最適な健康のためのメラトニンの重要性

睡眠のためにメラトニン

早分かり -

  • 概日リズムは、脳の中心にあり、睡眠周期の調節のために必須のホルモン、メラトニンを分泌する松果体によりほとんど統制されています
  • メラトニンは重要なエネルギーホルモンかつ強力な抗酸化物質でもあり、がん予防のために重要な機能をすると考えられています。メラトニンは脳や心臓血管、胃腸の健康にもメリットがあり、免疫機能を強めることはすでに示されました
  • メラトニンは細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアの保護を助けます。メラトニンはミトコンドリアに入ることができるので、この点で最も強力な抗酸化物質であると考えられます。グルタチオンを補充もします
  • メラトニンはビタミンDと相乗効果を上げミトコンドリアの機能を最適化する。ビタミンDシグナル伝達も増加させます
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Dr. Mercolaより

よく眠れることは最適な健康を作るために必須の戦略であり、その核心に概日リズムがあります。概日リズムは体内時計とも呼びます。これは24時間の間に眠気と覚醒状態を身体が検出するのを助ける、どの体細胞にも存在する生物学的タイマーです。

概日リズムは、脳の中心にあり、睡眠周期の調節のために必須のホルモン、メラトニンを分泌する松果体によりほとんど統制されています。

日中の高輝度光にじゅうぶん暴露されていれば、通常は松果体が午後9時頃にメラトニンを分泌し始めます。脳内のメラトニン量が増加するにともない、身体は寝る準備を始めるので眠くなります。

暗くなってから起きたままでいると、人工灯 — 特に電子機器から出る光 — は身体のメラトニン生産を阻害するので、理想的には、就寝の遅くとも1~2時間前までに電子機器の使用を止めると、メラトニン分泌の増加と安定した概日リズムの維持を助けます。

メラトニンは睡眠の制御以外にも機能がある

メラトニンは自然な睡眠調節因子として機能する一方、その生物学的効果は他にも及びます。メラトニンはがん予防のために重要な機能をする強力な抗酸化物質でもあります。メラトニンは脳や心臓血管、胃腸の健康のためにも重要であり、様々な経路で免疫機能を強めることがすでにわかっています。

ある研究で研究者らは、メラトニンが結核などの細菌感染の治療も改善しうることが示されました。もう一つの研究で、メラトニンは炎症および、1型糖尿病を含む自己免疫疾患に対する潜在的なツールとして識別されました。

メラトニンは重要なエネルギーホルモンでもあります。今回取り上げたスタンフォード大学の学科論文「Melatonin and Energy Levels」(メラトニンとエネルギー量)によると:

「… 血中のメラトニンが減ると、つまり光に当たる分泌量が減るという身体の自然な応答と整合的に、身体はエネルギーレベルを高めて機能し始める … メラトニン濃度が高まるとエネルギーレベルが減る。

以上より、メラトニンの分泌と抑制を一日の最適な時間帯に制御し、最適化する方法を把握できれば、睡眠障害の治療を改善したり個体のエネルギーレベルにプラスの影響を与えることを助けることが可能になると考えられる。」

端的に言うと、睡眠効率が支障を受ける、つまり、本来そうあるべきほど最適な限り長く、深く寝ていないと、体力が下がります。

これとは逆に、日没後に過剰な光に当たっている場合は特に、照明の質が悪い中で日中過ごすと、メラトニン分泌が支障を受け、よく眠れなくなります。

メラトニンはミトコンドリアを保護する

重要な点として、メラトニンの抗酸化物質活性は体内のエネルギー通貨であるATPのほとんどを生成している、細胞の中の微小な組織であるミトコンドリアの保護も助けます。2007年、Frontiers of Bioscienceに掲載されたある研究が次のように説明しています:

「メラトニンは生命の発生段階に単細胞組織の中に存在していた古代の分子である … メラトニンの実験的データおよび臨床的データが裏付けている周知の作用には抗酸化性、抗炎症性があり、その一部はいくつもの酵素のゲノム制御に関わっている。

