舌から健康状態がよくわかりなるほどと思える9つのポイント

舌の健康

早分かり -

  • 多くの病気にはそれぞれの特徴があり、問題を自分で識別し、症状を和らげるための変化を計画することができます
  • 舌は食べたり、話したり、食物を味わうために必須の強い筋肉です。濡れたピンクの粘膜で覆われ、この粘膜を味覚芽と脳にシグナルを送る神経に似た細胞の集合体が表面をなす、成長する舌乳頭で覆われています
  • ビタミンB12、葉酸塩、ビタミンC、鉄、亜鉛は、舌の健康のために必須であり、これらが欠乏すると、感染や舌炎、胸やけ、感覚異常のリスクが高くなります
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Dr. Mercolaより

多くの病気には認識可能な症状が出ます。症例によっては病気が手遅れになった頃に症状が現れる場合がありますが、直ちに症状が出る病気もあります。診断医師の記憶ではもはや症状の識別と特定の異常との関連づけはできません。コンピュータを使って自分の症状について調べ、考えうる異常の一覧が得られます。

症例によってはある症状は別の異常の一つの兆候でしかなくても、他の症例ではその異常そのものを現す場合があります。外見の変化や毎日どう感じるかによく注意しましょう。こうした観察こそ、健康と快適な状態を維持するために必要です。

舌の外見はこうした指標のひとつです。自分で変化に気づけばライフスタイルを変えることができ、健康を改善できます。しかし、舌に起きる変化について取り上げる前に、舌の外見について把握しておくと、こうした変化を認識しやすくなります。

舌の構造と外見

舌は粘膜というピンクの組織に覆われた強い筋肉です。この筋肉は口に結合しており、小帯という組織の小規模な折りたたみによって前側が保持されています。小帯のラテン語frenulumは「小さい馬勒」を意味します。舌は後ろ側で舌骨に結合されています。舌は話すためだけではなく、噛んだり食物を呑み込むためになくてはならないものです。

舌のもうひとつの機能は味覚です。以下に挙げる異常のいずれかがあれば、味覚が変わったはずです。基本的な四つの味覚は甘味、酸味、苦味、塩味です。これら四つの味覚に対して最も感度が高い舌の領域を示す味覚マップが使われてきましたが、実際には舌の筋肉全体に多くの神経が走り、シグナルを脳に送ります。舌のあらゆる部分はこれらの基本的な四つの味をすべて検出できるので、味覚マップは実際には存在しません。

健康な舌は濡れたピンクの組織と舌乳頭という微小な凹凸で覆われています。舌乳頭により舌のざらざらした質感ができ、 何千もの味覚芽がここにあります。味覚芽は脳に接続された神経様細胞の集合体です。

舌をよく観察することは自分の健康を追跡する一つの方法です。舌を出して鏡で見ます。普段の外見とは異なったり、痛みがあれば、何かを変えるべき時期です。

ビタミン欠乏は舌に如実に現れる

ビタミンやミネラル等の微量栄養素は身体の発達のため、病気の予防、快適な心身の状態のために微量必要です。これらの微量栄養素の欠乏により、子供や大人を問わず健康は大変悪くなります。鉄、葉酸塩、亜鉛、ヨウ素はこうした微量栄養素の例です。

舌に生じた変化のなかにはビタミン欠乏の症状があります。舌がいちごのように赤くすべすべで腫れていれば、鉄または葉酸塩あるいはビタミンB12が欠乏していると考えられます。舌炎ともいうこの腫れ舌により表面がすべすべになります。つまり腫れが引くと舌乳頭が元のように現れてきます。マウントシナイ病院の口腔顎顔面病理学部長で歯科外科医師のナオミ・ラマーさんによると:

「舌の上で舌乳頭が成熟するにはビタミンB12と鉄が必要です。これらのビタミンが欠乏すると、舌乳頭が無くなり、舌はすべすべに見えるようになります。」

ビタミンは味覚芽の正しい機能に欠かせないので、ビタミンB12欠乏により味覚も変化します。このためくひりひり感、焼け付き感、ふにゃっとした感じ、あるいは特定の病変なくてもしびれ感が起きます。この異常は味覚の変化や口内乾燥も伴う中年から老年の女性に頻繁に見られます。

