この色彩豊かなスパイスは不安と抑うつ対策になります

Fact Checked(事実確認)
抑うつ と 不安 に効く サフラン

早分かり -

  • 香辛料サフランは抑うつ、記憶力喪失、不安、月経前症候群、慢性誘発性ストレスによる空間的学習障害、肝臓がん等の病気に効きます
  • サフランの有効成分には痙攣防止、抗炎症、抗腫瘍の効果があるほか、フリーラジカルを解消する機能もあることが研究からわかりました
  • 重篤なうつ病や軽度から中程度の抑うつに関する研究でサフランは抗うつ薬と同じ効果があることがわかりました
  • 抗うつ薬と同じくサフランはドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンの再吸収を阻止すると考えられます
  • サフランは高齢者や冠動脈疾患患者でも抗うつ薬より副作用がありません
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Dr. Mercolaより

紫クロッカスの花の柱頭から取るサフランは地球上で最も好奇心をそそる植物の一つです。一年に一回だけ花が咲き、咲いても柱頭が3つしかできず、重量当たりで世界で最も高価なスパイスの一つです。サフランを1ポンド約454g作るのに170,000個もの花が必要です。

サフランの主な生産地はイランですが、アフガニスタンやイタリア、モロッコ、スペイン、オランダ、米国でも栽培され、機械で収穫せず手摘みなのでさらに原価が高いです。

サフランには癒しの効果があるので古代から人気があるハーブです。王様、女王、ファラオ、僧侶は食事や飲み物、入浴にまた、祈祷の際や寝床の香りとしてもサフランを利用していました。中世に、サフランは大いに称賛され、混ぜ物のサフランを売ると投獄され、重罪に処されました。

サフランは効果なので、料理では「微量でもよい効果がある」ことを心得ておくとよいです。ほとんどのレシピで、糸状の浸したものや乾燥させたもの、あるいは擂ったサフランを一つまみだけでも大きな効果があり、糸状のままの小さじ1杯は擂ったサフラン約小さじ1/8に匹敵します。料理以外にも、サフランにはいくつもの健康のメリットがあります。

多くの健康のメリットがあるサフラン

サフランは抑うつ、記憶力減退、不安、月経前症候群、慢性誘発性ストレスによる空間的学習障害、肝臓がんの治療に効果があることが科学研究によりすでにわかっています。

研究によると、その有効成分には痙攣防止、抗うつ、抗炎症と抗腫瘍の作用があり、フリーラジカルを解消します。歴史的に、サフランは腎結石の痛みや胃痛を治すために利用されてきました。

2013年にPharmaceutical Biologyに掲載されたある研究は、サフランの抗がん効果を調べました。現在のサフラン研究を検討して、その研究者らはこう述べています:

「サフランにはフリーラジカルの解消や抗腫瘍の活性がある。がんの化学的予防効果が大きいことが判明している。…最新データに基づくと、サフランは抗がん臨床検査のために有望であると考えられる。」

その研究者らは抗がん作用の源を次のように推測しています:

「…サフランには細胞DNAとRNA合成阻害効果、フリーラジカルの連鎖反応阻害効果があり、サフランエキスには自然に存在するカロテノイドをレチノールに変換させる代謝促進機能がある…

別のレポートによると、サフランにはレクチンが含まれ、サフランの抗腫瘍活性がレクチンにより仲介されているようである。…近年、Amin et al. (2011)らは、サフランが細胞拡散とアポトーシス誘発を阻止することにより、肝臓がんを阻止する大きな化学的予防効果があることを証明した。」

サフランには病気を予防する効能に加え、血液や筋肉のために重要な鉄等の重要な栄養素が含まれ、さらに、神経、筋肉、骨、心拍数に効果があるマグネシウムも含み、マンガンは血統調節を支持し、炭水化物の代謝、カルシウムの吸収を助けます。

サフランには副腎機能と腎臓機能に必要なカリウムも含まれ、脳や神経系、ホルモンに効果があるビタミンB6、免疫系を支持するビタミンCも含まれます。

サフランは抑うつと不安を解消することが研究から判明

抑うつは持続的悲観感情、自己の無価値感情、思考や集中阻害、喜びを体験できない、さらに自殺や死の思いさえ伴う重篤な異常です。

重篤なうつ病(MDD)もともなう慢性病患者は、心臓病やホルモン障害、パーキンソン病糖尿病とアルツハイマー病のリスクも高くなります。しかし一般的にすぐ処方される抗うつ薬は抑うつを解消せず、これを避けるべき深刻な理由があります。

こうした薬には体重増加、性的不能、そがれた気分、自殺願望等の副作用があります。止めにくい薬を飲みたくない人もいます。さらに、こうれらの薬は軽微から中度の抑うつに僅かに効くか効かないか程度の効果しかありません。

よい点として、サフランには抑うつとこれに頻繁に伴う不安を治す効能があることをいくつもの研究が実証してきました。23本のサフラン研究を調べた、Nutrition Reviewsに掲載されたあるメタ分析によると:

「サフランには抑うつ症状と不安症状に対して偽薬との比較試験を行った結果、大きな効能がある…サフランは抑うつと不安の症状に効果的であると考えられる。」

サフランは重篤なうつ病に有用

2017年に米国人口の推定7.1%は少なくとも一度は重篤なうつ病に罹り、その大多数に抗うつ薬が処方されました。残念ながら、多くの患者は長期的にこうした薬を続け、健康を害しました。薬を止め、サフランをMDDの治療に使うと明らかによい効果があります。Journal of Integrative Medicineに掲載されたある研究によると:

