健康な鼻はCOVIDを阻止しうるか?

鼻腔 細菌叢

早分かり -

  • ラクトバチルスはバランスのよい腸内フローラの基幹的な要因です。この属の細菌のうち数種類は鼻腔にもおり、鼻腔の環境に適合しています
  • ラクトバチルスは酸素欠乏環境を通常好みますが、カゼイ菌はその髪の毛のような管で上皮に付着しやすく、鼻の中で生きるように適合しています
  • この細菌が病原体の増殖を阻止します。実証実験的鼻腔プロバイオティクススプレーは人体実験で成功しました
  • 健康な鼻腔微生物叢なら感染症を阻止しうるのでしょうが、ビタミンDの血中濃度最適化やケルセチンと亜鉛の利用といった免疫力を支持する戦略を利用できます
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Dr. Mercolaより

腸内の微生物叢は免疫系の重要な部分であると思ったことがあるでしょうが、鼻腔内の細菌のよしあしについては考えたことがありますか近年の実験室技術と検査の進歩に伴い、細菌叢が免疫系を支持する重要な機能をすることはますます明らかになっています。

細菌の流行病は、鼻と口をマスクで覆うことの効果について賛否両論が分かれる中、鼻内の細菌備蓄に対して注目が集まってきました。普通の風邪やインフルエンザ、SARS-CoV-2、また、しばしばウィルス感染として始まることが多い急性細菌性副鼻腔炎等のウィルス性や細菌性の感染の多くは、鼻から入ることがあります。

鼻から体内に入るウィルスは、上部呼吸管の感染症を引き起こし、鼻水や発熱、悪寒、咳のもとになります。粘膜が炎症すると、細菌が繁栄しやすい環境ができます。

鼻の中の細菌叢は加齢とともに変化し、免疫力の調節効果があることは研究からすでに判明しています。このため、プロバイオティクス・サプリメントには鼻腔微生物叢を支持しやすくするための機能がありうること、気中病原体への免疫応答を強くすることが考えられます。

慢性副鼻腔炎は日常生活に大きく悪影響を及ぼす

報告されている慢性副鼻腔炎の発生率は、測定する症状の重度に応じて、人口の1%から11.5%の間で変動しています。米国成人10,336人のあるサンプリングでは、アンケート方式でデータを集め、慢性副鼻腔炎の症状や、個体の生活に及ぼすその症状の影響、その継続期間、治療法を回収しました。

その結果、回答者の11.5%は、慢性副鼻腔炎の判定基準を満たす症状と期間を回答していました。興味深いことに、この副鼻腔炎がある人の約10%は、鼻腔ポリプの診断を受けていたことも答えていました。

急性感染症は四週間未満継続しますが、慢性副鼻腔炎は急性感染症の症状がいくつか出る状態が少なくとも12週間続き、その後、慢性段階に移行します。よくある症状:

粘度の高い黄色から緑の鼻汁と後鼻漏

目、鼻、おでこ等顔の部分の周りの痛み、敏感、腫れ

前に屈むと酷くなる顔面痛

上顎や歯の痛み

臭覚と味覚の劣化

咳、痰

耳に圧力感

頭痛

口臭

倦怠

症状は同じでも、急性、慢性、再発性と異なる副鼻腔炎が存在します。急性副鼻腔炎は四週間まで継続し、治療はほとんど必要なく治ります。再発性副鼻腔炎は症状がない期間を挟み、年に四回や数回発生することがあります。慢性副鼻腔炎の場合しょっちゅう症状がつきまといます。

微生物学者・微生物叢研究者のサラ・ルビアさんのお母さんは、慢性副鼻腔炎に罹っていました。アントワープ大学のルビアさんは、お母さんが頭痛と慢性副鼻腔炎の治療のための手術を受けた後、興味を抱きました。研究チームの現在の研究のきっかけについて説明されています:

「母はいくつもの治療法を試しましたが、どれも成功しませんでした。鼻によいプロバイオティクスを勧められなかったことはとても残念だと思っていました。誰も本気でそれについて研究した人がいませんでした。」

健常人の鼻腔細菌は違う

この研究の前、ルビアさんは健康改善のために腸と膣へのプロバイオティクス利用を研究していました。しかし、慢性副鼻腔炎の治療を助けるためのプロバイオティクス利用の可能性を考慮したため、研究の焦点が移りました。

この研究は健常な100人を慢性副鼻腔炎患者225人と比較して開始されました。この研究では、30種類の細菌属を選び、健常人のグループは慢性副鼻腔炎患者より鼻の中の部分によってはラクトバチルスが最大10倍多いことがわかりました。

ラクトバチルスはバランスのよい腸内フローラの基幹的な要因です。アシドフィルス菌がヨーグルトに含まれる善玉菌として宣伝され、この種の細菌についてはお聞きになったことがあるでしょう。研究者グループは健常人のなかで最も多くいるラクトバチルスが、カゼイ菌の仲間であることを突き止め、新たな属名ラクトカゼイバチラスと付けました。

この発見に続き、研究者チームはこの菌種を培養しました。分離し、ゲノム解析後、この細菌が食品に含まれるプロバイオティクスと似ていることを発見しました。しかし、これらの種の場合は他とは異なる点があり、上部呼吸管に適合していました。

大部分のラクトバチルスは、腸内で低酸素環境を比較的好むのですが、この属については、鼻腔内の高酸素環境、高酸化ストレス、高い気流に適合していました。さらに発見されたもう一つの適応性として、この細菌は鼻粘膜上皮に付着し、体内で除去されなくなる特性でした。

