ようやくオートファジーが病気の療法として検討されることに

オートファジー

早分かり -

  • オートファジーとは損傷した細胞を消化することで消滅させる身体のプロセスです。オートファジーは、新しい健康な細胞の拡散を促す浄化プロセス、細胞の若返りと長寿のための基本的要素
  • オートファジーはウィルス、細菌その他の病原体等外部からの侵入物も破壊し、有害な物質を細胞からデトックスしてくれます
  • オートファジーは加齢とともに遅くなり、オートファジーの欠如こそアルツハイマー病やパーキンソン病等いくつもの病気に寄与することがわかっています
  • オートファジーを活性化させることによって、すなわち機能障害が始まった場合にメカニズムを修復することによって、アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患を完治しうると、研究者らは考えています
  • 絶食、オートファジー促進食品、ベルベリンやPQQ等のAMPK活性化サプリメントでオートファジーを活性化して増大させるいくつもの方法があります
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Dr. Mercolaより

オートファジーとは字義通りに「自食」を意味し、身体が損傷した細胞を消化して解消するプロセスです。オートファジーは新しい健康な細胞の拡散を促す浄化プロセス、細胞の若返りと長寿のための基本的要素。

オートファジーは、ウィルス、細菌その他の病原体等外部からの侵入物も破壊し、有害な物質を細胞からデトックスしてくれますオートファジーは、加齢とともに遅くなり、オートファジーの欠如こそアルツハイマー病やパーキンソン病等いくつもの病気に寄与することがわかっていますこの自然なプロセスを活性化して増大させ、多くの健康の問題が起きる前に防止できるいくつもの手段があります。

オートファジーでパーキンソン病を治す

2016年にノーベル医学賞が日本の生物学者大隅良典博士に、オートファジーの実際のメカニズムすなわちいかに細胞が内容物を再利用するかを発見したことで授与されました。The Conversationによると:

「大隅博士はオートファジーを行う主な遺伝子と分子を識別した。これにより細胞の品質管理に関する科学的枠組みを発展させた。同博士のおかげで研究者らは…オートファジーの欠陥が神経病にいかに関連するかを把握できるようになった…

神経変性疾患においては、有毒タンパク質が脳内ニューロンの内部に蓄積する。ニューロンは新たに置換されない。ニューロンはタンパク質を再利用し、小さいアミノ酸に分解し続けることで、異常に大きいタンパク質の有毒な蓄積を防止する。これこそオートファジーが可能にするプロセスである。

このプロセスは不要なタンパク質を「オートファゴソーム」(自己貪食空胞)というパイプラインに封じ込めることによって働く。次にこれらのタンパク質を「リソソーム」という細胞の一部に廃棄し、ここで再利用される。このプロセスが正常に働かないと、有害なタンパク質が蓄積する。」

オートファジー活性化で神経変性予防

オートファジーを活性化させることによって、すなわち機能障害が始まった場合にメカニズムを修復することによって、オートファジーのプロセスが有害なタンパク質を自然に浄化するので、アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患を完治しうると、研究者らは考えています。

興味深いことに、研究者らはパーキンというタンパク質を活性化してオートファジーを開始させる抗がん薬があることを実証しました。パーキンはオートファジープロセスに関与し、一部の抗がん剤はこのタンパク質を特異的に活性化します。ジョージタウン大学の神経学チャーベル・ムサ助教授によると:

「抗がん剤はがん細胞を殺すことで作用するほかにも、他の細胞に対して毒性があることを忘れないでください。そこで私たちのはいかに抗がん剤が、がん細胞やニューロンの中で作用するかを特定しました。初期の細胞培養モデルで観察した結果は驚くべきものでした:オートファジーを刺激する何種類かの抗がん剤で処置した培養がん細胞は死に、培養したニューロンは生き残りました。

次に、有毒タンパク質を培養したニューロンに導入し、オートファジーを活性化させ腫瘍を破壊するいくつかの抗がん剤で処置しました。未処置細胞は死にましたが、これらの薬で処置した細胞は、有毒タンパク質を浄化して生き残りました。

