緑葉野菜といっしょにカルシウムを摂り込む理由

Fact Checked(事実確認)
緑葉野菜類

早分かり -

  • シュウ酸塩とかシュウ酸は多くのフルーツや野菜に豊富に含まれます。これ自体無害でもシュウ酸が過剰に蓄積すると腎臓結石につながります
  • シュウ酸カルシウム結石はもっとも一般的な腎臓結石です。尿が高濃度になると食事に含まれるカルシウムとシュウ酸が結晶化するので結石が発生しやすくなります
  • シュウ酸を含む食品なしでカルシウム サプリメントを飲むと腎臓結石リスクが高まる。このリスクを最小限にするにはCaサプリメントをシュウ酸を含む食事といっしょに摂るとよいです
  • シュウ酸が豊富な食品には濃緑葉野菜類 (特にほうれん草やスイスチャード)、ぬかやふすま製品、 ルバーブ、ビート、甜菜の葉野菜、チョコレート、ナッツ(特にアーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ)、ナッツバターが挙げられます
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Dr. Mercolaより

シュウ酸塩とかシュウ酸は多くのフルーツや野菜に豊富に含まれます。これ自体無害 — 実際に肝臓は自然にシュウ酸を産生する — なシュウ酸でも蓄積すると問題を起こします。

食べすぎると身体は溶解性シュウ酸を大量に吸収するかまたはシュウ酸を作りすぎる (原発性高シュウ酸尿症)ので、または尿からカルシウムを過度に排泄してしまう(高カルシウム尿症)と、過度に堆積し易くなります。

シュウ酸が腎臓に蓄積しすぎるともっとも一般的な腎臓結石タイプであるシュウ酸カルシウム腎臓結石につながりやすくなります。尿が高濃度になりすぎると食物に含まれるカルシウムとシュウ酸が結晶化して結石が発生します。

腎臓結石が発生しやすい体質あるいはすでにシュウ酸カルシウム結石がある人の場合、医者は濃緑葉野菜類 (特にほうれん草やスイスチャード)、ぬかやふすま製品、 ルバーブ、ビート、ビート緑葉野菜、チョコレート、ナッツ(特にアーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ)、ナッツバターなどのシュウ酸が多い食品を食べないように言うかもしれません。

カルシウムとシュウ酸の組み合わせの良しあし

過去には腎臓結石がある人はカルシウムが豊富な食品を避けるようにも注意されていたことがあります。しかし、2004年、Journal of the American Society of Nephrologyに掲載されたある論文が説明するように、この戦略は結石のリスクを実際に下げるのかは実証されたことはありません。

「むしろ、 1969年すでに、Ca制限食がシュウ酸の胃腸内吸収を促し、尿中のシュウ酸濃度が高まり、Ca シュウ酸結石リスクが高まることは証明された」と、その論文は説明しています。

今日では、カルシウム制限すると百害あって一利なしであることが判明したので、こうした推奨はされなくなりました。1997年、Annals of Internal Medicineに掲載されたある研究は、看護師の健康調査に参加した91,731人の女性から集めた12年分の価値があるデータを解析しました:

「食事から摂るカルシウムが最も多い上位1/4の女性は最も摂らない最低1/4の女性より相対的結石リスクが0.65であった。カルシウムサプリメントを飲んでいた女性のこれを飲まない女性に対する相対リスクは1.20であった。

カルシウムサプリメントを摂っていた女性の67%では、食事からカルシウムを取っていなかったか、シュウ酸濃度が低い可能性がある食事といっしょにカルシウムを摂っていた。

食事から豊富にカルシウムを摂ると腎臓結石の症状にまでつながるリスクが下がるようであるが、カルシウムサプリメントを摂るとリスクが高まるようである。カルシウムを食事から摂るとシュウ酸が吸収されにくくなるので、カルシウムの種類が原因で起きる異なる影響がおそらく、消費するシュウ酸量に対するカルシウム摂取のタイミングと関連するようである。」

カルシウムを増やすと実際には腎臓結石リスクが下がる理由

カルシウムは結石の最大の要素なので食事から摂るカルシウムを増やすのは直観的はわかりにくいかもしれませんが、この逆説に対する解答は食事からカルシウムを豊富に摂ると実際には最初から結石を形成する化学反応を阻害することです。Cleveland Clinicが次のように説明しています:

