クローン病などの炎症性腸疾患を癒す方法

炎症性腸疾患

早分かり -

  • 推定160万人のアメリカ人はクローン病、潰瘍性大腸炎(IBD)などの炎症性腸疾患に苦しんでおり、米国では毎年新たに70,000件の症例が診断されています
  • いくつもの腸内細菌や真菌がIBDに寄与していることはすでに特定されました。腸内細菌は免疫応答にも影響し、セリアック病、食物アレルギー、食品過敏症にも関わっています
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Dr. Mercolaより

腸内細菌は健康のために決定的に重要な機能をしており、食生活が大きく腸内フローラを変えます。砂糖は腸内の健康に悪い細菌や酵母、真菌の栄養素であり、インスリン抵抗性を促進するより実際に多くの影響があります。

健康的な食生活をすれば善玉菌が栄えます。善玉菌は健康の滋養になる現実の「魔法」を発揮します。今やプロバイオティクスが肥満や糖尿病、うつ病、心臓病などあらゆる病気に関連する記事に取り上げられるのに気がついている方もいるでしょう。

ロシアの神経学者Dr. ナターシャ・キャンベル-マクブライド(GAPSダイエットの開発者)が説明している通り、女性の腸内フローラはその子の健康にも影響し、子の腸内フローラが生まれるときから不調であると、神経や行動の障害、ワクチンによる損傷を受けるリスクが高まります。

当然のことながら、腸内フローラのアンバランスは腸の軽微な不調からクローン病や潰瘍性大腸炎など重度の炎症性腸疾患 (IBD)に至るまで腸の問題にすぐ結びつきやすくなります。

IBD — 重大な帰結をもたらすおそれがある蔓延している問題

クローン病や潰瘍性大腸炎をひっくるめてIBDと呼びます。推定160万人のアメリカ人はIBDに苦しんでおり、米国では毎年新たに70,000件の症例が診断されています。これら二つの病気は以下の症状が特徴です:

  • 頻繁な下痢、腹部の痙攣、重度の腹痛
  • 直腸出血
  • 体重減少
  • 倦怠
  • 吐き気、発熱

潰瘍性大腸炎とクローン病は放っておくと重大な帰結をもたらす自己免疫疾患です。これらの病気に関連する症状は小腸の炎症が原因で、小腸が炎症を起こすと小腸閉塞、膿瘍、小腸穿孔、大腸がんのリスクが高くなります。

IBDで骨疾患リスクが高まる

IBDは吸収不良や栄養失調にも関連しており、骨折や、骨減少症と骨粗しょう症などの骨の病気に至る場合があります。実際に、腸炎は骨損失に大きく寄与している要因であるようです。

腸管壁浸漏症になると微生物その他の異物が血流に侵入しやすくなり、関節リウマチなどの関節の病気に密接に関連することも研究からわかっています。

クローン病と関連付けられる細菌や真菌

多くのライフスタイル要因が腸炎に寄与します。想像つく通り、細菌と真菌は次の異常に関連していることが研究で示されています:

以前のある研究は、クローン病がクローン病に感染した組織の中に増大する大腸菌を白血球が殺せなくなるミコバクテリウムTBという細菌の存在に関連することを解明しました。このミコバクテリウムTBへの暴露の一つの経路に牛乳があります。

ある研究は、パラ結核菌(MAP)が対照群では患者の26 %だったのに対し、クローン病患者の約92 %に存在することを特定しました。MAPは市販の滅菌乳のうち2 %ほどに存在します。

従って、滅菌は生乳にいた善玉菌を殺すだけではなく、悪玉菌は健康で生かしたままにします。牛乳を消費しないとよい合理的な理由も存在します(天然の糖分が多く、インスリン抵抗を促し、栄養的ケトーシスを阻害する)。

それでも牛乳を飲みかつIBDに苦しむ場合、健康的な草で育った乳牛から採った生乳は過密家畜給餌事業体(CAFO)の乳牛から採れた牛乳を滅菌した製品よりはるかにましです。草で育てた生乳はIBDを癒します。

