マスクでコロナウィルスを防げるでしょうか?

コロナウィルスにマスク

早分かり -

  • コロナウィルス感染への恐怖感から外科用マスクやガーゼマスクの売上が莫大に増大しています。多くの医療施設は従事者と患者を保護するために必要な用品の調達に苦戦しています
  • 健康の専門家らはマスクで健常人は感染しないわけではないという公式見解を発表し、さらにFDAによると「COVID-19による即時的健康リスクは低い」ので、マスクを公共空間で使用すれば予防が保証されるわけではありません
  • 相対立する証拠はありますが、いくつかの研究によると、特にN95またはN100レスピレーターを健常人が正しく顔にフィットする限りマスクの着用により感染しにくくなります
  • 2015年のあるメタ分析は、9件の臨床検査のうち8件でコミュニティー環境において健常人が早期かつ一貫してマスクのみを使用するか手の衛生と並行して使用すると感染を防止できることを特定しました
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Dr. Mercolaより

2020年3月6日現在、96の国や領土で合計101,606件のCOVID-19症例が報告され、治療法が無い中で、感染の予防方法が模索されています。当然、屋外に思い切って出るときはマスクを使用する人は多いです。

しかし、マスクを入手にくくなるのにともない健康の専門家らはマスクで健常人は感染しないわけではないという公式見解を発表しています。これは本当でしょうか? あるいは医療従事者のための適量供給を確保するための策略でしょうか? 2020年3月4日のTimeに次のように報告されています:

「『スカーフでもマスクでも何かを鼻と口に当てれば周囲を浮遊するウィルスの一部を防げることは一種の直観的に明らかなことのように見えます』と、ウィリアム・シャフナー・バンダービルト大学感染病部門医学教授が述べている。

唯一の課題がある:これではインフルエンザやCOVID-19などの呼吸器疾患に対して効果はない。もし効果があるのであれば、『CDCが何年も前に推奨していたはず』と同教授は言う。『この政府機関は科学的根拠がある推奨を行うので、そうしても予防できない。』」

マスクは医療従事者しか保護できないのか?

米国疾病管理予防センター(CDC)によると外科用マスクは空気中の病原菌から保護するために設計されているのではなく、呼吸器を保護するとは考えられていません。外科用マスクは大きい粒子の液滴(病原菌を含んでいるおそれがある)が口や鼻に接触しないようにするためのものです。

この種のマスクは顔に密着して封止する効果がないという問題があります。ほとんどの人は顔を触る傾向があるので、いずれにせよウィルスが顔に付いてしまいます。

ジェローム・アダムズ公衆衛生局長官によるとほとんどの人はマスクを着けるときに頻繁に顔に触るので、マスクを着けると実際には感染リスクを高めるそうです。CDCが外科用マスクを勧めるのは次の場合に限られています:

  • マスクを着用すれば咳やくしゃみがマスクで遮られるのでウィルスの拡散を阻止できる発症した人が使う場合
  • 感染した患者を世話する者

マヨ・クリニックのニプニー・ラジャパクセ感染病専門医は説明します:

「マスクに関して現在推奨されていることは、発熱や咳がある病人は感染を広めないように外科用マスクを使用することが可能です。

健常人の場合、マスクは気密ではなく必ずしもウィルス粒子を吸い込まないようにできるわけではないので、マスクを使用してもメリットが増えるわけではないと考えられます。」

N95レスピレーターはどうでしょうか?

CDCも、一般大衆が少なくとも95%の気中浮遊粒子(粒径0.3 μm)をろ過するように設計されたタイトフィットのN95レスピレーターを使用することを勧めていません。FDA(食品医薬品局)によると:

「アメリカの一般大衆にとって、呼吸保護器具(N95レスピレーターなど)を使用しても健康面のメリットが増えるわけではないし、COVID-19による即時の健康リスクは低いと見られる。」

しかし、ニュースを見聞きしているとCOVID-19の健康リスクが「低いと見られる」とは思わない方が多いでしょう。ジャーナリストがメモを入手しなかったのでしょうか?

