さくらんぼは何のためによいのでしょうか?

さくらんぼの健康メリット

早分かり -

  • 酸っぱいさくらんぼの抗酸化活性がビタミンEより優れ、市販抗酸化物製品に匹敵することはわかっています
  • 甘いさくらんぼには繊維質、ビタミンC、カロテノイド、アンソシアニンが含まれ、これらの物質はすべてがん予防効果があります
  • 酸っぱいさくらんぼは抗炎症性があり、痛風発作リスクの緩和、関節リウマチにともなう炎症軽減によいかもしれません
  • 酸っぱいさくらんぼはメラトニン発生量を増やし、睡眠が改善されるようです
  • 酸っぱいさくらんぼは体組織のPPAR (ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)を活性化させることにより、脂肪やグルコースの代謝に係る遺伝子の調節を助けるかもしれません
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Dr. Mercolaより

さくらんぼは米国では年間約168万トン生産される人気のある夏の果物です。旬は短く(5月から7月)、病気になりやすく、収穫後持ちが悪いので、さくらんぼの季節はすぐ過ぎます。

さくらんぼの健康メリットトップ8

桃やプラム、アプリコット、アーモンドと同じ属のさくらんぼはよく「デザート」フルーツとして、パイやカクテル(マラスキノチェリー)の飾りに使われます。

しかし、さくらんぼには抗酸化物質が豊富で、その他にも多くの健康を増進する化合物が含まれるので、治療的効果が実際にあるかもしれない、健康的な側面もあります。

さくらんぼには甘いのと酸っぱい(サワーさくらんぼ)のがあることを覚えておいてください。ビング種などの甘いさくらんぼは新鮮(生)で食べるのが最適ですが、酸っぱいさくらんぼは料理すると味が充実します(このためよく焼き物に使われる)。

酸っぱいさくらんぼは、固有の健康メリットがあるかもしれない濃縮果汁を作るのにも利用されます。さくらんぼのもっとも注目すべき健康的効果:

1. 抗酸化性の保護効果 — さくらんぼはアンソシアニン、シアニジンなど強力な抗酸化物質を含む。ある研究では酸っぱいさくらんぼから抽出したこれらの抗酸化物質の抗酸化活性が、ビタミンEより優れ、市販抗酸化物製品に匹敵することがわかりました。

甘いさくらんぼには、微量のケルセチンも含まれ、この物質は抗酸化活性が最も強く、その他いくつもの健康によい特性があります。

2. がん予防化合物 — 甘いさくらんぼには繊維質、ビタミンC、カロテノイド、アンソシアニンが含まれ、これらの物質はすべてがん予防効果があります。米国のさくらんぼ生産者・業界基金によると:

「甘いさくらんぼのがん予防効果はアンソシアニンによるもの、特にシアイジンによる。甘いさくらんぼはシアニジンが豊富で、この物質は抗酸化物質として機能するようで、この機能によりがんリスクを減らすかもしれない。

人のガン細胞系列を使用したある研究は、さくらんぼのアンソシアニンに接触させた細胞の細胞周期を停止させ、変異細胞の細胞死を促すことを実証した。

その他の研究からは、シアニジンの増殖停止特性は少なくともこれらのさくらんぼ化合物の持つ、上皮増殖因子受容体への有意な阻害効果の結果である可能性が高い。

さらに、基礎研究からは、シアニジンが細胞分裂を促進するかもしれず、がんに変化する健康な細胞のリスクを下げるかもしれないことを示す説得力のあるエビデンスが判明している。」

3. 炎症や通風リスク削減 — 痛風患者600人以上に関するある研究では一日にたった半カップのさくらんぼ、つまり約10~12個に匹敵する量あるいは、さくらんぼエキスを食べた後、痛風発作の起きるリスクが35%下がりました。2日間で3食分さくらんぼをもっと食べた被験者はこの発生率が50%削減しました。

痛風は血中尿酸量の制御をする代謝プロセスに異常が発生することで起きます。こりや腫れは関節の過剰な尿酸形成結晶の結果として起き、この異常にともなう痛みは結晶に対する身体の炎症応答が原因です。過去の研究からわかっていること:

