Dr. Mercolaより
食事は健康管理のために利用できる最も重要な手段の一つですが、ミトコンドリアの機能改善となると特定のサプリが有用です。新しいミトコンドリアの増殖(ミトコンドリア生合成).を促すピロロキノリンキノン (PQQ)はこの観点では特に強力なサプリです。
ミトコンドリアはさらにエネルギー生産反応経路の触媒としてもPQQが必要で、この物質はミトコンドリアを損傷から保護するために必須です。ミトコンドリアは細胞内の微小なエネルギー生産体であり、ミトコンドリアが正常にエネルギーを生産できなくなることがほぼあらゆる慢性病や老化、死亡の核心にあります。
身体が適正に機能するには十分なエネルギーが必要であり、このためにはよく栄養を補給され、よく機能するミトコンドリアは欠かせません。PQQはこのために必須の要素です。Bulletproofの設立者でエネルギー、寿命、脳力に関する数冊の著作があるデイブ・アスプレイがこう説明します:
「アンチエイジングは細胞レベルから始まり、PQQで細胞を保護しやすくなり、同時に脳や心臓など体内でも、特にミトコンドリア濃度が高い部分を改善しやすくする。」
PQQはミトコンドリア生合成を促す比較的独特な能力があります。すなわち、老化しつつある細胞内での新たな健康的ミトコンドリアを産生させることで、この物質のもつとても多くの健康的メリットの基礎をなします。Better Nutrition誌には次のように説明されています:
「PQQの特性にはエネルギー生産の改善や若返りの効能がある。カリフォルニア大学デイビス校でのある研究において、研究者らは少人数の男女グループにPQQのサプリを与え、76時間後の効果を検査した。
血液検査と尿検査を併用した研究者らは、PQQがミトコンドリアの性能をよくし、慢性的炎症を軽くすることを特定した。効果的用量は体重1kg当たり0.3 mgのPQQであり、例えば体重68kgなら20 mgのPQQに相当する。」
PQQが炎症を軽減し、ミトコンドリア機能をよくし、ミトコンドリア生合成を刺激する一つのメカニズムは、スーパーオキシド・ディスムターゼやカタラーゼなどの細胞間抗酸化物質が増える生体ホルミシス物質Nrf2の発現を強化することによっています。
また、PQQは寿命延長の主要転写因子の活性も盛んにすることもすでに解明されており、PQQが長寿のために「画期的な機能」をしていると、研究者らは推論するようになりました。実際に、老化やがんにおいて機能するmTORを含むいくつもの信号経路を調節し、DNAの修復を助け、そのすべては長生きにつながります。
PQQはNADHも増やします。この物質は食事がエネルギーに変換されるにともないNAD+に変換されます。損傷したDNAが修復されるとき、NAD+を消費し、これが枯渇すると損傷を修復できなくなり、これこそまさしく現代社会で見られる病気の大部分の根本原因である可能性が高いです。
PQQが有害物質から脳細胞とそのDNAを保護する機能は、この物質が神経萎縮性疾患を予防できる強力な物質であることも示しています。ミトコンドリアのDNAはフリーラジカルと酸化促進物質による損傷をとても受けやすいです。体内の大部分のフリーラジカルはミトコンドリア内で生じるので、ミトコンドリアはその損傷を受けやすいです。
フリーラジカルは食物を細胞の燃料に変換する過程で生じる不可避な反応生成物であり、食物の最終的代謝場所がミトコンドリアなのです。PQQがこうした損傷から保護することはすでにわかっています。このほかにもミトコンドリアの内生的修復機能や複製機能も活性化します。
脳においてその実際的な帰結は認知力改善、学習能力と記憶力を含む神経機能の全体的改善および神経萎縮性疾患リスクの削減です。PQQは中枢神経系にある特定のグリア細胞内での神経成長因子(NGF)の合成を刺激してニューロンを保護し、存続しやすくしていることも研究からすでにわかっています。
さらに、ベータアミロイドで損傷した脳細胞 — アルツハイマー病の特徴的一面 — の機能を改善し、パーキンソン病によるアルファシンクレインタンパク質の形成を阻止します。
2012年のある研究によると、PQQは脳外傷においても神経細胞死を防止するのさえ助けることができます。この研究の執筆者らによると、「PQQは脳外傷(TBI)後の回復のためにキーとなる役割を」果たします。
