Dr. Mercolaより
ビタミンKは凝血のために必須の機能を果たすものとしてよく知られる脂溶性のビタミンです。しかしビタミンKにはそれぞれ異なる種類の健康メリットが得られる二種類が存在します。ビタミンK1は主に凝血のためですが、ビタミンK2は カルシウム、マグネシウム、ビタミン Dと相乗的に作用して以下挙げるものに限られない、いくつもの重要な健康上のメリットをもたらしてくれます:
骨粗しょう症予防
動脈硬化の予防(アテローム性動脈硬化)、 心臓発作リスクの低下
カルシウムを骨へ運びそこを丈夫にし、虫歯を予防するのを助ける。
カルシウムが行ってはならない部位、例えば腎臓へ行かないようにします。カルシウムが腎臓にたまると腎臓結石につながり、血管に溜まれば心臓病を起こします
インスリンを生産して血糖量を安定化する(全身に正しいレベルを維持する)、糖尿病予防、肥満と関連する新陳代謝の問題を予防
男性のテストステロンと生殖能力を強化して性的機能を最適化します
多嚢胞性卵巣症候群の女性においては男性ホルモンのアンドロゲンを削減
がんを促す遺伝子を抑制し、健康な細胞を促す遺伝子を強化します。
2010年の欧州がん・栄養予測研究(EPIC)でビタミンK2 — K1ではない — を豊富に摂るとがんリスクが減るほか、がん死リスクも30 %下がることが特定されました
運動中エネルギー利用効率を高め、全体的に運動実績を高めます。
ミトコンドリア電子担体として機能するビタミンK2は、パーキンソン病で見られるようなミトコンドリア機能障害においても正常なATP産生の維持を助けます
認知症を含む神経欠損からの保護
肺炎などの感染病予防
関節リウマチの人の疾患に対する活性を改善、ビタミン Dと組み合わさり膝の骨粗しょう症を改善
脳性小児まひだった成人の骨粗しょう症や特発性骨折リスクが下がる
健康な免疫機能の支持
胎児の成長と発生の支持
1980年代に骨の中にあるタンパク質オステオカルシンの活性化のためにビタミンK2が必須であることが発見されました。それから十年あるいはそれ以上経て、ビタミンKを必要とするタンパク質で血管系に含まれるGLAタンパク質(MGP)マトリクスが発見されました。ビタミンK2がないとこれらのおよびその他のビタミンK2を必要とするタンパク質は活性化しないままで終わり、生体内で機能できません。
もう一つの重要な発見はMGPが石灰化を大いに阻害することです。MGPが不活性なままだと重篤な動脈石灰化が発生し、このためビタミンK2は心臓血管健康のためにとても重要です。ビタミンK1とK2の相違は2004年に公表されたロッテルダム研究で明確に立証されました。様々な食品のビタミンK成分を測定し、ビタミンK1はホウレンソウ、ケール、ブロッコリ、キャベツなど緑の葉野菜に豊富であることがわかりました。
ビタミンK2はこれとは異なり発酵食品にしか含まれていません。このビタミンは発酵過程において特定の細菌が産生します。特定の腸内細菌もビタミンK2を自然に産生しています。興味深いことに野菜のK1は吸収性が悪い反面、発酵食品のK2は生体利用能が高いです。ビタミンK2が最も豊富な食品をつい最近のある研究が明らかにしました。これについては最後の方で取り上げます。ビタミンK2は以下の物質に分解されます:
1. MK-4 (メナキノン-4)。ビタミンK2の短鎖形態で、草で育ったバター、バターオイル、放し飼いの鶏卵の黄身等動物性食品に含まれます。サプリメントのMK-4は合成しかなく通常はタバコの植物エキスが原料なので、MK-4を含むサプリメントは飲まないほうがよいです。
しかし、MK-4は約一時間しか生物学的半減期がないので、栄養補助食品には向きません。このため食品に含まれる自然なMK-4は遺伝子発現において機能しており、MK-4がオンしたりオンする遺伝子標的が異なるので、がんの予防に重要な働きをし、よい健康のために重要です。