いずれにせよ、マスクやN95レスピレーターが医療環境では感染管理のための主な器具として一般的に捉えられている一方で、現在、一般にはこうした器具ではCOVID-19などの呼吸器疾患から保護できないと言われていることは奇妙に思えるでしょう。

研究結果はどんなことを示しているでしょうか?

ではマスクを使用する真の意味は何でしょうか? マスクは医療従事者のみ感染から保護し、感染者が拡散させないためにだけ有用であるのか、健常な一般人も感染から保護するのでしょうか? 2009年にEmerging Infectious Diseasesに掲載されたある研究は、鳥インフルエンザ(H5N1)勃発の際にこの疑問に答えようとしました。その執筆者らによると:

「クラスター無作為化対照試験を行い、外科用マスクと、顔面にフィットしないことを確認したP2マスク、マスク不使用の場合について世帯におけるインフルエンザ様疾患(ILI)の予防について比較した。

2006年と2007年の冬、臨床的呼吸器疾患を持つ子に接触していた143件の世帯で暴露された大人を286人募集した。…マスクを一貫して使用するとILI関連の感染リスクが大きく下がった。

世帯内ではマスクがあまり使用されないので季節性ILIに対して効果がないという結論に至った。一貫してマスクを使用していた場合、重大なインフルエンザの広域流行の期間中に伝染を削減しうる。」

簡単に言えばマスクをあまり使用しないので効果がなく、マスクが伝染を予防しないわけではありません。実際にマスクを多くの人が使用すれば感染率は下がるでしょう。

感染管理のために「過小評価されている」マスク

2007年、Health Policy and Ethicsに掲載された記事「Disrupting the Transmission of Influenza A: Masks and Ultraviolet Light as Control Measures」(インフルエンザAの伝染途絶:管理措置としてのマスクと紫外線)によると:

「効能のがあるワクチンや抗ウイルス薬が無いインフルエンザの流行期間中、インフルエンザウィルスの環境中拡散を途絶するのが公衆を保護するために唯一の現実的戦略である。ここではレスピレーター(マスク)と紫外線(UV)という二つの手段について検討する。

これらは見過ごされがちであり、それぞれ潜在的な効用は過小評価されている。ディスポーザブルマスクの縁を顔面に密着させると効果がよくなるであろう。ディスポーザブルマスクの供給は不足するので再使用可能マスクのストックを確保すべきである。」

この記事はレスピレーター マスクでは信頼できず効果がなくなるようないくつかの要因を挙げています。顔面にフィットして密閉できるか、再使用できないこと、マスク着脱時の接触汚染リスク、ウィルスは目からも感染する問題があります。

それでも、その記事の執筆者らは次のように説明しています:N95とN100レスピレーターは「制御が効かない世界的流行病の拡散を抑える効果があり、この要約的考察が政策担当者の注意を引き、これらの器具が公衆衛生措置として広範囲に使用されるようになるとよい」。

マスクだけ使用しても効果なし

以上のすべての点はあるにしても、マスクあるいはN95レスピレーターを使用する人の間での伝染率を調べた研究が相対立する結果を示しています。一部の研究はこれらの器具で感染リスクが下がると結論している反面、その他の研究は手を洗う以上の効果はないとしています。2012年に公表された次の体系的レビューの抜粋によくまとめられています:

「マスクとレスピレーターでインフルエンザ伝染率が下がるかについてはデータは限られている。判断基準には無作為化比較対照試験や準実験的観察的人体研究があり、結果には実験室で確認されたか臨床診断されたインフルエンザその他のウィルス性呼吸器感染症を含む。

考察の対象に17本の研究を採り上げた。無作為化比較対照試験8件のうち6件は対照群と処置群に有意な差を発見できなかった(手の衛生をともなう/ともなわないマスク使用、N95/P2レスピレーター)。