オートファジーの活性化は両刃の剣です。一つにはこのプロセスで有毒あるいは感染するマテリアルが細胞から浄化されます。もう一つには、オートファジープロセスはタンパク質の「再利用」と浄化をさらに超え、細胞を破壊し始め、細胞死を促します。すなわち、オートファジーは再生不能で新しいものに置き換えることができないニューロンの死を防止するために慎重に操作する必要があります。」

周期的オートファジーは健康をよくし長寿の自然な方法

こうしたメリットを得るため、最も安全な方法は自然にオートファジーを促すことで、これが可能になる健康的ライフスタイルはいくつもあります。おそらく最も意義があり最も効果的なのは絶食(断食)でしょう。「Autophagy Modulation as a Potential Therapeutic Target for Diverse Diseases」(各種疾患の潜在的治療標的としてのオートファジー調節)によると:

「オートファジーは飢え等のさまざまな病理学的、生理学的状態において刺激される。…飢えに誘発されるオートファジーはすなわち真核生物における進化的に保存されてきた応答であり、タンパク質、炭水化物、脂質の分解を可能にし、細胞が代謝を適合させ、エネルギー需要を賄うことが可能になる。

実際に生まれたばかりのマウスにオートファジーが誘発されるのは、胎盤からの母体栄養供給が停止した後、様々な組織においてエネルギーレベルを維持するための主な機能である。さらに、飢えに誘発されるオートファジーはミトコンドリアによるアポトーシス誘発を阻害することで細胞保護効果がある。」

水のみの長時間絶食(断食)はオートファジーを誘発する一種の「飢え」です。200カロリーでも入るとこのプロセスが阻害され、飢え期間は少なくとも16時間あるいは72時間以上さえ必要であり、オートファジーの誘発が目的である限り厳格になることが大切です。

その反面、オートファジーは常時活性化されたままにしておくことはできません。再度食べ始めるプロセスで行われる細胞の修復と若返りのための時間を与える必要もあり、これこそ周期的絶食と食事が重要な理由です。

絶食はオートファジー活性化のためにとても効果的

近年の研究に基づいて、健康をよくするには、身体がオートファジーとミトファジーを促し、腫瘍前細胞を含め損傷した老化細胞を除去することができるようになるので、水だけの絶食(断食)を数日連続して行うのが最も効果的な代謝改善方法であると、私は確信します。この方法なら余分な体重を減らして寿命を延ばすためにもとても効果的です。

安全に水だけの絶食をする方法を改めて確認するには、「The Complete Guide to Fasting」(絶食完全ガイド)の著者ジェーソン・ファン博士とのインタビューをご覧ください。たとえ数日の水のみの絶食でさえ、多くの人は不合理な恐れを抱いていますが、ファン博士は専門的に絶食についての古い神話が無効であることを説明してくれます。

しかしいくつか注意すべきことも一面にはあります。投薬中の方は担当医に相談して安全性を確実にする必要がある。薬のなかには食後服用すべきものがあったり、身体の化学的特性が正常化したとき有毒になる場合があるからです。低血糖症薬剤や降圧剤やを服用中の方は特に過剰投与の危険があります。

断食中でもサプリメントは継続するほうがよいです。高品質の塩も消費する必要があります。特定の健康の異常があれば絶食を安全に行うために医療的なより厳密な監督も必要です。

オートファジーを改善できる易しい方法は、少なくとも16時間一貫して何も食べない間歇的絶食です。オートファジーが始まるには、これが最低必要な絶食間隔です。すなわち、一日分の栄養を8時間以内の枠で全て食べる必要があることになり、絶食時間帯にスナックもだめということです。

水のみの絶食を試すなら、一日16時間くらいの絶食から始め、一日20時間へだんだん延ばす間歇的絶食を始めるとよいでしょう。これを一か月できたら、5日間水だけの断食は簡単になります。

絶食で膵臓が再生する

絶食の再生力を示した説得力ある事例は、食事と飢えの期間で特徴づけられる、絶食模倣型食生活が糖尿病を快方に向かわせ、膵臓を再生することがわかった、近年のある研究で実証されていました。.マウスを使ったその実験は、南カリフォルニア大学長寿研究所所長の老年学と生物学ヴァルター・ロンゴ教授博士が主導しました。

