昆布かケールか:海藻はスーパーフードなのでしょうか?

昆布 海藻

早分かり -

  • 昆布はヨウ素などのミネラル, ビタミン, 抗酸化物質、植物栄養素、アミノ酸、オメガ3脂肪、繊維をかなり豊富に摂れます
  • 海藻には毒素から自身を守る仕組みがあることはすでに知られています
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Dr. Mercolaより

ケールの想像を絶するほどの優れる品質特性については周知ですが、今や食品業界は昆布のスーパーフードとしての特性に注目しています。

昆布:正確には何か?

昆布は日本やアイルランド、米国をはじめ世界中の海岸地帯に生息する数種類の海藻です。色は黒や赤、茶系があり、一部には小型のものがあり、他には巨大なものもあり、これらは大陸棚で一種の床あるいはクッションを成し、海岸地帯では分厚く育っているのを見ることができます。

Organic Factsという様々な食品について偏らない情報を提供しているウェブサイトによると:

「世界最大の植物のひとつである真昆布は巨大に成長し根を海底に張る海中の木のようびそびえたちます。自由に増殖し、生息域では有害にもなりうる藻とは違い、海藻は海洋生物のために極めて必須な機能をします。

食物連鎖の大半のために基盤となっており、海洋生物の生息場所になっています。このほかにも、海藻には古代から人間に健康的効能があるのでよく利用されてきた抗菌、抗炎症特性があります。」

海のお野菜とも呼ばれるこの海洋性の藻は庭床ではなく海底に育つ緑葉植物のようです。日本の沿岸にはとても豊富で、疑いもなく極めて豊かに生息しています。多くの日本人は海藻のおかげで長生きできると主張します。

昆布対ケール

昆布とケールとも、特にすべての食品についての日々の栄養素の推奨量の目安である基準摂取日量(DRV)で見ると、栄養素の量が異なるので、二者を比較すると面白い違いがわかります。例えば、ケールには他のどんな野菜より多くの抗酸化物質が含まれます。

ケールはビタミン A、C、K、B6、カルシウム、カリウム、銅、マンガンがとても豊富です。具体的なDRV値を見ると、ビタミン Kでは684 %、ビタミンAが206 %、ビタミンCは134 %相当分が含まれます。

さらに含まれるスルフォラファンはインドール3カルビノール(細胞のDNA修復に有用)と同様に抗がん特性もあります。

昆布、すなわち褐色の海藻はヨウ素、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄のほか、ビタミン、抗酸化物質、植物栄養素、アミノ酸、オメガ3脂肪、繊維質が豊富で、これらすべてがとても健康に効能があるので、無視できない存在です。

昆布が金銭を追うケールラッシュを生んだ

昆布の商用収穫は確かに持続可能性にとって最大の危害です。一世紀前はピーク時に400,000湿トンが肥料用と第一次世界大戦用のカリ用に収穫されていました。その後は昆布からアルギン酸を抽出するために業界が収穫し始めました。

「1930年代、食品や医薬品、化学研究分野がアルギン酸抽出を増粘剤、安定化剤、懸濁剤、ジェル化剤として開始しました。これはサラダドレッシングを乳化し、色素が塗料や化粧品に均一に混ざるのを助けます。」

「海の草」ともいう昆布は(米国で)約$15/ポンドで小売りされています。Ocean Approvedというこの海の藻の市場の最近の再興を早くから活用してきたメイン州の会社は昆布を病院、アイオワやテキサスの学校に販売しています。

野生でも(野生種より速く成長する)養殖でもデュルセはアイルランド沿岸にある赤い品種($90/ポンドもすることがある)は米国市場を中心に繁盛しています。これを揚げるとオレゴン州で栽培されているある品種はベーコンのような味がし、ケールより想像し難いほど多くのタンパク質を含みます。

昆布:ヨウ素が最も豊富な食品

多くの食品にヨウ素は含まれますが、昆布の比ではありません。大さじ一杯に想像以上に、DRVの500 %も含まれます。これに比較できるほどのものはありません — ホタテや鱈がDRVの90 %、あるいはそれぞれ4オンスを食べると88 %が摂れ、ヨーグルトワンカップではDRVの47 %だけです。