元WHOの専門家Dr. A.V.コスタンティニはクローン病患者の血中にしばしばアスペルギルスカビが作るマイコトキシンの一種アフラトキシンを含むことを発見しました。

クローン病患者の疾病活性は特にイースト(パン製造用や醸造用)を避け、イースト無しの食事をしている間は下がったので、クローン病においておそらくアフラトキシンが関与していることをある研究は確認したようです。

クローン病が善玉菌ビフィドバクテリウムとバクテロイドの欠落や短鎖脂肪酸(SCFA)のこれに並行して生じる削減にも関係することも研究から解明されました。

SCFAは食物繊維を発酵する腸内細菌が生産し、食事で豊富な繊維質を摂り込むことがクローン病処置のためになります。

近年、研究者らはクローン病患者の小腸に大量のセラティア・マルエセンウや大腸菌が存在すると同時に、真菌のカンジダ・トロピカリスが多くいることを特定しました。

これら三種類の微生物が相互作用して炎症性バイオフィルムを生成し、これが次にクローン病症状につながることが実験からわかりました。

腸内細菌は免疫応答に強く影響する

胃腸管(GI)内の細菌がセリアック病や食物アレルギー、食品過敏症などに及ぶ過剰な免疫反応の原因であることも、近年の研究からわかっています。

世界保健機関(WHO)の推計による限り、世界的に全成人の1~3 %と全児童の4~6 %は70種類の食品アレルゲンのうち少なくとも1つに対してアレルギーです。

最も重篤な反応を伴う食品には玉子、ピーナッツ、大豆、牛乳、ナッツがあります。

クローン病対策

クローン病対策は二つの戦略で: 腸内フローラを乱す物を避け、善玉菌を繁栄させる食事戦略を行う。腸内細菌は以下のものを含むライフスタイルや環境要因からすぐに悪影響を受けやすく、これらの食材はできる限り避けましょう:

精製糖、加工果糖

精製穀類、特にグルテン含有の商品

加工食品(乳化剤などごく普通の食品添加物は特にクローン病や潰瘍性大腸炎を起きやすくする)

抗生物質(食肉産業で家畜に与えられるものも含む)

塩素処理やフッ化物添加された水

抗菌石鹸

肥料や農薬

滅菌乳製品

以上のうべての要因が腸内フローラのバランスを崩します。これらの要因の一部は避けのが難しいですが、不可能ではありません。食生活を変えて加工食品を避け、本物の食物(最適には地元で育った有機産品)のみ食べるようにするだけも、砂糖消費量が激減し、自然と抗生物質や農薬への暴露が制限されるので、大きな違いを生みます。

腸内フローラアンバランスの兆候と症状

消化系内に健康的な細菌が不足し始めていることをいかに知ることができるでしょうか? 以下に挙げる症状はすべて腸内で悪玉菌が増え過ぎたことを示す兆候であり、IBDと診断されなくても、おそらく対策を開始すべきことを示します:

ガス、鼓腸

便秘や下痢

倦怠

吐き気

頭痛

糖分の渇望、精製炭水化物食品の渇望

IBDの予防と癒しに有用な食品例

プロバイオティクスで腸に種を植え直すのを最優先します。伝統的に発酵した熟成食品(滅菌処理されていない限り)は健康によい善玉菌が豊富で、自分でゼロから容易に作れます。

例えばケフィールを自分で作るには、約1ℓの生の草で育った牛乳にケフィール開始剤の顆粒一袋の半分を入れ、1~3日まで室温に置いておくだけです。発酵野菜の作り方については私の以前の記事「自宅で発酵させるためのヒント」をご参照ください。IBDで苦しむなら発酵野菜のほかにも、生乳、ケフィールや生乳ヨーグルト、その他意義ある特定の食品には次のようなものが挙げられます:

