ストレスは人に移ることが科学研究で明らかに

ストレスは人に移る

早分かり -

  • ストレスはとても人に移ります。ストレス状況にある他者をよく見ているだけでも見ている人に共感的ストレス応答が発生します
  • 共感的ストレスは他人か身近なパートナーか、目の前で会ってみているかテレビで見ているかを問わず感じる場合があります
  • ストレスは健康を害しますが、プラスの思考は免疫系を強くし、プラスの感情を促し、傷みや慢性病を軽くし、ストレス解放になる肉体的変化を起こします
  • 薬やアルコールで人工的に幸福感を感じるものですが、例えば、笑ったりハグやキスしたり、セックスあるいは子供との絆など、健康的な習慣を通しても、エンドルフィンやドーパミンは増えます
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Dr. Mercolaより

ストレスがひどくてその原因に対処できないとき、自分が普段維持している人とのつながりのことを考える意義がありそうです。

ストレスは人に移るもので、どう感じるかだけではなく、肉体的にも応答するほどであることが新たな研究から判明しました。

(自分の選択によるか事情が原因で)ストレス下にある他者が自分の周囲にいると、自分の精神的、肉体的健康に影響するようです。

しかも、テレビでストレス的な状況を見ていてもこのことは該当します。

共感的ストレスの「驚くべき」発現

Psychoneuroendocrinology誌に掲載された新たな研究は、ストレスを受ける状況下にいる他者を観察するだけで、観察者に共感的ストレス応答が発生することを明らかにしました。

例えば、ストレス下にある(数学の難題を解き次に会見に応じるように求められた)参加者をハーフミラーを通して観察していると、観察者の30 %にストレスホルモンコルチゾールの増加というかたちでストレス応答が生じました。

観察者がストレスを受けている参加者と恋愛関係にある場合、共感ストレス応答はさらに強くなり、40%に達しました。しかし、ストレスを受けている他人を観察した場合でも、観察者の10%が同様にストレスを感じました。ストレス応答はハーフミラーを通してその場で観察した場合ばかりではなく、ビデオ転送による場合も同様でした。

ストレスを受けている出来事を伝送して見せた場合でも、観察者の約24%にコルチゾールが増加しました。その研究の研究者の一人は、ストレスには「莫大な伝染的潜在力」があり、実験結果は「驚くべき」であると評価していました。

「この共感的ストレスをホルモンの大幅な増加というかたちで実際に計測が可能だったことは実に驚きである。対象者の状態が観察者の中にホルモンによるストレス応答レベルとして現れるほど同様の状態を生起させる伝達メカニズムが存在するに違いない。テレビ番組でさえ他者が苦しむ姿を見るとそのストレスが視聴者に伝わりうる。」

共感的ストレスにより健康を害する理由

重症のストレスに苦しむ人々に囲まれているあるいはテレビでストレスの多い番組を見ると、健康に害があるかもしれません。心臓病やうつ病、肥満などの慢性的健康の異常リスクに影響が及ぶほどストレスレベルは全体的な健康に大きく影響します。

しかし、ジャンクフードの食べすぎや運動しないでいるなど他の明白なリスク要因とは異なり、ストレスは時間が経つにつれて、自分の中に密かに溜まっていき、気分がすぐれないと実感したり慢性的に強いストレスを受けた状態が、自分の生気をだんだんと蝕んでいることに気が付かない間に、健康リスクが増大していくので油断がなりません。

ストレスは戦闘やその他の外傷を受けやすい状況に直面するなどの極端に重度であるか長期に及ぶ場合、とても有害になります。

このうち長期的ストレスこそ多くのアメリカ人のリスクとなっており、多くの人が慢性的ストレスや不安が高まった状態で生きており、しかもストレス状態が周囲の人にも移ることがよくあります。時間が経つにつれ、慢性的ストレスは免疫系を害し、以下のような異常を含む体内の有害な現象がいくつも発生します:

栄養吸収の低下

コレステロール増加

食品に過敏になる

内臓への酸素供給の低下

トリグリセリド増加

胸やけ

消化系への血流が4分の1以下になり、代謝が低下する

腸内フローラの細菌数減少

20,000倍(!)にも及ぶことがある腸内酵素アウトプットの増大

さらに肉体がストレスに誘発された「闘争か逃避か」の状態にあまり長時間あり続けると、ストレスと負荷を過度に受けた副腎皮質が酷使され疲労困憊することが最もよくある結果です。このため倦怠や自己免疫疾患、皮膚病その他諸々のいくつもの健康の異常につながります。

