうの室内に置かれたマウスは寿命を延ばす要因がより大きく変化していたことがデータからわかりました。暖かい室内に置いたマウスの群ではより変化が少ないでした。

科学者らは医薬品の「簡単なボタン」を求める

その実験結果をさらに詳しく調べると、代謝効果は一酸化窒素とロイシン エンケファリンと関連することが判明しました。これらの物質は涼しい部屋に置いたマウスのほうが多く生産されました。ロイシン エンケファリンは体幹温度に直接制御すると科学者らが考える内生的オピオイド神経伝達物質です。

スクリプス研究所分子医学部門のブルーノ・コンティさんはこの研究チームの一人です。他の動物実験でのカロリー制限で確認された体幹温度減少の結果と現象について、Inverseのリポーターに同氏は答え、次のように言っています:

「これは食糧が稀少なときエネルギーを節約するために生物が進化させた一種の適合メカニズムです。特定された経路の妥当性を検証すれば健康をよくし長生きできるカロリー制限のメトリクス開発に向けて前進できるでしょう。

定義はともかくとして、究極的な目的は、カロリー摂取の削減や体幹温度減少のいずれかを利用せずにカロリー制限と同じメリットを得ることです。」

Inverseのリポートによると「今後何年か経つと食べる量を実際に減らさずにカロリー制限のメリットを得られるようになると研究者らは見込んでいます。」さらに、あらゆる医薬品の利用は間歇的絶食では起きないような副作用や有害事象が起きる確率が高いです。

人と動物での健康的メリットを示す根拠がある

カロリー制限がいかに人間の健康に効果があるかをさらに詳しく調べるため、国立老化研究所、国立糖尿病消化腎臓病研究所、デューク大学医学校は、Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy (CALERIE、エネルギー摂取削減の長期的効果に関する包括的評価)という臨床検査を実施しました。

その研究は、体重が正常または若干体重過剰な218人を対象にしました。各自を無作為に二つの群に振り分けました。処置群には研究開始前の平均量より25 %少ないカロリー制限食を食べるように求められました。対照群は通常の食事をしました。

二年後、処置群の人はカロリーを12 %削減することができました。体重が10 %減り、その減量を長期的に維持できました。処置群はさらに、血圧とコレステロール濃度も下がりました。これらは「糖尿病や心臓病、脳卒中等加齢に伴う病気の」リスク要因です。

さらに、カロリー制限食生活をすると睡眠パターン、性的機能、生活の質、気分に対する有害事象がありませんでした。データからは骨密度、正味体質量、有酸素容量が若干減少したことがわかりますが、参加者の減量からして、概して見込める程度を超えてはいませんでした。

2012年に、国立老化研究所(NIA)は、ウィスコンシン大学のリーダーが行った2009年のある研究の結果と同じ前提条件を用いた研究結果を公表しました。科学者らの各グループはカロリー制限食生活がアカゲザルの寿命と健康期間に効果がありうるという仮定を検証しました。両研究の結果が食い違っていたので、2017年にその研究者らはチームを組んでデータ比較を行い、格差の解決に取り組みました。

ウィスコンシン大学のチームは猿に対照群より30 %少ないカロリー制限餌をやりました。処置群の猿は閉鎖環境で飼育した他のアカゲザルと比較すると平均年数より長く生き延びました。

NIAの研究は老化に対する有意な効果を特定できませんでしたが、両グループとも、に対照群と比較して老化したことがわかるような健康の状態がほとんど認められませんでした。データを比較した研究者らは食事のタイプ、給餌タイミング、開始年齢、グループの遺伝子に有意な相違があることを特定しました。

Scientific Americanは、研究究者らが16歳という中年後期でのカロリー制限食を開始した一匹の猿について説明している点を取り上げています。研究完了時に、その猿は43歳で、この種においては記録的長寿であり、人間にすると130歳に当たります。

