PQQ、ベルベリンやその他のミトコンドリア増進剤

ミトコンドリア増進剤

早分かり -

  • ピロロキノリンキノン(PQQ)はミトコンドリアの健康と保護のために特に必須です。この物質はミトコンドリアの新生やアルツハイマー病およびパーキンソン病の予防にも有用です
  • PQQが心理過程や記憶力を大幅に改善することをいくつもの研究が示していますCoQ10と相乗効果を上げ、これら二つの栄養素のどちらか単体を使ったときより効果がよくなります
  • ベルベリンは血圧やコレステロール、血糖にメリットがあり、部分的にはミトコンドリアの健康と機能を改善することによる強力な神経保護物質です
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Dr. Mercolaより

食生活こそ自分の健康を管理するために利用しうる最も重要な手段の一つです。しかしサプリメントもミトコンドリア機能の改善という点では特に有用です。以下に取り上げるインタビューで自然療法医師であり数冊の著作があるマイケル・マレイ医師にミトコンドリアの最適な機能のために最も効果があるPQQとベルベリンを含むサプリメントについて説明していただきました。

マレイ医師は1985年に米国で最古の自然療法大学であり最も権威ある大学とみなされているバスティア大学を卒業し、30年のキャリアを通して同学の学部や受託者委員会理事も務めてきた方です。

「80年代初頭に学生だった頃、健康と治癒への自然なアプローチは、現代の科学的発想により説明できるはずであるという真実に基づくものなのかという考えに及びました」と同氏。「これまでの35年間に自分で集めてきた科学論文が70,000件に上ぼり、そこでは食生活、ライフスタイル、姿勢調整、健康補助食品の適正な利用により健康と治癒を促すことが説かれていました。

このデータベースに基づいてこそ、イチョウやセイヨウオトギリソウ(セントジョンズワート)、ケルセチン、クルクミン、グリシルヒザ除去処理した甘草(DGL)、腸溶性コーティングペパーミントオイル、硫酸グルコサミン、PGX、ファーマGABA等の物をはじめ、多くの安全で効能のある製品を北米に導入するために役立った30以上の著作を著してきました。これらの物質は私が導入のお手伝いをさせていただいた製品の一部にすぎません。」

PQQの効能

PQQはピロロキノリンキノンの略です。この化合物は1994年に必須栄養分として特定されました。その後ビタミンに分類されることになりました。この栄養素は特にミトコンドリアの健康のために欠かせません。「PQQは生命の発火剤であると本当にいえます」と、マレイ氏。「ミトコンドリアはエネルギー生産のためにこの化合物が必要です。ミトコンドリアを損傷から保護するためにも必須の物質です。

ミトコンドリアのDNAはフリーラジカルと酸化促進物質による損傷をとても受けやすいです。体内の大部分のフリーラジカルはミトコンドリア内で生じるので、ミトコンドリアはその損傷を受けやすいです。フリーラジカルは食物を燃料に変換する過程で生じる不可避な生成物であり、食物の最終的な代謝場所がミトコンドリアなのです。

PQQがこうした損傷から保護することはすでにわかっています。PQQは食品に微量含まれますが、サプリメントで取り込むと、PQQレベルが大幅にに増加し、本当に顕著な効能が得られることを研究が示しています。ミトコンドリアは破損しやすいですが、修復と複製のメカニズムも内蔵しています。そのカギはこうしたメカニズムを活性化することで、これこそPQQで可能になると、マレイ氏は言います:

「反応性酸素種(ROS)はエネルギー生産の過程で生産されます。ミトコンドリアには自己防御のためのメカニズムが存在します。こうしたメカニズムの一要素がPQQなのです。読者の方々は『抗酸化物質』という用語に慣れ親しんでいますね。全ての抗酸化物質が同じものであると皆さん考えている点が問題なのです。実際には違います。関与している酸化促進物質とフリーラジカルの種類に注意していただきたい。

抗酸化物質が細胞保護のためにいかに深淵な効果を持つかを実際に把握するには、抗酸化物質が何回使用可能かを知る必要があります。PQQは実際に深く効果がある抗酸化物質です。抗酸化物質がフリーラジカルを不活性化する度に、これを一回の触媒変換といいます。抗酸化物質のなかにはあまり頻繁に使われていないものがあります。

