ホェイのロイシンが筋肉減少を予防する仕組み

筋肉の減少

早分かり -

  • 老化による筋肉の減少を医学用語で筋肉萎縮といい、不活発なライフスタイルがその主な原因です
  • 筋肉にはじゅうぶんなタンパク質の供給が必要です。消化がよくないとタンパク質をよく吸収できず、筋肉萎縮につながります
  • ホェイプロテインは筋肉タンパク質の増大を刺激し、筋肉萎縮を防止しますが、その一部はホェイに豊富に含まれるロイシンによるもので、筋肉の中でタンパク質の変換効率を調節してくれるからです
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Dr. Mercolaより

老化による筋肉の減少を筋肉萎縮といい、不活発なライフスタイルがその主な原因です。筋肉萎縮とは成人してから50年目以降に始まる年率0.8%の進行性骨格筋減少です。60歳以上では10%の人、80歳以上では50%以上で筋肉萎縮が進行していると推定されます。

筋肉はタンパク質の消化と吸収能力が必要であるのと同様に、生きていくための機能を果たし続けるには十分なタンパク質が必要なので、食生活も重要な一面です。2011年にAmerican Journal of Nutritionに掲載されたある研究が次のように説明しています:

「筋肉萎縮は食物を食べても筋肉タンパク質の合成能力が劣っていくことによるものである。食事から摂るタンパク質の消化吸収反応速度、アミノ酸の組成あるいは両者ともに食後の筋肉タンパク質増加を調節しているようであることはこれまでに示されてきた。」

つまり筋肉を付け、維持するにはタンパク質が必要だが、タンパク質の種類によって消化や吸収され易さが異なるので、適正なタンパク質を食べることで筋肉萎縮リスクに差が生じるということを言っています。

チーズ生産工程の副産物であるホェイプロテインは卓越したタンパク質摂取源として認識されてきました。2011年に公表された同研究はホェイプロテインをカゼインおよびカゼイン加水分解生成物と比較したら、ホェイプロテインが筋肉タンパク質を最もよく増やせる(ので筋肉萎縮を防止する)ほど刺激することが判明しており — その一部はホェイタンパク質にはロイシンが豊富に含まれることによるものです。

また、どんな運動をするかも大きな違いを生みます。血流制限(BFR)トレーニングこそ筋肉萎縮を防止する最適な方法であると私は最近思うようになりました。これらを併用して、ロイシンをホェイで補給し、BFRを行うと老化にともない筋肉を保護するためにとても有用です。

ロイシンは筋肉内のタンパク質変換効率を調節する

ロイシンが筋肉萎縮のためにそれほど重要な訳は、筋肉内のタンパク質変換効率を調節するからです。1975年にThe Journal of Clinical Investigationに掲載されたある研究論文によると、ロイシンは「アミノ酸のタンパク質保全効果のために主な機能をする」とも言われます。2017年に公表された別の研究はこう説明しています:

「タンパク質摂取が筋肉タンパク質の合成を促進する強力な同化作用を刺激する。筋肉タンパク質合成(MPS)を刺激するだけのタンパク質用量により得られる効果はアミノ酸の吸収性と血液内の化学反応速度、摂取したタンパク質の量、タンパク質源のアミノ酸組成によって決まる。

ロイシンを中心に必須アミノ酸(EAA)のみMPSを直ちに増やせる。ロイシンが豊富で消化が速いタンパク質として、運動直後の一時間以内に、ホェイは等量のカゼインや大豆よりMPSを大いに刺激することは判明している。

分子レベルでは、ラパマイシン錯体1 (mTORC1)およびその基質の機械論的標的がウェイトトレーニングやタンパク質摂取に対するタンパク質合成応答に大きく寄与するものと考えられ、ウェイトトレーニングがタンパク質吸収効果を高めるようである。」

簡単にいえば、筋肉を付けるのにいちばん効果がある方法は筋力トレーニングをしてからタンパク質食としてロイシンが豊富なホェイを食べるのが最も効果的だということです。

フィットネス専門家で、「Unlock Your Muscle Gene:Trigger the Biological Mechanisms That Transform Your Body and Extend Your Life」(筋肉の遺伝子を活発にする:身体を変え寿命を伸ばす生体メカニズムを起動するには)等著作があるオリ・ホフメクラーは筋肉を付け健康を改善するための食品利用法に関する専門家であり、以前の記事では特に筋肉を鍛えるためにホェイプロテインがとても効果的であることを説明したことがあります。

しかし、ある近年のハーバード大学における研究が証明したように、ロイシンを単に食べるだけでは効果が無いことを把握することが重要です。その研究は体重1kg当たり1日にタンパク質を0.8g摂った65歳以上の男性を体重1kg当たり1日当たり1.3gのタンパク質を食べた男性と比較しました。その結果タンパク質を多く食べた人は正味体質量も筋力あるいは肉体機能も、おそらく彼らが運動していなかったので、増加しませんでした。

