運動とホェイともにヒト成長ホルモンを増やし、身体を若く保ちます

ホェイ タンパク質

早分かり -

  • 空腹で運動すると絶食状態と運動の組み合わせが脂肪とグリコーゲンを分解してエネルギーにせざるを得なくなり、身体は筋肉質量を減らすことなく体脂肪を燃やさざるを得なくなるため、細胞の因子と触媒の効果を最大限に発揮させることから、健康や元気な心身を得られるいくつものメリットがあることがわかっています
  • 30歳になると、「ソマトポーズ」(肉体更年期)という時期に入る、HGHの大幅な減少地点に至るため、HGHの減少により老化が進むので、加齢に伴いHGHの濃度を維持することが非常に重要です
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Dr. Mercolaより

運動は病気を寄せ付けず、老化を遅くする「黄金の切符」の一つです。その理由の一つは、運動こそインスリンとレプチンに対する感度を回復し、インスリン抵抗性とレプチン抵抗性を逆転させるという加齢にともない健康で居続けるためのカギを握る条件を得るのに最も効果的な方法の一つです。

しかし、運動が若さの泉と言われるもう一つの理由は、集中して行うと天然のヒト成長ホルモン(HGH)の産生が促されるからです。このホルモンは相乗作用を持つ生化学物質で、老化による重度の筋肉損失や萎縮に効果があります。

間歇的絶食にはHGHの大幅増加やインスリン感度およびレプチン感度の最適化を含む多くの同じような効果があり、この記事の最後のほうで詳しくご説明します。

トレッドミルで90分走った後の短期的回復期に単離ホェイタンパク質を添加して炭水化物(スクロース)を摂り込むと、同じ時間二回目に疲れ切るほど運動したときに成長ホルモンの応答性が高まることを研究が示しています。

しかし、運動と食事計画は以下のような希望する目標に基づいて実行することを以前ご説明したことがあります:

  • 運動競技の実績
  • 健康、長寿、性的機能の健康

競技種目の記録をよくしたい場合、取り上げた研究で使用している炭水化物負荷を利用することが可能です。しかし、これでは長期的に最適な健康を希望する場合は異なるアプローチが必要なので賢い方法ではありません。

この場合は高品質のタンパク質が摂れる食材を選ぶようにして炭水化物を避けるのが最優先課題になります。(競技選手が低品質のホェイタンパク質単離物より草で育った牛乳から作られた高品質の有機ホェイを使用すればやはり当然よくなると考えられます。)

興味深いことに、ランス・アームストロングがドーピングの発覚により7個の優勝を撤回され、一生自転車競技を禁止された際、「Goldman Dilemma」(黄金の男のジレンマ)で知られるある研究は、オリンピック級の運動選手の半数以上は金メダルが保証されるならば五年以内に死ぬかもしれない薬を喜んで使うと考えていることを示しました。

しかしほとんどの人によってこれは受け入れ難い代償です。今回取り上げた方法なら明らかに五年以内で死ぬような方法ではなく、大部分の重篤な寿命への影響が無くなるはずと私は思っていますが、炭水化物負荷は長期的健康のために最適ではありません。

長寿のために運動する場合は炭水化物負荷は勧められない理由

炭水化物負荷の背後にある発想は、身体に炭水化物を飽和するほど摂り込み、筋肉が運動中に持ちこたえられるようにグリコーゲンを多く得られるようにすることです。この方法は集中的なきついトレーニング計画に従っている運動選手には実に合います。

運動選手には大きな筋肉が急速にグルコースを利用するので大量のグルコース急増を処理するだけの筋肉質量もあります。さらに、ほとんどの運動選手のインスリンとレプチンのシグナリングは最適で、かつ運動するので、炭水化物を最適に消費できます。

しかし、この方法はときどきしか運動せず、健康でいたいだけの、大部分の運動選手ではない一般人にとって、筋肉質量が運動選手ほど発達しておらず、インスリンとレプチンのシグナリングが通常は疎外されているので、全く不適切であると私は思っています。この研究に関してもう一点考察すべきことは、ホェイは筋肉タンパク質の合成のために優れている一方、ホェイタンパク質濃縮物が明らかに卓越しているので、ホェイタンパク質単離物の使用を私はお勧めしません。

