睡眠の質を高める栄養素とサプリメント

睡眠 の 質 を 高める 栄養素 と サプリメント

早分かり -

  • サプリメントを含め、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンB12欠乏等特定の栄養素の欠乏を解決して睡眠を改善する方法はいくつもあります。これらはすべて睡眠の質に影響します
  • マグネシウム、カリウム、カルシウムを含む特定のミネラルも睡眠のために欠かせません
  • 睡眠のために必須でサプリメントで増やせるアミノ酸やホルモンにはトリプトファンやメラトニン、5-HTPがあります
  • 寝つきがよくなるハーブ系の睡眠補助剤にはCBDオイル、カノコソウの根、カモミールがあります
  • 睡眠障害につながる見過ごされがちな二つの環境要因 — ブルーライトと電磁波 — も対策の対象です
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Dr. Mercolaより

健康で長生きしたいなら睡眠を最優先してください。米国の成人の少なくとも半数以上が持つ慢性病と闘う人にとって、睡眠は異常に寄与しうるだけではなく、異常の対策として自分が行う健康的なライフスタイル戦略にも逆効果があるので、睡眠を最優先することは重要です。

一般的なガイドラインとしては、毎晩約8時間前後は寝るように心がけましょう。(成人の場合)7時間未満の睡眠ではいずれ健康に影響が出ます。この記事の主な焦点である栄養素を含む睡眠改善方法はいくつもあることは有利な点です。長期的に睡眠薬に依存することはお勧めできませんが、特定のサプリメントなら睡眠が改善され、永続しうる変化を実行に移しているときに利用することができます。

いくつものビタミン、ミネラル、アミノ酸、ホルモンも睡眠の質のために必須で、もともと睡眠の質がよくないときに一つでも不足すると問題になります。最後にブルーライトと電磁場(EMF)という二つの見過ごされがちな環境要因が睡眠障害をきたすことについて取り上げます。

睡眠の改善につながる3つのビタミン

睡眠を助ける一種類以上のハーブについておそらくご存じでしょうが、特定の栄養素が欠乏しても睡眠障害につながることはあまり知られていません。「The Vitamin Solution: Two Doctors Clear the Confusion About Vitamins and Your Health」(ビタミンソリューション:二人の医師がビタミンと健康についての混同を解決)の著者アリエル・レビタンとロミー・ウロックによると、ビタミン欠乏は「睡眠障害において見過ごされがちな要因である。必須栄養素の適切な量がよい質の睡眠を持続するために必要である」以下三つのビタミンがこうした効果があります:

  • ビタミンD — いくつもの研究によると、ビタミンD不足が睡眠の質を悪化させ、血中ビタミンD濃度を60~80 ng/mLに増やして維持すると睡眠が改善されることを示しています。
  • ビタミンC — PLOS ONEに掲載された研究によると、血中ビタミン C不足の人は寝つきが悪く、寝ている間に目が醒めてしまう問題が起きやすいと伝えられています。ビタミン Cが豊富な食品には、グアバや赤ピーマン、グリーンピーマンキウィ、オレンジ、イチゴ、パパイヤ、ブロッコリがあります。サプリメントを選ぶならリポソームビタミンCが吸収性がよいです。
  • ビタミンB12 — 一般人口に蔓延しているが特にベーガンや菜食主義者では不足がちなB12の欠乏は睡眠障害を含む神経系の異常を起こします。レビタンとブロックは一日250~500μg取らないと欠乏症状は避けられないといいます。

睡眠の質に影響するミネラル

ビタミンと同じく特定のミネラルは睡眠のために必須であり、その質に影響します。例:

マグネシウム — マグネシウムは筋肉の弛緩に必要なだけではなく、メラトニン生産のためにも必須です。さらに神経系弛緩物質GABAを増やす効果もあり、ストレス関連の緊張感をほぐします。栄養素マグネシウム協会顧問委員会のカロリン・ディーン医師は600 mgのマグネシウムを一日に数回分けて取り込むように勧めます。

私の優先するのはリンゴ酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、スレオン酸マグネシウムです。腎不全や心拍数低下の異常がある人は緑葉野菜やかぼちゃの種、ごま、スピルリナ、生ナッツ等マグネシウムが豊富な食品をたくさん食べるとよいです。

カリウム — Sleep誌に掲載された研究によると、カリウムサプリメントを毎日一週間飲むと睡眠の質がよくなるそうです。別のある研究は、カリウムサプリメントで脳が最も解毒プロセスを活発に行う最も深い睡眠フェーズである波長が遅い睡眠が改善されることを特定しました。

カリウムの細胞内への流入を制御する遺伝子も睡眠調節にかかわっていることは興味深い点で、カリウムが無いと、脳は深い睡眠に関連する遅い脳波を生み出せなくなります。

カルシウム — その一方、カルシウム欠乏により急速眼球運動すなわちREM期あるいは夢周期が障害を受けることもわかっています。ある研究で、参加者がカルシウム欠乏を改善したら正常なREM睡眠が回復しました。 カルシウムが豊富な食品には有機の草で育った生乳やその他の乳製品、微小な粒に粉砕した有機の玉子の殻、パルメザンチーズ、ほうれん草、ササゲ、アサリ、オクラ、冬カボチャがあります。

カルシウムサプリメントを使用するなら、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK2の摂取量も調整する必要があり、これらの栄養素は全て相乗効果があるからです。一例までに挙げれば、ビタミン K2の生物学的機能は、動脈や軟組織等カルシウムが蓄積してはならない場所から運び去りカルシウムを必要な場所へ運ぶことです。これらの四栄養素のバランスが崩れると、カルシウム サプリメントによる心臓発作や脳卒中リスクの増加と関連します。