筋肉萎縮予防のために重要なグルタチオン

ホェイプロテインにはグルタチオンというもう一つの重要な健康によい成分が含まれています。多くの自然食品はグルタチオンやその前駆物質を含んでいますが、草で育った有機ホェイプロテインは「この抗酸化物質のチャンピオン」が最も豊富です。

グルタチオンは体内の全細胞に含まれています。この物質は細胞をフリーラジカルによる損傷から保護し、特に肝臓のために必須です。この物質は他の抗酸化物質とは、細胞間物質であってその他すべての抗酸化物質の活性を最適化するという独自の機能がある点で異なります。

デトックスのために必須の機能をするほか、細胞を放射線や化学物質、環境汚染物質から保護します。さらにエネルギーの利用や健康な免疫系のために必須の要素であり、グルタチオン欠乏はアルツハイマー病やパーキンソン病、心臓病、自己免疫疾患、炎症による異常、ミトコンドリアの機能障害を含む多くの健康の問題の原因になります。

グルタチオンは筋肉萎縮患者において酸化ストレスレベルが高い傾向にあるので特に筋肉萎縮において重要な機能をすると考えられています。2012年のあるレビュー「Rationale for Antioxidant Supplementation in Sarcopenia」(筋肉萎縮における抗酸化物質サプリメントの意義)では次のような説明があります:

「筋肉萎縮は進行性運動単位の損失や筋線維の消耗により筋肉機能が劣化することを特徴とする老化に伴う臨床的異常である。

筋肉萎縮につながる分子レベルの仕組みはいまだ不明であるが、老化の過程において筋肉細胞内で生じる酸化的損傷の増大が大部分認識されている基本的経路の一つをなすことはわかっている。

実際に骨格筋は非常に酸素化されている組織であって反応性酸素種は収縮状態でも安静状態でも特に増加する。

経口抗酸化物質サプリメントが自然な内生的防御を強化することで動物でも人間でも酸化ストレス指標を削減することが示された。

抗酸化物質は酸化を阻止する物質である。主に抗酸化酵素(カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペロキシダーゼ、グルタチオン還元酵素など)が作用してROSの変換を阻止して均衡を維持し、安定的分子(水、酸素分子など)に変換する。」

BFRで筋肉消耗を阻止する

高品質のタンパク質を摂取することは筋肉を効果的に増やして維持するために重要でも、このためには筋力トレーニングは必須です。不幸なことに、多くの高齢者は怪我をするのが怖いのでウェイトトレーニングをしたがりません。

BFRでは軽いウェイトでできるので、怪我のリスクがほとんどなくこうした人たちには最適です。BFRの仕方を含め詳しいことは以前の記事「血流制限で筋肉を迅速かつ安全で容易に増やす」をご参照ください。

ただし、この記事は単なる触りでしかありませんのでご注意ください。BFRとその沿革、説明動画を含む包括的なご案内を近日中にアップする計画です。この件については半年以来研究してきましたが、ほぼ出来上がりに近づいています。

一方、おさえておくべき点は、BRFとは近位側の腕か脚で動脈の血流を部分的に制約し、静脈血の還流を全く止めつつ筋肉を鍛える運動であることです。静脈の血流制限は運動する間、四肢に弾力性バンドを着けて行います。

静脈の血流を制限することにより運動中の筋肉に比較的低酸素(酸素不足)の環境を作りますが、これから成長ホルモンやよく「フィットネスホルモン」と呼ばれるIGF-1等のホルモン産生を含む生理的効果がいくつも生じます。

さらに血管内皮成長因子の増加因子(VEGF)も増加し、これが血管の成長や内壁(内皮細胞)を改善してくれます。

血行制限こそ蔓延する筋肉萎縮に対処するための最適な戦略のひとつであり、競技選手でない大多数の人にとってこれだけで十分な筋力トレーニングといえるでしょう。

筋肉萎縮とは単なる外見の問題だけではなく、虚弱化に関するだけにとどまらない問題であることを認識するのが重要です。身体組織のおよそ半分をなす筋肉組織は代謝器官、内分泌器官です。筋肉組織はサイトキンやマイオキンを作り出し、グルコースの貯蔵庫でもあります。

インスリン抵抗性や2型糖尿病は筋肉萎縮を加速し、グルコースの変動がこの異常と独立的に関連することは研究からわかっています。2019年のある研究が、「グルコースの変動は筋肉質量低下、掴む力(把持力)の低下、歩行速度減少に大きく関連していた」と説明しています。

