Dr. Mercolaより
正味炭水化物(総炭水化物から繊維質を控除)の代わりに健康的な脂肪を多く、高品質タンパク質を適度に食べるケトーシス食生活が健康によいことを知る人が増えているので、中鎖脂肪酸(MCT)はますます人気を博してきました。
ココナッツオイルの健康メリットにはこれに含まれるMCTと関連するものがあります。MCTオイルのほうが濃度が高いので臨床用途にココナッツオイルよりどちらかというと適します:
食欲減退、減量
認知力改善、神経機能改善、神経変性疾患へのよい効果
体力アップ、運動成果の改善
ミトコンドリア機能の改善とこれによるアテローム性動脈硬化、糖尿病、がん、心臓血管病、自己免疫疾患、てんかん等の病気のリスク低下
てんかん治療のための特別な食事療法の一環として
非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の予防
前世紀の独断である健康を悪くするだけの「低脂肪食生活」のおかげで、飽和脂肪は不健康で心臓病リスクが高くなるという誤った観念に誘導される人が多かったため、MCTを含む健康によい飽和脂肪の摂取量が圧倒的に低下しました。
ココナッツ、ココナッツオイル、パーム核油以外に、少量のMCTならバターや草で育った牛やヤギの高脂肪乳製品に含まれます。
極めて不健康な工業生産品ココナッツオイルとヤシ油(歴史的に水素化オイルとして焼き物工業加工食品に使用されてきた)と「健康食品」として売られている有機の未精製バージンオイルを混同しないようにしましょう。
MCTは化学組成によりこう呼ばれます。脂肪は水素原子に結合した炭素分子の鎖から成ります。短鎖脂肪は炭素原子が6個以下です。
中鎖脂肪には6個から12個の炭素が含まれ、オメガ3脂肪のドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)等の長鎖脂肪には炭素原子が13個から21個あります。
MCTは炭素の長さにより四分類されています:
基本的に、炭素鎖が短いほど、MCTのケトンへの変換率が高く、ケトンは卓越したエネルギー源であり、ブドウ糖より優先すべき意義があり、ケトンはATP生産のために代謝される際、反応性酸素種(ROS)をほとんど発生しません。
かつて私は画期的なケトンエステルドリンクでプロの運動選手の成績がいかに上がるかについての記事を書いたことがありますが、ケトンのサプリメントはまだ開発中なので、当面最適な方法は食品やサプリメントに含まれるMCTを利用することで、このオイルは体内でケトンに分解されます。
ほとんどの市販のMCTオイルにはC8とC10脂肪がほぼ半々含まれています。高価でも、C10脂肪よりはるかに急速にケトンに切り替わり、消化しやすいC8(カプリル酸)をとることを推奨します。
ココナツオイルは、C6、C8、C10、C12脂肪を含む、すべての中鎖の脂肪の混合物を含み、ラウリン酸はココナツオイルの中で脂肪の半分以上を占めます。(分留ココナッツオイルは例外で、主にC8とC10を含む。)
これらの脂肪酸はすべて有益です。しかし、カプリル酸とカプリン酸でケトン濃度がはるかに効率よく高まります。
また、技術的にはラウリン酸はMCTですが、長鎖なので短鎖脂肪と同じほど生体活性があるとは限りません。実際には、C12は長鎖脂肪酸(LCT)と同じような働きをし、ケトンへの分解効率はそう高くありません。
その結果、C12は空腹感を抑え、脳の健康を促す効果が低いです。こうしたメリットを得るにはC8やC10が必要です。ラウリン酸は抗菌力、抗微生物力、抗ウィルス力では周知です。
しかし短鎖MCTは容易にケトンに変換され、これが優れるミトコンドリアの燃料なのです。ケトンはまた、グレリン(空腹ホルモンともいう)を抑え、脳に満腹感のシグナルを出すホルモンを増やします。
MCTは、長い原子連鎖の脂肪とは異なった過程で処理されます。通常、体内に取り込まれた脂肪は、胆嚢から放出された胆汁と混合し、消化器系で膵臓酵素によって分解されます。
MCTは胆汁または膵酵素を必要としません。腸に達すれば、腸膜から血流の中へ拡散し肝臓に直接運ばれ、自然に油をケトンに変換します。
肝臓は次に、ケトンを血流の中へ放出し、全身を巡ります。ケトンは脳にエネルギーを供給するため脳血液関門さえ通過します。また、MCTは代謝によい効果を持つ発熱効果があります。
こうした理由から、MCTは脂肪として貯蔵されず、身体によってエネルギーとして使用されやすいのです。MCTは病原菌、ウィルス、真菌、寄生虫等有害な微生物を腸から除去してくれます。ココナッツオイルと同じように、MCTには抗酸化、抗炎症効果もあります。
MCTオイル (MCTそのままやココナッツオイル)は毎日消費しても構いません。MCTオイルの課題の一つは慣れる前に最初から多量に消費すると、軟便や胃腸に副作用が出ることがある点です。
最初はティースプーン1杯のMCTオイルだけにしておくとよいです。同時にナッツ一握り分やコーヒーに入れたギー等の他の脂肪といっしょに食べるか、サラダドレッシングに使うこともできます。慣れたら、だんだん量を増やして一日に大さじ4のMCTオイル程度まで消費することができます。
