ケルセチンのまだほかにもある健康メリットについて

ケルセチン メリット

早分かり -

  • ケルセチンは炎症と闘うことがわかっており、自然な抗ヒスタミン物質として機能します。ケルセチンが普通の風邪やインフルエンザの予防に寄与することに数本の研究が注目しました
  • ケルセチンにはもう一つあまりよく知られていない効能があり、これは高血圧、心臓血管病、メタボリックシンドローム、特定のがん、痛風、関節炎、気分障害の予防や処置が挙げられます
  • メタボリックシンドロームに対するケルセチンの効能を検討したある考察論文は、一日用量500 mg以上を少なくとも8週間飲むと空腹時血漿グルコース濃度を大きく削減することを特定しました
  • 最近のもう一つの研究は、ケルセチンが炎症や酸化ストレス、脂質代謝を改善することで、非アルコール性脂肪肝を改善することを特定しました
  • ケルセチンはDNAと相互作用し、細胞死(損傷した細胞のプログラムされた死)のミトコンドリア経路を活性化することで腫瘍の縮減を作動させる能力もあります
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Dr. Mercolaより

ケルセチンは抗酸化フラボノールであり、数例を挙げるだけでも、リンゴやプラム、赤ブドウ、緑茶、セイヨウニワトコ、玉葱などの食品には自然に含まれています。2019年のあるMarket Watchのレポートによると、ケルセチン市場は健康メリットがますます知れ渡るようになったので急成長を遂げています。

ケルセチンは炎症と闘うことがわかっており、自然な抗ヒスタミン物質として機能します。実際に、その抗ウィルス性は、多くの研究がケルセチンのメリットに注目してきた主な着眼点であり、いくつもの研究はケルセチンがよくある風邪やインフルエンザの予防と処置に効くことを強調してきました。

しかし他にもあまり知られていない以下のような病気の予防や処置効果というメリットや用法がこのサプリメントにはあります:

高血圧

心臓血管疾患

メタボリックシンドローム

特定のがん

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)

痛風

関節炎

気分障害

老化細胞を特異的に死滅させる薬剤的効能(損傷して老朽化した細胞の除去)による長寿

ケルセチンはメタボリックシンドロームの症状を軽くする

この強力な抗酸化物質に関する最新研究の中でも、Phytotherapy Research 2019年3月号に掲載されたある研究が、ケルセチンのメタボリックシンドロームへの効果を見た9本の無作為化対照試験について検討しました。

メタボリックシンドロームは2型糖尿病や心臓病、脳卒中リスクを高める病気群を指します(高血圧、高血糖、高トリグリセリド、胴囲を高める体脂肪の蓄積)。

蓄積されてきた研究結果からは空腹時血漿グルコース、インスリン抵抗あるいはヘモグロビンA1c濃度に対する効果が認めらず、さらにサブグループを解析したところ、ケルセチンサプリメント一日用量500 mg以上を少なくとも8週間飲むと、空腹時血漿グルコースが「大幅に減る」ことが判明しました。

45歳過ぎの人が参加したいくつかの研究では、一日用量500 mg以上を飲むとインスリンが「大幅に」減りました。2011年に公表された以前の研究もメタボリックシンドロームの特定の症状に対するケルセチンの効能を分析しました。

その研究は具体的にはAPOE遺伝子型3/3、3/4、4/4を持つ男子のアテローム硬化と炎症に注目し、ケルセチンでプラセボより大幅な胴囲、食後収縮期血圧、食後トリアシルグリセロール(トリグリセリドのこと)の減少、HDLコレステロールの増加を見ました。この研究では1日150 mgのケルセチンを8週間投与しました。

2008年に公表された肥満ラットに関する研究でも、ケルセチンサプリメントを体重1 kg当たり2 mgまたは10 mg/kgの用量を10週間投与したところ、収縮期血圧やトリグリセリド、総コレステロール、遊離脂肪酸濃度が下がりました。用量10 mg/kgでもラットの炎症状態が改善しました。その研究の執筆者らは次のように説明しています:

「結論として、ケルセチンのどちらの用量でも脂質異常、高血圧症、高インスリン血症が肥満ツッカーラットにおいて低下したが、高用量の場合のみVATにおいては抗炎症効果が体重増加率の逓減によって確認された。」

ケルセチンの血圧に対する効能を実証した初期研究の1本は2007年に公表されました。その執筆者らによると:

