ぶどうの皮の中のレスベラトロールはがんなどの治療に有望かもしれません

レスベラトロール

早分かり -

  • 化学療法薬への耐性を克服できるようにする物質である天然の化学治療薬感作因子としても、放射線治療の効果を上げる放射線への感作増大因子としても有望です
  • 炎症発生経路を調節することでレスベラトロールは消耗、倦怠、うつ、神経因性疼痛、認知障害などの従来式がん治療にともなう多くの衰弱させる副作用を軽減するのを助けることもできます
  • レスベラトロールは遺伝子以外の生体組織の変化を誘発させ、調節します - これは栄養素が遺伝子発現を選択的に活性化したり不活性化させうる重要なメカニズムです
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Dr. Mercolaより

赤ぶどうの皮、ざくろ、生カカオ、ピーナッツ、さらにラズベリー、マルベリーなどのベリー類に含まれるいくつもの植物に含まれる強力な抗酸化物質レスベラトロールには有益な健康メリットがいくつもあることは知られています。

植物が産生するこの化合物は過剰な紫外線、感染、気候変動など植物の生存率や抵抗力を高めます。この物質を含む植物を消費すると、同様の保護効果を得られます。

レスベラトロールの抗酸化、抗炎症、抗がん特性は化学研究からよく解明されてきたし、そのメリットはがん、アルツハイマー病をはじめ慢性病の予防や治療にまで及ぶと考えられます。

この物質はポリフェノールの一種であり、この物質は損傷させるフリーラジカルと闘うので、概して寿命が延びる健康的メリットがあるのはこのためであると考えられます。

レスベラトロールは赤ワインに豊富で、アルコールによく溶けるので、身体は他の食品よりも赤ワインから吸収しやすいです。しかし、アルコールは神経毒素なので赤ワインでも飲みすぎないほうがよいです。

例えばミュスカディングレープなどの自然食品のほうがよいです。ミュスカディングレープにはラスベラトロールが最も多く含まれる皮が厚く、種が多いので自然界で最もラスベラトロール濃度が高いです。

その他の自然食品源にはココア、ダークチョコ、ピーナッツがありますが、これらの食品は控えめに食べたほうがよいものばかりなので、治療効果のある用量を得るのは困難です。 レスベラトロールのサプリメントを飲むのはもう一つの方法です。サプリにするならミュスカディングレープの皮や種を含む自然食品複合物から作られたものをお探しください。

がん治療に有望なレスベラトロール

レスベラトロールは細胞の核の中心深くまで貫通でき、がん増殖につながるおそれがあるフリーラジカルによる損傷からDNAが修復できるようになります。

さらに、レスベラトロールの抗炎症作用により腫瘍の発生を促す特定酵素の組成を阻止します。レスベラトロールは細胞の増殖を抑制するので、がん細胞の増殖につながりそうな細胞分裂数を低下させます。

がん予防のために機能するほか、レスベラトロールが以下のような機能をするので従来のがん治療において重要な機能をしうることも研究が特定しました:

  • 化学療法薬への耐性を克服できるようにする物質である化学治療薬感作の天然促進要素である
  • がん細胞に放射線が効き易くなる放射線感作促進要素

後者の効果はミズーリ大学で行われたある研究で最近明らかになったもので、 悪性腫瘍細胞を放射線治療前にレスベラトロールで処置すると放射線により破壊されやすくなりました。レスベラトロールだけで処置すると、がん細胞の44%が死に(細胞死)ました。

このこと自体注目すべき事実です。レスベラトロールで前処理した悪性腫瘍細胞に放射線を照射する複合治療を行った場合、腫瘍細胞の65%は死にました。有望ではあってもその研究の研究者らは効果的な治療ができるようになるまでまだ時間がかかると注意しています。共同執筆者のマイケル・ニコル医師は次のように説明しています:

「悪性腫瘍に対して効能がある適量のレスベラトロールを放出させるのは困難なので、この化合物は現時点においては進行性悪性腫瘍の効果的治療ではなさそうです。」

数種類のがんにレスベラトロールの効能があるようです

レスベラトロールの抗がん作用を証明した最初の研究は1997年に公表されました。その事実はがん研究者の注目を集め、それ以来この強力な抗酸化のみを対象にした多くの研究がされてきました。特に、レスベラトロールを使うとがん細胞に化学療法や放射線治療が効き易くなるので、この物質は従来式のがん治療への独特で潜在的に有用な付加的手段になっています。

多くの腫瘍細胞は化学治療薬耐性という化学療法薬に対する耐性がつきます。研究者らはこのような耐性の克服を助ける常に効果的な「化学療法薬感作促進要素」を探していますが、レスベラトロールにこうした効果があることがわかりました。

化学治療薬による治療が効き易くなる腫瘍の感作を促進する栄養素を評価した2011年のあるレビューでは、 レスベラトロールは多標的特性のおかげで明確な選択肢として注目されました。現在までに以下のがんにこの療法が良く効くことが明らかになっています:

肺がん

急性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病

多発性骨髄腫

前立腺がん

口腔扁平上皮がん

すい臓がん

その同年に公表された別の研究で、レスベラトロールは従来のがん治療にともなう以下のような多くの衰弱させる副作用を軽くするのを助けることも発見されました。その執筆者らによると、これらの症状はレスベラトロールの効能を説明しうる体内の炎症経路の調節不良によって主に起きることを示す根拠が増え続けています。

悪液質(衰弱症候群)

拒食症

倦怠

抑うつ

神経因性疼痛

不安

認知障害

睡眠障害

せん妄(急性混同)

レスベラトロール: 健康的メリットが豊富な物質

レスベラトロールには広範に及ぶ健康的メリットがあるので「若さの泉」とよく言われます。GreenMedInfo.comは342種類の病気に対するレスベラトロールの効能を示した590本もの科学研究をリストアップしています。抗がん特性に加え、レスベラトロールは酸化ストレスを逆転し、炎症を軽減し、脂質を正常化し、心臓を保護し、インスリン安定化などの効能があることはわかっています。概して、レスベラトロールには以下のような作用や機能があります:

  • 広範な抗菌作用
  • 抗感染症
  • 抗酸化
  • 心臓の保護
  • 神経保護効果

レスベラトロールには炎症を抑える効能があるので、がんに対するだけではなく、盲腸炎、腹膜炎、全身性敗血症などの炎症性疾患にも有用です。スフィンゴシンキナーゼとフォスフォリパーゼDという炎症を発生させる2種類の分子産生を阻止.することによりこうした効能を発揮します。

レスベラトロールがその他多くの抗酸化物質とは異ならせるもう一つの物性は血液脳関門を通過することで、この特性があるために中秋神経系の炎症が軽減されます。この効能は、中枢神経系の炎症が神経萎縮性疾患の発症において主な機能を果たしているので重要です。

2010年のある研究では、レスベラトロールは異なる炎症促進性サイトキンや主な信号伝達分子を阻害することで一部の脳細胞(ミクログリア、星状細胞)の炎症を抑制する効果があることがわかりました。さらに、レスベラトロールはアルツハイマー病につながる脳内のプラークを消滅させるのを助けることを示す確固たる科学的データも存在します。2005年にJournal of Biological Chemistryに掲載されたある研究によると、レスベラトロールが「強力な抗アミロイド発生活性」があります。さらに近年には、レスベラトロールは脳卒中だけではなく血流障害により引き起こされる血管性認知症に対しても明らかに意義がある脳への血流促進効果もあることがわかっています。

レスベラトロールを摂り易いものは何でしょうか?