健康的食生活の効能に関する科学的に根拠がある情報を共有する非営利基金ジョージ・マテリアン財団(George Mateljan Foundation)によると:

「ヨウ素は甲状腺で作られるホルモンの主要素です。ここでできるホルモンはほぼすべての体細胞におけるエネルギーの生産や利用の制御を助け、健康のために必須です。」

ヨウ素は甲状腺を調節し、健康的な毛髪や皮膚、爪を作り、シロキシンとトリヨードチロニンという重要な甲状腺ホルモンの原材料です。 さらに、骨格の適切な形成や脳下垂体が調節しているプロセスにおいて身体のエネルギーや脳の代謝を調節するためにも必須です。

甲状腺ホルモンは新生児の中枢神経系における有髄化でも必須の機能をします。妊娠や授乳中のバランスのよいヨウ素摂取は赤ちゃんの脳細胞の最適な発達のために必須です。

重要なのはヨウ素濃度をバランスよくすることです。通常、専門家は一日150 μgを推奨します。しかし消費しすぎると甲状腺機能低下症や亢進症の原因になります。

昆布はいろいろな使い方ができ、旨味の風味がグルメ食になった

食品としての昆布のファンは旨味の本質であるその風味こそ海水と組み合わさった究極のだし汁を重宝します。 最も人気がある海藻製品のひとつである海苔は乾燥させたシートで、これを巻き寿司に使用します。その他の品種にはデュルセ、黒のあら目、濃緑のワカメ、昆布、スピルリナが挙げられます。

昆布は米大陸東西海岸では何世紀も前から食用に収穫されてきたもので、米国では新しい商品ではありません。実際に、科学者らが日本からシベリアを通りアラスカへの渡りが容易になった「昆布ハイウェイ」というのを理論的に説明したことがあります。

2010年のある国連レポートによると東南アジアは世界の海藻生産量の99 %以上を生んでいると推計しています。しかし、毎年カリフォルニア沿岸だけで100,000トンから170,000トン(濡れた状態)の昆布が収穫されています。

近年では、海藻は他の商品作物のような肥料や清水、土地が不要で、米国では以前から新鮮なままで栽培され、凍結して販売されてきました。

昆布の価値ある栄養的効能を味わう

一世紀以上前に日本のある化学研究家がデュルセには体内で神経系や認知力、記憶力、学習能力、正常な脳機能のために必須のグルタミン酸塩として存在するグルタミン酸を含むことを発見しました。

昆布は性ホルモンエストラジオールを減らすので、エストロゲンが原因の乳がんや卵巣ガン、子宮内膜ガン の細胞死を誘発するようです。

ある批評的検討論文は昆布が前立腺がん、肝臓がん、口腔がん、すい臓がん、その他のがんの細胞死を誘発し、胃潰瘍の原因であるピロリ菌を阻害し、皮膚炎を標的にして効くことを示しました。

さらに、昆布に含まれるアルギン酸は植物を細菌から保護するほか、人体においては放射線暴露を削減し、重金属の吸収を阻止します。

昆布のアルギン酸は凝血効果や糖尿病への効能があることで知られています。虫歯を予防し、健康な消化を促し、インフルエンザ予防や消化補助、視力保護、心臓の健康維持といった効果もあります。Livestrongによると:

「昆布から抽出したアルギン酸ナトリウムは放射性ストロンチウムの腸内吸収度を50~80 %削減し、カルシウムは腸壁から吸収させても、ストロンチウムの大半と結合し、体外へ排泄することを可能にしました。」

昆布はこうしたすばらしい健康的効能をいかにして発揮するのか?