発見された内容はというと、周期的にマウスを飢えさせ、また食べさせると、イヌリン生産ベータ細胞が再生され、膵臓発生中に観察されたことに類似していました。β細胞は血中糖分を検出し、血糖値が高くなり過ぎるとインスリンを分泌します。膵臓機能の修復以外にも、糖尿病の症状が快方に向かいました。インスリンの分泌とグルコースのホメオスタシスは、1型と2型糖尿病モデルともに復活しました。ロンゴ氏によると:

「マウスを極限的状態に追いやり、元の状態に戻したことによって、機能しなくなっていた膵臓細胞の一部が再生されるという一種の発生過程的再プログラミングが可能になった。

医学的にこれらの事実は - 少なくともマウスモデルでは - 食生活を利用して糖尿病を回復させられるので、有望です。科学的に、これらの事実はおそらく、食生活を利用して遺伝子変性を起こさずに細胞を再プログラムできることを示したので、さらに意義が深いと思います。」

ロンゴ方式絶食模倣型食事は、カロリー摂取を一日に必要な量の75 %まで落とすのを連続5日間毎月行います。このアプローチは小食ルールを守り続ける率を大幅に高めます。多くの人は水だけの5日絶食にはついていけそうもないからです。5日間のカロリー制限中、炭水化物が僅か、タンパク質が少量、健康的脂肪が多い食品を選ぶことが肝要です。

月のその他の期間は自由に食べるのです。目的は絶食と飢餓の期間を模倣することです。しかし、簡単にできそうに思えますが、ロンゴ博士はこの特殊な食生活は一般に考えられるよりはるかに高度な方法なので、医学的ガイダンスを受けるのが最適であると指摘します。さらに詳しく絶食模倣型食生活を知るには私が2017年に行ったロンゴ氏とのインタビューをご参照ください。

オートファジーを活性化するその他の方法

周期的運動 — 一日おきに30分の高強度インターバルトレーニング筋力トレーニング。運動による急激なストレスが絶食と同じような方法でオートファジーを促します。

オートファジーを活性化する食品を食べる — ホイッテルさんはその著作の中で、オートファジーを活性化しやすい140種類の食品を取り上げています — 柑橘ベルガモットティー、緑茶タメリック等。

適切な食生活とサプリメントによるプロテインキナーゼ活性化アデノシン一リン酸(AMPK)の活性化 — AMPKはミトコンドリアのオートファジー(ミトファジー)とミトコンドリアの生合成、さらにインスリン、レプチン、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)、インスリン様成長因子-1、増殖因子活性化受容体ガンマ補助活性化因子1アルファというその他の5つの必須経路を刺激する酵素です。

さらに、神経成長因子も増やし、パーキンソン病につながるような酸化ストレスからも保護します。加齢に伴いAMPKは自然に減ります。不健康な脂肪が多すぎ、健康的脂肪やフラボノイド(抗酸化物質)が不足がちな食生活もAMPKの活性を阻害します。インスリン抵抗性もAMPKを大きく阻害します。

適切な食生活によってこの酵素を活性化させ続けるのが、健康的オートファジーを継続するために必須の要因です。AMPKを活性化し — これによりミトファジーとミトコンドリア生合成を促す — 二種類のサプリメントは、ピロロキノリンキノン(PQQ)とベルベリンです。これらのサプリメントはミトコンドリアの機能と健康にもメリットがあります。

オートファジーを起こす — 健康改善と病気予防の簡単な方法

健康は正常な細胞機能に依存するので、オートファジーを始めるのが重要であり、神経変性疾患やがん等の病気予防のため大いに役立ちます。オートファジーせずにいると、細胞は実際に毒素や残骸でいっぱいになり、機能障害がひとたび始まる、あるいは細胞が死ぬと、身体がこうした細胞を効率的に浄化できなくなり、問題が悪くなるばかりです。

オートファジーの最適化は簡単にできるのでよいことです。絶食が最も効率的ですが、運動や特定の食品およびサプリメントを補完するのも有用です。本気で取り組みたいなら、これらの方法をすべて試すとよいです。