鎮静させるハーブは緊張性頭痛を和らげ、睡眠を改善しうる

Fact Checked(事実確認)
カノコソウ

早分かり -

  • 緊張性頭痛またはストレス頭痛は最もよく起きるタイプの頭痛です
  • こうした頭痛は首や頭皮の筋肉が緊張し、収縮したままになるため起きます
  • カノコソウは、落ち着け、筋肉の強度を減らす効果がある神経伝達物質緊張性頭痛 GABA を増やすことにより、緊張性頭痛が和らぐのを助けることが実証されました
  • 緊張性頭痛の助けになりうるその他の方策には、照準を絞った筋力トレーニングやストレス解消法、日常的なストレッチ、バイオフィードバックが挙げられます
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Dr. Mercolaより

ストレス頭痛ともいう緊張性頭痛は最もよくあるタイプの頭痛です。COVID-19 が大きな原因となり、ストレスを余計に感じている人が多いという報告に基づくと、緊張性頭痛持ちの人が増えるとしか思えません。幸いにも、そのために助けとなりそうなカノコソウ等の自然な解決策が存在します。

以前の研究では、カノコソウが偏頭痛を和らげる助けになりうるかについて調べていましたが、Avicenna Journal of Phytomedicine に掲載された 2020 年のある研究は、この植物が特に緊張性頭痛に効くかについて調べました。

そこで行われた二盲検ではアンケートを利用して緊張性頭痛がある 88 人の参加者について、頭痛の重度を測り、頭痛が日常生活からどの程度影響を受けるかについて計測しました。

アンケート後、参加者を処置群と対照群二つのグループのいずれかに無作為に割り当てました。処置群にカノコソウの根のエキスを毎日 530 mg、一か月与え、対照群には 500 mg のパンの耳を与えました。

研究期間の後、研究者らは同じアンケートを使って頭痛の重度を再計測しました。処置群の参加者は頭痛の重度も頭痛による障害(頭痛が日常生活にどの程度邪魔になったか)も大幅に減少したというこでした。

緊張性頭痛の原因は何でしょうか?

その名が示すように緊張性頭痛は、首や頭皮の筋肉が緊張したり収縮したままになると起きます。緊張性頭痛は様々な原因から起きますが、通常はストレスによることが多いです。睡眠不足や悪い姿勢が緊張性頭痛を悪化させることがあります。

Cephalagia に掲載された 2015 年のある研究でも、緊張性頭痛と首や肩の力の減少と関連付けられました。この研究では、緊張性頭痛が頻繁または慢性的に起きる 60 人の患者と 30 人の健常人(対照群)を比較しました。

日常的に緊張性頭痛がある患者は、首外側の筋肉の力が劣っており、このため健常人より頸部/屈曲比が減少していることがわかりました。緊張性頭痛のあるグループは肩の筋肉の力も落ちていました。緊張性頭痛の原因になりうるその他の要因:

  • 長時間コンピュータや携帯電話を見落ろす
  • 休憩せず長時間運転
  • 顎をくいしばる
  • 腹ばいでの睡眠
  • 長時間ビデオゲームをする

ずきずきする偏頭痛とは異なり、緊張性頭痛は通常続き、痛みます。緊張性頭痛によるこの痛みは典型的に軽度から中度です。多くの人は緊張性頭痛を頭の周りにきついバンドやクランプで絞められているようだと表現します。緊張性頭痛のその他の症状:

  • 触るとひりひりする首や肩の筋肉の張り
  • 集中力低下
  • 睡眠障害

カノコソウの根がいかに緊張性頭痛を和らげられるか

カノコソウは鎮静ハーブおよび抗不安剤として分類され、不安の軽減を助ける化合物を含みます。カノコソウの治療的効能は、バレレン酸を中心として、モノテルペン類、バレポトリアート類、セスキテルペン類などの揮発油に関連しています。

動物実験では、バレレン酸はγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体に結合し、GABA のような効果を生む作用をすることがわかっています。GABA は神経の励起と抑制の間のバランスを維持するのを補助する抑制性性神経伝達物質です。ストレスが掛かると、GABA 濃度は減る傾向にあります。

GABA 濃度が増えるか、カノコソウ等の物質が GABA 受容体と結合し、脳と身体が GABA 濃度が上昇していると認識すると、ストレスや不安が下がるのを助ける可能性があり、これにともなう緊張性頭痛も軽くすることができます。

その他の動物実験からは、カノコソウには骨格筋をリラックスさせる効果があることがわかっています。2018 年、Journal of Traditional and Complementary Medicine に掲載されたある研究では、カノコソウのエキスまたはテトラゼパムという緊張性頭痛や背中の痛みのためにしばしば処方される筋肉弛緩薬のどちらかを二群のマウスに投与しました。