すでにご説明しました通り、昆布からマグネシウム、カリウム、カルシウム、ホウ素、溶解性繊維、鉄さらにビタミン A、B12、C、Eが豊富に摂れます。

昆布の中の鉄が健康な血液の生成に有用なほか、貧血を予防し、抗酸化物質はフリーラジカルを退治するほか、全体的に強い骨や最適な筋肉の機能が確実になります。ジョーッジ・メーテリアン財団によると次のようなことも分かっています:

「乾燥昆布大さじ1に鉄が0.5 mgから35 mg含まれ、この鉄に測定可能な量のビタミンCも結合しています。ビタミンCは植物の鉄の生体利用能を高める作用があるので、海藻に含まれるこの組み合わせが特に効果的です。

甲状腺内のヨウ素バランスは微妙なものであり、ヨウ素の過不足がホルモン分泌を減らします。この場合、多ければよいというのとは異なる状況です。」

昆布サプリメントおよび製品

昆布が入手しにくい世界の地域では特に、昆布サプリメントでヨウ素欠乏による甲状腺機能低下症や甲状腺腫などの問題予防に利用しています。Daily Mailによれば:

「欠乏はヨウ素を毎日150 μg摂ると処置可能です。多量のヨウ素(一日に6 mgまたはそれ以上)を長期服用すると甲状腺機能が抑制されます。一日に1,000 μgがヨウ素の安全な上限値です。」

昆布はヨウ素などの栄養素が枯渇しているかもしれない食生活のために栄養価の高い食品です。このほか何種類もの料理に柔らかみを出したり、風味を生み出すために栄養素添加昆布顆粒製品もあります。その他スキンケア、石鹸、三スクリーン、練り歯磨きなどの製品にも人気が増えています。

海水が汚れていれば海藻はいかがなものでしょうか?

昆布の収穫やエルニーニョ現象などによる暴風雨、魚の乱獲や汚染などいくつかの要因が昆布の森林の安定性に支障をきたします。昆布は持続可能であると思う科学者もいますが、重篤な状態があれば重大な脅威につながります。

昆布が海水からミネラルを吸収すると同時に、毒素や濃縮化された汚染物質も吸収するという懸念があります。米国海洋大気庁(NOAA)によると:

「昆布は毒性が高い水系や堆積地では成長率や繁殖率が下がるようである。昆布がまだ微小な段階での研究からわかったことは、昆布は下水や工業廃液、その他の悪質な水質や堆積物の品質などのその他の原因からすぐ影響を受ける。」

しかし、ハーバード大学健康的持続可能食品コース座長のバートン・シーバーによると、昆布は持続可能作物であるだけではなく — 二酸化炭素吸収が速いので修復性の作物であり、これが海洋の酸性化を軽減すると言います。Organic Factsによると:

「海藻は海水から余剰の窒素やリンをろ過することもできます。ワシントン州のパジェットサウンドで行われた(NOAA)出資プロジェクトはストレスを受けた海洋生息地の周囲に養殖海藻が「保護的傘」を生み出せる。

すべて無害な状態にするほどのところまでまだ研究は進んでいない。環境を修復し、癒すことが可能になる食品生産方法を研究し見出し始めたばかりである。」

昆布は自身をヨウ素から保護する

昆布は人を守るヨウ素が含まれると同時に、昆布自身も保護します。Discover誌がこう説明しています:

「昆布は引き潮の時に光や大気中のオゾンに暴露されてストレスを受けると、単一のマイナスイオンとしてヨウ化物を放出し、この被膜が昆布の回りを覆い、自然に発生する過酸化水素やフリーラジカルなどの化学的脅威から保護します。ヨウ化物は大気中ではヨウ素も生成します。

この応答は化学的に最も簡素な、さらに初めて発見された無機(炭素系ではない)的抗酸化物質のようです。この産生は昆布を超えてさらに拡大します。以前、昆布から放出されたヨウ素が雲の形成の核になることが証明されました。藻はオゾン堆積も削減でき、大気の完全性を維持しています。」

ロングアイランドサウンドで行われたある革新的作戦はこのことを活用し、昆布が貝を有害な藻の繁殖から保護するので昆布を貝といっしょに育てる一方で、水から酸素を奪う藻が窒素で繁茂します。 さらに、国家保護海洋環境が4地区存在します。

「4つの保護区ではプロジェクトのモニタリングが活発に進行しています。昆布の生息域(と)物理的海洋条件の調査が進むにつれ、研究者らは昆布の森に及ぶ自然および人間原因のインパクトを完全に把握できるようになるでしょう。」