「食事のカルシウム量が少ないとシュウ酸カルシウム腎臓結石が形成するリスクが高まる … カルシウムは腸内でシュウ酸と結合する。カルシウムが豊富な食事をすると身体に吸収されるシュウ酸量が減り、結石しにくくなる。

乳製品やその他のカルシウム豊富な食品からカルシウムが豊富な食品や飲料を毎日(2~3回)摂るとよい。さらに、高カルシウム食品とシュウ酸が多い食品を共に食べるのが有用である …」

World's Healthiest Foodsがさらに次のように説明しています:

「溶解性シュウ酸のみ消化管内で吸収される。シュウ酸ナトリウムやシュウ酸カリウムは圧倒的に溶解性の化合物である。しかし、シュウ酸カルシウムは不溶性であり、シュウ酸マグネシウムは溶解性が乏しい。つまりシュウ酸の形態が吸収過程において重要である。

第二に、腸内細菌のうち多くの菌種はシュウ酸を分解するので、腸内細菌は吸収されるシュウ酸量が決まる決定的な機能をしていることが判明している。これらの菌種にはオキサロバクター・ホルミゲネス、いくつものラクトバシラス類、数種類のビフィドバクテリアが挙げられる …

食事 (シュウ酸を含む食品もシュウ酸を含まないものも含む) 中に食べる食品の全体的組み合わせは、消化管から吸収されうるシュウ酸量に大きく影響する。

例えばインド領に関する研究を検討したら、ほうれん草(パラク)のほかにもインドコテージチーズ(パンール)など多くの具を含む料理は吸収可能なシュウ酸量を約15~20%減らすことがわかった。以上からわかるように食事から摂り込むシュウ酸塩の量とシュウ酸吸収の関係は複雑である …」

乳製品がほうれん草からのシュウ酸吸収度を下げる

2003年のある研究は、カルシウムでシュウ酸吸収率が変わることを実証しました。ほうれん草は溶解性と不溶性シュウ酸をともに含みます。この研究ではニュージーランドで購入した市販の冷凍ほうれん草を使用しました。これには溶解性シュウ酸が100 g当たり736.6 mg、不溶性シュウ酸が220.1 mg、合計カルシウムが90 mg含まれ、このうち76.7%が不溶性シュウ酸と結合し、生体利用能がなくなることが判明しました。

10人の被験者が100 gのほうれん草グリルを単体でまたは次のうちいずれかと合わせて食べました:

  • コテージチーズ100 g
  • サワークリーム100 g
  • サワークリーム100 g+Calci-Trimミルク180 g
  • オリーブオイル20 g

尿中シュウ酸量を食後6時間と24時間時点に測定しました。その執筆者らによると、「サワークリームとCalci-Trimミルクの組み合わせを追加した場合、食後6時間と24時間のサンプル回収で両方ともほうれん草のシュウ酸利用能が大きく減少した」とあります。

シュウ酸が関与するその他の異常

シュウ酸結晶の蓄積が原因で起きる問題は痛い腎臓結石だけではありません。腎臓が最も影響を受けやすい器官ですが、シュウ酸はその他の器官や状態にも影響します。線維筋痛や外陰部痛(外陰唇の痛み)がその例です。

シュウ酸結石は炎症や深刻な酸化ダメージの原因にもなります。この他にもシュウ酸は非ヘム鉄の吸収を阻害し、赤血球生産に必要な体内の鉄蓄積量が減ります。

さらに、シュウ酸は水銀や鉛など何種類もの有毒金属と反応して錯体を成します。残念なことに、この反応は重金属を組織に閉じ込めるかたちで起きるので、体外排出が困難になります。

シュウ酸吸収量は毎日のカルシウム摂取量に依存する

2004年、Journal of the American Society of Nephrologyに掲載された別の研究は、「体内に取り込んだシュウ酸のうち2~20%は、カルシウム日量800 mgの場合、健常者の胃腸から吸収され、カルシムはシュウ酸吸収を最も大きく変化させる」と説明しています。

私は日常シュウ酸が多いさつまいもと一酸化窒素を増やすための発酵ビート2種類の食品を食べていますこれらの食品を食べるときはシュウ酸に結合させるため粉砕した玉子の殻を小さじ1/2混ぜて食べます。