ストレスは免疫監視を弱くし、潜在的には腫瘍増殖の原因になり、さらにがん細胞内で複数の薬に耐性がある遺伝子が活性化されることもあるなど、がんにもつながることがわかっています。実際にストレスおよびその代理としての感情面の健康は想像しうる大多数の病気や異常の主な要因です。

鳥は人間より上手にストレスに対応できる固有の方法を持っている

鳥類(およびすべての脊椎動物)のストレス応答は人間に起きるものと注目すべきほど似ています。コルチコステロイド(鳥のコルチコステロンは基本的には人間のコルチゾールと同じ物質)の増加を含む同じホルモンが関わっています。

また、(多くの)人間と同様に、鳥も餌を求め、繁殖し、子を育て、可能な捕食動物に直面したり信じがたいほど予測のできない環境への渡りなどでストレスが多いです。興味深いことに、カリフォルニア大学デイビス校の鳥類・季節性プロジェクトの研究者らは、繁殖するために北極地方へ渡るヒバリツメナガホオジロやミヤマシトドを含む一部の囀る鳥たちはストレス応答を変えることができることを特定しました。

北極圏は確かにストレスが非常に多く課題の多い環境であり、普通なら極度のストレス応答を発生させるような場所であることは明らかです。しかしその研究者らは、これらの鳥がストレス応答を軽くできる、あるいは場合によっては全く「解消」しさえできることで、極限的環境の中でも子育てできる(ストレス応答がたいへん大きく継続する場合鳥は巣を放棄することがある)ことを発見しました。

鳥が「ストレス応答のスイッチ」を基本的にオフにできる仕組みについては未だ研究中ですが、鳥はこうした能力がある、まれな脊椎動物の一種であるようです。

幸福も人に移る

ストレスが人に移るのであれば、幸福も人に移ることは実際にありるはずで、研究がこの点も解明しました。これを解明した最新研究の一つが、フェイスブックへの十億件の感情的投稿内容を分析したところ、プラス感情もマイナス感情も人に移るようであると同時に、プラス感情は実際にはマイナスのものよりはるかに人に移りやすいことがわかりました。

多くの幸せな人に囲まれている人は、将来幸せになれる可能性が高いことを別の研究が示しました。この効果は幸せな人と接触している身近な人だけではなく、3段階の距離にまで及びます。

例えばある一人の幸せな人に関して次のことが成立します:

  • 配偶者も幸福感を持つ確率は8 %増加する
  • 隣人が幸福感を持つ確率は34 %増加する
  • 1.5 kmくらい離れた所に住む友人も幸福感を持つ確率は25 %増加する

ストレスと同様に幸福はストレスのようなマイナスではなくプラスに肉体的健康を変えます。ポジティブな考えや態度は、免疫系を強くし、肯定的感情が優勢になり、傷みが軽くなり、慢性病が減り、ストレスを解消するほど体内を変化させます。ある研究は例えば、幸福感、楽観主義、生活の満足感、その他のポジティブな心理的姿勢は、心臓病のリスク低下と関連していることを特定しました。

幸福感が遺伝子さえ変えることが科学的に証明されているのです!UCLAのある研究チームは、深い幸福感と満足感を持つ人々は、炎症性遺伝子が発現しにくく、抗ウイルス応答も抗体反応も強いことを示しました。この事実は遺伝子の発現をオンオフすることによる遺伝子の機能を変化させるエピジェネティックス(後成的遺伝学)の領域に分類されます。

幸せだと感じると細胞内で何が起きるか?

幸福感、希望、楽観主義などの肯定的な感情は体細胞をよい方向に変化させ、脳内では気分が良くなる化学物質さえ放出されます。薬やアルコールで人工的に幸福感を作り出せますが、例えば、同じエンドルフィンやドーパミンのレベルは、健康的な習慣でも可能です。例えば、笑うこと、ハグやキス、セックス、子供との絆などでも増えます。

こうしたことがどれくらい強力かなと思っているならば、一日10秒間ハグしてみると、身体の生化学的、生理学的反応につながり、健康が目に見えてよくなるでしょう。ある研究によるとこうしたメリットには次のようなことが含まれます:

心臓病のリスク低下

ストレスの低下

疲労に強くなる

免疫系の強化

感染しにくくなる

うつ状態の緩和

自然療法医師Dr.マリアナ・ポチェッリによると:

「脳に関する限りどんな思考も脳内化学物質を放出させます。否定的なことばかり考えていると脳の肯定的強制力が効果的に弱まり、脳の回転が遅くなり、脳の機能を鈍くし、うつ病にさえなりえます。