アミノ酸、ホルモン

特定のアミノ酸やホルモンも睡眠のために必須であり、サプリメントで増やすこともできます。特に重要なもの:

トリプトファン — 必須アミノ酸はセロトニンの生産に必須のナイアシンを生産するために欠かせません。セロトニンはメラトニンとともに睡眠習慣の調節に関わる神経伝達物質です。トリプトファン等のアミノ酸は体内で作られないので食事から摂るしかないので「必須」と呼ばれています。

これが豊富な食品にはかぼちゃの種、モッツァレラチーズ、有機の放し飼い鶏卵や鶏肉。サプリメントを取るならL-トリプトファンあるいは下記の5-HTPのほうが優れます。

メラトニン — 夜間に松果体が生産するこのホルモンは概日リズムの調節のために重要な機能をしています。メラトニンのサプリメントでよりよい睡眠が可能なことはいくつもの研究が証明してきました。初めてのときは寝る前30分ぐらい前に0.25 mgほどの微量で始めてください。望む効果が出るまで1/4g刻みで増やしていきます。

5-ヒドロシキトリプトファン(5-HTP) — これよりさらに優れるのは、様々な経路で睡眠を改善する5-HTPです。5-HTP は(上記の)トリプトファンにヒドロキシル基を導入した化合物で、最初にセロトニンに転換され、次にメラトニンに転換されます — これらは二つとも睡眠周期の調節要素です。

この方法がメラトニンの優れる使い方であると思います。GABA(落ち着く効果がある神経伝達物質)と5-HTPを含む調製アミノ酸で早く寝付けるようになり、睡眠時間が長くなり、睡眠の質をよくすることがある研究で発見されました。

ハーブ系の睡眠補助剤

自然な睡眠補助剤の最後の分類はハーブ系です:

  • カンナビジオール(CBD)オイルCBDオイルは組織のバランスを回復することにより、鎮痛効果があるほか、神経の刺激や筋肉のけいれんを抑制します。リラックスもさせるのでよく寝むれるようになります。
  • カノコソウの根 — カノコソウの根で早く寝付けるようになり、睡眠の深さ(36%早く深い眠りに入れる)と睡眠の全体的な質をよくします。最小限の用量から始め、人によっては高い用量だと元気が出る効果があるので、望む効果を得られるまで必要な最小限の量を服用します。研究で使用した平均的投与量は400~900 mgで、就寝30 分~2時間前に摂らせています。
  • カモミール — このハーブは煎じる、ハーブ茶、液体エキスやこの植物の新鮮なまたは乾燥させた花の頭から取るエッセンシャルオイルとして利用されています。鎮静効果があり睡眠を促すのでカモミールティーはよく就寝前にすすり飲みされています。カモミールにはNAD+を増やす効果もあります。

日没後のブルーライトは夜に目がさえる原因

最後に、光やEMFといった環境要因があり、これらはある点では重複します。ほぼどの体内器官にも固有の生物時計あるいは概日リズムが存在しており、これらをすべて同期させるには、日の出・日の入りに同調した規則正しい起床と就寝スケジュールを維持する必要があります。

松果腺は、明るい日光への暴露と夜の完全な暗闇とのコントラストにだいたい従ってメラトニンを分泌します。終日屋内にいる場合(日光より比較的暗い空間)に日中の光を晩遅くまで延ばして家の中に明るい照明を使うと、松果体は日夜の区別をつけにくくなり、メラトニン生産の支障に至ります。

この場合光の色温度も影響してきます。日光は「全スペクトル」光ですが、注意力を維持して覚醒状態を維持する強く短いブルーライトの波長を含みます。朝一番に健康的な日光を浴びると、概日リズムの「リセット」に役立ち、同じことは日中最も明るい頃に日光に30分以上当たるのも同じ効果があります。

しかし夕方にはブルーライトは身体がまだ日中だと誤解するのでお勧めできません。この影響はメラトニンの生産を阻害することで生じます。メラトニンは睡眠周期を調節するので、これが阻害されると、眠くならずに、寝付くまで何時間でも身を起こしたり返したりしています。赤と琥珀色の光はメラトニンを阻害せず、青や緑、白光が阻害します。

家の中のLEDや蛍光灯を白熱電球に代えるだけでも最初から役立ちます。LEDと蛍光灯は赤や近赤外線で相殺されないブルーライトを出します。白熱電球はこの反対に赤と近赤外線の波長光を出し、青系波長はわずかなので、概して健康的な照明です。この話題については光生物学者Dr.アレグザンダー・ヴンシュと行った私のインタビューをご参照ください。

日没後、家の中が暗ければ暗く、ブルーライトに当たらないほどよいです。蝋燭の明かりが理想的。睡眠の質に悪影響がない白熱電球入りのソルトランプも有用です。

室内照明のほか、あらゆる種類の電子機器ディスプレイも主にブルーライトを出すのでメラトニンの生産を阻害します。最適なのは、色温度が1,800 K以下のフィルターを使用していない限り、就寝の遅くとも二時間前までにテレビを視るのを止め、コンピュータやスマートフォン、タブレットを使わないようにしましょう。

特に夜に電子機器のそばにいるほど寝つきが悪くなり、全体として睡眠が短くなることが研究からわかっています。Iris等のブルーライト阻止ソフトウェアの使用ももう一つの方法ですが、日没後はブルーライト遮断眼鏡を使うこともよい方法です。(このうちいずれかを使用すれば、もう一方は不要です。)琥珀色のレンズでもよいですが、赤レンズ眼鏡のほうが青以外にも黄色と緑の光も遮断するので優先されます。安価な琥珀色眼鏡や赤フィルター眼鏡はAmazonで購入できます。