「ケルセチンは冠動脈疾患と脳卒中のリスク削減に関連すると疫学研究が報告しており、無作為二重盲検プラセボ対照試験に参加した前期高血圧およびステージ1高血圧症の男子と女子について、用量730 mg ケルセチン/日を28日間とプラセボ投与に関して比較した。

ステージ1高血圧症被験者の募集時の血圧は … 148 +/- 2/96 +/- 1であったが、収縮期血圧の減少(-7 +/- 2 mm Hg)、拡張期血圧(-5 +/- 2 mm Hg)の減少、さらに平均動脈圧(-5 +/- 2 mm Hg)の減少がケルセチン処置後に確認された … これらの事実はケルセチンサプリメントが高血圧の被験者に降圧効果があることを示した初の事例である。」

同じく、2020年1月の17本の研究を見直したある研究がケルセチンにより被験者の血圧が「大きく減少した」と結論づけています。8週間またはそれ以上投与された人の場合、高密度リポタンパク質コレステロールとトリグリセリドも「大幅に」減少しました。

ケルセチンが遺伝子発現に関与する

2016年に公表されたある研究によると、DNAと相互作用し、細胞死(損傷した細胞のプログラムされた死)のミトコンドリア経路を活性化することで腫瘍の縮減を作動させます。

ケルセチンは用量に応じた白血病細胞に対する細胞毒性を誘発します。乳がん細胞でも限定的な細胞毒性効果が確認されました。全体的に、ケルセチンはがんにしたマウスの余命を未処置の対照個体に比べ5倍伸びました。

その研究の執筆者らは、ケルセチンがDNAと直接相互作用すること、および細胞死のミトコンドリア経路活性を促すこの物質の効果であると判定し、ケルセチンのがん治療賦活剤としての用途の可能性についてさらに研究の価値があることを示しました。

Molecules誌に掲載されたさらに近年の研究によると、ケルセチンには以下のようなエピジェネティックな効果があります:

  • 細胞信号伝達経路との相互作用
  • 遺伝子発現の調節
  • 転写因子の活性への効果
  • microRNAの調節

MicroRNAはかつては「ごみ」DNAと見なされていました。無駄なことは全くなく、この「ごみ」DNAがmicroRNAであって、身体を形成するタンパク質を成す遺伝子調節のために基幹的機能をしています。

遺伝子はmicroRNAの機能により発現したり発現しなかったりします。microRNAによる入力しだいでは遺伝子は200種類以上のタンパク質生成物のコーディングが可能になります。ケルセチンによるmicroRNAの調節機能はまた、細胞毒性的効能の説明因子でもあり、さらに、がんの生存率(マウスの事例による)の改善につながる理由が示されているようです。

ケルセチンは強力な抗ウィルス性がある

既述の通り、ケルセチンの最もよく研究が進んでいる属性の一つが抗ウィルス性であり、これは主に3つの機序によるものであることがわかっています:

  1. ウィルスの細胞感染の阻害
  2. 感染した細胞の複製阻止
  3. 抗ウィルス薬による処置に対する感染細胞の耐性削減

例えば、2007年に公表された米国国防省出資によるある研究は、ケルセチンがウィルス性疾患リスクを低くし、普通なら免疫機能を弱め感染しやすくなると考えられる極度の肉体的ストレスの後に、精神的能力を増すことを発見しました。

この研究では、一日用量1,000 mgのケルセチンをビタミンC(血漿ケルセチン濃度を高める)とナイアシン(吸収をよくする)といっしょに5週間投与された自転車選手は未処置の対照群に比べ、3日間連続して1日に3時間自転車で走った後、ウィルス性疾患になる確率が大きく減りました。プラセボを受けた対照群の45%は発病した一方、処置群では5%にとどまりました。

国防高等研究計画局(DARPA)が出資し、2008年に公表されたある研究では、ケルセチンで処置した動物に発病率が極めて高いH1N1インフルエンザウィルスを感染させました。ここでも処置群はプラセボ群より罹患率も死亡率も大きく下がっていました。その他いくつもの研究も以下のような各種のウィルスに対するケルセチンの効能を確認しました:

1985年のある研究は、ケルセチンが1型単純疱疹ウィルス、1型ポリオウイルス、3型パラインフルエンザウィルス、呼吸器合抱体ウイルスの感染力と複製を阻害することを発見しました。