その反対に肯定的で幸せな、希望に満ちた、楽観的で喜ばしい思考はコルチゾールを減らし、体調がよく幸せな感覚を生み出すホルモン、セロトニンを生産させます。

このため脳は絶好調で機能できます。幸せな考えや肯定的思考は概していうなら、脳の成長を支持するだけではなく、特に脳と心の機能をすべて統括する中枢である前頭前野(PFC)の中に新たなシナプスが生成されたり強化されます。」

このような細胞の中の物理的変化は以下のようないくつものメリットを生み出します:

  • 神経接続の増加を刺激する
  • 精神的生産性が高まるので認知力がよくなる
  • 分析や思考する能力がよくなる
  • 身の回りのことの受け止め方に影響し、注意力が増す
  • さらに幸せな発想ができるようになる

幸福感を増すための簡単な戦略

心して注意を向けることの練習とは、今この瞬時に能動的に注意することで、内的集中力を維持し続けられるようにすることを意味します。この状態では心を彷徨わせず、今この瞬間を生きており、気が散る想念に心を素通りさせ、想念にとらわれないように心することです。

心して注意を向けることでストレスに誘発される炎症が削減され、より肯定的でより幸せな精神状態を含め、自分の望むことを生活(人生)の中で実現する力や制御の感覚をいかに養えるようになるかの好例です。以下に挙げるような簡単なことで、もっと心して注意を向けることができるようになります:

  • 自分の呼吸する音など、感知体験の側面に集中して注意を向ける
  • 単なる考えと感情により熟考された想念(「明日は試験だ」と思うことと「明日の試験が不合格で科目の単位をすべて落としたらどうしよう」の相違)を区別する
  • 感情による思考を単なる「メンタルな投影」として見直し、心を落ち着ける

それでも多くの人にとって幸福とははっきり定義できないぼんやりした目標です。幸福について考える一つの方法としては「自分の気持ちがとてもよくなる(意気が高揚する)こと」と定義することです。それが何であるかに関わらず、ひとたび自分でその活動を特定したら、それに心を集中して注ぎ込み、この対象を日常生活にもっとよく取り込むことができるようになります。先詰まり感が強くどこからどう始めたらよいのかわからないときは、以下の幸せな人の22個の肯定的習慣を参考にするとよいと思います。

ストレスのために先に進めませんか? このテクニックで自己解放してください

ストレスに潰されていては幸せは困難なので、日常的なストレス管理はとても大切です。人によっては、ストレス管理に含むこととして、否定的な人や過剰にストレスを受けている人から離れていること、あるいは、少なくとも、夜のニュースが気持ちを乱すならニュースを見ないようにして、共感的ストレスを避けましょう。

しかし、究極的には、ストレス解消のためにできることとは、個人の選択によります。個人別のストレス管理テクニックは、本人に合ったものでなければならないし、もっと大切なことはそれが効くことです。キックボクシングをすることがフラストレーションを解消するならば、そうしてください。瞑想がより効果的ならば、それも良いでしょう。

時々、上手に泣いてみることさえメリットがあります。悲しみやすごい幸福感などの感情的反応が原因で流す涙は、ストレスに関係する化学物質ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の濃度が高いです。

悲しいときになぜ泣くのかについて一つの理論は、それが過剰なストレス化学物質を放出させるのに役立ち、より穏やかにリラックスできるというものです。例えば、エネルギー心理学技法の一つ感情解放テクニック(EFT)も非常に有効です。このテクニックを行うことで自分自身を再プログラムして毎日の生活で避けられないストレスに対して体の反応を文字通り更新するのです。

一般的に言って、これは大切です。ストレス因子は次のような場合に問題となるからです:

  • ストレス因子に対する反応が否定的である
  • 自分の受け止め方が状況に対して適切ではない
  • ストレス応答が長引く
  • 常に圧倒されている、征服されている、あるいは酷使されていると感じる

EFTを利用するには、外傷を受けた出来事や依存症、傷みなどに関わらず具体的な問題を考えながら、肯定的な言葉を声に出して言いつつ、指先で頭や胸の特定の経路を単に軽くたたいて運動エネルギーを送り込みます。

つぼのタッピングと肯定的な言葉の発声という組み合わせは、身体の生体エネルギー系統から感情的閉塞状態である「短絡」を解消でき、心身のバランスを回復でき、このバランス回復こそ最適な健康と慢性的ストレスの癒しにとって不可欠です。