30 分後、筋力と筋肉機能を計測しました。その結果、筋肉弛緩剤と比較してカノコソウのほうが筋力を目立って弱め、しかも筋肉機能に悪影響しないことがわかりました。言い換えると、マウスは筋肉を弛緩できたと同時に筋肉を使う能力に支障はありませんでした。

カノコソウは睡眠改善の助けにもなる場合がある

カノコソウはさらに、自然な睡眠補助剤で、不眠症のために最もよく利用されているハーブ療法の一つで、緊張性頭痛のために寝られない夜にはさらに効果を発揮します。

カノコソウで寝つきがよくなり、早く深い睡眠ができ、全体的な睡眠の質がよくなることは研究からわかっています。2011 年のある研究は閉経後の女性に注目してカノコソウ 530 mg を一日二回四週間投与したろころ、参加者の 30% で睡眠の質が改善しました。

2001 年に公表されたそれ以前のある研究でも、仕事の納期や人間関係の問題その他の生活上のストレスが多い出来事の思いにさいなまれ、日常的に夜間眠れずにいた人が、カノコソウまたはカバで楽になれる場合があることがわかりました。

この研究では、15 年以来ストレスにより不眠症だった成人が最初に毎日 120 mg のカバを六週間飲みました。次に、二週間治療後、毎日 600 mg のカノコソウをさらに六週間飲みました。

全体的に参加者は、両方のハーブともにストレスと不眠症の症状を大きく和らげたといっていました。過半数(58%)はいずれの処置でも副作用はないと言っていましたが、16% はカノコソウを飲んだ後生き生きした夢を見た、カバを飲んだうち 12% は眩暈を感じたと言っていました。

副作用と禁忌

カノコソウを飲んだ人からはほとんど重い副作用は報告されたことがありません。報告されたよくある副作用には、頭痛、眩暈、消化不良、皮膚の痒みがありましたが、臨床検査でプラセボを飲んだ人も同様の副作用があったと言っていることに注意する必要があります。

それでもカノコソウは他の薬やサプリメントと相互作用する可能性があります。同時に服用すべきではない禁忌:

ベンゾジアゼピン

バルビツール酸

中枢神経抑制剤(モルフィネ)

セイヨウオトギリソウ(セントジョンズワート)

カバ

メラトニン

さらに、アルコールと併用も禁忌であり、カノコソウ服用後数時間は運転したり機械を操作しないことが必要です。カノコソウはまた、妊娠中や授乳中または肝臓の異常があるときも禁忌です。カノコソウは 3 歳以下の幼児について十分研究されていないので飲ませないほうがよいです。

緊張性頭痛を和らげるその他の方策

カノコソウは緊張性頭痛のために効果的な療法になりうる一方、その他の方策でも筋肉を解しストレスを軽くすることができます:

筋力トレーニング — 緊張性頭痛は首や肩の筋肉が弱くなっているために起きると考えられるので、ウェートトレーニングやストレッチ、物理療法士とともに対策を取り、この辺りを鍛えると助かるでしょう。首と肩の筋肉に注目するほかにも、背中等他の箇所のアンバランスを補正することもでき、また、体幹を強化したり姿勢をよくすることもできます。

リラックステクニックと深呼吸練習 — どんな緊張性頭痛でもストレス管理方法を見つけ、深呼吸練習等異なるリラックステクニックを日常的に実行すれば軽くなります。クリーブランドクリニックは段階的筋弛緩法や心像リラグゼーション、リラックスできる曲の視聴等のリラックステクニックを提供しています。

バイオフィードバック — バイオフィードバックでもストレスレベルの管理に役立ちます。訓練されたセラピストとともにバイオフィードバックを行う際、電極を身体のいろいろな所につなぎます。そのセンサーが筋肉緊張度や心拍数、血圧等の項目を測り、画面に測定値が表示されます。

これらの測定値をもとに身体が緊張している時やその原因を把握しやすくなります。こうした背景情報があると、筋肉弛緩のための効果的方法を工夫したり、数回の実践により緊張を解くことができるようになります。

規則的な休憩 — 終日コンピュータで作業したり、運転するときは休憩を取り、ストレッチしましょう。長時間電話機を見下ろさないようにしましょう。

ヨガ — ストレス開放と呼吸に集中しやすくなるほか、ヨガは筋肉のストレッチにも役立ちます。2019 年、Journal of General Internal Medicine に掲載されたある論文では、ヨガで緊張性頭痛の人の頭痛の頻度や持続時間、痛みが軽くなりうることが報告されています。