アサフェティダ: この悪臭がするハーブの効能の源

Fact Checked(事実確認)
アサフェティダ-メリット

早分かり -

  • インド料理の香辛料アサフェティダは一種の大型ウイキョウから取得されるガムです。腐ったにんにくや蒸れた足のような不快で強い臭いがありますが、食べると風味豊かで旨味があります
  • 玉葱やニンニクの風味があるので、これらの具の代わりに使用することもできます。お腹のガスを防ぐので豆料理と一緒に食べるとよいと多くの人が勧めます
  • アサフェティダには抗菌、抗寄生虫、抗ウィルスの特性があります。2009年、研究者らはこのハーブのある種の化合物が、市販抗ウィルス薬アマンタジンよりはるかに効果的にH1N1インフルエンザウィルスを殺すことを特定しました
  • アサフェティダにはいくつか例を挙げるだけでも、痙攣防止、駆風剤としての効果、去痰剤、下剤、 鎮静効果もあります。歴史的には神経の異常や気管支炎、喘息、百日咳、その他の治療に利用されてきました
  • この臭いハーブはさらに、いくつもの胃病の予防や治療に有用であり、女性の健康のためには不妊症や早産、生理痛、過剰生理、白帯下の予防に効きます
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Dr. Mercolaより

インド料理の香辛料アサフェティダ — この名前は「腐ったレーズン」と訳せる — のほかにも、ヒン、ヒングとかヘンとも呼ばれ、一種の大型ウイキョウから取得されるガムです。腐ったにんにくや蒸れたた足のような不快で強い臭いがありますが、食べると風味豊かで旨味があります。フランスではこのハーブを悪魔の糞と呼びます。

GoodFood.comによると、かつてインドのジャイナ教徒やブラーフマンが長年ニンニクと玉葱の代用にしてきました。玉葱を食べると消化の問題がある人にも人気があります。

生のガムとしてアサフェティダはときどき見つかることはありますが、小麦粉やスターチ、ウコンと混合した粉体で一般的に売られることが多いです。生で食べると重症の下痢や嘔吐につながることもあるので、混合品のほうがよいようです。強烈な臭いがあり、少量しか使用できません。GoodFood.comではこう説明しています:

「アサフェティダの容器を開封したらできる限りすぐに閉めたほうがよい。次に、気密なプラスチック容器や二重封止式 - 少なくとも - の容器に入れて密封保存する。香りが逃げると、家の中が昨日のニンニクの臭さに溢れる…

通常、希釈後アサフェティダの黄色の粉を一つまみから二つまみに対して主成分250gの比率で利用する…長時間煮ると臭いが緩和する…

アサフェティダは鼻を衝く臭いが著しく感じられるまで、高温の油で5秒から10秒最初に揚げるのがコツ—排気ファンや窓を開けることを忘れない。次に他の具を素早く入れ、焦げないようにする。」

アサフェティダ(アギ)の健康メリット

玉葱やニンニクの風味があるので、これらの具の代わりに使用することもできます。お腹のガスを防ぐので豆料理と一緒に食べるとよいと多くの人が勧めます。

お腹のガスを防ぐ効果は、鼓腸の原因である腸内細菌の活性を弱める抗菌化合物によります。抗菌、抗寄生虫、抗ウィルスの特性等その他の健康的メリットがいくつもあります。

2009年、研究者らはこのハーブのある種の化合物が市販抗ウィルス薬アマンタジンよりはるかに効果的にH1N1インフルエンザウィルスを殺すことを特定しました。

別の研究は、アサフェティダのフェルラ酸がカンテツ病(肝蛭症)という動物から人間に伝染する肝臓病を抑制することを特定しました。この障害は肝蛭や巨大肝蛭で汚染されたクレソンその他の水生植物を食べることが原因で起きます。

Pharmacognosy Reviewに掲載されたある論文によると、アサフェティダには数例を挙げるだけでも、痙攣防止、駆風剤としての効果、去痰剤、下剤、 鎮静効果もあります。歴史的にはヒステリー、神経の異常、気管支炎、喘息、百日咳、小児肺炎、鼓腸の疝痛等の治療に利用されてきました。

Pharmacognosy Reviewに掲載された論文によると、肺から解消される揮発性油分のおかげで喘息に特に効能があります。さらに、自然な血液希釈剤でもあり、降圧効果 があります。インド伝統医療でこのハーブは腎結石や胆石の粉砕と解消に有用なため利用されてきました。

歴史的に、アヘンの解毒剤としても利用されてきました。Pharmacognosy Reviewによると、「患者が取っているアヘンと等量を投与すると、薬の影響を打ち消す」そうです。

アサフェティダには抗ガン、寿命延長特性がある

アサフェティダにはさらに、抗炎症性、抗ガン、抗変異活性があるいくつもの化学物質が含まれます。Pharmacognosy Reviewに以下のような報告が掲載されています:

「乾燥レーズンをスプラグドーリーラットに餌の1.25%および2.5%の用量で経口投与すると、蝕知できるほどのN-メチル-N-ニトロソウレア誘発性哺乳類腫瘍の多様性とサイズが大きく削減され、腫瘍発生の平均遅延期間も延びた。

