Dr. Mercolaより
ウコン独特のスパイシーな風味が好きな人にとって、クルクミンという有効成分にいくつもの健康へのメリットがあることは改めて新たな発見であることでしょう。最近確認されたことは、ある研究からこの強力な化合物を心不全患者に試した際に明らかになりました。
米国では約600万人に生じる心不全は心臓を弱くし、十分な酸素を送り出す能力を減らします。患者はかつてできたような活動や運動ができなくなり、人生を変えるほどの状態になります。
バランスのよい健康的食生活や日常的運動などライフスタイルを変えると倦怠感が減り、日常生活を大きく元の状態に回復させるほどの効果はありますが、心不全は、慢性や進行性、不治とも言える病気です。
Journal of Applied Physiologyに掲載された研究によると、クルクミンは骨格筋の力、持久力、運動能力を高めることで慢性心不全患者を助けます。その研究はマウス実験でしたが、治療中の人間の患者にもおそらく適用可能であると期待されています。
ウコンは健康によい化合物を含むもう一つのスパイス、ショウガの仲間です。このことを銘記しておきつつ、以下のネブラスカ大学医療センター(UNMC)の細胞生理学・統合生理学リエ・ガオ助教授(対応する研究の執筆者)によると:
「この研究には、原理が証明されたという意義がある。ブロッコリやウコン等一部の食品おおび香辛料は抗酸化物質が豊富に含まれる。これらの食品および香辛料を食べると骨格筋の健康改善につながる。運動能力が制約を受けている安定期の心不全患者にこのような化合物は効く。」
興味深いことは、かつての研究で抗酸化物質を骨格筋を標的として利用すると、心不全患者に有利な効果があることは示されていましたが、ガオ助教授は、大量に摂り込む必要があるので人間にはクルクミンを利用しても効果がないとしています。
ガオさんは多発性硬化症の治療に現在人気がある薬フマル酸ジメチルに健康改善の効能があるので利用しうるとしています。しかし、クルクミンは釈明不要に調達して薬に加工しうる、ニンジンから煙草までに含まれる数百種類の植物栄養素の一つです。
ウコンの地下茎から取れるクルクミンとは、カレーの明るい黄色を出す色素で、ウコンが野菜とご飯、炒り玉子の揚げ物や炒め物、ケールやコラード等の蒸した葉を補い、色を添えるのに利用されている成分であるのはこのためです。
The Guardianによると、ごく近年になってから、このスパイスに関する研究は指数的に増加し、「追従するカルト」があるほどと言われるほどになりました。クルクミンはスムージーや流行のウコンラッテゴールデンミルクという有機ウコンパウダーとココナッツミルクまたはバージンココナッツオイルの効能が高い混合物等の食品に利用されるようになりました。
これにはバニラや生のハチミツ、ステビア、しょうがやシナモン等、さらに健康的な黒コショウや白コショウで風味を加えることもできます。これにギーを添加するとのど荒れが和らぎます。
実際に、ゴールデンミルクに黒コショウを入れると効果的なことは、「クルクミノイド・ピペリンの混合物」を利用すると酸化ストレスと炎症ともにある117人のメタボリックシンドローム症の被験者が回復したことを示したある研究が裏付けています。その研究のランダム対照化試験とメタ分析の解析によると、たとえ短期間でもクルクミンのサプリメントを使うと、酸化ストレスと炎症が大きく減りました。
インドではウコンを「命のスパイス」と呼ぶことはうなづけます。ゴールデンミルクは秋の肌寒い晩に心地よく温まる飲み物としてだけではなく、不眠症にもよいので、人気が上昇しています。さらに、クルクミンは安全で効果的、天然の物質です。
いくつもの研究は、クルクミン(Curcuma longa)の抗炎症性を示しており、160種類以上の生理的、細胞シグナリング経路に寄与し、関節痛、がん、肥満、炎症性腸炎、近年ではメタボリックシンドロームや認知症にも効くことが示されました。
2018年央のある研究で、テキサスA&Mの科学者らは、「ニューロン生成の大幅な低下、慢性軽症炎症、酸化ストレス増加さらに海馬のミトコンドリア機能障害が特徴の湾岸戦争病(GWI)に苦しむ服役軍人の治療を行いました。GWIにしたラットを使った動物実験で、クルクミン(CUR)で治療したら記憶力と気分の機能が改善しました。さらに:
「ミトコンドリアの呼吸正常化にともなうニューロン生成の増加、炎症および酸化ストレスの抑制がCUR治療を利用した記憶力と気分調節機能の改善に寄与した基本条件であると思われる。」
クルクミンを利用したのは、脳の健康のうちいくつかの側面によい効果があることが以前から確認されていたからであると、その科学者らは報告しています。研究に使用したラットを普及している虫よけ材DEET(N-ジエチル-m-トルアミド)のほか、ピリドスチグミン臭化物、ペルメトリン等GWIに関連する化学物質を少量投与しました。さらに、28日間毎日5分行動制限もしました。
さらに近年になってから別の研究が、慢性神経痛とこれに伴う認知障害が、クルクミンによる抗侵害受容性(痛みの刺激に対する感度減少)と神経保護効果で治療できることを、コブラの毒に暴露させたラットを使って実証しました。
