ナスは何のためによいのか?

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Eggplant essentials
Botanical name: Solanum melongena

ナス

ナスは国によって様々に異なる呼び方をされている野菜です。イギリスやフランスではナスを「オベルジン」と呼び、ドイツでは玉子フルーツという言い方をされています。ナスは米国のマーケットプレイスでは定番ですが、生産は7か国に特化しています。大手は中国、インド、エジプト、トルコ、日本です。

ナスについて説明するとしたら、際立った暗い紫の光沢がありすべすべした表皮がまず思い浮かぶでしょう。しかし、これはナスの中の一種にすぎず、ナスには多くの品種があります。

あるものは小型で白く、玉子にとても似ていますが、他には長手で痩せた豆のようなものがあり、さらに「トガ」という品種は緑の縞模様がある黄オレンジ色をしています。しかしすべてのナスに共通するのは育ち方で、1.5 mに及ぶナス植物からぶらさがって成ります。

ナスは欧州に14世紀に登場し、その後トーマス・ジェファーソンが18世紀に持ち込んだのでアメリカへ渡しました。今日、米国ではフロリダ州が主要産地で、僅差でニュージャージー州とカリフォルニア州が続きます。

ナスはしっかりしており重みがあるサイズの滑らかで表面に傷やその他のむらが無い物を選びましょう。表皮は艶があることが必要です。茶色になっていたり青い筋が現れたり、すでにしぼみ始めているものは避けましょう。

ナスはさまざまな調理が可能です。シチューでも蒸しても、焼いても、天ぷら、揚げてもいただけます。ナスの多用性のおかげで肉を制限している人のお気に入りであることが判明しました。

ナスの健康メリット

ナスはこれさえ食べれば一つの栄養素が圧倒的に豊富に摂れるというものではありませんが、繊維質、葉酸塩、カリウム、リンのほかにもビタミンA、K、B6、マグネシウム、亜鉛、カルシウムなど多くの種類のビタミンやミネラルが豊富に含まれます。ナスの栄養分については後半に掲載します。

ナスにはフェノールも豊富に含まれていることは周知です。フェノールは最も強力なフリーラジカル解消剤の一つであり、このため腫瘍の増殖を阻止し、がんの転移や血管新生と対抗します。

ナスはトマトやじゃがいも、ピーマン、さらに唐辛子やハバネロ、ハラペノ、パプリカなどのナス科の野菜に属する点は面白い点の一つです。しかしナスを食べすぎても、特に鉄分が多い人や腎結石が発生しやすい患者の場合、いくつかの問題につながります。興味深いことに、地中海の古代人はナスを食べると馬鹿になるかもしれないと信じてたので伝えられるところによればナスを「ばかリンゴ」とニックネームを付けていました。

2011年、現地品種のナスを遺伝子操作しようとしたのでインドはモンサント社を生物資源の盗賊行為を罪に罰金を科しました。

ナスの栄養成分

分量:100g、生
  量一食分 推奨日量
充足度(%)*
カロリー 25  
総脂質 0.18 g  
飽和脂肪 0.034 g  
トランス脂肪 0 g  
コレステロール 0 mg  
ナトリウム 2 mg  
総炭水化物 5.88 g  
食物繊維 3 g  
糖質 3.53 g  
タンパク質 0.98 g  
ビタミンA 23 IU ビタミンC 2.2 mg
葉酸塩22 µg 鉄分 229 mg

ナスのレクチンには注意しよう

ナス科の野菜なのでナスには植物の防御メカニズムとして機能する糖と結合するタンパク質レクチンが多いです。これらのタンパク質は人間の場合、特に代謝や細胞の健康、内分泌機能を標的として、長期的な健康の問題につながります。この炎症促進性により心臓病やがんのリスクが高まります。ナスにはいくつもの健康メリットがありますが、レクチンが多いマメ科の野菜やその他の食品同様、食べ過ぎないようにするのが大切です。

ナスに関する研究

ナスを食べると神経保護やよりよい体重管理のほかにも、心臓血管病リスクの低減などいくつかの健康メリットがあります。

1998年、Arquivos Brasileiros de Cardiologiaに掲載されたある研究は高コレステロール血症のウサギにナスジュースを与え、血漿中脂質と体重への効果を見ました。その結果、ウサギの体重が大幅に減り、血漿コレステロールと大動脈中コレステロール量も減少しました。