以下にご説明するように、炭水化物に焦点を当てることはいまだに運動選手にも一般人にも勧められている最も害のあるアドバイスの一つであり、90分走り、4時間休憩後に反復して走る今回取り上げた研究の試験結果からして、HGHの生産を増やすためにはるかによい方法があります。

まず、食物が運動の効果を支持するか削減するいずれかであることを覚えておくことが大切で、健康と長寿のために運動する限り、目的のためになるような食事の構成にするほうがよいです。

まず何よりも、一般的なアドバイスとは逆に、運動のメリットを最大限に得るには、果糖を中心に糖分を脂肪として貯蔵せず燃やすことが可能な集中的で長時間のカーディオ運動をしない限り、果糖やその他の糖を避けることが必要です。

しかし、運動は本質的にインスリン感度およびレプチン感度をよくするのですが、過剰に摂り込んだ果糖を完全には消費しきれません。

すなわち、運動の記録や競技力を高めるためではなく、時々運動するだけの人や体組成を改善し、健康や元気な状態を最適にしたい人は、運動のメリットを無駄にするエネルギードリンク、スポーツドリンク、ほとんどのエネルギーバーや果てはビタミンウォーターのような「ヘルシー」ドリンクさえ手を付けないことが重要です。

通常は濃縮果糖コーンシロップとして含まれる果糖は身体の食欲制御系統が応答しなくなることで身体が騙されて体重が増えるので特に有害です。こうなるわけは、果糖の場合インスリンが適切に刺激されず、グレリン(「空腹感ホルモン」)を抑制せず、レプチン(「満腹感ホルモン」)を刺激しなくなります。

その結果、さらに食べるようになり、肝臓に糖分の代謝生成物蓄積が制御されなくなり、これがインスリン抵抗性につながります。果糖はHDL(「善玉」コレステロール)を急減させ、LDL(「悪玉」コレステロール)を急増させ、トリグリセリドを増やし、血糖値を上げ、高血圧アップというふうに(つまり、従来型のメタボリックシンドロームに)つながります。

しかもこれではまだ足りないかのように、果糖は脂肪の代謝を阻害し、筋肉減少を促す炎症性サイトカイン、TNF-αを増やします。

運動からの回復期にホェイタンパク質を食べるとHGHが増加する

ピークフィットネス等の高強度インターバルトレーニングではほとんどの運動で使われることがほぼない、攣縮筋線維を刺激するので、生命維持に欠かせないヒト成長ホルモンの生産が最大771 %増えます。HGHの濃度が高いほど、体は健康で強くなっていきます。

30歳になると、いわゆる「ソマトポーズ」(肉体更年期)という段階に入り、HGHの濃度がかなり急激に減少し始めます。HGHの減少により、老化が進むので、HGH量を維持することが加齢とともにますます重要になります。

HGHを注射して記録を伸ばす可能性を追求する運動選手もいますが、これはほぼあらゆるプロスポーツで禁止されている物質です。私はHGHの注射をお勧めしません。その理由は、副作用がありうること、高費用なほか、さらに重要な点として、長期的に百害あって一利なしだからです。さらに、現在周知のことになりましたが、適切な食生活と運動で自然にHGHを最適にできるので、こうしたリスクは無用です。

運動の二三時間後に何を食べるかがカギ

集中運動後、二三時間が運動からの回復段階で、この間何を食べるかには少々注意を要します。具体的には、HGHを増やすには、(プロ選手等速く回復するほうが大切な人にはよい糖分ですが)運動後の糖分を制限することが大切です。フィットネスのベテラン、フィル・キャンベルさんを引用します:

「私のところでは運動後最適な時間枠は30分以内に25 gのタンパク質を摂り込むように勧めています。この事実を裏付ける研究は数多くありますが、ある若手のサイクリストを回復させた偉大な研究家テキサス大学のジョン・アイビー博士が行った研究も参考になります。自転車競技選手は成長ホルモンや成長ホルモンの最大化に注目していません。数日連続で走れるように可能な限り短時間で回復しようとしています。

その研究では炭水化物とタンパク質の比が4:1のとき回復度がよいことがわかりました。4:1でより速く回復し始めます。回復が目的ならこれが最適な方法です。[もし]成長ホルモンを求めていないなら、これでよいです。

