慢性便秘による健康への影響と便秘解消を助ける食品

便秘

早分かり -

  • 一般人口の 15 % から 20 % は、硬くて乾いており、なかなか通らない便や一週間に三回以下しかお通じがないことを特徴とする慢性便秘を経験しています
  • 慢性便秘は、憩室炎、腎臓病、特定のがん、甲状腺機能亢進症、パーキンソン病その他諸々の重篤な病気に関連しています
  • この問題を解決するには、しゃがむ排便姿勢、日常の運動、繊維質が多い自然食品を食べるのがかなり役立ちます。便秘解消には特定の食品を利用でき、規則的なお通じが出やすくなります
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Dr. Mercolaより

推計によると、一般人口の 15 % から 20 % は、硬くて乾いており、なかなか通らない便や一週間に三回以下しかお通じがないことを3特徴とする慢性便秘を経験しています。

たまに便秘があるのは一日や二日だけ粗末な食事をした結果である場合がありますが、慢性便秘は以下のようなその他いくつもの重篤な健康の異常に関連します:

  • 憩室炎
  • 腎臓病
  • 直腸結腸がん、胃がん
  • 虚血性腸炎
  • パーキンソン病

原因とリスク要因

大便は、口から始まり大腸で終わる消化の最終生産物です。食物を咀嚼すると唾液と混ざり、ここから消化が始まって食物が分解されます。

食物が小腸を通る間に栄養分と水分が吸収され、身体が利用できない廃棄物だけが出ていきます。いくつもの要因が大便の硬さや移動性に影響し、慢性便秘を起こすリスクが増えます。これらには以下が挙げられます:

しばしば食事に繊維質が不足しているために起きる、有益な腸内フローラの欠如。

繊維質不足の食生活では腸が感染症にさらに罹りやすくなります。

繊維質は嵩がある、より柔らかい大便を促し、腸壁を守ります

特定の薬やサプリメント(抗うつ薬、オピオイド、制酸剤、血圧のお薬、利尿剤、鉄のサプリメント等)

下剤の過剰な使用や日常的使用

(公衆トイレを避けるため等)排便の気配をがまんして頻繁にやり過ごす

脱水症状

マグネシウムの欠乏

以下のリスクが高い人々も慢性便秘になりやすいです:

女性、特に妊婦や出産後。成長する胎児の体重は通常腸に負荷を掛け、大便が腸を通る自動能や動きを遅くする場合があります。

大便の動きが遅くなれば水分がさらに吸収され、大便が硬く乾燥し通りにくくなります。高齢者は肉体活動が少なく、消化管が遅くなるので便秘しやすい。

低所得階層。食事に繊維質を提供してくれる新鮮なフルーツや野菜を買えないため。

手術直後。力みたくない場合があり、肉体の運動性が落ちたり、普通の食事をしていない場合があり、これら全ての要因が便秘になりやすくします。

特定の病気も腸の正常な機能を阻害する場合があります:

腫瘍、炎症、腫れ、亀裂等、閉塞の原因になる病気

糖尿病

腸内の神経に悪影響する異常

脊椎損傷、脳損傷、脳卒中

排便に必要な筋肉の支障

骨盤筋の衰弱や弛緩収縮の調整不良(協調障害)

自律神経障害や多発性硬化症(MS)等、腸内の動きを遅くする病気

副甲状腺機能亢進および甲状腺機能低下症等、ホルモンに影響する病気

過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)

便秘と健康の関連性

慢性便秘を甘く見てはいけません。痛いうえ生活の質が落ちる以外に、全身の健康にも大きく影響します。まず最初に、排便のためにしょっちゅう力んで痛い思いをしていると、とても悪化し、痛みが酷い大規模な痔になりやすくなります。

大腸は約2.5 kg ほどまでの大便を保持できますが、便秘すると最大 4.5 kg にも及ぶ乾燥した硬い大便が溜まります。これほどの量の大便が溜まると大腸が拡張し、腸壁(粘膜)に炎症が起き、排泄を待つ間に毒素が出ます。

慢性便秘は肛門の裂傷にもつながります(裂肛)。こうした亀裂は肛門内側の内壁が負傷するために起きます。大きく硬い大便を力んで出していると、肛門から腸の一部が出ることもあり(直腸脱)、手術が必要になります。

