高齢者のためけのやさしい筋力トレーニング

高齢者のグループ

早分かり -

  • 高齢者にとって筋力トレーニングで筋力を高めることで健康な骨質量を維持し続け、加齢による筋肉損失を防止できます
  • 筋力トレーニングをすると、階段を簡単に上ったり、身軽に椅子から立ち上がれるようになる、転ぶにくくなることで生活の質が高まります
  • 今回は膝や股関節、脚力、腕、肩、背中、体幹を鍛えるものを含む初心者向けの筋力トレーニングをご紹介します
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Dr. Mercolaより

高齢者にとって筋力トレーニングを取り入れて筋肉を強化することを確実にすることが最適なお勧めできる運動です。こうしておけば健康な骨質量の維持を助け、加齢に伴う筋肉損失を予防できます。筋力トレーニングすると、筋肉の弾力性が増し、結合組織や腱、靭帯を強化でき、生体力学的な観点から言うと身体を真っ直ぐにできます。

端的に言えば、筋力トレーニングすると階段を簡単に上ったり、身軽に椅子から立ち上がれるようになる、転びにくくなることで、動きの自由度が増し、生活の質にとてもよい効果があります。

筋力トレーニングは体内の分子レベル、酵素やホルモンさらに化学物質レベルでいくつものよい変化も生みだし、2型糖尿病、アルツハイマー病、骨粗しょう症、心臓病など座りがちなライフスタイルが原因の多くの病気を逆転さえできます。

自分の今のフィットネスレベルに合う運動をする...

最近私は高齢者や虚弱な人のために平衡感覚や調整機能をよくするやさしい運動についての基本的案内書を公開しました。これには自分の母が行っているビデオを含んでいます。今回の記事でご紹介しているような筋力トレーニングはとても無理というほど弱かったり障害がある方は、立ち戻ってこちらの案内書をご覧になるとよいと思います。

そのうち、この記事でご説明する初心者レベルの筋力トレーニングによる運動までできるようになっていくはずです。一方では以下の運動では自分の現在の体力レベルにはやさしすぎるという方なら、私の以前の記事strength training for older adults(高齢者向けの筋力トレーニング)をご参照ください。

その記事に簡単なジム器具を利用した、老人向け筋力トレーニングをご紹介しており、強度を上げた集中筋力トレーニングも取り上げています。それでも、以下の内容は筋力トレーニングをこれから始めるご老人に合うはずです。

膝のストレッチ、ウェートを使う/使わない

膝のストレッチは膝を強くし、平衡感覚をよくし、転びにくくなります。膝を鍛えると歩いたり、階段の昇降がはるかに楽で快適になります。

  1. 背筋を真っ直ぐにして椅子に座り膝を曲げる
  2. 右足を前へゆっくりと伸ばし、数秒そのまま維持したら、元の位置に戻す
  3. 左足も同様にする
  4. 片足ずつ10回反復

熟達者は足首に錘を巻き付けます。片足当たり15回の反復が無理になる程度の錘を付けるようにします。強くなるに連れ、さらに重くして挑戦し続けます。

壁に背中を付けて行う部分スクワットおよびハーフスクワット

スクワットするとヒップが柔らかくなり、股関節屈筋と四頭筋力が強くなり、このため歩く能力も座った姿勢から立ち上がる能力もよくなります。また、全身のバランスと安定をよくし、転びにくくなります。初心者の場合、椅子を支えにして立ち上がり、上記のElderGymのビデオでご紹介しているような立ったままの部分スクワットを行います。

膝を曲げながら臀部を前へ押し出し背筋を伸ばした状態を維持し、膝はつま先より前に出ないように曲げます。これが楽にできるようになったら、壁に背中を付けてハーフスクワットを試しましょう。これは座った姿勢まで下げていく場合特にきついので、誰か横で助けてくれる人がいたほうがよいです。

壁に背中を付けて行う部分スクワットおよびハーフスクワット
  1. 背中を壁に軽く付けて立ち、両脚は肩幅より少し広めに立ちます
  2. 両ひざを曲げ、壁に付いている臀部をずり下げていきます。膝頭を脚の中指と一直線に揃え、膝がつま先より前まで曲がらないように注意してください
  3. 力があれば、両足を少々壁から離して置き、座る姿勢まで下げていくと、見えない椅子に座っているかのような姿勢になります。数秒この姿勢を維持してから元に立ちます
  4. 10回から20回反復

20回反復できるようになったら両手にダンベルを以って難度を上げましょう。

バイセプカール

バイセプカールでは自分の今の体力に合う重さを選んでください。片手にだいたい2 kgまでのダンベルが適当だと思います。10回から12回反復を完了できる頃までにウェートを増やして、これ以上無理という感じのきつさがよいです。