しかし、たいていの中年や高齢者のように成長ホルモンの最大化が目的なら、(カーディオを二時間するのと同じく)体脂肪を最大燃やす時間枠二時間いっぱいに循環して回るこの素晴らしいホルモンを得たいなら、そうしてもよいです。...炭水化物を摂り込みすぎると、ソマトスタチンというホルモンが分泌されます。理由はともかくこれで成長ホルモンが出なくなります。それは研究から明白です。」

つまり運動の後二時間以内にはスポーツドリンク等特に砂糖や果糖を含む食品や飲料からの炭水化物を避けることが必須であり、HGHのメリットを得られるようにしましょう。

しかし、ホェイタンパク質は同化が速く、飲み込んでから10分から15分で筋肉に到達するので、ほぼ最適であるようです。こうして筋肉にタイミングよく合う食品を供給し、筋肉内の異化作用を停止させ、このプロセスを修復と成長に向かわせることが可能になるようです。

ホェイで筋肉も増える

若く健康な人の場合筋力トレーニング後にホェイタンパク質等吸収がとても速いタンパク質を20 gから25 g食べると、筋肉を鍛えるのに最大限の刺激を得られることがあると、とても意義の高い研究が明らかにしました。ホェイ等のロイシンが豊富な高品質タンパク質は高齢者も筋肉タンパク質の合成を最大限にするために特に重要です。

Medicine and Science in Sports & Exerciseに掲載されたある研究はホェイタンパク質(1食20gのタンパク質)を筋力トレーニングの30分前に食べても、運動後24時間も新陳代謝が盛んなままであることを実証しました。

実践の際は、ホェイタンパク質20gを運動前に摂り、さらに等量を運動後に摂ると、脂肪の燃焼と筋肉形成を同時に増進でき一石二鳥のようです。

間歇的絶食:HGHを自然に増やすもう一つの方法

高強度運動とホェイタンパク質の組み合わせがHGHの生産を増やす相乗効果があるのとまったく同じ効果が、絶食中の運動からも得られます。絶食するとHGHが女性で1,300 %、男性では2,000 %増えることが研究から判明しています。

絶食と運動を同時に行うと細胞因子や触媒(環状AMP及びAMPキナーゼ)の効果を最大限に生かせ、脂肪やグリコーゲンを代謝し、エネルギーを作り出すことができます。

このフィットネス増進戦略では食事のタイミングが要で、数日間続けて断食する「飢え」の一時的熱中プランとは基本的に逆です。

間歇的絶食では、長くても36時間まで食べません。通常は14時間から18時間食べずにいるのが普通です。食べるのを単に遅らせることもできます。例えば、朝食をはしょることでフィットネス習慣の横這い傾向から一段高く一歩前進できます。

私の場合、朝食を抜くように食べ方を変え、食べる時間帯を毎日6~7時間の枠内に制限(通常、正午から午後6時とか7時までの間)するようにしました。

間歇的絶食で全身の健康と長寿を実現

絶食が動物を長生きさせるという有益な効果があることを示す研究が山ほどあります。多くのメカニズムがこの効果に寄与します。

インスリン感度がmTOR経路の活性化のために重要なので、インスリン感度を正常にすることはここで最も重要な要因であり、この経路はIGF-1とともに筋肉を含む組織の修復と再生、これにともなう老化防止のために主な機能をします。こうするといくつもの有力な病気のマーカーが改善されることも絶食による全体的な健康へのメリットに寄与します。

運動という要素を除外しても、先端科学から絶食には多くの正当な理由があることはすでに判明しています:

  • インスリン感度の正常化。インスリン抵抗性(インスリンの過剰分泌と高濃度が長時間継続すると発生する現象)は糖尿病や心臓病果、がんさえ含めあらゆる慢性病の主な原因なので、最適な健康のためにインスリン感度の正常化こそカギを握ります
  • 「空腹感ホルモン」グレリンの濃度を正常にする
  • ヒト成長ホルモン(HGH)の分泌増進。このホルモンは健康と元気な状態、老化遅延のために必須の機能をします
  • トリグリセリド濃度の低下
  • 炎症軽減、フリーラジカルから受ける損傷の削減