紫色の食品をもっと食べてがんを予防し腸と心臓を健康にしましょう

健康な腸

早分かり -

  • ポリフェノールは炎症、心臓血管病、がん、認知症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性その他もろもろの異常を予防するのを助ける強力な抗酸化特性を持つ自然の植物化学物質です
  • ポリフェノールは血管壁にあるフラボノイドの生体活性を強くし、血液中の血小板凝集を削減し、フリーラジカルを排除し、炎症を低減させることにより心臓の健康を守るのを助けます
  • 近年の豚を使ったある動物研究から、紫色のじゃがいもが炎症促進性のインターロイキン6という大腸がんを推進するたんぱく質を対照群の餌よりほぼ6倍削減することが判明しました
  • じゃがいもの不利な点はでんぷんが多いことです。茹でたじゃがいもを冷蔵庫で冷やすと、でんぷんの大半が腸の健康によい難消化性でんぷんに変わります
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Dr. Mercolaより

ポリフェノール(フェノール化学物質ともいう)は強力な抗酸化特性がある天然の植物性化合物である植物化学物質です。ティー、お茶、ワイン、チョコレート、フルーツ、野菜等の食品から 8,000 種類以上のポリフェノールが見つかっています。

抗酸化物質 — ポリフェノールのほか、カロテノイドと硫化ジアリル類 — は細胞をフリーラジカルによる損傷から保護し、これにより一般的に老化や病気の潜在性を抑える働きがあります。身体が適切に保護されないと、フリーラジカルは細胞を損傷し、細胞の機能障害を起こし、数例挙げるだけでも心臓病やがん、アルツハイマー病等の慢性病リスクが高くなります。

ポリフェノールは大きく4種類に分かれます。フラボノイド、スチルベン、リグナン、フェノール酸がそれで — これらはさらに分子内のフェノール環の数とこれらの環を相互に結合する構造要素に基づいて細分類されます。

原則的に食品は皮等の植物の外皮に高濃度のポリフェノールの複雑な混合物を含みます。ポリフェノールが果物やベリー類、野菜の生き生きとした色を与え、苦みや収斂効果、風味、芳香、食品の酸化安定性に寄与します。

人間の健康のためのポリフェノールの機能

体内でポリフェノールは以下のようないくつもの生物学的機能と特性があります:

がん細胞との対抗、血管新生の阻害(腫瘍に栄養を運ぶ血管の発生)

紫外線からの皮膚の保護

フリーラジカルの除去、炎症削減

脳の健康促進

老化の現れの削減

認識力低下、認知症およびアルツハイマー病からの保護

腸内細菌叢の調節。ポリフェノール には善玉菌の餌になるプレバイオティックとしての効果があります

骨代謝の改善、骨粗しょう症リスクの削減

正常な血圧の促進や心臓血管系の保護、これによる心臓血管病リスクの低下。

フラボノイド・ポリフェノールは血液内での血小板の凝集を削減し、動脈や静脈の内皮細胞の機能改善を助けます

正常な血統レベルの支持、脂肪代謝の安定化、インスリン抵抗性の削減、これによる2型糖尿病の予防

ポリフェノールが心臓の健康を保護する機序

ポリフェノールが心臓血管病の予防や処置に有用なことを裏付ける研究はとうに豊富に存在します。 例えば、フルーツに含まれるフラボノイド(特にアンソシアニンが豊富な食品 - 青、赤、濃い紫の色合いのフルーツやベリー、グレープフルーツ、レモンやオレンジ等の柑橘類を中心としたフラバノンが豊富な食品)が男性の死に至る程度ではない心筋梗塞や虚血性脳卒中のリスクを下げることがわかっています。

こうした効果を得るには、果糖があまりに多く添加されていて健康によくないフルーツジュースではなく、生の自然な果物を食べることを忘れないでください。過剰な果糖はインスリン抵抗性および関連する病気、例えば、糖尿病や心臓病の原因になります。ポリフェノールが心臓の健康を保護するのを助ける機序を示したその他の研究例を以下に挙げます:

  • 14本の研究を系統的に検討した結果、フラボノール、アンソシアニン、プロアンソシアニジン、フラボン、フラバノン、フラバン3オールというフラボノイドのうち6種類を摂取することで、心臓病リスクが大きく下がる場合があることがわかりました
  • フラボノイドによる心臓病予防補助の機序について長年研究者らは解明できすにいましたが、最近公表されたある研究は、フラボノイドの代謝が血管の内壁をなす内皮細胞内の生活性を盛んにすることに関連していることを示しました
  • フラボノイドは血液内での血小板の凝集を削減するのも助けます。血小板凝集は心臓発作や狭心症の潜在的な前駆現象です
  • 抗酸化物質としてのポリフェノールはフリーラジカルを掃除し、体内の炎症を減らします
  • ポリフェノールはさらに、心臓血管病の一要因である、動脈内アテローム硬化症のプラーク形成による合併症を起こす血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害します

有機食品はポリフェノール成分が豊富

植物がいかに育つかは抗酸化物質を含む植物性化学物質の濃度を変えることで癒す効果に影響する場合があります。2004年のある研究によると、農業生産方法と工業的処理は食品内のポリフェノールの健康への効果を削減する場合があります。それ以前の研究は、有機的、持続可能に育てられた食品には従来方式で栽培されたものより高レベルのポリフェノールが含まれることが統計的に実証されたので、できる限り有機品にこだわろうとしてください。

ハーブや香辛料もポリフェノールが豊富に取れるので、調理にふんだんに加えて実際に誤るはずがありません。あらゆる種類のベリーも優れた摂取源です。自然に青や紫色の食品はポリフェノールがより多く含まれるのでお勧めです。例えば、ブルーベリー、マルベリー、紫じゃがいもがありますが、紫じゃがいもでがんやその他の慢性病リスクが下がることについて研究が進みました。

紫じゃがいもで大腸がんのリスクが下がる可能性がある

その研究は大腸がんリスクを増加させることがすでに見つかった高カロリー食をやった豚を用いて紫じゃがいもの効果を調べました。

豚に三種類の食事を13週間やりました:

  • 高カロリー食
  • 高カロリー食に抗がん効果があることがすでにわかっているフェノール酸やアンソシアニンが豊富な、生か焼いた紫じゃがいもを補完
  • 標準的対照食

対照群と比較して高カロリー食は(予想通り)インターロイキン6 (IL-6)という大腸がんを促進することが知られている炎症進行性蛋白質の濃度を増やすことがわかりました。じゃがいもと補完食をやった群は、これとは逆に IL-6 が対照群より6 分の1に減りました。その執筆者らによると:

「抗IL-6治療薬で大腸がんを治療できるが、高価であり、マイナスな副作用がある。このため、自然食品のほうが軽度の慢性的大腸炎症と大腸がんに対処するためによりよい方法であると考えられる。植物系自然食品は相乗効果を上げる抗炎症性食物成分の潜在力のため慢性病を削減することが示された。

HCD [高カロリー食]にアンソシアニンを含む紫じゃがいもを補完したところ、焼いた後でもHCDにより誘発されるIL-6の発現やIL-6関連の蛋白質を抑制することが観察された。…この研究結果は大腸炎症/大腸がんの食事が原因による誘発/予防におけるIL-6のシグナリングの意義を明らかにしており、IL-6のシグナリングを標的にする食物を用いる手法の可能性があることを実証した。」

その他の研究は、大腸がんを中心に、ポリフェノールの抗がんメリットを確認しています。最近公表されたある研究は、ポリフェノールは大腸がんの転移阻止を助け、酸化物を媒介するメカニズムによりがん細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘発することを発見しました。

じゃがいもの健康への効果を増やす方法

じゃがいもの不利な点はでんぷんが多いことです。血糖値が上がるのででんぷんが多い食品はインスリン抵抗性、結局は2型糖尿病になりやすくします。興味深いことに、じゃがいも等の普通に消化されるでんぷんを料理して冷蔵すると、劣化プロセスにより食品の化学組成が変化し、でんぷんの多くが難消化性でんぷんに転換します。

その名の通り、難消化性でんぷんというのは小腸の中で消化に耐え、大腸の中でゆっくりと発酵する低粘度の食物繊維です。ある研究で、煮たじゃがいもを24時間冷蔵したら、耐性でんぷんが57 %増加しました。

難消化性でんぷんはプレバイオティックとして機能し、健康な細菌の餌になり、脂肪の酸化をよくします。ある研究で、日常の炭水化物の5 %を煮たじゃがいもや冷凍じゃがいもあるいは末成りのバナナ等の自然食品から得る難消化性でんぷんに切り替えたら、食後の脂肪代謝率が30 %も増加しました。