さらに、メラトニンは痙攣防止効果や抗興奮毒性もある。メラトニン投与により得られるよい効果のほとんどはミトコンドリアの生理機能に及ぼす効果に依存する。」

実際に、メラトニンはミトコンドリアに入ることができるので、この点で最も強力な抗酸化物質であると考えられます。この特性は必ずしもすべての抗酸化物質にあるとは限りません。Frontiers of Bioscienceに掲載されたこの論文によると、メラトニンは「酸化ダメージを受けたミトコンドリアにおけるミトコンドリア障害やエネルギー損失、細胞自己死の予防を助ける。」

メラトニンをこれほど強力にしている因子の一つは、その本質としてもそれ自体も抗酸化物質として機能するだけにとどまらず、グルタチオンを補給する場である体内の抗酸化システムと相互作用もします。しかし、この点をきっかけに睡眠の重要性に話を戻します。

メラトニンは暗さに応答してしか分泌されず、光により阻害され易く、しかもかなり阻害される(普通の部屋の照明や暗くなってからの電子機器の画面)ので、睡眠を最適にするための手順を講じない限り、ミトコンドリアの健康は悪くなります。

睡眠の品質悪化と睡眠時間の縮減以外にも、メラトニンの分泌が少ないとミトコンドリアに対して影響するので、酸化ストレスを増大させ、老化を加速し、萎縮性疾患および慢性疲労のリスクを高めます。

メラトニンはビタミンDと相乗効果がある

The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biologyの2020年5月号に掲載予定で、早期に私がレビューする機会を得られた論文はこの関連性をさらに詳しく分析しており、以下に一部を引用させていただきます。メラトニンはビタミンDのシグナル伝達を強めるだけではなく、これら二種類の分子はミトコンドリアの機能を最適化する相乗効果を上げます。

この論文が説明しているように、「ビタミンDとメラトニンの生合成経路は日光暴露に対して反比例する」、すなわち両者とも日光に適切な時間量暴露されることに依存します。

研究者らが呈示した仮説は、ビタミンDとメラトニンが「ミトコンドリアの機能および概日リズムと季節の変化への適合を調節する因子として必須の機能をする」ことです。

さらに、「両方の分子ともミトコンドリアのホメオスタシス機能に関わっている」と、その執筆者らは指摘し、実際にミトコンドリアが「メラトニンとビタミンDの共通標的」であることを強調しています。さらに:

「これらの分子欠乏は動脈性高血圧などの心臓血管病、神経萎縮性疾患、睡眠障害、腎臓病、がん、精神異常、骨の病気、メタボリックシンドローム、糖尿病などを中心とする病原性に関連している。

老化の過程でビタミンDの摂取と皮下合成およびメラトニンの内生的合成が大きく衰えるので、酸化ストレスや炎症、ミトコンドリア機能停止を特長とする状態になる。

ミトコンドリアの機能障害はレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰活性化、ビタミンD欠乏、メラトニン合成の減少が同時に起きる多くの複数の病気の病因に関連することが判明した。

この意味では、実験的根拠および臨床的根拠は、ミトコンドリアの機能障害に見られるような、炎症と酸化ストレスはメラトニンとビタミンDの不足と整合的であるほか、蔓延した急性疾患および慢性病の発生および継続にも関連するリスク要因でもある。」

メラトニンとビタミンDのコンビが強く相乗効果を生む

2020年、The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biologyに掲載されたある論文によると、多発性硬化症、がん、神経精神的異常、高血圧はすべて、ビタミンDとメラトニンの状態と強く相関性があり影響を受けると考えられる病気の例です。

興味深いことに、2012年のある研究はメラトニンが「精神分裂病および精神病薬の副作用において見過ごされている要因」であると指摘しています。ビタミンD欠乏は発生段階での濃度が低い場合、精神分裂病のリスクも高めることが判明しています。