PQQ用量10~20 mgを使用した動物研究と人体実験ともに、この物質だけでも精神的処理機能と記憶力が改善されることは実証されましたが、補酵素Q10と併用したときはさらに効果が強くなることがわかりました。
ある研究はPQQとCoQ10を併用するとこれらの栄養素単体だけより効果がよくなることを特定しており、どうやら相乗効果があるようです。CoQ10の還元型ユビキノールは生体利用能が高いのでこちらをお勧めします。
CoQ10、PQQともに脂溶性なので、空腹より少々食べて脂肪があったほうが最適に吸収されます。強力な抗酸化物質であるほかにもCoQ10/ユビキノールは他の抗酸化物質の再利用過程も促進するので、PQQと併用すると抗酸化能力が高まります。
PQQにとてもよい効能があるもう一つの理由は、強力な抗酸化物質であることです。20,000万回以上の触媒変換に持ちこたえます。ここでの触媒とは、抗酸化物質がフリーラジカルを中性化する際の機能です。つまりPQQは注目すべき効率性の高い抗酸化物質なのです。比較までにビタミンCは触媒反応4回で枯渇します。
PQQが体重1kg当たり用量0.2 mg~0.3 mgではC反応性タンパク質(CRP)とインターロイキン6という炎症を示す生物指標化合物を削減することは研究からわかっています。
PQQは免疫系も支持し、PQQ欠乏により免疫機能が劣化します。ある研究において、PQQサプリメントは有糸分裂促進剤(細胞分裂すなわち有糸分裂を開始させるタンパク質)に対するB細胞とT細胞の応答性を改善しました(これらは免疫応答において主要な機能をする白血球細胞です)。
ミトコンドリア機能の改善をはるかに超えた代謝効果があるPQQの用途は多くあります。例えば、健康な代謝のための重要な分子標的であるプロテインキナーゼ活性化アデノシン一リン酸(AMPK)の活性化を促します。
AMPKは体細胞.内部の酵素です。代謝調節のために基幹的な機能をするので「代謝のマスタースイッチ」と呼ぶことがときどきあります。Natural Medicine Journalは以下のように説明します:
「AMPKはエネルギーのホメオスタシス維持に関与する全細胞内での多重的反応を触発する。… AMPKは脂質、グルコース、エネルギーのアンバランスを正常化するいくつもの生体活性を調節する。
メタボリックシンドローム(MetS)はこうしたAMPKに調節される経路が機能しなくなると発生し、これが高血糖症や糖尿病、脂質異常、エネルギー不均衡を含む症候群を起こす…
AMPKはこうしたストレス要因への応答を調整するのを補助し、細胞の修復、維持あるいはホメオスタシスや生存確率の増加へ回復させるようにエネルギーをシフトする。
ホルモンのレプチンやアディポネクチンはAMPKを活性化する。つまりAMPKが活性化されると運動や食事制限、減量と同じメリットが得られる。これらはいくつもの病気に対してメリットがあると見なされているライフスタイルの変更である。」
加齢にともない、当然のことながらAMPK は減りますが、貧疎な食生活は年齢を問わずAMPKを減らします。この酵素は体脂肪の組成、炎症、血中脂質のために主な機能をしているので、活性を強化することで血糖管理の改善、内臓脂肪の削減、LDLコレステロールの削減にとても効果があります。
AMPKはミトコンドリアの自食作用(オートファジー) (ミトファジー)とミトコンドリアの生合成のほかにも、インスリン、レプチン、mTOR, インスリン様成長因子1 (IGF-1)、増殖因子活性化受容体ガンマ補助活性化因子1アルファ(PGC-1α)という5つの必須の経路も刺激します。
一日中(三食)食事してインスリン濃度が上がりっぱなしになるとmTORを活性化し、AMPKを阻害し、PQQが後者を増加させられなくなるので、PQQは機能しないか機能してもあまりよくないことを認識しておくことが重要です。
PQQには以下のような健康的メリットもあります:
PQQには多くの健康的メリットがあることはご覧の通りです。さらに、PQQは納豆やパセリ、緑ピーマン、ほうれん草、パパイヤ, キウィ、緑茶などの食品に含まれていても、健康的効能をフルに得るためには食事からはじゅうぶん摂れません。
PQQのサプリメントを飲み始めて数週間でブランドや用量が自分に効果があるかないかが実感できます。全体的には気分がよくなり、生気盛んになり、思考力が鮮明になるはずです。
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