初めてMCTオイルを食べてから止め、再開するときも、最初は少量から始め、消化系が慣れるようにしましょう。しかし、MCTオイルはしばしば、吸収不良、腸管壁浸漏症、クローン病、胆嚢障害(感染症や胆嚢切除後等)等他の種類の脂肪を消化できない人でもよく消化できます。
よく慣れるようにする方法の一つは、粉状のものをシェークに混ぜたり、自作のケトマフィンやパンに混ぜることです。
動物実験や人体の研究から、MCTは熱の発生や脂肪の酸化を促し、体脂肪の堆積や蓄積を抑える働きをすることが実証されてきました。言い換えれば、癒す働きをし、身体はケトンを炭水化物よりエネルギーとして容易に利用できます。
MCTは脂肪の代謝を促し、身体はケトンを多く生産しやすくなるので、ケト食と同じ働きをしますが、ケト食ほど正味炭水化物を大きく減らす必要がありません。以下にMCTの体重への影響を調べた研究をいくつかとりあげます:
• 3か月間行われたある無作為化二重盲検対照試験では、MCTの長期的消費は普通なら健康な成人の皮下脂肪をLCTより減らす効果が大きいことがわかりました。全被験者は一日総脂肪60 gを消費しました。
相違点は脂肪の種類(MCTとLCT)でした。カロリー量、タンパク質、炭水化物の量は同じでした。その執筆者らによると、「結果から言えることは、MCT食は(BMIにして23 kg/m2以上からの)減量と脂肪の削減につながり、LCT食より効果がある。
• 2015年、13件の無作為二重盲検に関するメタ分析は、LCTと比較するとMCTのほうが減量、胴囲、総体脂肪、総皮下脂肪、内臓脂肪を効果的に減らすことを特定しました。二種類の脂肪の間の血液中脂質量に差はありませんでした。
その執筆者らによると:「LCTの代わりにMCTを摂り込むようにすれば、脂質特性に悪影響せずに体重と組成が若干減ると考えられる。」
• 他の研究は、MCTが食欲を減退させることで減量によいことを示しています。Mental Health Dailyが説明しているように:「MCTはコレシストキニン、胃抑制ペプチド、膵臓ポリペプチド、ペプチドYY、ニューロテンシン等様々なホルモンに作用すると考える科学者がいる。MCTの精確な機序はいまだ不明だが、[LCT]と比較すると満腹感を誘発し、食欲を減らすことは周知である。」
しかし大部分の研究において減量への効果は小さく — おそらく小さすぎてそれ自体で有意な効果がないことがわかっています。
MCTオイル自体が減量を生み出すものではないことに気づくことが重要です。しかし、普通に健康な食生活に加えるのに卓越しています。さらにMCTは、ケトーシス食生活を維持しつつも若干多めの正味炭水化物を食べてもかまわないので、「究極的ケトジェニック脂肪」であると考える人が多いです。MCT無しではケトーシスを維持するために炭水化物を極端に減らさざるをえません。
減量に真剣に取り組みたいなら、私の栄養計画に挙げた推奨事項を見直し実行に移してください。この計画は段階的にご案内しています。MCTオイルは以下に挙げるような健康によい脂肪に加えて使用するよう私がお勧めする健康的な脂肪です:
オリーブやオリーブオイル(第三者機関の認証を取得した製品のみとすること。市販のオリーブオイルの80%は植物油と混ぜて劣化したもの。 また、オリーブオイルで調理しない。冷えた状態で使用する。)
ココナッツとココナッツオイル(酸化せずに高温でも安定なので調理に最適)
生の草で育った有機のミルクから作るバター
マカダミアやピーカン等生のナッツ
黒ゴマ、クミン、かぼちゃや麻の実などの種
アボガド
牧草で育てた畜肉
ラードや獣脂(調理に最適)
ギー(浄化バター)
生のカカオバター
有機解放飼育で育った鶏の卵黄
動物性オメガ3脂肪:オキアミ油、イワシやアンチョビなどの小型の油が多い魚
最適な用量は人によって異なり、健康状態やエネルギー需要、個人別に胃腸が耐える物も異なりますが、以下に検討するとよい一般的なガイドラインを挙げます:
どの種類のMCTオイルにするかに関して、私は最も高価なC8 (カプリル酸)オイルをC8とC10のミックスより優先します。C6混合の安価なものは避けましょう。C6がたった1~2 %混ざっているだけでも胃腸にストレスが掛かります。抗菌活性や抗炎症作用があるC12 (ラウリン酸)が欲しければ、ココナッツオイルを食事に加えると、MCTオイルより安価で多用性があります。
ココナッツオイルには抗菌力等いくつもメリットがあるラウリン酸が多いことをお忘れなく。しかし、ケトンへの変換効率が低く、体力アップにはあまり貢献しません。ココナッツオイルで空腹感は癒えず、C8とC10ほどの脳への栄養補給になりません。MCTオイルは通常は無味無臭なので、サラダドレッシングからスムージーさらに野菜ジュースまで、あらゆる料理や飲み物に簡単に追加できます。
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