2. MK-7 (メナキノン-7)。発酵食品に含まれる長鎖形態。長鎖形態にはいくつもの種類がありますが最もよく知られているのがMK-7です。こちらは本物の食品特に大豆を発酵して作る納豆がら抽出しているため、サプリメントをお求めになる価値があります。
発酵過程で生成されるMK-7には二つの重要なメリットがあります。半減期が長いので長時間体内に残留し、とても手頃な用量を一日だけ一回摂るで十分です。MK-7は単球という白血球が作る炎症促進マーカーを阻害して炎症を防止することが研究からわかっています。
繰り返すと、ビタミンK2は主に動物性食品(MK-4)と発酵食品(MK-7)に含まれています。しかしMK-7については、必ずしもあらゆる細菌がK2を作るわけではなく、特定の発酵食品にしか含まれないことを把握しておくことが大切です。餌が穀物の家畜もK2をほとんど産生せず、その他の理由により食べないほうがよいです。草で育った家畜のみ自然に高濃度のK2を生成できます。
こうした理由から大部分の市販ヨーグルトはビタミンK2をたいていは含んでおらず、ゴーダチーズやブリー、エダムチーズなど特定の種類のチーズしか豊富なK2を含まず、他のチーズには含まれていません。食事から豊富にビタミンK2を摂る最適な方法の一つは、日常的に、ビタミンK2を作る菌種を使った特別な開始培地を使って自宅で作る発酵野菜を食べることです。
このような開始培地を使い、500μgのビタミンK2を約56gの発酵野菜から得られ、この量は臨床上の治療用量に匹敵します。また、この方法は最も経済的なもののひとつでもあります。
ウェストン・A・プライス基金の検査によると、MK-7ビタミンK2の点では納豆に優る食品はありません。MK-4 ビタミンK2が最も豊富な食品はエミュオイルで、1 gにMK-4が3.9~4.4 μg含まれますが、MK-7は無いに等しいたったの0.002 μg/gしかありません。あまり知られていませんが、エミュオイルはオーストラリア原産の伝統的脂肪および機能性食品で、サプリメントとして市販されています。
このオイルについてさらに詳しく知り、高品質サプリメントを見つけるには認定看護師ケイラ・グロスマン氏のブログをご参照ください。すでにご説明しましたが、MK-4には重要な健康上のメリットがありますが、MK-7ほど強力ではないようです。ビタミンK2 (MK-4、MK-7)が豊富な、その他の食品例をご紹介します。全容を見るには検査結果をWestonAPrice.comからダウンロードしてください。
納豆
0
11
エミュオイル
3.9~4.4
0.002
牡蠣
0.001
野生のエビ
0.0002
0.01
鶏レバー(養鶏)
0.1
0.0008
鶏レバー(従来品)
0.04
草原放し飼いのバターオイル
0.8
キャボットエクストラシャープ熟成チェダー
Nature’s Promiseオーガニックシャープチェダー
0.09
0.007
PA Bowen Farmsteadリザーブチェダー
0.08
PA Bowen Farmstead生ブルーチーズ
ラード(放牧)
0.2
ビタミンK2の臨床的に有用な用量に関して — ロッテルダムの研究を含め — 数件の研究が一日45 μgという微量で十分であることを示しました。一般的なガイドラインとして、1日に150 μg以上のビタミン K2を摂ったほうがよいです。これより若干多い180~200 μgの高いレベルを勧める人もいます。
納豆15 g か発酵野菜を毎日食べると健康的な量のK2を摂り込むことができます。ビタミンK2生成菌を使った初心者向け培地を利用して野菜を発酵した場合、28gから200~250 μgを得られます。
ビタミンD3の経口サプリメントを飲んでいる人は健康的な比率を維持するにはビタミンK2をもっと摂ったほうがよいでしょう。ビタミンD対ビタミンK2の最適な比に関して、Rheaume-Bleue(レオームブルー)さんは1,000 IUのビタミン D当たり100 μgのビタミンK2を摂るよう勧めています。
