Dr. Mercolaより
ビタミンB12は体内で作られない必須水溶性ビタミンです。すなわち食事からまたはサプリメントから摂り込むしかないのです。その他のBビタミンと同じく身体はこのビタミンを使って炭水化物をエネルギーに変換します。DNAとRNAの生産にも重要な機能をしています。
このビタミンは葉酸塩と緊密に相互作用して赤血球細胞を作り、免疫機能や気分に関わっているS-アデノシルメチオニン(SAM-e)を生産します。ビタミンB12は神経を囲い絶縁するためのミエリン鞘の保護を含む中枢神経系の維持に必須です。
このビタミンが体内でしている様々な機能、は不足および欠乏の兆候と症状に関連します。ビタミンB12欠乏は症状が一貫して出ないので、検出するのが困難なことが多いです:時には突発し、別の時にはだんだんと現れてきます。しかし、処置せずにいると回復しなくなる神経損傷やその他の異常が出てきます。
このビタミンはコバラミンとも呼び、ホモシステインの代謝で重要な機能をしています。ホモシステイン濃度が上がると、心臓病や骨粗鬆症、抑うつのリスク要因になるので、B12不足によりこれらの病気のリスクが高くなります。
母体にビタミンB12が不足していると妊娠期に神経管の異常リスクが高くなります。子供の場合不足していると成人してから2型糖尿病や代謝異常が発生しやすい体質になります。欠乏している人の数は推計しにくいのですが、多くの専門家は全人口の20%から40%に不足していると考えています。
目は心の窓、そしてビタミンB12欠乏の兆候も教えてくれます。欠乏による影響の一つは巨赤芽球性貧血という血液の病気です。このビタミンが欠乏していると骨髄が未熟な血液細胞を吐き出し始め、これでは全身にじゅうぶん酸素を送れなくなります。結果は倦怠感や蒼白な皮膚です。
巨赤芽球性貧血の最もよくある二つの原因はビタミンB12または葉酸塩(ビタミンB9)の欠乏です。両者とも赤血球細胞の生産に必須の機能をします。その他の症状には、呼吸困難、筋肉の弱化、食欲不振や吐き気等の胃腸症状があります。
巨赤芽球性貧血症の人は皮膚や目が若干黄色くなる黄疸も起きます。ビタミンB12欠乏の人のなかには目のひきつけや瞼のけいれんを訴える人がいます。しかし、これらの症状はアレルギーやお酒の飲みすぎとも関わっている場合があり、大きな構図の中で捉える必要があります。
欠乏による視神経損傷は稀にある合併症で、視力に影響し、無痛の視力喪失を特徴とする視神経疾患につながります。これはビタミンB12の点滴でよくなりますが、潜在的には経口の葉酸サプリメントを個々の症例に応じて投与することも可能です。
欠乏のはっきりわかる兆候が出ていない限り、たいていの医者はビタミンB12濃度を検査しません。検査したとしても、米国の血清中基準値は最適値からほど遠く少ないです。米国では標準ビタミンB12濃度が160 pg/mLから950 pg/mLとなっています。しかし個人別の必要量は異なり、欠乏症状は「正常」範囲でも出ます。
血中B12濃度は結合タンパク質の有無に応じて異なります。血清検査のなかにはコバラミンの不活性形態を特定するものがあり、活性形態の欠乏が見えません。血液検査しか参考にしない医者は、欠乏レベルを50%も過小評価しがちです。
研究者らは、欠乏状態をホモシステインの測定を含む代謝生成物の測定によったり、ホロトランスコバラミンに結合しているコバラミンのレベルによって評価するよう勧めます。後者のほうがこのビタミンの活性形態をより正確に表します。
ビタミンB12は肝臓に貯蔵されていることもあります。従って、必須ビタミンですが、身体に使用可能な備蓄ビタミンが数か月分はある勘定になります。
欠乏の症状はだんだんに出ることもあれば、急に出ることもあります。不足すると神経精神的障害、貧血、もやもや感、筋肉の弱体化、舌の腫れや炎症、さらにこの異常の特徴である倦怠感につながります。
不足を処置しないでおくと、死亡することもあるほか、重篤な持続的神経病や血液障害が起きます。臨床的症状は正常な血清中濃度でも出るので、ビタミンB12欠乏の診断には血液検査を伴う完全な病歴と身体検査が必要です。さらに、葉酸塩の欠乏も頻繁に並行して出るので、この評価も重要です。
