心臓はセレニウム、CoQ10、ビタミンK2に依存する

Fact Checked(事実確認)
心臓の健康のために最適な栄養素

早分かり -

  • 米国では成人の48%は何らかの心臓血管病を患っており、ビタミンK2のうちMK-7の最適濃度を維持すると心臓発作や脳卒中リスクが下がると考えられます
  • ある研究からセレニウムとCoQ10の組み合わせにより12年以上も長期間死亡率が下がることがわかっています
  • 密接に関連し合うCoQ10とユビキノールはミトコンドリアと心臓の健康を支えますが、30を過ぎるとCoQ10の吸収性や利用能がさがるので、サプリメントからその還元物質であるユビキノールを摂ればこれが改善されます
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Dr. Mercolaより

心臓病は米国で主な死因の一つです。疾病管理予防センター(CDC)は全死亡数の約25%が心臓病によることを報告しています。冠動脈疾患はその主な病気の型であり、毎年735,000人のアメリカ人に心臓発作が起きています。

リスク要因には高血圧や喫煙、肥満、乏しい食生活、肉体的な不活発さが挙げられます。心臓血管疾患の年間治療費は直間費合計で3512億ドルと推定されています。

2019年の初めころ米国心臓学会(AHA)が公表したある報告書によると、48%の米国成人は何らかの型の心臓血管疾患を罹病しています。高血圧の人の増加がその大半を占めるようです。2016年には臓血管疾患により米国で840,000人以上が死にました。

MK-7型ビタミンK2が内皮細胞の機能を守る

心臓および全血管内壁には内皮細胞が作る薄い被膜があります。内皮細胞は血管系統の弛緩や収縮を制御します。この機能に支障があると脳卒中や心臓発作が起きやすくなります。

内皮細胞の機能障害は糖尿病、喫煙、高血圧が原因で起きることがあります。検査結果を見て、脂質を減らすスタチン薬やACE阻害因子あるいはβ[ベータ]遮断薬で血圧管理を含む薬理学的処置に頼る医者がいます。これより副作用が少ない別の方法はビタミン K2 MK-7の利用です。

ある研究者グループが動物実験でアテローム硬化症を引き起こし、そのマウスに低用量のビタミン K2 MK-7を4週間投与しました。この投与後アセチルコリン上昇と大動脈および大腿動脈内部の血流に誘発される内皮細胞依存性血管拡張の改善があったことをデータが示しています。

この効能はMRIで確認され、さらに一酸化窒素(NO)の増大と関連していました。高用量でもそれ以上の改善は見られませんでした。その研究者らは以前わかっていなかったビタミンK2による新たな内皮細胞活性をデータから特定しました。その研究でNattoPharmaの最高医学研究責任者ホグネ・ヴィック医学博士が次のように説明していました:

「本研究はビタミンK2 - MK-7によるマウスのNO(一酸化窒素)依存型内皮細胞機能の改善を実証したものであって、その結果は、アテローム硬化症によるプラークの発生以前または発生と並行してビタミンK2 - MK-7を投与し内皮細胞機能障害を処置したかに関りなく、K2 - MK-7に血管保護効果があることを示した。

この事実はMenaQ7が心臓を保護する栄養素であることを示した我々の従前研究による実証結果と優れて整合的であり、全身の健康改善のためにこの重要な栄養素の研究継続に医学界が注目する理由である。」

ビタミンKを毎日十分に摂っていますか?

ビタミンKは人体のいくつかの機能のために必要な脂溶性ビタミンです。人体はこのビタミンをほとんど貯蔵できないので、毎日摂っていないとすぐに枯渇します。さらに数種類のごく普通にある薬もビタミンKを減らす作用をします。ビタミン.Kには主に2つの形態と2つの共通する亜種が存在します。

ビタミン K1 (フィロキノン)は緑葉野菜に含まれ、凝血のために機能することは周知です。このビタミンが不足すると凝血しにくくなり、場合によっては命が脅かされます。

ビタミン K2 (メナキノン)は骨と心臓の健康のために主な機能をします。体内では特定の腸内細菌がビタミンK2を合成できます。これには2つの亜種が存在します。一つはメナキノン-4 (MK-4)といって動物性食品に含まれる短鎖ビタミンK2です。MK-4は半減期が短く、栄養補助食品には向きません。

メナキノン-7 (MK-7)は発酵食品に含まれる長鎖です。長鎖ビタミンK2には数種類ありますが最もよく知られるのがMK-7です。サプリメントではこの種類のものを入手しましょう。

ビタミンK2の摂り易い食品はK2、しかもMK-7を産生する菌種を含む開始培地を使って自分で作る発酵野菜です。MK-7は体内に他の種類より長時間留まり、炎症軽減を助けるほか、骨に効率よく到達するので骨折リスク低下を助けます。

ビタミンK2は心臓病を予防する

ビタミンK2の骨と心臓の健康のためによい点の一つは、血管系や骨の中のオステオカルシンの中のGLAタンパク質(MGP)酵素マトリクスをはじめとするタンパク質の活性化です。「GLA」とはグルタミン酸の略語で、この物質は動脈内壁のカルシウムと結合しやすいためカルシウムが骨に統合されやすくなります。