「…サフランはMDD患者の抑うつ症状治療に効く。サフランサプリメントの効能を対照群と比較研究した二つの研究では、サフランサプリメントで大きくよい効果が得られた。

抗うつ薬グループ(すなわち、フルオキセチン[プロザック]またはイミプラミン)と比較して、サフランサプリメントの効能を調べた3つの研究に関し、うつ症状は両方の以上がある参加者において大きく改善された。…このメタ分析に取り上げた臨床検査結果から、サフランは短期でMDDが治る効果的戦略であることが判明した。」

その研究者らは、MDDは重篤で難治性疾患であることを認めています:

「MDDは標準的治療(抗うつ薬等)に応答する患者が50 %に満たないように、快復が困難である。抗うつ薬に適正な応答をしない患者について、現在行われる二つの主な治療法は薬を変えることまたは薬草等の代替手法を試すことである。」

サフランを投与した被験者は予想通り、抗うつ薬イミプラミンより副作用が出ませんでした。サフランを投与された被験者は確かに頭痛や吐き気等の副作用が出ましたが、その作用はプラセボ被験者と変わりませんでした。

Journal of Affective Disordersに掲載された別の研究も、サフランには副作用がほとんどなく、抗うつ薬と同じ効能があることを指摘しています。その執筆者らによると:

「サフランとその有効成分はフルオキセチン、イミプラミン、シタロプラム[セレクサ]等現在の抗うつ薬の効能と同じ抗うつ作用があり、しかも副作用がほとんどないことがいくつもの臨床検査で実証された。」

サフランの作用は抗うつ薬の作用と同じ

Journal of Pharmacy & Bioallied Sciencesに掲載されたある研究によると、サフランの副作用は処方抗うつ薬による副作用より弱いようですが、作用機序は同じようです:

「抗うつ薬と同様に、サフランもセロトニン等特定の脳内化学物質の濃度を調節することによる抗うつ作用があり…サフランエキスはシナプスでのセロトニン再吸収を阻害するようである。シナプスでのセロトニン再吸収を阻害するので脳内にセロトニンが長く残り、抑うつを抑えつつよい効果が増す…

クロシンとサフラナール[サフランの成分]によるドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンの再吸収阻害がサフランの抗うつ作用の可能な機序であろう…

抗うつ剤として科学的根拠がある伝統的なサフランの利用は、ラットの海馬でタンパク質や脳由来神経栄養因子、神経成長因子誘発レベルを結合するcAMP応答要素をクロシンが増やすことで、抗うつ作用を及ぼすことを示す。」

Journal of Pharmacy & Bioallied Sciencesに掲載されたある研究によると、サフランは酸化ストレスに対しても効能があります:

「サフランのこれらの治療特性はクロセチン、クロシン、サフラナール等のいくつもの化合物によるものであり、これらの物質には強い抗酸化作用やフリーラジカルを解消する特性があり、いくつもの種類の反応性酸素種や炎症促進サイトカインから保護すると考えられる。」

サフランは軽微から中度の抑うつにはよい

抗うつ薬は軽微から中度の抑うつには効果がありません。しかし、サフランならこれが治ります。Planta Medicaに掲載されたあるメタ分析は、11件のサフラン二重盲検と9件の研究から得たデータを調べました:

「…サフランには[軽微から中度の]抑うつを軽くする効果がある。ランダム二重盲検比較試験から得たデータを基に、サフランはプラセボよりはるかに効果があり、試験した抗うつ薬に匹敵する。」

Human Psychopharmacologyに掲載されたあるメタ分析も、サフランで軽微から中度の抑うつが治ることを裏付けた成果を特定しました。サフランを研究してきた他の科学者らと同様、その研究の執筆者らも、サフランの効能はおそらく「セロトニン生成、抗酸化、抗炎症、神経内分泌、神経保護的作用による」としています。

6件のプラセボ比較研究でその研究者らは、「サフランには大いに治療効果があり」、「抗うつ薬と比較して同じ程度の抗うつ作用」があることを特定しました。

サフランで特定の人の抑うつが治る

高齢者や経皮的冠動脈手術を受けたことがある人等特定の患者が抑うつになると、重篤になることが多いです。サフランはこうした患者のために特によい手段です。Psychiatry Researchに掲載された高齢患者に関する研究によると:

「50歳以上のMDDの高齢患者をサフランまたはセルトラリン[ズロフト]のいずれかを投与するグループにランダムに分けて6週間連続して与えた。…抑うつ症状は時間とともに消え、サフランかセルトラリンかによる優劣はなかった…

結果パターンからして、サフランとセルトラリンともに抑うつ症状を大きく改善することができる。結果は高齢者の重篤なうつ病が健康に懸念となるので、臨床的に有意である。

サフランは合成薬剤を受けたくないと思われる高齢患者向けに強力な抗うつ剤であるため、さらに関連性が深い結果である。」

Journal of Affective Disordersに掲載されたある研究で、経皮冠動脈手術後の患者はサフランで抑うつが治りました:

「冠動脈疾患と抑うつの間には強い相関性が存在する。本研究の目的は、経皮的冠動脈手術後に抑うつに陥った患者の症状をよくするサフランとフルオキセチン[プロザック]の効能と安全性を比較することである…

研究終了点までに、二群間に大きな差は生じなかった…快復度と応答率ともに大きな差がなかった。本研究期間を一貫して副作用の頻度は二群間で大きく違いはなかった…

PCI既往歴があり抑うつに陥っていた患者においてサフランカプセルによる短期治療はフルオキセチンと同じ抗うつ効果が示された。」

明らかに、興味を惹かれる植物サフランには料理の香辛料以上に利用価値があります。今市販されている多くの向精神薬の危険性を考えると、抑うつ治療のためにサフランを利用できるのですばらしいことです。