骨だし汁の作り方とその良さをご存じですか?

骨 だし汁 の

早分かり -

  • ヘルシーなライフスタイルの一環として骨だし汁は重要な栄養素を含み、消化がよく、腸壁を癒すのでとても貴重なものと考えられています
  • 骨だし汁はとてもおいしく健康に良いスープやシチューのためのだしとして、または熱い飲み物として直接飲んでもよいのです。後で使うために冷凍保存しておけます
  • 骨だし汁はロシアの神経学者ナターシャ・キャンベル-マクブライドさんが開発した腸・心理症候群(GAPS)に使われている食事療法の基本的要素で、腸の問題や神経系の問題がある人のために利用されています
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

子供の頃から風邪の症状を軽くしたりのどの痛みを和らげるために「チキンスープ」を飲むように習慣づけられてきた人には、骨だし汁が感染と闘うために必要な栄養素を得られるチキンや野菜のライバルであることは知らなかったことかもしれません。

薬効がある骨だし汁はヘルシーなライフスタイルを維持するために私がよく勧めており、自分でも利用しています。

ニューヨークやロサンゼルス等の大都市で骨汁に特化したレストランや店頭販売はありますが、健康と病気への骨だし汁の効果は新しいことではありません。

NBAのスタープレイヤー、ルウロン・ジェイムズや引退した元NBAのアイドル、コブ・ブライアント等のエリートプロ選手によりトレンディーなヘルスドリンクに持ち上げられるよりはるか前から、骨だし汁は文化圏を超え千年以上癒しの効果が認められてきました。

昔は動物の死骸のどの部分も無駄にすることなど考えられなかったので、知識豊富な狩人や料理人は、利用できない軟骨、骨、足先の硬い爪、皮を煮込んで健康によいだし汁を作る方法をマスターしました。

時とともに、だし汁は健康に注意する人や消化の問題自己免疫疾患によい定番の食事として利用されるようになりました。ヒポクラテスの頃まで遡る医者は骨だし汁と腸の癒しを結び付けて利用していました。

医学専門誌には、ようやく近年、腸の健康の重要性が頻繁に取り上げられるようになりましたが、食物とその身体への効果の実際の関係性は何世代も前からよく把握されていました。

ある意味では私たちの祖父母の世代つまりわずか数世代前に役立っていた解毒剤や自宅療法の多くが現在見直されてきました。

骨だし汁とは?

骨だし汁は正確に言えば、ご想像の通り、動物の骨から取るだし汁です。自分で作るだし汁は缶入りの市販製品や化学物質をたっぷり入れたブイヨンの粒に沸騰したお湯を掛けて作る物とは本質的に異なります。

肉と野菜を含む伝統的スープは新鮮な具を使う場合は高々1、2時間しか調理されません。最も簡素な骨だし汁は骨とお酢、香辛料を使って作ります。鍋や煮込み用調理器で少なくとも一晩、あるいは24時間から72時間もかけて煮込みます。

長時間煮込むことでゼラチンやミネラルその他の栄養素が骨の中からよく出て、これこそ骨だし汁で得られるいくつもの健康的な効果や癒しの効果を得るためのカギなのです。

骨だし汁を飲んだほうがよいのはなぜか?

My Foodie Noodieの設立者で認定栄養士のケイラ・マクドネルさんは、骨だし汁を飲むと以下の6つの健康的メリットが得られるといいます:

多くの重要なビタミンやミネラルを得られる

消化系のためになる

炎症緩和

関節の健康増進

減量効果がある

よく眠れるようになり脳機能を改善する

「骨だし汁は近年健康によく注意する人を中心に人気が急増しました。これにはいくつもの健康によい効能があると考えられるからです。骨だし汁自体に関する公開された研究はありませんが、これを飲むとメリットが多いことを示す豊富な根拠があります。」

これまで長年の間私はこうしたメリットについて自分の見解を述べてきましたが、本稿で再度取り上げることにします。明らかに骨だし汁は体内で吸収され利用されやすい形態のビタミンとミネラルをいくつも提供してくれます。

骨だし汁から取れる栄養素にはカルシウム、マグネシウム、リン、カリウムやその他の健康な骨形成のために必須の微量ミネラルがあります。魚の骨で作るだし汁もヨウ素が豊富で、甲状腺機能を助けます。

骨だし汁は食生活の「漏れ穴」を塞げるか?

