5-HTPはミトコンドリアの生合成を増加させる

閃く脳

早分かり -

  • インドのムンバイの研究者らは、5-HTという神経伝達物質セロトニンが、ミトコンドリア生合成というニューロン内部のミトコンドリア新生のために重要な機能をすることを特定しました
  • ミトコンドリアはエネルギーを生産し、細胞の機能を最適にし、ストレス下において、特にニューロンの生存を増進する「発電所」です
  • ミトコンドリア生合成は5-HT2Aともよぶセロトニン2Aの関与を含み、脳内ニューロンを保護するいくつものミトコンドリア機能を増進します
  • トリプトファンの水酸化化合物である5-HTPはアフリカのマメ科植物Griffonia simplicifoliaの種から抽出し、食品からは摂り込めません
  • 不安や抑うつ状態に5-HTPの効能があるかはまだ判明していませんが、減量や睡眠障害、線維筋痛と偏頭痛等によく効くことはすでにわかっています
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Dr. Mercolaより

その喩え方は実に当たっており、ミトコンドリアはエネルギーを生産し、細胞の機能を最適にし、ストレス下において特にニューロンの生存を増進する、「発電所」と呼ばれす。さらに最近のある研究は新たな事実を解明しました。

インドのムンバイに拠点を置くタタ基礎研究所(TIFR)で科学者は5-HTと呼ぶ神経伝達物質セロトニンがミトコンドリア生合成というニューロン内のミトコンドリア新生のために需要な機能をすることを特定しました。

この過程でミトコンドリア機能を増強すると同時に、細胞の呼吸と細胞のエネルギー担体ATPを増やします。ATPは、神経伝達物質でもあり神経調節物質でもあるとある研究が説明しています。この過程ではセロトニン-2A (すなわち5-HT2A)の受容体がSIRT1とPGC-1αというミトコンドリア生合成の「主要調節物質」とともに関与します。

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)に掲載された同研究によると、5-HTは細胞内の反応性酸素を削減し、抗酸化酵素を増やし、ミトコンドリア機能を強化し、SIRT1が必要なプロセスであるストレスを受けているニューロンを保護する強い作用があることがわかっています。EurekAlertはさらに5-HTについて:

「ニューロン内のエネルギー生産におけるセロトニンへの前例がないほどの機能を発揮し、これがニューロンによるストレス処理に効果を及ぼす。ニューロン内部のミトコンドリア機能は、ニューロンがいかにストレスを処理し、老化プロセスを調節するかの決定要因である。」

TIFRの主任科学者ヴィディタ・ヴァイジャとウラス・コルトゥール・シータラム、臨床研究者アショク・ヴァイジャによると、5-HT2Aが5-HTによるミトコンドリア効果のための「主決定因子」であることを解明した後、次の課題は、これらの効果を生む固有のシグナリングチャンネルを特定することでした。

これらのチャンネルは不明なままでしたが、彼らは5-HTが以前ある研究の執筆者らがCell誌に発表したように多くの組織でいくつもの代謝プロセスに関与しているSIRT1の前駆的調節物質であるという、それまで知られていなかったエビデンスを発見しました。例えばあるマウス実験では、SIRT1はアルツハイマー病患者の脳によくあるプラークAβアミロイドペプチドの生産を削減しました。さらに:

「脳内で5-HTとSIRT1の相互作用が本研究により示された。5-HTにストレスに適応し易くする機能があるので、この事実は5-HTがSIRT1–PGC-1α基軸を利用して、ニューロンのストレス適応を強化するために主な仲介機能を果たし、ミトコンドリアの生合成と機能を促進し、ニューロンのストレスバッファー容量を増やす。」

5-HTPの効果

脳が自然に生産し、セロトニンの生産のために使用するアミノ酸5-HTPはトリプトファンにヒドロキシル基を導入したものです。このサプリメントは食品から取れないアフリカのマメ科植物Griffonia simplicifoliaから抽出します。

2012年、Neuropsychiatric Disease and TreatmentはL-5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)をセロトニンの直接前駆物質として取り上げたある研究を掲載しました。(化学用語「前駆物質」とは、科学反応により新たな物質に変わる原材料です。)比較的興味深い事実はセロトニンが血液脳関門を通過できないが、5-HTPは自由に通過することです。

この研究は、うつ病や注意欠陥障害 (ADHD)、パーキンソン病その他の病気に効果があるので、5-HTPがよく利用されることだけではなく、その効能が他の化合物と併用しないと出ないので、効き目の主張は「誇張されており不正確」であることも認めています。

多くの専門家によると抑うつ状態や不安に対する5-HTPの効能のカギは、セロトニンの個別ケースにおける濃度あるいはセロトニン欠如と相関性があようです。セロトニンは気分を調節する主な機能がある神経伝達物質ですが、不安に効能があるかについては十分な臨床的根拠がありません。しかしある研究によると:

「不安に似た行動は主に5-HT1A、特に5-HT2C受容体で調節されるが、5-HT2C受容体は不安のほか、報償の処理や運動力、食欲、エネルギー収支も調節する。」

Medical News Todayは、5-HTPは抑うつ状態に効くという主張に二つの課題があることを指摘しています。一つは、いくつもの研究はプラセボを使わずに実施されたので、結果に信頼性はあまりないとする人もいること。二つ目は、概して吸収と分解が速いので体内に長時間留まらないことですが、「研究により5-HTPが体内に長時間留まるようにできれば、うつ治療として有望」としています。