ナスの抗酸化性と肝臓保護機能はFood and Chemical Toxicologyに掲載された2010年のある研究論文でも分析されていました。5品種のナスをフェノールとフラボノイド成分、さらに肝臓細胞への毒性に対する効果に関して分析しました。研究者らはフラボノイドと肝臓保護活性の間には有意な相関性が存在することを特定しました。

2000年にToxicologyに掲載された別の動物実験では、ナスの表皮に含まれるアンソシアニン植物栄養素ナスニンがフリーラジカルを退治し、脳細胞膜の脂質(脂肪分)を損傷から保護する強力な抗酸化物質であることが判明しました。

ナスの健康的なレシピ

ナスサンドイッチ

ナスサンドイッチ

材料

  • ナス中3本
  • ココナッツオイル大さじ2
  • 海塩と削りたての胡椒
  • 黄色のピーマン2つ
  • 日光乾燥トマト12個
  • ヤギチーズ約330 g
  • 小さめのバジル葉16枚

手順

  1. ナスを縦に厚みを約1.25 cmくらいにスライスする。いちばん大きいスライス8枚をベーキングパンに置く。塩を振りかけ、20分置く。
  2. ナススライスをよく洗い、叩いて乾かす。
  3. 中火の熱で大きい長柄のなべを温める。ココナッツオイルを入れ、ぎらぎらするまで熱する。ナスのスライスを一度に2枚入れる。褐色になるまで熱する、片側約3分。パンから取り出し、ペーパータオルで油を切る。塩コショウする。
  4. ピーマンを予め高温にしてあるグリルかグリルパンで焼く。ピーマンをすべてグリルに配置し、表皮が焦げ目になるまで熱する、片側約5分。ピーマンをペーパーバッグに入れる。これで皮がすぐ取れます。バッグに入れたまま20分程冷ます。指でまたは果物ナイフで表皮を引くか削って剥く。茎の端をカットし、ピーマンを開き、種と被膜を除く。幅約2.5 cmの短冊に切る。
  5. 日光干しトマトを短冊に切る。
  6. ナスのスライスをお皿に寝かせ、サンドイッチに構成する。スライスごとにヤギチーズを塗り、好みに合わせて焼いたピーマン、日光干しトマト、バジルの葉を載せる。サンドイッチを完成させるにはもう一つのナススライスを上に乗せる。

このレシピは4人分です。

(このレシピはDr. Mercola著Healthy Recipes for your Nutritional Type(あなたの栄養タイプ別ヘルシーレシピ)からの抜粋)

ナスのおもしろい事実

ナスは約2,000年前インドで登場し、古代インド文献にはこの野菜にサンスクリット語で30個以上の名前があります。その一部はUSDAのジョージア州グリフィンにあるナスコレクションに収蔵されており、このコレクションには世界中から770種類ほどのナス品種が収集されています。その大部分は地元の商店では手に入りませんが、ときどきグルメ店やエスニック系食料品店やファーマーズマーケットで見つかることがあります。

まとめ

ナスは多くのアメリカ人には馴染みが薄い野菜です。実際には北米では最近まであまり消費されたことがなかったもので、最初は観葉植物として栽培されました。いくつもの色とりどりの面白い品種はありますが、艶のある濃い紫の表皮でよく知られています。

ナスはアジアの一部の文化圏では、伝統的薬草として使用されていますが、他の地域では、ナスパルメザンなどの料理に、他の野菜、チーズ、肉、ハーブと合わせて鍋料理に使われてきました。

近年になって、科学者らがナスに強力な抗酸化物質フェノールが含まれることを発見し、これにはアンソシアニン植物栄養素ナスニンを含み、これが体内のフリーラジカル中和のために重要な機能をしています。

ナスはナス科植物の一種であり、同類にはじゃがいも、トマト、すべての種類の辛子がありますが、食後に悪い影響があるので若干議論の対象になっています。それでも欧州や中東の料理では、ナスはデリカシーとして見なされる場合があり、伝統あるいはおそらく口を慰める食品としての価値があるようです。その他のどんな食品とも同じで調理方法しだいでよく変わります。