上記の2004年の研究ではカルシウム摂取量とュウ酸の吸収性の精確な相関性を見るため健常な参加者が溶解性塩であるシュウ酸ナトリウムを0.37 mmol摂取しました。 カルシウム摂取量は200 mgから1,800 mgまでの間に変化をつけました。

その研究者らによると、「一日のカルシウム摂取量200 mgから1200 mgの範囲で見た場合、シュウ酸の吸収量はカルシウム摂取量に線形に依存した」ということです。「一日にカルシウム200 mgの場合平均吸収率は17%、一日にカルシウム1200 mgでは平均吸収率は2.6%であった …

この範囲でカルシウム供給量が70 mg減ると、シュウ酸吸収率は1%増加し、この逆も言えた。カルシウムを1200 mg/日より多く摂った場合、シュウ酸吸収効率は10分の1に減少した。

一日にカルシウム1800 mgとすると、平均吸収率は1.7%であった … これらの事実は低カルシウム食がシュウ酸カルシウム結石リスクを高める理由を説明しているようである。」

シュウ酸を含む食品を食べるときはカルシウム サプリメントといっしょに食べる

1997年に掲載されたAnnals of Internal Medicineの上記の研究は食事からのカルシウムとカルシウム サプリメントの効果が同じではないとしていました。カルシウムが豊富な食品で腎臓結石リスクが35%下がった一方、カルシウム サプリメントだと20%上がりました。

繰り返すと、この偏差の原因はほとんどの人はサプリメントを空腹時に飲むか朝食といっしょに食べるので、シュウ酸が僅かないし無い食事で飲む傾向があります。朝から野菜を食べる人は稀です。

そこで、カルシウム サプリメントを緑葉野菜やその他の野菜(シュウ酸が多い食品)も含めるほうがよい昼食や夕食のとき飲むようにするとこの高リスクを下げることができます。

こうすればサプリメントで摂り込むカルシウムが食品のシュウ酸と腸内で結合し、尿中に蓄積(さらに結晶化)せずに排便により出ていきます。もう一つの方法としては、サプリメントを朝に緑葉野菜スムージーや新鮮な絞った野菜ジュースと一緒に飲むことです。

カルシウム サプリメントについてここではご説明していますが、カルシウム錠剤に代わる安価で天然のものは清潔な使用後の乾燥させた玉子の殻を粉砕して食品やスムージー、緑葉野菜ジュースに加えることです。

ある研究によると、玉子の半分の殻を摂り込むだけで成人(19歳から50歳)の標準カルシウム日量(1,000 mg) が摂れます。

腎臓結石を予防する

まとめとして、カルシウム サプリメントを飲むなら昼食か夕食といっしょにすると腎臓結石リスクが低くなります。カルシウム サプリメントを飲まない人は野菜(その他シュウ酸が多い食品)をカルシウム豊富な食品といっしょに食べましょう。その例にはすでに採り上げた茹でたほうれん草にコテージチーズやサワークリームをいっしょに食べることです。生の有機牛乳グラス一杯または少々の有機生バターでもメリットがあります。

以上すべてのことはともかく、腎臓結石の最大の原因は脱水なので、身体をよく保湿し続けることこそ最優先してください。水をじゅうぶん飲んでない方は、沈殿して結石を生じやすい物質の尿中濃度が高まります。

米国内科医師会のガイドラインは一日に尿が少なくとも2ℓ出る程度、じゅうぶんに水を飲むように推奨しています。腎臓結石が心配なら糖質(特に精製果糖)のほかにもこれを使用している加工食品が寄与要因なので避けるのが無難です。動物性タンパク質やサプリメントのビタミンCを制限するのも結石リスクがある人に推奨されます。

また、体液を動かし続けるため必ず大いに運動してください。最後に、腎臓結石の予防になるマグネシウムやビタミンB6をよく摂ることもお忘れなく。

クエン酸カリウムとクエン酸マグネシウムの組み合わせも、ある研究によると「体をあまり動かさないことにより高まった腎臓結石リスクに対する効果的な対策になることも判明して」います。別の研究はクエン酸カリウムとクエン酸マグネシウムの組み合わせが「再発性シュウ酸カルシウム結石を効果的に予防」することを特定しており、3年間摂り続けると再発リスクが85%下がるそうです。