手術を延ばしているうちに肛門の括約筋がさらに拡張し、直腸がさらに出てくるようになります。慢性便秘は女性の泌尿器の健康にも悪影響します。

大腸と女性の性器は構造的に近いので、大腸内の大量の大便による圧力が膣内の直腸脱につながる場合があります。このため、膀胱が完全に空にならず、あるいは尿が膀胱が腎臓へ逆流する(膀胱尿管逆流)危険があります。

こうした逆流が起きると腎臓は不可逆的に損傷を受け、腎臓感染症リスクが高くなります。慢性便秘は男性の腎臓病リスクも高くします。

慢性便秘で腎臓病リスクも高くなる

近年のある研究によると、便秘の男女は慢性的に便秘ではない人より、平均的に 13 % 腎臓病になりやすいことがわかっています。その研究は 7 年間追跡調査しました。便秘の人は、慢性的に便秘ではない人より腎不全リスクも 9 % 高いことがわかりました。

全体的には、重篤な便秘が腎機能を速く劣化させます。しかし、正確なメカニズムはまだ解明されていません。その研究の共同執筆者、テネシー大学健康科学センターおよびメンフィス VA メディカル・センターの腎臓病学ツァバ・コヴェスディ教授によると:

「研究の結果は腸と腎臓が関連していることを示しており、[腎臓病の可能な原因について]さらに深く理解することができました。便秘患者、特に重症の便秘患者では、腎臓機能の経過を注意して観察する必要性があることがこの研究からわかりました。」

便秘とパーキンソン病の関連性

腸と脳の健康は緊密に関連しています。いくつもの研究が腸内細菌の腸脳軸の機能における役割およびその精神的および心理的健康にどんな有益な効果があるのかを追究してきました。

例えば、不安、抑うつ状態、その他の気分の障害は、部分的には腸内フローラのアンバランスと関連していることがますますわかってきています。この相互関連性は、慢性便秘がパーキンソン病等の神経病といかに関連しているかについても解明の糸口を提供していると考えられます。

最近のあるマウス実験で、この病気に関与しているたんぱく質が腸から脳へ数週間をかけて移動することが特定されました。こうした結果から、症例によっては、パーキンソン病の大元は腸から発しているとも考えられます。ここで問題は、腸内にアルファシヌクレインが堆積する原因は何か? まだ解明されていませんが、次のような理論もあります:

  • アルファシヌクレインの凝集を起こすたんぱく質クルリ(Curli)を生産する細菌の存在
  • 農薬への暴露
  • 胃液逆流
  • 慢性炎症

合成アルファシヌクレイン — パーキンソン病患者の脳内に蓄積するたんぱく質 — をマウスの胃と腸に注入しました。数日後にアルファシヌクレインの塊が腸内に認められました。21日後にこの塊はピークを迎えるまで成長しました。そのころまでにアルファシヌクレインの塊は腸と脳を結んでいる迷走神経内にも観察されました。

便秘を和らげる食品

便秘が頻繁に起きる人にとって下剤はすぐに欲しいところでしょう。しかし、これでは日常的下剤の使用が依存症を起こすので問題が悪化します。最適なのは食生活を見直すことです。

加工食品はいくつもの経路で便秘を起こしやすくするので、新鮮な自然食品に切り替えると効くかもしれません。通常、加工食品は繊維質が少ないだけではなく、不健康な腸内細菌の餌になる糖分と穀類が多い傾向もあります。便秘を和らげる特定の食品をもっとたくさん食べましょう。

食品 便秘を和らげやすい成分

水、暖かい飲み物(茶、レモン入り温水等)

乾いた大便が脱水症によるものであれば、水をもっと飲むようにすると問題を解消しやすくなります。

尿が薄い黄色になるように十分飲みましょう。濃い黄色の場合、脱水しています。無色なら水の摂りすぎです

ほうれん草やスイスチャード、ケール等の緑葉野菜

繊維質、マグネシウム、水

アボカド

マグネシウム

発酵野菜

健康的細菌(プロバイオティクス)、繊維質、消化酵素

ヨーグルトしかし、草で育った牛から取れる生の有機牛乳から作ったものであること(より健康的な市販製品を見分けるには、Cornucopia Institute's Yogurt Buyer's Guideコルヌコピア研究所のヨーグルト・バイヤーズガイド)をご参照ください

