Dr. Mercolaより
メラトニンは松果体から分泌される重要なホルモンです。このホルモンの主な機能の一つは、身体の概日リズムの調節です。
暗くなると脳はメラトニンを分泌し始め(通常は午後9時や10時頃)、眠気を感じ始めます。その増加した濃度は、通常は12時間継続し、日の出とともに松果体はホルモン生産を下げ、体内濃度が減少し、ほとんど検出できなくなるほど少なくなります。
夜間シフト、時差ボケ、夜間の光暴露等で概日リズムが妨害されると、体内のメラトニン生産が減ります。少量のメラトニンサプリメントなら体内時計をリセットしやすくなるので、有用なのはこうした状況においてです。
しかし、伝えられるところでは、ますます多くの子供が長期的リスクを伴う可能性があるサプリメントに頼って寝ようとしています。
子供に夜よく眠れないような特有の医療的ニーズがある場合、メラトニンは有用かもしれず、処方睡眠薬より安全である可能性が高いです。一例として、睡眠障害がよくあり、自閉症症状が悪化することもある自閉症の子供が挙げられます。,メラトニンは概日リズムを同期し、自閉症の人の睡眠の質と行動を改善するのに有用なことが発見されました。
注意欠陥障害(ADHD)や慢性的就眠困難の子供にもメラトニンは長期的に使用しても重篤な副作用がなく、症例の88 %で効果的なセラピーであることが特定されています。 さらに行動と気分もそれぞれ 71 %、61 %の症例で改善しました。
しかし通常健康でも、ときどき寝つきが悪く苦しむ子供のために、メラトニンをもし使用するなら慎重に飲ませるべきです。「ほとんどの小児科医は睡眠やメラトニンについてほとんど知りません。自閉症の無い子供にとって『完璧な』子供を期待する両親のためにメラトニンは格好良く見える対策です」と、サレイ大学の元睡眠研究部長ニール・スタンレー博士がThe Guardianで述べています。
メラトニンは短期や中期(最大18か月)使用する限り、比較的安全であるとみなされますが、6~7年もこのサプリメントを飲み続けている子供もいます。
メラトニンの子供に対する長期的影響はほとんど知られていませんが、身体の成熟に関連するホルモン産生を阻害しうることをある研究が示しています。ある研究によると、ADHDや慢性不眠症の子供にも注意を要します:
「メラトニンサプリが思春期や内分泌系に及ぼしうる影響について体系的にほとんど研究されたことはない。
このためADHDや (C)SOI [慢性的就眠困難] のある子供にメラトニンでの処置は、内生的概日リズムに明確な相偏移が見られる症例を中心として、日常生活に重大な影響が出ている慢性的不眠症の子供にしか与えるべきではない。」
しかし健康な子供にもメラトニン使用を支持する人もいます — 健康な子供の25 %は不眠症になっているといわれます(神経発生障害や精神的問題がある子供では75 %に上昇)。
Canadian Family Physicianに掲載されたあるレビューでは、不眠症とは診断されていないが睡眠衛生が健全でない子供にはメラトニンの使用を検討すべきである。メラトニンは安全なようであるが、健常な子供への長期的使用を支持する根拠は存在しない」としています。
規則正しい就寝習慣のようにその他の方法で睡眠を改善できるはずの子供に人工メラトニンが過剰に処方されているという懸念が存在します。このことは窓のブラインドを閉じ、子供にパジャマを着せ、物語を読み、ホワイトノイズをオンにし、抱きしめてキスして寝かすのと同じくらい単純なことのようです。
子供が寝つきよくない場合、メラトニンなどの自然なサプリメントを試す前に、行動の修正や適正な睡眠衛生への注意を最優先すべきです。特に、Canadian Family Physicianでは次のことが示されています:
昼寝を避ける
夕食は少なくとも就寝の二時間前までに済ます
画面を見る時間(テレビやコンピュータ、ビデオゲームなど)は就寝前遅くとも一時間前までに消す
日常決まった睡眠時間と起床時間を含む規則的就寝習慣を維持する
子供は本人専用のベッドに寝かす
睡眠環境は暗闇、静寂であり、部屋が暖かすぎないこと
カフェイン、ニコチン、アルコールを避ける
一日のうち適切な回数の光と暗闇に注意することも重要身体は明るい日中特に早朝にの光に当たる必要があり、これで毎晩健康な量のメラトニンが産生されます。
朝のうちに日光を浴びるのは毎日概日リズムをリセットするためのひとつの方法です。朝の陽光に10~15分当たると起き上がり輝く時間になったという強いメッセージが送られます。こうして身体は一日の後半に弱めの光によって混同しなくなります。
私の原則は、夜寝室で顔の前にかざした手が見えるようなら光が多すぎるということです。身体は健康な量のメラトニンを産生するため日中に光に当たる必要がありますが、夜間の光はこの産生を阻害します。しかし日中光をふんだんに浴びるのが難しすぎ、夜間光を浴びすぎるのが簡単です。