ビタミンA欠乏はほたて貝状舌炎という舌の物理的変化を起こします。 この病気は痛みやふにゃふにゃ感、腫れが特徴の稀な異常で、舌の側面の変色やホタテ貝状の外観が発生することもあります。ビタミンA欠乏は一因にすぎず、この異常ははみがきやマウスウォッシュに対するアレルギー、慢性的口内乾燥、咽頭感染症のほか、かぎたばこ、飲酒、非常にスパイスの効いた食べ物等刺激性物質の日常的使用によっても起きることがあります。

いちごのように赤くすべすべで腫れた舌は、5歳以下の子供に最も頻繁に現れ、高熱を伴う川崎病という病気の症状でもあります。39℃を超えるほどの高熱が出て、三日以上続くことがあります。

この病気の症状は全身を走る中規模動脈の炎症により進行します。その他のビタミンと栄養素も健康な舌のために必須です。以下に典型的な欠乏症状を挙げます:

  • ビタミンB — 欠乏すると舌の腫れ、ひりひり感、表面のひび、歯の段差につながります。ビタミンB12が摂りやすいのは動物性食品です。ベジタリアンはサプリメントを検討してください。
  • 鉄 — 欠乏すると口内の腫れや痛みを伴うひりひり感につながります。鉄が豊富な食品には、、草原で育てた有機牛肉、ほうれん草があります。
  • ビタミンCと亜鉛 — ビタミンCは毛細血管と組織を丈夫に維持するために必須です。ビタミンCと亜鉛が欠乏すると歯茎の出血、感染リスクが増大します。ビタミンCが豊富な食品には、いちご、パイナップル、マンゴ、花キャベツが挙げられます。亜鉛が豊富な食品には有機飼育して放牧した肉や乳製品、ナッツ、種子があります。

口内が不潔だと虫歯以外にも害悪が生じる

頭髪と同じく、舌の舌乳頭も生涯成長します。 普通、舌乳頭は日々の食事で噛んだり飲むことで摩損します。これが伸びすぎると真菌や細菌が増殖する固有の隠れ家になることも時としてはあります。こういう事態になると黒く毛が生えたような舌(黒毛舌)になります。

黒いコーティングは酵母や細菌の異常増殖によるもので、抗生物質を一巡した後発生することがあります。糖尿病患者や化学療法を受けた人も黒毛舌のリスクが高いです。症例によっては、口内が不潔な結果であったり、喫煙、濃いコーヒーや紅茶等のライフスタイルによっても起きることがあります。

見た目はよくなく、口臭や味覚異常が伴うことがありますが、この異常で死ぬおそれはありません。舌乳頭や細菌、酵母の異常成長の原因を見つけて、解決することが重要です。また、糖尿病ではないか検査を受けるべき兆候かもしれません。

症例によっては、毛舌はHIV陽性患者に起きえるエプステイン・バーウィルス(EBV)感染の結果と考えられます。ペニシリンの長期投与もアスペルギルス等の真菌増殖リスクを高くします。

抗生物質の長期投与やEBV感染が原因でなければ、この異常は原因を解決し、口内を清潔に維持することでしばしば解消します。

歯磨き前に一日二回、舌をはぶらしできれいにしたり、舌スクレーパーでそうじするのが舌乳頭を清潔にするのによい方法です。過酸化水素水をうすめて口をゆすいで変色を除去し、プロバイオティクスを導入して腸機能の改善のために有用でます。

ストレスや苛立ちが痛みと不快感を起こす

アフタ性口内炎は口内や舌に発生する薄い潰瘍で、しばしば食べにくくなったり話にくくなったりします。軽微なアフタ性口内炎はこのビデオでお見せしていますが、ストレスが原因で起きることがあります。発生してから4~5日間が最も痛む時期です。