バイセプカール
  1. 椅子に姿勢良く座り(胸が背骨へ向かって後退するようすをイメージして体幹を効かせることを忘れず、姿勢を安定にする)、両手にそれぞれダンベルを持ち、手の平を前に向け、肩の力を抜き、両肘は胴にぴたりと着けます
  2. 上腕の筋肉に意識を集中し、肘から腕を曲げ、肩へ向かって高さだいたい3/4までウェートを上げる肩を前へ回さないように注意し、肘を胴にぴたりと着けたままにしてください
  3. ウェートを上げながら息を吐き、下げながら息を吸います
  4. 10回から12回反復します

三頭筋2回運動

上の上腕筋カールは腕前面の筋肉を鍛えますが、三頭筋運動は上腕の後ろの筋肉を鍛えます。ここは使用頻度が低く加齢にともないよれよれになっていく傾向があります。いずれの運動でも肘が痛くなるならしないでください。三頭筋は上腕筋より弱い傾向があるので、最初は軽い錘を使ったほうがよく、一個のダンベルがだいたい1 kgがよいでしょう。

三頭筋2回運動

最初の三頭筋運動:

  1. 右手にダンベルを以って椅子に姿勢よく腰掛けます
  2. ダンベルを頭の上まで上げ、左手を右肘に当てて右腕を安定にします
  3. 右肘をゆっくり曲げ、ダンベルを頭の後ろへ下げる
  4. ここが開始点になり、ここからウェートを天井に向かって上げていき、最初の頭後ろ位置までゆっくりと下げます
  5. 10回反復して腕を替えます

肩を数回回して解し、三頭筋キックバック運動を始めます:

  1. 椅子に座ったまま前へ上体を傾けます。背筋を伸ばしたままにして、右腕を腿の上で左へ回して自分を抱きしめるような姿勢にします(ビデオの実演を参照)左手にダンベルを持ち、腕を床に向けて伸ばします。肘を曲げウェートが腰の高さに来るまで引き上げます
  2. ここが開始点になり、ここから、腕を伸ばしながらダンベルを後ろへ押し、元の位置まで伸ばしていきます
  3. 12回反復したら、反対側も同様に行います

両肩運動

両肩をまっすぐにすると、テーブルの上で食べ物を入れたボウルを反対側に移動したり、スーツケースを持ち上げるなどその他の腕の動きをたいていこなせる力がつきます。また、肩の痛みもなくなります。以下に肩を標的にした二つの運動をご説明します。

両肩運動

ダンベル頭上プレスのしかた:

  1. よい姿勢で座り、両手にそれぞれダンベルを持ち、肘を曲げてダンベルが肩の高さになるように持ち、手の平は前を向きます
  2. この開始位置から、ダンベルを天井に向けて押し上げ、肩の高さまで戻します。ウェートを上げながら息を吐き、下げながら息を吸ってください
  3. 10回から12回反復します

対角外転肩上げ運動:

  1. 右手にダンベルを以って姿勢よく腰掛けます。右腕を前で交差させ、ダンベルが左の腰に来る姿勢を取り、手の平は内側、身体の側を向くかたちになります
  2. この開始位置から、腕を真っすぐ伸ばしたままにし、腕を胴体の前で対角に旋回させながら上げます。動きが終わったときに手の平は外側を向くはずです。腕を開始位置まで戻します
  3. 10回反復し、腕を替えます

直立ボート漕ぎ

直立ボート漕ぎは背筋と上腕筋の筋力を鍛え、肩や肘関節の動きをよくし、重い物を持ち上げやすくなります。

  1. 両足を肩幅に開いて姿勢良く立ち、臀部を突き出し、両ひざを少し曲げて立ちます(いわゆる「嬉しい犬」の姿勢です。これは姿勢専門家カトリーヌ・ポーターさんとのインタビューに説明されています)。腰の前で両手にそれぞれダンベルを持ち、手の平が身体に内側へ向かった状態にします
  2. ウェートを上げて顎までもっていきます 。体幹を効かせ、背中を丸めたり肩を耳の上まで引き上げないようにしましょう。開始位置に戻ります
  3. 10回反復

シットバック

シットバックで体幹の筋肉を鍛えられ、寝床から起き上がったり、椅子から立ち上がるなどの日常生活の動きがはるかによくなります。この運動は床の上で行ってください。絨毯が無ければヨガマットを敷いてください。

シットバック
  1. 床に両ひざを曲げて座り、両腕を胸の前で自分を抱くような形でクロスさせます
  2. 楽にできる範囲でゆっくりと後ろへ座ります(この動きは大きな動きである必要はありません)。ポイントは、体幹を効かせることを忘れず、背中を丸めないことです。足の横に誰か付いて床から足が浮かないように抑えてもらうとやりやすいです。開始位置に戻ります
  3. 10回反復

遅すぎて筋力トレーニングを始められないことはない

運動を始めるには年寄り過ぎるということはなく、特に筋力トレーニングだけでも加齢にともない益々重要になっていきます。私の母はこの成功例です。母は74になるまで筋力トレーニングをしたことがありませんでした! 今や数年経ち、晩年から初めても大きく筋力が回復し、動きの範囲が広まり、平衡性がよくなり、骨密度や精神の明晰さとも改善するという事実の生き証人です。