BFRが筋肉萎縮を効果的に防止する

筋肉消耗の防止や回復のためのBFRの効果についてはJournal of Cachexia, Sarcopenia and Muscleの2019年4月号で正しくこの件について取り上げていました:

「筋肉消耗は筋力の大幅低下や心臓呼吸系容量、機能的能力の減少につながり、死亡率を高める。このため筋肉消耗を最小限にするための異なる介入措置を試験した。

この点で、血流制限(BFR)を筋肉消耗の異常に伴う負荷を軽減するための画期的療法として利用した。

BFRだけでも安静時や就寝時の筋肉消耗を阻止しうることを示す根拠が存在する。さらに、軽いウェイトトレーニングや持久運動をしつつBFRも適用したところ、筋力と筋肉質量ともに増大した。

BFRを使った持久トレーニングで心臓呼吸系も健康になった。したがって、虚弱な患者は従来式の高強度集中運動ではなく、軽い心臓血管や関節へのストレスが掛かる程度なのでBFRを使った運動のメリットを受けることができる。

したがって、筋肉消耗を防止するためとこうした異常に関連する負荷軽減のために、BFRを取り入れて軽いウェイトトレーニングや持久運動は画期的で有用な措置と考えられる。」

ロイシンの用量と摂るタイミング

すでにご説明したように、ロイシンは、mTORメカニズムに信号を送り筋肉を作り鍛えるタンパク質を生み出すという機能を含むいくつもの機能を可能にする分岐鎖アミノ酸です。しかし、ホフメクラー氏によると最適な効果を得るには推奨日量よりはるかに多量のロイシンが必要だそうです。

その理由はロイシンの大部分は同化されずにエネルギー基質あるいは組成構成要素として消耗されるからです。体内のタンパク質を維持するロイシンは基本的には1日あたり1〜3g摂取する必要があります。しかし、同化経路の最適化のためにはホフメクラー氏の主張するところによると、(また研究も裏付ける通り)一日に8~16gのロイシンを分けて摂る必要があるようです。

こんなに多くのロイシンを普通の食事から取るのは無理があります。例えば、4.6個の玉子で摂れるロイシンは2.5 gにすぎず、8gの最低レベルを得るために玉子を15個も食べる必要があります。

ほどんどの人にとってこれは無理な話で、しかも(玉子からタンパク質が105 gも摂れてしまう)タンパク質過剰の問題があります。しかし高品質のホェイならおよそ 10%がロイシン (タンパク質100 gのうち10 gがロイシン)です。80 gのホェイプロテインを食べればロイシン8 gを摂れます。

最適なのは運動前30~60分に加え運動後約1時間後にもホェイを食べるとよいです。 こうすれば脂肪代謝が増え、筋肉も付きます。

2010年のある研究はウェイトトレーニングの30分くらい前にホェイプロテイン(一食分にタンパク質20 g相当)を食べると運動後24時間も体内の代謝が増大することを特定しました。

高品質のホェイを買うためのガイドライン

今日市販で見つけることができるホェイのなかで、草で育った生乳から作るチーズの副産物であるホェイが最高品質です。ホェイ(乳漿)の最も重要な成分はグリコマクロペプチド(GMP)であり、これは腸内フローラのために想像を絶するほどの免疫効果を得られる構成要素を含んでいます。

しかし、生乳チーズから作るホェイにしかGMPは含まれていません。その他の製品では効果が得られません。単離ホェイは、ひとたび脂肪が除去されると免疫効果がある肝心の成分が失われるので、劣等品として明らかに避けるべきです。高品質製品を買うには、以下の基準で判断します:

オーガニック(ホルモン無し、GMO成分無し)

牧草で育てたもの

滅菌されていない(生)乳製

コールドプレス品(熱はホェイの分子構造を壊す)

加工レベルが最小限であること

豊穣なクリーミーな風味に溢れるもの

水溶性

自然の甘味、人口甘味はだめ

消化が非常にいいこと — 長鎖脂肪酸ではなく中鎖脂肪酸(MCT)であること

筋肉萎縮は老化の必然的な結果ではない

老化に伴い筋肉は減少しても、先取的に取り組み限り、これは必然的結果ではありません。筋肉萎縮を防止するには何らかの形でウェイトトレーニングを日常行う必要があり、BFRは最適な方法として多くのメリットがあります。

このことは高齢で虚弱、あるいは普通の筋力トレーニングが無理または危険になりうるような異常に苦しむ人の場合特に言えます。これに加えて高品質のタンパク質をじゅうぶんに食べるようにしましょう。

オーガニックの草で育った生乳が原料のホェイプロテインなら筋肉の成長と維持のために欠かせないロイシンとグルタチオンともに豊富なので、最適です。

+ 出典および参考資料