Bloombergによると、人間の健康と寿命に対するレスベラトロールの効果を評価するため、1日当たり赤ワイン1,000本に匹敵する少なくとも1つの合成レスベラトロールを含む少なくとも24件の臨床検査が現在実施されています!この合成レスベラトロールががん患者に対して現在試験されています。ハーバード大学の研究者らはアンチエイジングの「奇跡的薬」が今後5年以内に利用可能になるかもしれないと楽観しています。

しかし買う前に注意する必要があります。自然物質の合成物質あるいは精製物質を取り込むことでほとんどよい結果は出ず、予想されていなかったような副作用が頻繁に出る可能性があります。自然食品を消費するほうが常によく、自然の相乗効果がある植物栄養素で補完して自然が生み出したものだからです。

以前すでに説明したことがありますが、赤ワインは最もレスベラトロールをよく摂れるもののひとつです。比較までに新鮮なぶどうの皮1g当たりにレスベラトロールが50~100μg含まれ、赤ワインでの濃度は1ℓに1.5~3 mg含まれます。それでもアルコール自体は神経毒素であるつまり脳に有毒なので、毎日レスベラトロールを摂り込むために赤ワインを飲むことはよくありません。その他の弊害には赤ワインを毎日飲めばデリケートなホルモンバランスに重大な障害を与える可能性が強いことが挙げられます。

むしろ、ぶどう類(ミュスカディングレープにはラスベラトロールが最も多く含まれる皮が厚く、種が多いので自然界で最もラスベラトロール濃度が高い)やココア、ダークチョコレート、ピーナッツからラスベラトロールを摂ったほうがよいでしょう。しかし治療効果のある用量に近づけるならレスベラトロールサプリメント (私が摂る数少ないサプリメントの一つ)が必要になるでしょう。ミュスカディングレープの皮や種を含む自然食品の複合体から製造されたものであるべきであり、これらならレスベラトロール濃度が最も高いです。

そうは言ってもぶどうは果糖が特に多いので、もしインスリン抵抗性がある80%もの人口に属する方の場合(体重過剰、高血圧、糖尿病、高コレステロール)、ぶどうにまず手を出す必要はありません。むしろ、絶食を実行に移し、インスリン抵抗性を管理することを考えてください。次は、ぶどうを自然のレスベラトロール摂取源として使用すれば正常になったインスリン抵抗性と合わさった効果があるので意味があるでしょう。

有益な栄養素もバランスを取ることが大切

よいものを摂りすぎるのも自然なサプリメントでも逆効果になることを忘れないでください。抗酸化物質の点では身体が最低に機能し適合できるためにある程度の酸化ストレスが必要なので、この点は特に重要です。例えば運動することを考えてください。

活発な運動はたいへん酸化ストレスがかかりますが、これをしないでいると、身体が強くなりません。言い換えると、肉体的ストレスをかけずに運動していては、効果も上がりません。この事実はレスベラトロールを摂っている最近の研究でコペンハーゲン大学が特定したことです。Science Dailyは次のように説明しています:

「運動トレーニングが心臓血管の健康パラメータを改善するために高度に効果的なことを特定したが、レスベラトロールサプリメントを飲むと血圧や血漿脂質濃度、最大酸素摂取量を含むいくつかのパラメータに及ぶトレーニングのよい効果が減ってしまうことを発見しました。」

この事実に研究者らは驚きました!この研究で男性が摂ったレスベラトロールの量(250 mg)は自然食品から取れたはずの量よりはるかに大量だったことも問題の一角を占めます。ここで、抗酸化物質は何にでも効く解決策ではなく、バランスを見つけることであるというのが覚えておくべきことです。インスリン濃度を最適化し、炎症を最小限にする健康的な食生活に焦点を当てることにより、がんを含むほぼすべての慢性病のリスクが減ります。

基本的なルールとして、抗酸化物質への最適なアプローチは一種類だけを大量に摂るのではなく、多くの種類を消費することです。これらがすべて相乗効果を上げ、体内ですべての抗酸化物質がシンフォニーを演奏するオーケストラのように機能します。楽器1つや2つだけが演奏していては曲がたいへん偏ります。

したがって、レスベラトロールは食生活に強力な付加要素になりえますが、しっかりした栄養基盤が必要です。第一のステップは基本的なことを行うようにすることで、このため私は無償で完全な栄養計画をご提供しています。この包括的な案内書はほぼすべての慢性病および萎縮性疾患の基礎にある要因を取り上げています。