メラトニンとビタミンDを組み合わせて投与すると強力な相乗的抗がん効果を生みます。2本の別個の研究がこれらの組み合わせが乳がん細胞の細胞自己死を誘発し、増殖と分裂を阻害することを実証しました。そのうち一つの研究では、これらの物質を組み合わせて処置した後「144時間経つと細胞増殖がほぼ完全に止まり」ました。

これらの効果は(少なくとも一部は)転換成長因子ベータ1 (TGF-β1)という細胞の増殖、拡散、分化、自己死を促す一種のサイトカインの分泌が増えることが原因であると判断されました。メラトニンをビタミンDとともに投与したら腎臓を虚血再灌流損傷から保護することも示されました。

メラトニンとビタミンDの体内濃度を最適にする簡単な方法

夜よく寝てメラトニンの分泌を最適にするのがミトコンドリアの健康を維持するための隠されたカギであるといえ、これが長寿およびほぼすべての慢性病の予防のために必須です。

しかし、ビタミンDとメラトニンのサプリメントを摂ると多くのよい効果が得られる可能性が高いとはいっても、体内生産を最適化する取り組みを行わない限り、サプリメントを摂る意味はありません。

メラトニンとビタミンDレベルを増やすのは比較的簡単で高価ではない点はよいことです。ビタミンDを最適化するには、理想的には毎日、規則的に身体の大部分を日光に適度に当てることを私はお勧めします。

さらに詳しい説明については、「The Risks and Benefits of Sun Exposure」(日光暴露のリスクとメリット)をご参照ください。何らかの理由により十分に日光に当たることができないならば、ビタミンD3のサプリメント(もう少し多めのビタミンK2も摂り、これら二種類の栄養素間に健康的な比を維持する)を検討しましょう。

私自身はすでに10年以上経口のビタミンDを摂っておらず、私のビタミンD濃度は冬も含め通常70 ng/mLより多いですが、現在65歳を超えているので、またそうすればメリットが得られると思っているので、私は真っ暗闇で寝てしかも日中の約85%は明るい日光を浴びていますが、それでもメラトニンの舌下服用サプリメントを摂り始めました。

メラトニン生産の最適化は概日リズムを「設定」するのを助ける日中に明るい日光を豊富に浴びることから始まります。次に、夕刻以降そして日没にともない、明るい灯を避けたほうがよいです。

電子画面やLEDライトから来るブルーライトは特に問題が多く、メラトニンを最も阻害します。照明が必要なら、白熱電球の光か蝋燭または塩ランプを選びましょう。電子画面やLEDライトから来るブルーライトはIrisなどのブルーライト阻止ソフトウェアをインストールするか、ブルーライトブロック眼鏡を使用して対策を取ることができます。

さらに、Nature Structural & Molecular Biologyに2017年に公表された興味を湧かす論文が、睡眠周期の改善のために時間制限食生活の有用性に着目しています。この論文には以下のように説明されています:

「老化に伴い、概日時計は堅固でなくなっていく。二つの新たな研究は老化が細胞タイプに依存して概日トランスクリプトームを再プログラムし、こうした再配線をカロリー制限により逆転させることは可能であることを示している。

想像していなかったこととしては、急激な概日再プログラムに反して、中核にある時計遺伝子と時計に制御される遺伝子の発現が老化にともない変わらないことである。従って、核心の時計メカニズムは高齢になってもほぼ無事なままであり、加齢に関連する概日再プログラムを逆転させる見通しを望めるので、生理的機能を改善する可能性が存在する。

実際に、概日トランスクリプトームのCRに誘発される頑丈な再プログラムの一部は若いマウスの概日トランスクリプトームと重複する。CRの深淵な生理的インパクトの一部は概日時計の再プログラムにより媒介されると考えられる …

幹細胞のDNA損傷が老化にともない蓄積することがミトコンドリアのストレスが元で発生することおよび、ミトコンドリア保護プログラムは高齢の成人幹細胞において抑止されることからして、ミトコンドリア保護プログラムを再活性化することが細胞の損傷蓄積を削減し、老化にともなう概日再プログラムを逆転させる手段になりうると想定してもよいのではないだろうか。」