腸管壁浸漏症はアレルギーや自己免疫疾患、一部の神経障害等、いくつもの健康の問題の根本にあります。骨だし汁に含まれるコラーゲンとゼラチンは消化液を含む液体を引き寄せ、保持します。

その結果、骨だし汁を飲むと腸を癒し、その漏れを塞ぎ、健康的消化を促します。骨だし汁はまた、ロシアの神経学者ナターシャ・キャンベル-マクブライドさんが開発した腸・心理症候群(GAPS)の食事療法において中心的な要素です。

GAPS食の目的は消化されにくく、腸にダメージを与える食物を識別して取り除き、これに代えて腸がよく耐えられ、栄養価の高い食品を利用しやすくすることです。

GAPS療法に従えば腸壁は癒され、漏れが直り、全体的健康によい効果があります。

GAPS療法は自閉症の子供や腸の機能障害が原因のその他の障害の治療にしばしば利用されますが、健康が乏しい腸のある人はこの療法の恩恵を受けられます。

特に、クローン病、橋本病、狼瘡、多発性硬化症(MS)に苦しんでいる方は、GAPS療法を検討するとよいと思います。

骨だし汁はいかに炎症や減量、睡眠によい効果があるか

主に炭水化物等糖質や加工食品が多い食生活をしていると、体内に慢性的に炎症が起きています。身体が慢性的に炎症状態にあると、最適に健康にはなれません。

特に、骨だし汁に含まれるグリシンやプロリン、アルギニン等のアミノ酸にはすべて、抗炎症作用があります。例えばアルギニンには敗血症(全身性炎症)の治療に特に効果があることはわかっています。

骨だし汁は軟骨を煮込んで抽出できる硫酸コンドロイチンやグルコサミン、その他の化合物があるので、関節痛や炎症ともに軽くします。

骨だし汁を日常的に飲むのが関節を強くする安価な方法です。この自然な療法を試してから、高価な関節ケアのサプリメントを検討しましょう。

野菜ジュースと同じく、骨だし汁は減量プログラムをすぐに開始しやすくなります。液体を飲むと満腹感が得られ、食欲が減りますが、それ以上に、骨だし汁に含まれるゼラチンは満腹感を最大限にすることが科学的に実証されています。

健康的な方法で、ときどき食事、特に加工食品の代わりに骨だし汁を飲むと、不要な体脂肪が落ちやすくなります。

骨だし汁に含まれるグリシンには抗炎症作用があるほか、鎮静効果もあるので、よく眠れるようになります。

日本睡眠学会のある研究は、寝る前にグリシンを飲んだ被験者は寝つきがよくなり、床で休んでいる間に占める実質的に寝ている時間が長くなることを示しています。さらに、グリシンで日中の眠気が減り、認知機能がよくなりました。

晩に液体をよく飲める方で睡眠の問題があるなら、寝る前に骨だし汁を小さいグラスに一杯お試しください。

栄養価の高いだし汁を取るコツ

骨だし汁は商店やオンラインショップから買えますが、真に高品質の骨だし汁やスープは自分で作ることです。高品質の骨をどこで入手するかを見つけたら、あとは簡単で、少々計画するだけでできます。

自分でだし汁を作るための最も能率よい方法は煮込み調理器や低温煮込み調理器を使うことです。これなら朝に具を入れて弱火で始め、そのまま煮込んでおけます。

夕方帰宅すると、とてもよい香りが出迎えます。骨だし汁はとてもおいしく、スープやシチューのための良いだしとして、または熱い飲み物として直接飲んでもよいです。だし汁は後で使うために冷凍保存もできます。