オーストラリアで行われたある研究は5-HTPを分析してプラセボより不安を和らげる効果があるか調べました。確かにプロセぼよりはましなようであることはわかったのですが、研究者らはさらに研究が必要であるとしています。しかし、ミトコンドリア生合成の新たな発見に遡ると考えられる領域も含む、5-HTPが有望な領域は存在します。

数種類の障害を軽減させる5-HTPの効果

いくつかの研究は、5-HTP欠乏が抑うつ状態や体重増加、不安、睡眠障害、その他の問題に関連することを示しています。そこで5-HTPをもっと取りこむとこれらの異常を一括して解消できることに注目されてきました。研究においては、以下の効能があるようです:

減量 — 減量の努力も虚しくなるかのように、減量すると空腹感が増すホルモンがいくつか増え、よく失敗します。そこで、5-HTPを飲むと空腹感を促すホルモンとの相殺効果があり、食欲を抑え、減量しやすくなるようです。

ある研究によると、5週間5-HTPかプラセボを飲んだ糖尿病患者のうち、5-HTPを飲んだ20人が食べた量は、対照群より約435カロリー少なく、5-HTPで炭水化物からのカロリー摂取量も減り、このため血糖値も下がりました。さらに、動物実験では、5-HTPはストレスや抑うつ状態が原因の過食を削減しました。

線維筋痛と偏頭痛 — ある研究は、5-HTPがマウスの痛感を削減することを示しました。全身の虚弱感や骨痛、筋肉痛を生む線維筋痛の症例では、セロトニン不足が原因ではないかと考えられました。ある研究は、5-HTPがこの原因による痛みを和らげるほか、睡眠の質を改善し、抑うつ状態や不安も改善するとして勧めています。別の研究では、このアミノ酸を飲んだ患者50人が「かなりよくなった」といいます。

原因はまだ解明されていませんけれども、一部の科学者らは、偏頭痛がセロトニン不足に起因すると考えています。ある研究は、「脳幹縫線核由来のセロトニン作動性(セロトニン、5-HT)系統が偏頭痛病理にかなり関わっていることはほぼ間違いない」としています。

別の研究で、偏頭痛がある124人が6か月間の5-HTP処置後にかなりよくなり、偏頭痛の強さと継続時間は患者の71%で減りました。

不眠症 — 5-HTPはセロトニンを作り、セロトニンはメラトニンに変換されるので、このサプリメントはメラトニン生産を増やすことで眠気を誘うためにも利用されています。

睡眠障害患者18人が5-HTPとGABAをいっしょに飲むと寝付くまでの時間が飲む前は32.3分かかっていたのが19.1分に早くなっただけではなく、睡眠時間が延び睡眠の質も改善しました。

別のある研究で、悪夢や夢遊病など異常行動が特徴の錯眠やDOA (興奮障害)の患者は5-HTPでおそらくよくなるかもしれないと勧められました。

5-HTPの副作用と用量

薬のほかサプリメントでも「用量依存」というとき、用量が機能の程度や副作用ともに影響することを意味します。しかし、5-HTPの場合は何のために服用するかにより用量が決まります。例:

  • 体重管理 — 250 mgを食前30分に服用した肥満患者について見たある研究では、通常還元炭水化物としての炭水化物からのカロリー消費が減りました。
  • 気分高揚 — Psychology Todayに5-HTPを一日三度50 mgから100 mgずつ食中飲むと、抑うつ状態や不安を軽くできるが、効果が出るまで少なくとも一週間は掛かると説明されています。しかし副作用を防止するため、一日に25 mgの少量から始め、一週間かけて少しずつ増やすほうがよいとその記事に説明されていました。
  • 線維筋痛症状緩和 — ミシガン大学医学部は、一日三回食中100 mgずつ飲むと効能があるとしています。あるプラセボ対照二重盲検は5-HTPのサプリメントでとてもよくなり、副作用もほとんどなかったと伝えています。
  • 偏頭痛 — 食中100 mgから200 mgずつ一日2~3回を二三週間飲むと、効能を実感できることをいくつかの研究が示しています。
  • 睡眠の改善 — 5-HTPは自然にセロトニンに変換されるので、就寝前に200 mgを飲むと、L-トリプトファンをサプリで飲んでも効かない人にはよいかもしれません。

以上の問題やその他の異常のため5-HTPを飲むなら、医者や薬剤師に相談してからにして、自分に合う用量を飲むこと、このサプリがその他の薬を飲んでいるなら干渉し合わないかも確認する必要があります。

薬の中にはセロトニンを増産させる物があるので、5-HTPも飲むと過多になり、セロトニン症候群のため死ぬことがあります。こうした薬には一部の咳止め、抗うつ薬、処方鎮痛剤があります。アティバンやアンビエン、クロノピンなどの睡眠薬を飲んでいる場合、眠くなる5-HTPを飲むと問題があります。

さらに、ある研究は、5-HTPはセロトニンを増やすが、ドーパミンやノレピネフリンなどその他の神経伝達物質を枯渇させることを示しており、長期的に飲み続けると、特に基礎疾患を悪化させる危険があります。こうした疾患にはADHDや不安症、うつ病、肥満、パーキンソン病、季節性感情障害 (SADシンドローム)があります。

副作用に関して、5-HTPのサプリを飲んだ後、吐き気や嘔吐、下痢、眩暈、胃痛を体験する人もいます。最初は少量で始め、必要ならだんだん増やせば副作用リスクを減らせるでしょう。上でも説明しましたが、他の薬とは悪い相互作用があるかもしれないので、5-HTPサプリメントを飲む前に医者や薬剤師に相談しましょう。