一晩絶食後に2食分のさくらんぼを食べると尿酸、一酸化窒素、C反応性タンパク質(痛風など炎症病に関連して増加)が15%減少しました。

その研究は「周知のさくらんぼの痛風防止効果」や「さくらんぼに含まれる化合物が炎症経路を阻害するかもしれない」ことを裏付けると、研究者らが説明していました。

毎日酸っぱいさくらんぼのジュースを4週間飲むと尿酸濃度が下がる。

4. 健康的睡眠を助ける(メラトニン) — さくらんぼには天然メラトニンが含まれ、これが強い抗酸化物質を含み、フリーラジカル解消効果があり、酸化ストレス関連の過剰な炎症を「冷やす」効果があります。さらに、睡眠、身体の再生にも重要な機能をします。

毎日の光と闇の環境から来る信号を基に、松果体は睡眠を助けるメラトニンを生産して分泌するように進化しました。酸っぱいさくらんぼジュースを飲むと、メラトニンが増えるだけではなく、就寝時間が長くなり、合計睡眠時間が改善し、睡眠効率が増すことを研究が示しています。研究者によると:

「酸っぱいさくらんぼジュース濃縮液を飲むと、外生メラトニンが増え、健康的な男女の睡眠時間が長くなり、睡眠の質が改善され、睡眠障害の管理に効果を期待できる。」

5. 関節炎痛みの軽減 — さくらんぼは豊富な抗炎症性化合物を含み、研究からは炎症性関節リウマチの痛みを和らげるのを助けるかもしれないことが示されています。

ある研究によると関節リウマチの女性が酸っぱいさくらんぼジュースを1日2回3週間飲んだら、炎症マーカーが大きく減少しました。痛みは20%和らぎました。その研究者らは酸っぱいさくらんぼは、「食品のなかで最も抗炎症性が強い」と説明しています。

6. お腹の脂肪が減る — ある動物実験で酸っぱいさくらんぼパウダーと高脂肪食を与えたラットは、酸っぱいさくらんぼを与えなかったラットより肥り方が少なく、体脂肪がより少なく形成されました。このほか炎症もトリグリセリドも低く、心臓の健康に潜在的に機能を果たすことが示されました。

7. 運動後の筋肉痛軽減 — 酸っぱいさくらんぼジュースを長距離走前に食べたアスリートは食べなかった人より痛みが軽かった。酸っぱいさくらんぼの抗酸化性と抗炎症性は筋肉損傷と痛みをきつい運動をしている間に減らす保護効果があると考えられています。

8. 脳卒中リスクの低減 — 酸っぱいさくらんぼは体組織のPPAR (ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)を活性化させることにより脂肪やグルコースの代謝に係る遺伝子の調節を助けるかもしれません。この活性化によって心臓病リスクが下がるかもしれず、さくらんぼはPPAR作用物質という処方薬と同じ心臓への効能があるかもしれないことを研究が示しています。

さくらんぼの種を楽に数秒で取り除く方法

さくらんぼは楽しむ前に種を取り除くのが楽しい食べるのが大好きな手間がかかるフルーツの一つです。簡単なコツはないのでしょうか? さくらんぼの種を除くなら用紙のクリップを使います。クリップを曲げて解し、さくらんぼの柄が出ている窪みに差し、回して種を出せます。

(英語版のみ)

さくらんぼの略史と楽しい事実

さくらんぼは何世紀も楽しみを与えてくれたもので、古代ローマやギリシア、中国で享受されていました。甘いさくらんぼはアジアが原産で鳥がヨーロッパに運んだものと考えられています。1600年代にはイギリスの植民地支配者らがアメリカにさくらんぼを運び、北西部やミシガン州で現在は栽培されています。興味深いことに、桜の木は樹齢約五年からさくらんぼを付け始める一方、樹木自体が成熟するには10年から15年もかかります。

成熟したさくらんぼの木に実が一シーズンで約455kg以上成ります。さくらんぼの治療的栄養価がために食べようとするなら、10個の甘いさくらんぼまたは1カップの酸っぱいさくらんぼにおおそ4 gの果糖が含まれることを忘れないでください。一日の合計果糖量を25 g以下に抑えることを私は推奨していますので、合計果糖量を考慮することが重要です。