ある世帯対象の試験では手の消毒剤を使いつつマスクを使用した場合、上部呼吸器感染症/インフルエンザ様疾患/実験室で確認されたインフルエンザの伝染は減少した…

ある院内検査では顔面にフィットしないことが確認済みのN95レスピレーターの使用に関連する呼吸器疾患発病率が医療用マスクより低いことを発見した。

マスクと/またはレスピレーターの使用は重症急性呼吸器症候群(SARS)のリスク削減と独立的に関連することを遡及的観察研究9件のうち8件が発見した…

いずれの研究もマスク/レスピレータ-の使用とインフルエンザ感染からの保護の最終的相関性を特定することはできなかった。マスクは手の衛生を中心に人体保護処置の一貫として組み合わせて使用するのが最適であることを示す証拠が存在する。マスクやレスピレーターの効果は早期から一貫して正しく使用することにより得られるようである。」

推奨される感染防止戦略

現状では、衛生当局は感染拡大を最小限にするために以下の戦略を使うように勧めています:

  • 頻繁に石鹸と水で20秒以上手を洗う
  • 目や鼻、口を触らない
  • 咳が出るときは曲げた肘や使い捨てティッシュにする。ティッシュをゴム捨てに捨て手を洗う
  • 気分がよくないときは自宅に留まり公共空間を避ける

咳やくしゃみなどの発病症状があれば外科用マスクをして周囲に人がいるときは常に拡散を防ぐ。COVID-19(やその他の伝染病)の感染防止のためにマスクを使用すべきかどうかに関して、明快な答えはありません。しかし公表されている証拠に基づく限り、次の条件下であれば若干は予防効果があるようです:

  • 一貫して使用すること
  • N95またはN100レスピレーター マスクであって、適正な密封性を確保できるように正しくが顔面に密着させる
  • 使用中にマスクに触らない(液滴がマスクに着いていれば、液滴内のウィルスは感染性であり、手に着く。従って、マスクに触ったら手を洗う。)
  • マスクを正しく外す(前記と同じ理由による)
  • マスクは頻繁に手を洗ったりその他の衛生的推奨事項と合わせて使用する

COVID-19を取り巻くまだ多くある不明点

COVID-19についてはそもそもの発生源、感染経路、潜伏期間、伝染率、処置について不明なことがあまりにも多くあります。現状では潜伏期間は2~14日であるようですが、これも精確な尺度ではありません。

事情を複雑にしていることは潜伏期間中にウィルスを拡散しうることと回復後でも不特定の期間感染源でい続ける可能性があることです。2020年1月30日、ドイツの医師らが無症状の感染者からの感染症例について次のように報告していました:

「この病気が、指標にした軽微で特定されていなかった患者の潜伏期間中に伝染したことがうかがえる点に注目すべきである。

無症状の人が2019-nCoV感染の潜在的な原因であるという事実からして、このたびの勃発の伝染動態を再評価すべきである。

この関係において、2019-nCoVの検出および回復中の患者(患者1)における多量の痰中ウィルス負荷は回復後2019-nCoVの拡散継続に対する懸念を生じる。」

いかに拡散するかに関して、このウィルスは話したり、咳をしたり、くしゃみをすると飛ぶ呼気中の液滴により伝染します。ウィルスを吸い込む他にも、汚染した表面に触ったり、症状の有無を問わない感染者と握手したり、飲み物あるいは食器類を共有したりしても感染し、さらに発病者が回復してから数日後にも感染はありえます。

さて、COVID-19が潜伏期間中や回復後一定期間中に拡散しうるのだと仮定すると、マスクを予防戦略のために使用するのが賢明でしょう。いずれにせよ、外科用マスクはウィルスを拡散させないためのものです。

自分が感染したかわからない限り、感染者であるかを知る由はありません。つまり、すでに発症した人のみがマスクを使用する限り、感染者が二週間病気を撒き散らして歩き回ることになります。感染者がマスクを使用すれば感染の拡散を制限できます。

マスクが不足しているときに短期的方策になりませんが、ボウエンが15年以来指摘してきた通り、こうした伝染病の勃発に備えて世界のマスク生産を増やすのが賢明でしょう。