だし汁がゼラチン状であればあるほど、栄養価が高い傾向にあります。長時間加熱で骨からにじみ出るコラーゲンは、実際に、だし汁の癒し効果を生む主要栄養素です。

ウェストン・A・プライス財団の前副会長で、「Nourishing Broth」の共著者カーイラ・ダニエルさんによると、骨だし汁はどんな異常が体にあろうとも、癒しのための基本的構成要素です。骨だし汁の出来が良いと、冷蔵したときにちょうどよい具合にぷるんとします。

できる限りゼラチン状にするには、コラーゲンや軟骨が豊富なチキンの足、豚足あるいは関節の骨を加えるようダニエルさんは勧めます。これとは異なり、脛の骨や脚の骨からは豊富な骨髄が取れます。骨髄も貴重な健康によいメリットがあるので骨を混ぜて使うとよいです。

ビーフやチキン、魚、ポークの骨を加えることもできます。各種の骨ごとに固有の風味あり、それぞれにメリットがある栄養素が得られます。濾過水に加え、使用する骨の種類に関わらず、リンゴ酢を少々加えると、調理中に骨からミネラルが出やすくなります。人によっては野菜や香辛料を加えるのが好きな人もいますが、これは不要で、まったく味の好みでしかありません。

骨だし汁レシピの例

骨だし汁のレシピはいくつもありますが、オリジナルを自分で作ることも簡単に試せます。私が行っている下記のヘルシーなチキンスープの作り方の実演をどうかご覧ください。

以下のレシピはウェストン・A・プライス財団の執筆者、サリー・ファロン・モレルさんからご提供していただきました。モレルさんの記事にはビーフや魚の骨汁レシピも含まれます。(同じ作り方でも、自分でアヒルや羊、七面鳥の成分に置き換えることは可能です。)

自作チキンだし汁の具

  • 放し飼いチキン1羽または背中や首、翼等骨が多いチキンの部分1~1.5 kg
  • 鶏一羽の砂嚢 (オプション)
  • 鶏2~4羽分の足(オプション)
  • 濾過冷水約4リットル
  • お酢大さじ2
  • 大きめの玉ねぎ1個ぶつ切り
  • ニンジン2本、皮を剥いて、ぶつ切り
  • セロリ3本、ぶつ切り
  • パセリ1束

お酢をお忘れなく。脂肪はお酢のような酸と理想的に混ざり合うだけではなく、だし汁を作る際は特にお酢が貴重なミネラルを骨から抽出してスープに溶出しやすく、だじ汁の栄養価が高くなります。

Braggの生リンゴ酢は濾過されておらず、滅菌処理されていないので、最適です。

調理法

骨だし汁に正しい作り方や間違った作り方はありませんが、以下に目安をご説明します。

チキン一羽丸ごとから始める場合、鶏肉も含むので、これは後からだし汁にハーブや香辛料とともに加え、健康に良いチキンスープにしたり、別のためにとっておけます。

1. 濾過水を大きめの鍋(または大きめの長時間低温調理鍋)に満たす。

2. お酢と野菜を全て入れる。パセリは除く。

3. 鶏を丸ごとまたはチキンの骨がらを入れる。

4. 沸騰させ、表面から灰汁を除く。

5. 弱火にして煮込んでおく。

6. 鶏をまるごと煮る場合、2時間程で肉が骨から離れ始める。鍋からチキンを取り出し、肉を骨から取り除く。

骨柄を鍋に戻し、さらに12時間から24時間煮込み、8と9にスキップする。

7. 骨から始める場合、24時間程煮込む。

8. 新鮮なパセリを煮込み終了の約10分前に入れると、健康的なミネラルのイオンが浸み渡ります。

9. 穴付きお玉で残った骨をだし汁から取り除き、残りのスープを濾して骨の残骸を除く。