鼓腸の解消法

鼓腸

早分かり -

  • 鼓腸や膨満感はお腹が張った感覚になるよくある異常で、ときどき普段のお腹より大きく感じたり、実際大きくなっているのが目に見えることがあり、不快感や痛みにつながります
  • 回復を早めたり胃の膨満感で起きる痛みや不快感を解消するための短期的と長期的方法として、散歩、ヨガ、お腹のマッサージ、お風呂で温まる、軽く運動することができます
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

鼓腸とは何か?

ジョンズホプキンズ医学部によると、鼓腸や膨満感はお腹がきつく感じ、普通のお腹のサイズより拡張した感じや、実際大きくなってるのが目に見えるほどのよくある状態です。鼓腸すると不快感や痛みにつながり、生活の質に影響します。

鼓腸の解消法

何か病気でもない限り、胃の膨満感は数時間で治ります。回復を早めたり胃の膨満感で起きる痛みや不快感から解放されるる短期的と長期的方法があるのもよいことです。

散歩 — 歩くと身体が直立姿勢を継続するのでお腹のガスが腸を通りやすくなります。これで膨満感が減ります。

ヨガ — ヨガの姿勢や呼吸法によりお腹の筋肉が伸び、消化系を刺激して鼓腸や膨満感から解放されます。Reader's Digestによると、鼓腸解消のためにお勧めのヨガ姿勢には下向き犬のポーズ、上向き犬のポーズ、膝を胸に着ける、子供の姿勢、前屈が特によいようです。

お腹をマッサージ — お腹をマッサージすると腸の動きをよくし、鼓腸にともなうきつい感じや膨満感、痛みが解消されます。このマッサージは次の手順で自分で行えます:

  1. 片手を右股関節より少し上に置き、上へ撫でていき右肋骨の下まで、円形を描きながら軽く押し続けます。
  2. 円形に擦る動きを続けて、手をゆっくりとお腹の上部を左肋骨の方へ進めます。
  3. 左肋骨から手を左股関節へ向かって降ろし、お臍まで上げます。
  4. 常に時計方向に必要に応じてこの動きを反復します。各部を少なくとも一分マッサージしてから次の部分に進みます。

お風呂で温まる — お湯の熱で胃の膨満感による痛みから解放されやすくなります。鼓腸の原因であるストレスも軽くなります。

炭酸飲料ではなく水を飲む — 炭酸飲料の泡は胃の中の気体を増やし膨満感がさらに増えるので、水を飲んだほうがよいです。水なら鼓腸の原因にもなっている便秘解消によいです。

軽く運動する — American Journal of Gastroenterologyに掲載されたある研究によると、軽く運動すると腸内のガスが溜まりにくくなります。

プロバイオティクスを食べる — プロバイオティクスのサプリメントを食べれば腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが回復して消火がよくなります。

繊維質を増やす — 不溶性繊維質は便のかさを増し、腸内を通過しやすくなり、早く健康的に排出できるようになります。また、不溶性繊維質は腸内の善玉菌を増やし、適正な消化を促します。

チューインガムを止める — チューインガムで空気を飲む込むので、症状が悪化します。

食生活から人工甘味料を無くす — 人工甘味料は胃の中で消化されにくく、腸内にガスが溜まりやすくなります。

ナトリウムを適量にする — 加工食品ばかり食べる人は、ナトリウムが多い傾向にあるので、これが体内に液体を多く保持させ、鼓腸や膨満感につながります。

代謝のためにナトリウムは必須なので、食事から抜く必要はありませんが、鼓腸や膨満感があるときは特に、ナトリウムの消費を減らすほうがよく、これで症状が軽くなり、悪くなりません。

  • カリウムを増やす — カリウムが豊富な物を食べるのはナトリウムが多い食事の影響を打ち消す一つの方法です。ナトリウムの5倍のカリウムを摂り込むように私はお勧めしています。この栄養素はスイスチャードやアボカド、ビート等種類豊富な野菜に含まれます。
  • ストレスを軽くする — ストレスは鼓腸を悪化させ、他の消化の異常にもつながります。ストレス解消法には感情解放テクニック(EFT)、瞑想、自然の中で過ごす、音楽を聞く、アロマセラピーが挙げられます。

自宅でできる12の自然な鼓腸解消法

胃の膨満感を解消するのによい自然な自宅でできる方法を以下にご説明します:

レモン水 — レモン水を飲むと消化が促されます。利尿効果がもあるので、体内のナトリウム濃度を正常に戻し、保持される液体が減ります。

発酵食品 — 発酵食品(ザウアークラウトやキムチ等)は腸内フローラと消化をよくする善玉菌の宝庫です。

有機のヨーグルト — 発酵食品と同様、ヨーグルトも腸に善玉菌を追加するので、消化がよくなり、炎症防止や腹腔のガス発生防止によいです。

ティー — 熱いペパーミントティーやカモミールティーを飲むと胃腸(GI)管が安らぎ、消化がよくなり鼓腸や膨満感が解消されやすくなります。その他にもショウガやウイキョウ、緑茶といったティーも鼓腸を解消します。

サイリウム — サイリウムの繊維質は過敏性腸症候群(IBS)の症状を緩和するのによいことを示した研究があり、この症状の一つに鼓腸や膨満感があります。

ショウガ — World Journal of Gastroenterologyに掲載されたある研究によると。ショウガは胃を空にし、腔の収縮を促すことで膨満感や鼓腸の解消によいです。

リンゴ酢 — 胃の膨満感が胃液逆流(しばしば胃液不足が原因)によるものなら、有機の生リンゴ酢小さじ1杯を水1カップに入れて飲むと胃のpHが中和されるので症状が和らぎます。

アボカド— 便秘が原因の鼓腸を緩和する繊維質が豊富なほかにも、カリウムが豊富で、ナトリウム濃度が高いための水保持量を減らす効果があります。

きゅうり — この野菜には水と繊維質が含まれ、どちらも消化促進のために必要です。きゅうりは炎症の緩和、胃酸逆流、ストレス解消にも効き、これらはすべて鼓腸や膨満感の原因になります。

アスパラガス — 水分の保持を減らすのによい利尿効果が若干あるほかにも、アスパラガスは繊維質が豊富で、食物が消化管の中を早く通過するのに効き、鼓腸を予防します。

パパイヤ — パパインというパパイヤの酵素は胃腸内でたんぱく質の分解を促し、消化がよくなります。パパイヤは抗炎症効果もあり、胃腸の炎症を緩和し、消化を促します。

セロリー — Iranian Red Crescent Medical Journalに掲載されたある研究によると、セロリーは胃の中のガス発生を緩和する伝統的ハーブの一つです。セロリーは利尿効果もあるので水分の保持量を減らすのにも効きます。

以上の自然な療法は重症以外の鼓腸に従来利用されてきましたが、時間が経っても悪化したり、1日や2日で解消しない場合は特に、食品の不耐性や食べ過ぎより重大な問題がありうるので、診察を受けるほうがよいです。

鼓腸の原因

胃の膨満感が食物に関連していない場合、以下の異常が考えられます:

腸内のガス蓄積 — お腹にガスが溜まるのは鼓腸の最もよくある原因です。これは大腸細菌が食品を代謝することで起きることが多いです。腸内のガスは胃腸管内の化学反応や飲食中に空気をいっしょに飲み込むことでも起きます。

消化不良 — 胃腸症とか胃のもたれとも呼ばれる消化不良は胃の辺りの不快感を指す一般的表現です。原因は過食、喫煙、不安、消化の異常が挙げられます。消化不良による鼓腸には吐き気や嘔吐、げっぷ、腹部の焼け付き感を伴うこともあります。

感染 — ピロリ菌(H. pylori)や大腸菌等の細菌、さらにロタウィルス、ノロウィルス等のウィルスが原因の感染症は鼓腸や膨満感につながり、下痢、嘔吐、吐き気、胃痛がともなうこともあります。

小腸細菌の過剰増殖(SIBO) — 小腸に異常に細菌が発生するのが特徴の異常です。代謝異常があったりIBSの人に起きやすいです。鼓腸のほか、慢性下痢、体重減少、さらに小腸のバクテリアの過剰増殖があれば吸収性も悪くなります。

液体の保持 — 鼓腸は水や液体の保持が原因の場合があります。これは食事でナトリウムを摂りすぎたり、座ってばかりのライフスタイルが原因で起きることが多いです。女性の中には生理直前にホルモン変動が原因で起きる人もいます。

食物不耐性 — 胃が特定の食物を消化しにくいときに起きる異常です。鼓腸や膨満感を含むその症状は通常食後数時間で出ます。食物不耐性のよくある原因は乳製品、麦、グルテンです。特定の食品への過敏性が原因の鼓腸には腹痛や下痢がともなうことが多いです。

便秘 — 便秘すると便が大腸に長時間滞留するので、細菌が発酵する時間が多くなります。細菌が発酵すると副産物としてガスを発生し、これが腹腔に溜まると鼓腸が起きます。便秘が原因で起きうるその他の症状には腸運動の減少や小さく硬い大便があります。