カロリー制限はホルメシスを作動させる

ホルメシスという用語は、刺激と生体効果の間の用量に応じる関係性を指します。ホルメシスにより有意な健康的メリットがあります。シーム・ランドさんは、「Metabolic Autophagy: Practice Intermittent Fasting and Resistance Training to Build Muscle and Promote Longevity (Metabolic Autophagy Diet Book 1)」(代謝オートファジー:間歇的絶食と筋力トレーニングで筋肉を鍛え長寿を促進(代謝オートファジーダイエット第1巻))を著した社会文化人類学者、企業家、ハイパフォーマンスコーチです。

この著作の中で、ランドさんはホルメシスを「殺されるほどきつくないことならより強くなれる」とまとめて定義しています。場合によっては、公衆衛生担当官はこの概念を利用して低用量の毒素への暴露が究極的にメリットを生みうるという考えを正当化してきました。

このコンセプトは、生存を促すには異なるタイプの刺激に適合するための基本的必要性を言い表しています。さらに、オートファジーと似た経路により刺激されるので、オートファジーと同様の効果もあります。

例えば、間歇的絶食あるいはカロリー制限はホルメシスを開始させるストレス要因です。ランドさんは私とのインタビューに答えて、他の要因は高強度集中運動と寒冷と熱への暴露であるとしています。

「これらのホルメシスストレス要因は異なるエリアのストレス暴露につながります。私が絶食できるのと同様に、さらに寒冷や暑さに耐えられるようになることに少なくとも気付く、あるいは、単により持久力が付きます。ホルメシスを作動させる他の方法として、サウナの利用、サウナと寒アイス浴やアイスプランジ等への[暴露]による寒冷の組み合わせです…」

細胞生物学者ロンダ・パトリックPh.D.はストレス適合がいかにミトコンドリアの生合成を増進させるかを説明しています。こうした集中的ストレスを受けると遺伝子にコーディングされている応答経路を活性化します。私が以前取り上げたように、ミトコンドリア機能の最適化こそ最適な健康の核心であり、病気の予防のために極めて重要です。

ミトコンドリアはほとんどすべての細胞の中のエネルギー備蓄場所です。ミトコンドリアはオートファジーと細胞死等のストレス応答に寄与する相互に関連性がある機能をします。ミトコンドリアは生理機能に影響し組織と細胞の通信に効果を及ぼす全身の相互接続されているネットワークを形成します。

ミトコンドリアは代謝障害、神経変性疾患等の病気発生において決定的な機能をすることがわかっています。すなわち、間歇的絶食によりホルメシスとミトコンドリアの生合成を活性化し、目的を達成でき、本質的には健康期間を長くできるようになります。

間歇的絶食と周期的ケトーシスは効果がある

間歇的絶食は長寿と健康期間を含むいくつかの健康的メリットの実現に寄与します。これは祖先の習慣を少々真似る食べ方のパターンであり、私たちの先祖は終日食物が無いときに生存せざるを得ませんでした。間歇的絶食で身体はより自然な状態に復元します。カロリーを供給し続けると健康維持のために最適な環境が体内にできなくなります。

健康期間と寿命に重要な点としてはさらに、間歇的絶食と周期的ケト食を併用して炭水化物代謝型から脂肪代謝型の体に変えることです。

間歇的絶食には抗酸化物質と老化にともなう代謝生成物の生産増加という近年発見された機能を含め多くのメリットがあります。これらの代謝生成物には身体にアンチエージング効果があり、代謝を刺激します。

しかし、食習慣を変える際にいくつかの注意点があります。例えば、間歇的絶食はカロリー制限という形をとる必要がないことを忘れないでください。むしろ、一日のうちで食べる時間帯を制限します。さらに、どんな糖分渇望も一時的であり、身体が脂肪代謝型になるにつれ、だんだんとなくなっていくことも忘れないでください。

しかし、間歇的絶食が健康によいといっても、加工食品ばかり食べる人は行わないほうがよいです。間歇的絶食は健康不調や体重過剰に効く万能薬ではなく、あらゆる健康的選択と同じように、活発さと健康状態に対する全体的なアプローチについて自分で考慮する必要があります。

**これはビオチン(ビタミンB7)不足の兆候である場合が多いです。ビオチンは脂肪、炭水化物、アミノ酸の新陳代謝のために欠かせませんが、髪や爪を強化する役割が最もよく知られています。