2010年のある動物を使った研究は、ケルセチンがA型とB型のインフルエンザウィルスを阻害することを特定しました。そのほかにも2つの重要なことが発見されました。第一に、ウィルスはケルセチン耐性を着けられないこと、第二に、抗ウィルス薬(アマンタジンやオセルタミビル)と併用した場合、効能がたいへんよくなりました — しかも薬剤耐性が発生しなくなりました。

ケルセチンのインフルエンザに対する効能を調査した2004年のある動物実験では、H3N2ウィルスの菌種を使用しました。

2016年のもう一つの研究は、ケルセチンがタンパク質の発現を調節することでA型インフルエンザウィルスH1N1から保護することが特定されました。より具体的に言うと、フィブロネクチン1とプロヒビチンという熱衝撃タンパク質の調節はウィルスの複製のために決定的であることがわかりました。

2016年に公表された第三の研究では、ケルセチンがH1N1、H3N2、H5N1などいくつものインフルエンザ菌種を阻害しました。その研究の執筆者らによると、「この研究からインフルエンザ感染初期におけるケルセチンの阻害的活性は[A型インフルエンザウィルス]感染の処置と予防のために効果的で安全かつ手頃な価格で入手できる、自然の製品開発が今後可能になり、治療の選択肢になるとみられる。」

2014年にある研究者らは、ケルセチンがリノウィルスによる「普通の風邪の治療に有望」であるようだとし、さらに、「ケルセチンが試験管内ではウィルスの内生化と複製を、生体ではウィルス負荷、肺炎症、気道過敏症を抑制することが確認された」としています。

酸化ダメージを緩和することで細菌の二次感染リスクも下がります。細菌の二次感染はインフルエンザ関連の主な死因です。重要な点として、ケルセチンは骨格筋のミトコンドリア生合成を促し、このことは抗ウィルス特性の一部がミトコンドリアの抗ウィルス信号伝達の増大によるものであることを示しています。

2016年のある研究は、ケルセチンがマウスのデング熱ウィルスと肝炎ウィルスを阻害することを特定しました。他のいくつかの研究はB型とC型肝炎ともに阻害するケルセチンの特性を確認済みです。

ごく最近では、Microbial Pathogenesisの2020年3月号に掲載されているある記事が、ケルセチンは肺炎球菌が放出し初期段階において肺炎連鎖球菌の感染を促す毒素の一つであるニューモリシン(PLY)の活性を打ち消すことで、試験管内でも生体内でも「肺炎連鎖球菌の感染から全面的に防衛する」ことを発見しています。

ケルセチンは炎症を抑え免疫力を高める

ケルセチンは抗ウィルス活性以外にも免疫力を高め炎症を抑制します。2016年、Nutrients誌に掲載されたある研究は、この活性の機序には(限定されることなく)以下の要因の阻害が挙げられます:

マクロファージ内におけるリポ多糖体(LPS)誘発腫瘍壊死因子α (TNF-α)の生産。TNF-αは全身炎症に関わる一種のサイトキンであり、活性化されたマクロファージから分泌される一種の免疫細胞で、異物や微生物、その他の有害あるいは損傷した構成要素を消化します

グリア細胞内でのTNF-αとインターロイキン(IL)-1αのLPS誘発mRNA濃度、この効果により「細胞自己死的に起きる神経細胞死を削減」します

炎症を起こす酵素の生産

細胞内へのカルシウム流入。このため次のことが阻害されます:

炎症促進性サイトキンの放出

腸内幹細胞の放出によるヒスタミンとセロトニンの放出

同論文によると、ケルセチンは幹細胞を安定させもするほか、胃腸管内で細胞保護的活性があり、「免疫細胞の基本的機能特性を調節する直接的効果」があり、このため、多くの炎症性経路や機能を抑制あるいは抑止することでマイクロモル濃度範囲の多くの種類の分子標的」が阻害されます。

ケルセチンは多くの人にとり有用なサプリメントになりうる

ケルセチンには様々なメリットがあることを考えると、急性期でも長期的にも多くの人にとり有用なサプリメントになりうると思います。普通の風邪やインフルエンザであるかを問わず何かが原因で「元気がなくなってきた」と思ったときに、薬箱から出して飲むとよいサプリメントの一つとして私はお勧めします。

風邪やインフルエンザによく罹る人の場合、風邪やインフルエンザのシーズンが免疫系に響きだす数カ月前から飲むとよいのではないでしょうか。食生活や運動などの基本的戦略による方策も取らずに、勧められるままにサプリメントに依存するのはばかげていますけれども、メタボリックシンドロームがある人の場合は長期的に継続すると有用であるようです。

+ 出典および参考資料