健康的な細菌(プロバイオティクス)

プルーン

繊維質。その皮にもマイルドな下剤効果があります

カブ

健康的な蠕動(腸の弛緩と収縮)を促す化合物

麻の実(新鮮なすり潰し製品)

繊維質

有機サイリウム

繊維質

繊維質、マグネシウム

ダークチョコレート(カカオ)

マグネシウム

オリーブ、オリーブオイル

消化を助ける胆汁生産を促す脂肪も腸壁の健康をよくし、大便を柔らかくします。

乳児と幼児には禁忌です。その代わり、ピュレーにしたプルーンを少量使いましょう。米国で市販のオリーブオイルは大部分混ざり物の偽商品であることをお忘れなく。したがって、とてもよく注意し、買う前によく調べてください

イチジク、イチジクのペースト

繊維質とプレバイオティクス。ムチン(腸壁を損傷から保護する物理的バリアーを成すたんぱく質)の生産を増やし、蠕動を促します

アロエベラ

刺激性の下剤として機能します。たんぱく質の消化を助け、腸の筋肉強化を補助します。

妊婦、授乳中、子供、糖尿病患者、痔患者、腎臓障害、さらにクローン病等の腸病患者、玉ねぎやニンニク、チューリップ等のユリ科にアレルギーのある人には禁忌です

マグネシウム・サプリメント

マグネシウム

ひまし油

刺激性下剤として機能し、小腸の動きを活発にし、収縮を促します。

注意: ひまし油は嘔吐誘発剤としても利用され、少量のみとし、しかも化学薬品である下剤の代わりに短期的な、必要なときのみ使用しましょう。通常の用量は約 15 mL、つまり小さじ約 3 です。

ひまし油は子宮収縮を刺激し、胎児を損傷したり、胎児に異常をきたす場合があるので、妊婦には禁忌です。

その他の禁忌には、直腸出血、胃痛、盲腸炎の症状、腸閉塞や嘔吐の症状。

長期的に使用すると、脱水症状、下痢、カリウム枯渇、栄養失調、筋肉弱化、腸の腫れ等、重篤な影響が出ます

スクワット式トイレと運動が便秘を軽くする

トイレでの排便姿勢も出やすくできるかに大きく影響します。さらに、排便姿勢は便秘や痔、その他諸々の腸の問題や骨盤の問題のリスクにも影響します。この記事の読者のほとんどは、洋式トイレをご利用でしょうが、これでは力む必要が増え(無理が掛かる)、一時的な心臓血行の阻害等、不利な生物学的影響があります。

洋式トイレに座ると、腹部に対して膝が 90 °になります。しかし、昔の自然なスクワット式トレイのしゃがむ姿勢では膝が胴体に着く形になり、この姿勢は実際には、腸器官と筋肉システムの空間的関係を変え、排便に必要な力を最適に出せます。

しゃがむと直腸が真っすぐになり、恥骨直腸筋が完全に弛緩し、無理なく盲腸と虫垂を完全排出でき、大便が滞留しなくなり、腸内に毒素が蓄積しなくなります。

欧米化していないしゃがんでする社会は、先進国のような高率の腸病が見られず、伝統的ライフスタイルを送っている一部の文化ではこうした病気は稀か、またはほとんど知られていないことは、よい教訓です。排便が困難な方は、特に便秘の方、しゃがむ排便を試してください。

しゃがむ姿勢になる特殊なトイレや椅子は何十年もこれまで座るのが習慣だったとしても、最適な解決策に一歩近づけるでしょう。安価で簡単にできる方策としては、便器のそばに椅子を置くことです。椅子に足を乗せると、膝が上がり、スクワット姿勢を刺激します。

慢性便秘に苦しむ乳幼児、子供、ティーンもしゃがんだり、骨盤の筋肉を鍛えられる姿勢運動により助かるでしょう。近年の研究は、適切なしゃがみ姿勢を勧めることで、機能性便秘は大部分の症例において解決しうることを示してきました。

日常的な運動も便秘を減らすのに役立ちます。運動が消化管の自動能を高め、排便の気配を刺激します。さらに、排便したくなったら、待たないことです。大便が大腸に長く滞留するほど、水が吸収され、通じにくくなります。