婦人病 — 子宮や卵巣に異常がある警告として鼓腸は起きることがあります。

過敏性腸症候群(IBS) — これは消化不良、腸の過敏な神経、ストレスが原因です。鼓腸以外にも、下痢や便秘もありうるほか、失禁、ガスが溜まる、吐き気、体力減退も起きます。

胃麻痺(軽症胃アトニー) — 胃の筋肉の衰弱が特徴の障害であり、食物が胃腸を異常に遅く通過します。胃麻痺にはこのほかにも便秘、食欲不振、吐き気、嘔吐があります。

稀に、腸閉塞や肝臓病、胆嚢病、消化管のがん、生殖器のがんなど生命に危険がある病気があっても鼓腸は起きることがあります。

6 鼓腸を起こしやすい食物

鼓腸が起きやすい食物は胃が消化しにくい物で、胃腸管に長時間とどまり、ガスを発生する細菌による代謝で起きます。膨満感や鼓腸が起きやすい食品の例:

豆、莢豆

加工食品

炭酸飲料

酒類

麦、ライムギ、大麦等の全粒食品

キシリトール、マニトール、ソルビトール等の人工甘味料

繊維が多い食品はよく鼓腸を起こしやすいです。しかし繊維質そのものが鼓腸を起こすのではなく、一回の食事の量と胃の繊維質に対する慣れ具合によります。

普段あまり繊維質の多い物を食べない人は、一回に多く食べると消化系に無理が掛かり、鼓腸につながります。胃の膨満感が起きにくくなる場合よくもあるので繊維質が豊富な食品を食べるよい点です。

鼓腸の予防法

胃の膨満感が起きにくくなるいくつかの方法:

よく噛んで食べる よく噛まずに食べると胃腸は効率よく分解できず、未消化状態で小腸に入ります。このため胃腸に負担が大きくなるだけではなく、小腸に細菌が増加します。

消化を最適にし、ガスを発生する大腸内の細菌を減らすには、食物をよく噛んで食べましょう。一回に口に入れる量を少な目に、ゆっくり確実に咀嚼し、食物が口の中で液状になるか質感がなくなるまでよく噛みます。次の一口を入れる前に噛んだ食品を完全に飲み込むこと。噛んでいるときに話さないこと。話すと空気を飲み込みます。

少量の食事にする — 一日三食たっぷり食べず、数回少量を食べると消化がよくなります。

食物不耐性の識別 — 食事日記を付けて何を飲み食いしているかを記録しましょう。こうすると敏感な食品を見極めやすくなります。

アルコールを飲まない — アルコール飲料は胃腸の内壁を炎症させ、刺激するので、鼓腸につながります。

絶煙 Scandinavian Journal of Gastroenterologyに掲載されたある研究によると、喫煙は鼓腸の原因であるほか、他の胃腸系の異常例えば便秘や胃痛も起こすので喫煙を止めましょう。

加工食品を避ける — チップや缶詰等の加工食品には大量の工業塩が含まれ、ナトリウムを摂りすぎる一方、カリウムは不足しがちになります。

食生活に繊維質が豊富な食材を増やす — 胃がまだ繊維質が豊富な食品に慣れていないときに繊維質が豊富な食品を多く食べると鼓腸や膨満感につながりやすいので、だんだんと量を増やしていきましょう。

発酵性オリゴ糖やジサッカライド、単価糖、ポリオール類(FODMAP)が少ない食生活をする — 低FODMAP食生活は大腸内細菌の餌になるプレバイオティクスが多い野菜や果物が非常に少ないです。この食生活をすると、鼓腸がとてもよく解消され、腹痛やガス充満などその他のIBS症状も解消しやすくなります。

鼓腸や膨満感対策として市販薬(OTC)は必要か?

鼓腸のためのOTC薬には数種類あり、下剤、シメチコン、次サリチル酸ビスマス(ペプトビスモールのほうがよく知られる名前)を含みます。しかし、鼓腸解消のために薬に頼る前に副作用に注意すべきです。

下剤は大腸の収縮能力を減らし、実際に大腸の神経、筋肉や組織を損傷するので、とにかく避けること(可能な限り)を私は勧めています。シメチコンとなると下痢や吐き気、嘔吐、さらに頭痛も起きる一方、次サリチル酸ビスマスは脱水症状に悪化しうる嘔吐や下痢の持続につながることがあります。

+ 出典および参考資料