この細菌は「柔軟で毛髪のような線毛という管があり、このため鼻腔内の表面細胞に付着でき、細菌と宿主の間の相互作用があることを示しています。」

その研究で解析した際、このカゼイ菌が鼻腔内に見つかる病原体の増殖を阻害し、この細菌の場合、病原体と比べるとインターロイキンや腫瘍壊死因子の生産量が少ないので、呼吸管上皮はこの細菌を受容しうることが特定されました。

実証実験になるプロバイオティクスの鼻腔スプレー

研究チームの次のステップは、実験室から出て実際の動植物の生体内での効果を見ることでした。Cell Reportsに説明されているように、動物実験は通常、実験室検査と人体実験の中間段階です。しかし、このケースでは、動物の上部呼吸器官の解剖学的構造、生理機能、病原体が人間とは異なるので、動物モデルでの実施は困難なはずでした。

ラクトバチルスが健常人でも病人でも花の中で履歴と安全性があることに基づいて、申請した人体実験に認可を得ました。健常な20人がボランティアとして参加し、二週間、一日二回、鼻腔プロバイオティクスを使用しました。

この研究段階で得られた一次測定の結果、被験者の上咽頭でこの細菌が元気でいることおよび鼻からのプロバイオティクス・サプリメントの投与が可能であることが実証されました。スプレーの投与後、5分、10時間から16時間まで、さらに二週間後と鼻腔から試料を取りました。

被験者の大多数で一時的なコロニー形成が認められ、二週間後でも被験者二名からはまだ検出できました。研究者らが以下の説明によって「実証実験的鼻腔スプレー」と呼んだので、ルビアさんはその結果に勇気づけられました。

「副鼻腔炎患者にはあまり多くの治療オプションが存在しない。一部の患者については、微生物叢を組み立てなおし、善玉菌を鼻腔に導入すると特定の症状を減らせると考える。しかし、臨床研究およびさらなる機構的研究に進むまでまだかなりの研究が必要である。」

健康な鼻腔微生物叢で感染を防止しうる

科学者らが治療方法を求めた際、慢性副鼻腔炎患者の微生物多様性を分析しました。ある研究で、研究者らは健常な参加者6人と慢性副鼻腔炎患者9人の鼻腔細菌叢を比較しました。

細菌の種類の違いは病気によってではなく、個体間の相違により説明がつくことを特定しました:喫煙者がいる一方、他の人には健康な人では比較的僅かしかないのに比べ、ブドウ球菌や各種の細菌叢がありました。

別の論文では、科学者らは、慢性副鼻腔炎患者の鼻腔内での菌共生バランス失調と免疫系の変性の間に相関性があるという仮説を立てました。

三番目のある研究では、研究者らは、上部呼吸管が個体の年齢、ライフスタイル、病気、免疫応答に関連するので、この部分での細菌のコロニー形成を調べました。その結果、成人の微生物叢が子供とは異なることがわかりました。子供は成人より多様性が乏しく、より密度が高い細菌負荷を多く受けています。

鼻腔微生物叢の変性は中年にしばしば中咽頭部の内部の細菌において変化し始めます。このため、高齢者の場合、COVID-19のリスクが高まるという影響があるようです。研究を検討した結果わかったことは、喫煙しているうちに、気道の微生物叢を変質させ、病原体を増やし、善玉菌の堅固な組成を削減することでした。

さらに、鼻腔微生物叢とパーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症等の神経病が相関するようです。

鼻腔内への薬やその他の療法が、上部呼吸管の微生物活性を変性させるようです。これにはコルチコステロイド、リンス、抗生物質、抗ヒスタミン薬が挙げられます。研究チームは、等張性食塩水や高張食塩水で鼻腔をゆすぐと、鼻腔粘膜から炎症性化合物や汚染物質を除去しうるとしています。

しかし、水道水や井戸水では細菌や寄生虫が含まれるので懸念されます。その執筆者らは、蒸留水が現状では勧められると報告していました。ルビアさんの研究が出る六か月前にこの研究が公表され、研究チームは次のような説明も行っています:

「次の論理的段階は、肺の中へ吸い込まれることによる気管下部での炎症のリスクが考えられるとしても、経鼻でのプロバイオティクス投与であろう。」

COVID-19による重症を削減するさらなら手順

鼻腔へのプロバイオティクス投与が今後一つの方法になりうる一方、COVID-19を含む感染症リスクを削減するためには今から使える戦略を使うことが大切です。血中ビタミンD濃度の最適化が重症の病を予防するために最も簡素で容易な方法の一つであると、私は以前と同様に考えています。

遺憾ながら、世界の多くの人はビタミンD欠乏状態にあり、COVID-19の陽性反応や重症の感染、それによる死のリスクに大きく影響しうるのです。免疫力を強くし、こうしたリスクを低めるには、ビタミンDの血中濃度を60 ng/mLから80 ng/mLにしましょう。

ビタミンD濃度を高める主な手順とデータについての要約に関して、「ビタミンDでCOVID-19を予防」をご参照ください。ビタミンDと同じく重要なことは、免疫力と全体的な健康であり、重症の病のリスクを下げるために他の戦略をご検討ください。

30日以内にCOVID-19の危機を解決する方法」では、最新の科学的エビデンスと専門家によるこうした戦略についてご説明しています。食生活の戦略、ケルセチン、亜鉛サプリ、MATHプロトコル等の情報も載っています。

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