難消化性でんぷんは、便の嵩を大いに増し、定期的な便通を維持する効果もあります。さらに、消化が悪い耐性でんぷんなので血糖が急増しません。実際に、消化耐性でんぷんがインスリンの調節を改善し、インスリン抵抗性リスクが下がることが研究から判明しています。

マルベリーの健康的メリット

マルベリーにもポリフェノールやその他の抗酸化物質が豊富に含まれます。ローマ帝国時代まで遡ること、マルベリーは口や喉、肺の病気の治療に利用されていました。アメリカ原住民はマルベリーの下剤的効果を発見し、赤痢の治療に利用しました。私は二年前二株植え付けましたが、今ではマルベリーの低木のミニ林にまで成長し、一年に約37ℓも収穫できます。

栄養面について、マルベリーはビタミンA、B群、C、E、K等のハイパワーな栄養素を一揃え含み、それぞれの栄養素が健康のために独自の効果を持っています。このほか鉄やカリウム、マグネシウムも含んでいます。マルベリーから最もメリットが高い栄養素の一つはレスベラトロールで、これは心臓を健康にし、全体的に生気が増す」効果があると言われています。

伝統医療研究所によると:

「伝統的に、マルベリーの実は陰と血液に栄養を与える薬として利用されてきました。腎臓に効能があり虚弱、倦怠、貧血、白髪の早期発生の対策に利用されます。さらに、高齢者や貧血のある人の尿失禁、耳鳴り、めまい、便秘対策にも利用されています。」

歴史的な利用法に加え、先端研究はマルベリーの以下のような効能を特定しました:

  • 健康的な消化 — マルベリーには25 %の溶解性繊維質と75 %の非溶解性繊維質が含まれます。これら両方の食物繊維ともに規則的な排便を促し、胃病リスクを低めることで全体的に健康な消化を促すのを助けることができます。
  • 健康な血管 — マルベリーはレスベラトロール成分のおかげで血管を健康に維持するのを助けることができます。この抗酸化物質は血管を弛緩させる一酸化窒素の生産を促します。
  • 血糖の制御 — マルベリーにはDNJ (1-デオキシノジリミチン)という特殊な抗酸化物質が含まれ、これが炭水化物を糖質に分解する腸内の酵母を阻害します。このため体内に入る糖分量が減るので、異常を制御したい糖尿病患者のために有益であると考えられます。
  • 健康な肝臓 — ある研究によると、マルベリーは肝臓の周囲への脂肪の堆積を防止するのを助けることができ、様々な肝臓病のリスクを減らすことができます。

ポリフェノールリッチな食品を食生活に取り込みましょう

ポリフェノールはフリーラジカルに対抗し、酸化ダメージを防止することにより、健康を保護する強力な栄養素であることは周知です。フリーラジカルはDNAやタンパク質、細胞膜等の重要な組織から電子を奪い取る極めて反応性が高い分子です。次に、電子が一個失われるとこれらの細胞は酸化し、不安定になり、容易に分解するようになります。

このフリーラジカルによる損傷が継続するにつれ、細胞が正常に機能しなくなり組織は劣化し始め、病気になります。しかし、フリーラジカルは全て悪いわけではないので、全滅する必要はありません。フリーラジカルは実際に重要なシグナリング分子として機能し、免疫系で外部からの侵入者や病原菌を攻撃することで機能します。

ほぼ全滅させるあるいは壊滅を目指すとより損傷が生じる逆効果があります。フリーラジカルは呼吸の自然な副産物です。抗酸化物質が過剰な部分を掃除し、残りはその他の機能を果たせるように無事です。この微妙な均衡維持は容易に過剰か不足に崩れやすいです。

有機の果物や野菜、ナッツが豊富な食生活をすればこの細い線の上で歩くために必要な抗酸化物質を得やすいです。単に抗酸化物質のサプリメントを飲むより多種多様な本物の食品を食べたほうがよりよく機能する一つの理由は、孤立した抗酸化物質ではその瞬間に体内で必要とされる形態のものではないからです。

果物や野菜にはポリフェノール等の抗酸化物質以外にも様々な植物性化学物質が含まれ、相乗効果を上げ、総和としてのメリットは部分の和をはるかに上回ります。抗酸化物質を食生活に取り込みやすくする簡単な方法:

  • 多種多様な野菜でジュースを作る
  • 新鮮なベリーやナッツを食べる
  • 調理では気前よく新鮮なハーブや香辛料を加える
+ 出典および参考資料