ビタミンK2サプリメントを摂るなら、MK-7であることを確認してくださいまた、脂溶性ビタミンなので脂肪抜きでは体内に吸収されないので脂肪といっしょに食べましょう幸いにも、K2は無毒なので摂り過ぎの心配はありません。3年間被験者が千倍以上の「過剰用量」を飲みましたが、全く副作用がありませんでした(つまり、凝血傾向は変わらない)。
ビタミンK2はそれ自体としては「気分がよくなる」わけではないことにご注意ください。体内での作用は物理的に違いを感じるほどではありません。人間は効果を実感できるものを摂り込む傾向があるので、何も感じないと続けるのが難しいです。そこで、違いを実感できないことが何も効能がないこととは限らないということを忘れないことです。
無毒とはいえ、ビタミンK拮抗剤、即ち、Kの活性を抑制して凝血を減らす薬剤を服用中の方はMK-7サプリメントを避けてください。また、妊娠中や授乳中の方、医師が特別に推奨したり監視しない限り、ビタミンK2サプリメントはRDA (65 μg)を超えて飲まないほうが良いです。
骨粗しょう症や心臓病の既往症が家系にある場合、ビタミンK2を食事にさらに追加するとよいと思います。毎日少しは余計にビタミンK2を摂るのが血管の石灰化を防止するための簡単な方法です。しかし、脳卒中や心停止の経験がある人や血栓ができやすい人、医師に相談せずにビタミンK2を摂るべきではありません。
次の状態がある場合はビタミンK欠乏症のリスクが高くなることがあります。
ビタミンK欠乏の兆候と症状には以下のようなことがあります:
様々な自然食品を取る食生活から栄養素を得ることの主な利点の一つは、栄養素の比率が偏らなくできることです。一般的に食品にはすべての共通因子と最適な健康なための適切な割合で必要な補助栄養素が含まれています。基本的には、母なる自然の叡智は完璧なのです。サプリメントに頼るなら栄養素の相互作用についてよく注意し、問題が起きないようにしてください。
すでにご説明したとおり、ビタミンK2はマグネシウム、カルシウム、ビタミンDと相乗的に作用するので、比をすべてについて考慮するのが重要です。残念ながらいまだこれらの栄養素の正確で最適な比はわかっていません。一般的な目安と考慮点としては以下のことをご参考にしてください:
• マグネシウムはカルシウムが細胞内に残り機能するのを補助します。理想的なカルシウムとマグネシウムの割合は1:1であると考えられています。マグネシウムよりはるかにカルシウムの方が多く食事から摂り易いので、マグネシウムサプリはカルシウムの2~3倍多めに摂る必要があります。
• マグネシウムは、心臓病の重要な要素である血圧を下げるのに役立ち、マグネシウムとビタミンK2も補完し合います。
• ビタミンK2は心臓血管の健康と骨の修復という二つの身体に欠かせない作用をします。ビタミンK2は血管の内膜からカルシウムを除去し、骨基質に送り込むので、アテローム性動脈硬化症による閉塞を予防します。一方、ビタミンDでカルシウム吸収率が最適になります。
ビタミンDとK2は補助もし合い、マトリクスGLAタンパク質(MGP)を産生し活性化します。この物質は動脈内壁の弾力性がある繊維の周囲に集まり、動脈にカルシウムの結晶が形成されないようにしています。
ビタミンDの必要量に関してはビタミンD濃度を年二回(夏と冬)検査して自分の用量を見極める参考値にすることを強くお勧めします。調度良く日光に当たることはこの濃度を増やすために最適な方法なのですが、サプリメントを摂るなら40~60 ng/mlという療養効果のある範囲にまで増やすことができるほどの量が「最適用量」といえます。
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