血管内壁のカルシウムが除去されないまま留まるとアテローム硬化症につながり、動脈硬化や狭窄によりだんだんと血流を妨害するようになります。これが心臓発作や脳卒中、抹消血管病のよくある原因です。

ロッテルダム研究においてはK2濃度が最も高い人は動脈の重篤な石灰化の発生率が52%、7~10年間に心臓病で死ぬ確率が57%低いことがわかりました。その研究者らはさらに毎日45μgのK2を消費した人は、毎日12μgしか消費しなかった人より平均で7年寿命が長いことも特定されました。

ビタミンK2で動脈がしなやかになり、アテローム硬化症リスクが下がります。ビタミンK2、ビタミン D、カルシウム、マグネシウムの相乗効果により骨と心臓の健康がよくなります。

セレニウムとCoQ10を共に摂ると死亡率が下がる

細胞が最適に機能するにはセレニウムと補酵素Q10 (CoQ10)を含むいくつかの要因が必須です。ヨーロッパではセレニウム摂取が少なく、加齢に伴い減少するCoQ10の産生についてはこれまで研究されてきました。なかでも栄養補助食品として摂るセレニウムとCoQ10についてのある介入試験が4年間実施されました。

その研究でスウェーデンの村落地域から参加した被験者は介入結果として心臓血管病による死亡率が低下しました。それから12年後、研究者らは試験の完了後も死亡率低下は継続したかについて調査しました。

当初の被験者から得たデータを評価した結果、セレニウムとCoQ10サプリメントを使用していた参加者の心臓血管病による死亡率が依然低いことがわかりました。試験から12年後、本処置を受けた人々は死亡率が28.1%でしたが、プラセボを投与された人々では38.7%でした。

その研究者らはさらに虚血性心臓病、高血圧、糖尿病、心臓の機能障害を持つ人々の死亡率が大幅に下がったことも特定しました。保護的効能は介入試験期間だけに留まらず、フォローアップ期間にも存続したのです。ただ主任研究者らはこの小規模研究は仮説のためにのみ使用すべきで、結論を導き出すことはできないと注意を促していました。

CoQ10とユビキノールの違い

CoQ10とその還元物質であるユビキノールは心臓の健康やミトコンドリアの健康のために人気があるサプリメントです。これらのサプリがよく売れるようになった背景としてミトコンドリアが健康であることの重要性を人々が熟知し始めたことでが挙げられます。

あるアンケートでも、CoQ10は心臓専門医が患者にまず勧めるサプリメントです。CoQ10は代謝による有害老廃物を除去するために利用される脂溶性抗酸化物質です。心臓病の原因はミトコンドリアの機能障害によると考えられるので、CoQ10は固有かつ重要な機能をすることを意味します。

研究者らはCoQ10が心臓バイパス術や心弁手術後の回復を早める可能性があること、さらに、うっ血性心不全や高血圧による害を軽減することを特定しました。CoQ10とユビキノールは抗不整脈薬、スタチン薬、抗生物質、ACE阻害薬、利尿剤を含む多くの薬の副作用と闘うのにも有用です。

ユビキノールは還元CoQ10です。CoQ10をユビキノールに還元する変換反応は、食品をエネルギーに転換する二つの分子形態間で何回も行き来するため、ミトコンドリア内で数千回行われます。 人間は幼少期にユビキノールを多く産生し始めますが、30になる頃までには減少し始めます。

30より若い人はCoQ10サプリメントをよく吸収できますが、高年になるほど吸収され易い形態のユビキノールのほうがよいです。また、適度に日光に当たることと葉緑素が豊富な緑葉野菜を食べることで、CoQ10からユビキノールへの変換効率が高まります。

心臓の健康に必須の微量栄養素セレニウム

微量栄養素は体内のエネルギー生産、免疫機能、凝血、骨の健康、その他のプロセスで利用されています。これらの栄養素はごく微量しか必要でないのですが、これが不足すると健康や病気予防に支障をきたします。微量栄養素は体内で生成されないので、食事から摂るしかありません。

セレニウムは約200年前に発見された微量栄養素である微量元素です。この元素には強力な抗炎症効果や抗ウィルス性、抗がん活性があるので現代の科学者はこの元素が必須栄養素であると認識しています。

セレニウムは、細胞内で過酸化水素を水に変換し、有害なフリーラジカルから防御するための第一線物質として機能する酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの活性元素です。

研究者らはセレニウムが豊富に体内にある人はがん発生率が低いことを特定しました。最適な食品はブラジルナッツで、1個に70~90 μgのセレニウムが含まれます。毎日2、3個で必要な日量をカバーできます。その他の食品にはイワシ、放し飼いの有機卵、野生捕獲鮭、ひまわりの種が挙げられます。

ビタミン K2 MK-7、CoQ10、セレニウムはすべてサプリメントとして利用可能ですが、自然食品から摂る栄養素のほうがずっと生体利用能が高いです。それでもサプリメントを利用するなら信頼できる製造元の高品質製品を使いましょう。