マウスへの経口投与で寿命が52.9%伸びた。腹腔内に投与しても腫瘍増殖を削減する効果はほとんどなかった。

さらに、そのエキスは、7,12-ジメチルベンズアントラセンとクロトン油をマウスの皮膚に塗って誘発させた二段階化学的がん発生効果を乳頭腫の発生が大幅に減少する機序により阻害した。」

2017年、Journal of Ayurveda and Integrative Medicineに掲載されたある研究は、アサフェティダの樹脂が乳がんに対して抗腫瘍効果があることを確認しました。その執筆者らによると:

「本研究結果は、アサフェティダで治療したマウスで腫瘍の重量と腫瘍体積ともに減少させる効果があることが判明した。メスのBALB/cマウスは対照群よりも体重が大幅に増加した。

抗腫瘍効果以外にも、アサフェティダにより肺や肝臓、腎臓への転移が減り、さらに、腫瘍組織の壊死領域が拡大した。」

その他の研究でも、アサフェティダの分離した成分フェルルシナイク酸を投与したところ、エレガンス線虫の平均寿命が18.03%延び、最大寿命は8.33%から41.6%延びました。

熱ストレス耐性が増大し、脂質の過酸化が減少したことも、この寿命延長効果の一因と考えられます。その執筆者らによると、「フェルルシナイク酸は抗酸化物質としての治療効能があり、抗酸化剤として利用しうる」としています。

女性の健康問題に効能があるアサフェティダ

アサフェティダは不妊症や早産、生理痛、過剰生理、白帯下等の女性のいくつもの健康問題の治療に有用なようです。

Pharmacognosy Reviewには、0.12 gのアサフェティダ ガムを120 gの新鮮なヤギのミルクと蜂蜜大さじ1と混ぜ、ギーで揚げたものを1日3回、4週間食べると、これらの問題に効き目があるプロゲステロンの分泌が増えるとして勧めています。

オスのラットにアサフェティダを用量25~ 200 mg/kg(体重)投与したら精子の数と生存率が増え、繁殖力改善につながりました。

アサフェティダには避妊効果や流産促進効果があるので、妊娠中や妊娠予定の方は注意すべきです。ラットに用量400 mg/kgを投与した場合、繁殖力低下が80%のケースで確認されました。

母乳を授乳中の場合も、アサフェティダが母乳を経由して赤ちゃんに入り、このハーブの特定の化学物質が血液によくない影響があるので、避けるべきです。疝痛を治療するには、通常はアサフェティダを飲ませず、赤ちゃんのお臍にペースト状に塗ります。

脳や心臓血管への効能

すでにご説明したように、このハーブは降圧効果もよくあると、Pharmacognosy Reviewに説明されています。この降圧効果のメカニズムの一つは血管拡張です。乾燥させたガム樹脂のチンキやエキスの水溶液はとても筋肉をスムーズに解し、凝集防止効果もあります。

さらに、特定の化合物はアセチルコリンエステラーゼの阻害効果があるので、アルツハイマー病の予防に有用と考えられます。動物実験では、アサフェティダの用量200~400 mg/kgで記憶力が高まることがわかっています。

アサフェティダは腸の健康を増進する

この最も臭い部類のハーブが有用なもう一つの分野は、いくつもの腸障害の予防や回復効果です。アサフェティダの機能性胃腸症(FD)に対する効能を調べたある研究は安全で効能があることを特定しました。機能性胃腸症とは上部消化管の慢性障害です。その研究は次のように説明しています:

「本プラセボ対照二重盲検では、非潰瘍性FDの中度から重症の不快感を持つ被験者43人に無作為に、偽薬またはアサフェティダ調剤 (アサフィン)の食品グレードハードシェルカプセル(250 mg × 2回/日)を30日間投与した。

有効性が確認されている指標化ツールを用いて評価したところ、アサフィン投与群の81%は全体的スコアも生活の質も対照群より大幅に改善された。研究終了時点に、アサフィン被験者の66%は症状が無くなっていた。

両群で症状スコアは大幅に改善を見たが、様々な症状が80%以上なくなったアサフィン群の被験者内訳をパーセンテージで見ると:対照群では不特定改善率10%未満に対し、鼓腸(58%)、食欲(69%)、食後満腹感(74%) 、乗物酔い(75%)、消化(77%)。

全員重篤な副作用も血液学的、生化学的パラメータの不利な変動が無く安全でいた。」

アサフェティダを使った料理

キッチンが臭くなることでその気がなくならない方なら、この薬草成分で食事に一味着けることをお考え下さい。

The Seattle Timesに掲載された、「Asafoetida Stinks, But It Helps the Cook」(アサティフェダは悪臭でも料理に有用)で執筆者モニカ・バイドさんは、料理での利用法や、手始めに風味豊かなチーズケーキに赤ピーマンと緑チェリートマトチャツネのトッピングを乗せたレシピを紹介しています。

そのほかの料理の仕方についてはNDTVのFood Channelをご覧ください。また、netmeds.comにはレモンアサフェティダ水のレシピが載っています。

+ 出典および参考資料