ビタミンB12欠乏になりやすい要因は食生活と吸収のされ方に関連します。肉や肉の副産物は活性形態と生体利用能ともにあるビタミンB12の唯一の食品なので、厳密な菜食主義の人は欠乏リスクが最も高いです。
40本の研究を検討したあるレビューで、研究者らはほぼ例外なく、欠乏が最も蔓延しているのは菜食の最も厳格な形態であるベーガン実践者であることをデータが示すことを特定しました。さらに、その他の種類の菜食主義者でも一般人より欠乏が蔓延していることを特定しました。
高齢者は食品からビタミンを吸収するために必要な胃酸が少ないことが多いので、高齢者によく見られます。ビタミンB12欠乏リスクが高くなるその他の異常やライフスタイル:
糖尿病
HIV
減量手術
長期的制酸剤
クローン病、膵臓病、ピロリ菌感染等栄養素の吸収を減らす異常
メトフォルミンやプロトンポンプ阻害薬等の薬
食餌の異常
毎日4杯を超えてコーヒーを飲む習慣
B12は肝臓に貯蔵されるので、アルコールの日常的消費
一酸化窒素(笑気)への暴露
腸毒素症
悪性貧血
米国では1億人以上が前期糖尿病または糖尿病になっています。 CDCによる最近の報告書で、新規に診断された症例の半数以上は45歳から64歳に発生しており、「糖尿病の成人の約16%が喫煙者、約90%が体重過剰、40%超が肉体的に不活発な人であった。」
メトフォルミンは糖尿病の治療に使用されてきた人気のある薬の一つでした。2017年はこの薬の60周年でしたが、体内での作用機序はまだ解明されていません。この薬は肝臓内のグルコース生産を意味する糖新生を阻害しますが、その機序はいまだにわかっていません。
しかし、使途に従い数年間この薬を使用するとビタミンB12欠乏と貧血のリスクが高くなります。5年程度の長期服用でビタミンB12欠乏になり、B12不足の患者における神経障害も蔓延していました。
この薬はがんリスクの低下や長寿、ある程度の減量効果とも関連付けられてきましたが、これこそ長寿のためにこの薬を使用するシリコンバレートレンドの背景にある推進要因の一つのようです。もう一つの要因は、2014年のある研究で、研究者らが単剤療法としてメトフォルミンを使用する人が、糖尿病ではない対照群より長生きしたことを実証しました。
しかし、同じ効果をこの薬の副作用なく享受できます。
ビタミンB12の主なソースは肉、鶏、魚ですが、肉を食べる人でさえ欠乏することがあります。ひどい不足状態はタンパク質結合を分解するために十分な胃酸がないことによる吸収不良に関連する場合があります。
研究者らは、制酸剤の普及が、特に胃酸不足は想像しにく若い人の間で大きな要因になっていると考えています。これに加え、密閉式給餌経営(CAFO農場)産の家畜は野放しの家畜ほどにはB12が無く、欠乏リスクが高いです。
密閉式給餌経営(CAFO農場)産の家畜は消化系のために自然な餌を得ていないので、B12をあまり生産できません。今日、牛はほとんど穀物やトウモロコシで飼育されており、これらの餌はほとんど遺伝子操作品であるほか除草剤や残留農薬で汚染されています。自然なら昆虫や幼虫、種子を食べる鶏もトウモロコシを与えられています。
ビタミンB12は動物の腸内細菌が作ります。これらの細菌は土中や動物の腸内に生きています。CAFO産の家畜は土壌に触れないので腸内細菌が欠乏しています。農薬や除草剤も土中の細菌を殺すので、従来農法の穀物ではB12を摂ることはできません。
以上の全要因に加え、家畜は腸内の善玉菌を全滅する抗生物質を常に与えられています。モアハウス医学校コミュニティー健康予防医学部ジェニファー・ルーキ助教授によると:
「肉をB12のソースとして維持するため、食肉産業は今や餌に添加している。世界のB12サプリメント生産量の90 %が家畜に与えられている。草を食べた有機の肉のみ食べていても、動物性タンパク質に付属しているB12を吸収できないことが多い。動物を食べずにサプリメントで直接B12を摂り込むほうが能率がよいであろう。」
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