痛みは和らいでも炎症はほぼ二週間過ぎないと消え去らないことが多いです。ワシントン・タウンシップ医療財団で一般内科・小児耳鼻咽喉科医のデイル・アマンダ・タイラーさんによると:

「アフタ性口内炎の原因は不明ですが、おそらくウィルス性でしょう。衰弱していたりストレスを受けているとこういた潰瘍が発生しやすいです。」

人によっては、柑橘類等の酸味が強い食品でアフタ性口内炎になることがあります。他の症例では、歯の器具や歯列矯正具等の鋭い表面が口や舌の内側にアフタ性口内炎を起こすこともあります。

よく似ていますが、アフタ性口内炎は単純ヘルペスウイルス1型で起きる単純疱疹とは異なります。伝染しないアフタ性口内炎とは異なり,、単純疱疹はウィルス性で、極めて伝染しやすいです。

口内粘膜の慢性炎症へのもう一つの反応は、白斑症です。この白斑はよく高齢者に見られますが、どの人生の段階にも発生しうる白やグレーの班です。白斑症のなかでも稀な形態は毛様白斑症であり、しばしばEBVが起こし、通常は、HIV感染者にのみ発生します。普通の白斑症により白斑は細胞の異常増殖によるもので、通常は痛みません。

この白斑は喫煙が原因で発生し、口腔がんにまで進行する確率は最大17%あります。粘膜炎症が原因で発生する異常で、原因を解消すれば、一週間から二週間以内に消えるはずです。全米歯科協会消費者顧問エイダ・クーパーさんは、二週間以内に班が消えなければ歯医者の診療を受け、生検を受けるように勧めます。

人に移る感染症

鵞口瘡は酵母感染症で、乳児に授乳中すぐに感染したり、キス等口内液を経由して人から人へ伝染します。感染症状は白斑状に発生し、しばしばコテージチーズのような質感があります。

鵞口瘡リスクが高いのは、高齢者、免疫系が弱い人、糖尿病患者、喘息用の吸入ステロイド投与を受けている患者、最近抗生物質を服用ないし投与された患者です。酵母感染症はカンジダ菌の異常増殖が原因で発生し、味覚が変わったり不快感が生じます。

舌に出る症状は老化やアレルギーで強くなる

舌の表面にできるひびや溝は老化によるものであることが多いですが、先天的な特徴であることもあり、この部分は人口の10%に当たります。ほとんの場合、心配するほどのことはありません。ひびの入った舌の表面には割れ目や上面や側面の溝を伴うことがあり、舌のみに現れるもので、深さはまちまちです。

危険でなくても、残骸が堆積しやすく、感染しやすくなり、これが口臭や味覚の変化につながります。こうしたひびはしばしば幼少時に発生しますが、加齢とともに深くなっていき、老化によりさらに明瞭になります。

地図状舌は地図のように見える、大きさや発生個所がさまざまな班が特徴の異常です。症例によっては、ひりひり感や焼け付き感が伴う場合があります。通常は無害で、アメリカ人の最大14%で発生しており、舌の上に丘や谷のように見えます。これはストレスやホルモン変化、アレルギーにより発生することがあり、原因が解消されれば、しばしば治ります。

口腔がんは男性より女性に多い

ある研究によると、口腔がんは女性より男性で二倍以上発生しやすく、男性のがんのうち最もよくあるがんの第八位です。口腔がんの男性患者数は近年横ばいで推移してきましたが、女性患者数は若干減りました。

舌がんは頭部と頸部のがんのうち二番目に発生率が高いがんです。 主なリスク要因は喫煙と飲酒です。 舌から赤い病変が治らないとか班がなかなか消えない場合は舌の兆候かもしれません。

口腔がんはヒトパピロマウィルス(HPV)が原因でも起き、この病変の初期段階では痛みや不快感は通常起きません。口腔がんのその他の兆候には、 感染した潰瘍から出る口臭、頭の片側に響く耳痛、原因不明の体重減少、口内のしびれ(無感覚)、原因不明の歯のぐらぐらが挙げられます。