例えば、ビタミンCは触媒変換を四回までしかできません。つまり四回使用後、抗酸化物質としての効果がなくなります。PQQは20,000回も触媒変換に使用できます。…さらに、この物質はミトコンドリア生合成(新生ミトコンドリアの再生)の過程でも必須の物質です。

正常に機能しないミトコンドリアを抹消し、健康なミトコンドリアの複製をよく刺激します。この物質は実際に細胞の再生剤なのです。この作用はミトコンドリアに作用することにより発揮されます。この事実は、PQQの脳機能や脳内連関の増強と新脳細胞の形成という効果を調べたいくつもの研究で実際に代表例として取り上げられてきました。すなわち、脳の機能レベルをはるかに高めるメリットがある物質であるということです。」

健康のためのポリフェノールの機能

さらに詳しくご説明する前に、フリーラジカルを一般的な抗酸化物質で無差別に解消することは通常の場合よくないことにご注意ください。その通りで、フリーラジカルはよく損傷を与える物と見なされていますが、同じことは運動にもいえます。運動も回復しないうちにしすぎれば損傷を起こします。大切なことは適度にすることとバランスのよい回復です。

ROSは実際に重要な生体機能をするシグナリング分子です。その発生を無差別に阻止すると、本質的に必要な生体経路を遮断することになります。つまり、損傷を防止するための微妙なバランスが必要です。これこそ食生活が重要であるとお勧めしている理由の一つです。健康的な脂肪を多く、正味炭水化物を少なく、適量のタンパク質を食べると、まずROSの生成が自然に制限され、すなわち、過剰なダメージを心配する必要はりません。

さらに、PQQ等の効能が高い抗酸化物質を使うのではなくて水素分子やCBDオイル(両者ともNrf2経路を活性化する)、レスベラトロール(例えば、ぶどうの皮に含まれる)等のホルミシス効果を生む物質を使用できます。ホルミシス効果を生む物質それ自体は抗酸化物質ではなく、身体が内生的に抗酸化物質を生産するようになる全身への酸化ストレスを誘発します。このためフリーラジカルと抗酸化物質のより最適なバランスが取れます。

手短についでの話題までに取り上げると、Nrf2(スーパーオキシド・ディスムターゼやカタラーゼ、その他全ての種類の有益な細胞内抗酸化物質を増進するある種の生体ホルメシス効果がある物質)は、主に抗炎症性があり、ミトコンドリア機能をよくし、ミトコンドリアの生合成を促進するために有用です。PQQと(後半でご説明する)ベルベリンともにNrf2の発現を促します。マレイ氏:

「ポリフェノール類の一種であるフラボノイド類はミトコンドリアの機能のためにとても効果があります。体内には知恵が内蔵されています。自然には知恵が存在します。フラボノイドが体内で輸送される様子を観察すると、遊離状態では輸送されていません。硫黄かグルクロン酸のいずれかと結合します。この結合した形態では不活性化します。

この点で、組織だけではなく細胞や最も支持が必要な細胞の要素にも放出される物質を取り込むようにすることが実に重要なのです。最先端科学研究から。ぶどうやベリー、生のカカオ、その他これが豊富な食材かを問わずポリフェノールを取り込むと、グルクロン酸と結合して不活性状態であることがわかっています。

しかし、炎症部位や感染部位、あるいは細胞が正常に機能しないとき、細胞はグルクロニダーゼという酵素を放出します。この酵素はフラボノイドまたはポリフェノールを遊離させ、ポリフェノールが細胞やミトコンドリアに入り、変化を生むことが可能になります。ミトコンドリアでこの事実は実証されました。この酵素はミトコンドリアにストレスを発生します。

ミトコンドリアがストレスを受けると、グルクロニダーゼを放出し、これが結局、フラボノイドをミトコンドリアに進入させてミトコンドリアをフリーラジカルによるダメージから保護し、実際にミトコンドリアがより効率的に機能し、炎症やストレスを削減するようになる特定のゲノムを活性化します。」