ブルーベリー — 抗酸化物質、ビタミン、繊維質が豊富なブルーベリーは潰瘍性大腸炎などの腸炎を和らげ、腸炎から保護することが研究からわかっています。ブルーベリーはIBDから二重に保護します。まず、ブルーベリーは抗菌性、抗酸化性があるポリフェノールが豊富です。プロバイオティクスと組み合わせると、このペアは炎症を誘発する細菌を減らすだけではなく、健康増進的乳酸菌を増やします。

さらに、ブルーベリーに含まれる繊維質は大腸内であまり分解されません。このため炎症を起こす物質が腸壁と接触せずに通り過ぎます。こうした物質はブルーベリーの繊維に絡んだままで、これなら有害にならないまま、排泄されます。

ブルーベリーにはテロスチルベンという抗酸化化合物のおかげで大腸がんを予防する効果もあります。この化合物は大腸がんのリスク要因であると思われる炎症を起こす遺伝子発現を阻害します。ブルーベリーにはこの他にもエラグ酸というがんにつながるらしい代謝経路をブロックする物質も豊富に含まれます。

ココナッツオイルはIBDに効くさらにもう一つの効能がある食材です。ココナッツオイルに抗炎症性、治癒効果があるので炎症を和らげ、消化管の傷が癒えます。ココナッツオイルにはさらに慢性炎症を起こすらしいカンジダイーストを含む問題のある微生物を殺し、腸の健康を促す抗微生物特性もあります。

カプリル酸という中鎖脂肪酸(MCTオイル)には炭素原子が8個あり(このためC8とも呼ぶ)、効能が高い抗真菌菌剤です。「Candida Albicans: Could Yeast Be Your Problem?」(カンジダ・アルビカンス:イーストが問題かもしれません)の著者Dr.レオン・チャイトウは、カンジダの異常増殖に抗真菌薬ではなくカプリル酸を勧めます。(カプリル酸は身体のために非常に効率的かつ健康的な燃料ケトン体にも転換されます。)

動物性オメガ3はIBDの予防や管理のために必須の栄養素です。オメガ3脂肪はEPAとDHAというオキアミ油に含まれる脂肪で、クローン病と潰瘍性大腸炎など腸障害に効く抗炎症性があると同時に免疫増強力もあります。

有機のオオバコの種子外皮、亜麻、チアシード、ベリー類、さらにブロッコリや花キャベツなどの野菜、根菜や球根菜、生のナッツ、豆などの繊維質が豊富な食品は腸内の善玉菌を繁栄させます。1,000 kcal食べる毎に50g程度の繊維質を目安にしましょう。

有機サイリウムハスク(オオバコ外皮)のサプリメントを使うとこの理想量に近づけやすくなります。一つだけ、有機サイリウムであることに注意すべきで、非有機品では典型的に農薬汚染がひどくて使えません。

ビタミンDの重要性

以上の項目と同じく重要なのが、ビタミンDを治療効果のある健康的な濃度40~60 ng/mlに維持しましょう。ビタミンDはクローン病に対して複雑な治療のなぞの部分を占める重要な要素であることが判明しています。ビタミンDが不足するとクローン病リスクが高まり、ビタミンD欠乏を直せば病状がよくなります。

「ビタミンD濃度と遺伝子型の間の有意な相関性があるほかにもビタミンD濃度とクローン病の発病のし易さの間には有意な相関性がある」ことが研究から判明しています。

この研究ではクローン病患者のビタミンD不足が確認されました。効果を見るため7つのDNAシーケンスを検査したうち、2本がクローン病患者のビタミンD濃度と有意に相関しており、4つのバリエーションが対照群におけるビタミンD濃度と相関することがわかりました。

要約すると、研究者らはビタミンDはクローン病に関連する遺伝子発現に影響しており、これが不足しているかによっては悪化も改善もすることを特定しました。ビタミンDが炎症性腸疾患に効く理由の一つは、IBDを発病させるらしい感染症を含むあらゆる感染症を予防するのに関与している200種類以上の抗菌ペプチドを体内で生産させることです。

ビタミンD濃度の最適化のためには正午前後の日光をふんだんに浴びることを忘れないでください。ビタミンDはステロイドホルモンで、紫外線B (UVB)の暴露程度がわかるマーカーです。