興味深いことは、海馬のニューロンおよびシナプスの障害を回復させるクルクミンの効能のおかげで、ラットの空間学習能力と記憶力がよくなったほかにも、探索行動が増えました。クルクミンは「痛みを抑え、空間学習能力と記憶力を高め、慢性神経疾患による痛みで誘発された認知障害の治療に使える」ことを、科学者らは結論しました。
クルクミンの抗炎症効果と抗酸化力による記憶力と気分改善は、UCLAが18カ月のプラセボ対照二重盲検結果をAmerican Journal of Geriatric Psychologyに公表したことで再確認されました。この実験では生体利用能がある形態のクルクミンを一日二回90 mgずつ投与したら「軽度の記憶障害がある人の記憶力や注意力がおおいに改善」しました。
クルクミンは、クルクミンを含む食品を豊富に食べる日常食生活をしているインドの高齢者にはアルツハイマー病が少なく、認知力が強い理由の説明要因として示されました。さらに、その研究は、「結論からすると、この比較的安全な種類のクルクミンは長年使用するうちに有意な認知力増強につながりうることを示す」としています。
その研究の主執筆者で同大学のセメル神経科学人間行動学研究所ゲリー・モール所長は、クルクミンによる脳への効能のメカニズムはまだ確定的には解明されていないけれども、重症のうつ病とアルツハイマー病に関連する脳の炎症を予防すると考えられるとしています。
認知症が無い人とアルツハイマー病に特徴的な「顕微鏡レベルのプラークともつれ」がある有る人を含む40人の51歳から84歳の被験者が参加しました。研究開始時とその後六カ月おきに標準的認知評価を行い、被験者のクルクミン血中濃度を18カ月後に検査しました。さらに:
「30人の被験者の脳を研究開始時と18カ月後に陽電子放射断層撮影(PET)スキャンで検査し、アミロイドとタウの蓄積度を判定した。クルクミンを投与した人は記憶力も注意力も大きく改善したが、プラセボを受けた被験者は改善しなかった…
18カ月後に記憶力テストでクルクミンを投与された人は28 %改善した。クルクミングループはさらに、気分も若干よくなり、脳のPETスキャンからはプラセボグループより偏桃体と視床下部においてアミロイドとタウのシグナルが大幅に減少していた。」
いくつかの記憶力と感情的機能の中枢であり、クルクミンの効能を受けた被験者の偏桃体と視床下部は脳の基幹部位と定義されました。
米国心臓学会の脳卒中国際会議で発表された別の研究で、クルクミンは「脳発作」と呼ばれた脳卒中(動脈や血管が血栓により閉塞し血流を遮断して脳細胞死を誘発し、時には脳損傷や死に至る)による損傷を修復することを発見しました。
脳卒中の症状には平衡感覚損失による歩行不能や、急激な頭の激痛、視力低下、衰弱がよく身体の片側に発生したり、急激な混同が挙げられます。脳への酸素供給が断たれている時間が長いほど損傷が長期化するリスクが高くなることを把握しておきましょう。
脳卒中に使用する血栓溶解剤は現在最もよく使用される薬ですが、クルクミンハイブリッドCNB-001に匹敵する合成物質であり、酸欠による分子レベルの持続的損傷を修復します。
CNB-001は血液脳関門を通過するほか、脳細胞再生メカニズムに効果を発揮し、脳卒中患者は完治する望みを得られます。
これは、脳卒中のよくある破壊的帰結を防止し、救命にもなる薬の投与タイミングが重要であることを示す具体例です。ついでに、医療介入措置は発生から60分以内でないと脳卒中の損傷を防止できません。
クルクミンは最も強力な化学予防的抗ガン剤の一つとして知られており、PubChemによると傷を治し、抗菌力があるほか、代謝酵素にいくつもの薬理学的効能と疎外効果があり、さらに、こう説明されています:
「クルクミンは反応性酸素種の発生を阻止し、シクロオキシゲナーゼ(COX)その他の炎症に関与する酵素を阻害する抗炎症特性があり、プロテインキナーゼCの疎外を含むさまざまなメカニズムによる細胞シグナル伝達を阻害する。
こうした効能は、がんの動物モデルにおいて、腫瘍細胞の転移阻害や化学物質で誘発される発がんおよび腫瘍増殖の阻止を含む抗悪性腫瘍活性が確認されているこの物質において主な機能をしている。」
この研究は、クルクミンはがん転移と細胞死(アポトーシス(プログラムされた細胞死)を防止する機能があり、皮膚、大腸、胃のがんに対し化学予防物質として作用することも示しました。動物モデルを使ったその他の研究では、乳がん、脳、食道、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺のがんその他諸々の悪性腫瘍に対する効能が挙がっています。
注目できる点はクルクミンの有効成分は健康な細胞に触れずにがんを攻撃することです。病気の予防のために、ウコンは粉体として入手できますが、これではクルクミン濃度が約3 %しかなく、クルクミンの有効成分が少なすぎます。
2013年のある研究によると、クルクミンは胃腸から吸収されにくいので、高品質の生態利用能が高いクルクミンエキスを利用するほうが効果的です。典型的な抗がん効果のある用量は毎日三回から四回小さじ1のクルクミンエキスを飲むことです。
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脳卒中からの最適な回復方法
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