PQQで脳の健康増進

したがって、適切な種類の抗酸化物質を得ることが大切で、ショットガン方式に急激に取り込むだけでは効果がありません。健康のためには、ミトコンドリアを中心に、重要な細胞内の区画を標的とする支持が実際には必要です。PQQに関して、マレイ氏はPQQはミトコンドリアに貯蔵され、適宜利用されると説明しています。「PQQのサプリメントを飲むと、ミトコンドリアの数が増え、健康が増進されるので、PQQのニーズもさらに高まります。」

10 mgから20 mg用量のPQQを使った動物実験と人体実験ともに、心理過程と記憶力の大幅な改善が確認されました。

ストループ・テストを使ったある研究はPQQと補酵素Q10(CoQ10)を併用すると、これらを単体使用するより効果がよいことを特定しており、相乗効果があるようです。(ストループ・テストとは、単語自体に色が付いた状態で異なる色を単語を見ながら言うもので、見ている色の名前を言うことを見るものです。このテストでは回答までの時間を図り、脳の回転の速さの指標とします。)

「非常に頻繁に[脳内の]エネルギー生産はロービームスイッチのように落ちることがあります。PQQやCoQ10やその他のミトコンドリア増進剤の効果とは、基本的に脳の回転を速くすることです。これらの物質はロービームスイッチを高くします。脳細胞のエネルギー生産を増やし、脳細胞がより効率的に機能します。

このため記憶力、認知力、感覚もよくなります」とマレイ氏。「PQQを使った臨床研究で以上の事実が判明しました。脳の健康に関して、これらの研究は[1日用量] 20 mgのPQQと300 mgのCoQ10を使用しました。」

CoQ10の還元型ユビキノールは生体利用能が高いのでこちらをお勧めします。ユビキノールは脂溶性なので、空腹で飲むより少々脂肪分のある食事をしてからのほうが最適に吸収されます。この物質自体が強力な抗酸化物質であるだけではなく、CoQ10/ユビキノール、他の抗酸化物質のリサイクル(触媒変換)も促進します。

ベルベリンのメリット

もう一つ有益でありながらも非常に過小評価されているサプリメントはベルベリンです。このサプリメントには糖尿病薬メトフォルミンと同じメリットの多くがあると同時に、不利な点や副作用がありません。歴史的に、ヒドラスチスや黄連、オレゴンブドウの根、メギ等のベルベリン含有植物は2型糖尿病や胃腸感染症、肝臓障害、その他いくつもの病気や異常の治療に利用されてきました。

ベルベリンはアルカロイドなので、フラボノイドより効能が強い傾向にあります。フラボノイドはグルクロン酸または硫黄と結合して体内ですぐ不活性化します。アルカロイドは三つの形態で循環し、より効能を得やすいです。PQQと同じくベルベリンもミトコンドリアの機能をよくするとともに、AMPKを高活性化する物質です。

「当面のベルベリン研究は血糖制御、降圧、コレステロール削減に集中して行われています。もしこれが薬として販売されれば、一種の聖杯なのですごい売り上げになるでしょう。製薬企業は血圧、高コレステロール、2型糖尿病という三大病に効く一つの薬があれば好都合でしょう。

これらの病気についてはベルベリンを使った27件の無作為二重盲検プラセボ対照試験が実施されました。効果は三種類の病気別の薬(メトフォルミン、スタチン、降圧剤)と同じでした…今や数千人の患者について臨床検査中です。その結果[ベルベリンが]非常に安全で[しかも]これらの病気に使用されている薬に代わる自然な非常に効能がある代替剤になります。」

通常は用量500 mgのベルベリンを一日に二三回投与します。消化も助け、胃腸の寄生虫による感染症対策になるので食事の直前に飲むのが最適です。

しかしベルベリンは吸収されにくく、その効能の多くは腸内フローラへの効能に関連しているようで、腸内フローラこそ今では代謝とインスリン感度に重要な機能をしていることがわかっています。ベルベリンは血圧やコレステロール、血糖にメリットがあるほか、部分的にはミトコンドリアの健康と機能をよくするので強力な神経保護物質です。