子供の寝室を暗闇にする幕を取り付けるのに加え、夜間のブルーライトを避け、日没後は子供にブルーライト阻止眼鏡を掛けさせることです。
2016年に米国小児科アカデミー(AAP)がSIDS(乳児突然死症候群)やその他睡眠関連の幼児の死亡リスクを削減するため、幼児向けの最新睡眠ガイドラインを発表しました。
乳児は1歳までは仰向けに寝かせるのに加え、他の寝具や柔らかい物が無い固い睡眠表面および母乳の授乳も勧めています。さらに、AAPは生後少なくとも6か月、最適には1歳までは両親のベッドわきで(ベッドわきの携帯用ゆりかごなど)寝かせるように勧めています。
これとは対照的に、Pediatricsの2017年6月号に掲載されたある研究は、生後4か月および9か月に両親と同じ部屋で寝かすと睡眠によくないことを特定しました。むしろ生後4か月で専用の部屋で寝かせた乳児は9か月でも両親と同じ部屋で寝ていた乳児より40分長く寝られることが判明しました。
しかしこの分野については議論が交錯しており、両親と同じ部屋で乳児が寝るかは実際の事情や子供ごとの選好により異なると思います。
さらに、乳幼児と同じベッドで寝ることを保健当局は通常避けるように注意していますが、専門家のなかにはベッド共有は安全に行い、母乳を授乳させる限り、SIDSリスクが実際に下がり、安全な睡眠環境になると考える人がいます。子供が実際にどの程度寝るべきかについてよくわからない方のため、全米睡眠財団(NSF)の最新ガイドラインを引用させていただきます:
新生児 (0~3カ月)14~17時間
乳幼児 (4~11カ月)12~15時間
幼児 (1~2歳)11~14時間
就学前幼児 (3~5歳)10~13時間
就学児 (6~13歳)9~11時間
十代(14~17歳)8~10時間
子供がよく寝れるようにするためのよく見通したヒントを持つ他の両親がときどき見つかるかもしれません。Growing Slowerに掲載されたある記事の中で、ある母親が自分の乳児がやっと夜間よく眠れるようになったきっかけについて述べており、それは試行錯誤してその家族にとってうまくゆく「コツ」を正しく組み合わせたことでした。例:
刺激性である可能性が高い合成繊維ではなく、有機綿の寝着
ビタミン Dその他ビタミン、オメガ3 脂肪による免疫系の支持
ココナッツオイル小さじ1を飲むことで夜間の空腹による痛みを抑える
就寝前のエプソム塩浴
マグネシウムオイル、これで就寝前に腹部にオイルマッサージ
母乳授乳を解消させる食生活、子供の食品に対するアレルギーや感受性対策
ホワイトノイズ (扇風機回る音)
就寝時間の予測がつく規則的習慣
両親が寝やすい環境を生み出すために積極的に対策をとると、子供がよく眠れることも忘れないでください。NSFによると「両輪が睡眠ルールを決めて強いることで子供は長く眠れる」そうです。
例えば、一定の就寝時間を定めて強い、子供がテレビを視たりコンピュータを使用できる時限を決めると、一晩の睡眠が1時間以上延びることも可能になるかもしれません。よいお手本であることも重要であり、これには電子機器やブルーライトを夜間制限したり就寝前には仕事を片付けることを含みます。
宿題を夜遅くするのも子供の寝つきを悪くします。「睡眠を家族の多忙な予定の中で健康的最優先事項にしましょう」と、NSFは宣言しています。「自分と子供ともに適切で一定した就寝時間を定め、これを一貫すること、睡眠がいかに健康と快適な生活のために重要かについて話すことです。」
子供のためのメラトニン のサプリメントを検討するより、子供の自然なメラトニン産生が増え、健康全体がよくなるような習慣を確立するほうが意義があります。以下のヒントは子供にも大人にも該当します。
午前中の日差し — メラトニンは光と闇に暴露されることで影響を受けます。光があればメラトニン産生は自然に減少します。午前中に少なくとも陽光を15分浴びるとメラトニン生産の調節を助け、日中の正常レベルまで下がるので、日中は覚醒しているという自覚があり、夜になるとよりよく眠れます。
暗闇の中で眠る — 身体は闇の中でメラトニンを産生して分泌し、眠くなり、睡眠を継続できるようにします。目覚まし時計、テレビあるいはその他の光源から出る明かりもなく、真っ暗な部屋で寝ると、睡眠の質が良くなります。
もし夜起きてトイレに行くようなことがあっても、メラトニンの生成が停止しないよう、明かりを消しておくことが重要です。日没後はブルーライト暴露を防止するためのブルーライト阻止眼鏡も使用しましょう。
コンピュータや携帯機器を消す — これらは光源ですが、デジタル機器から出る光の種類は、最もメラトニンが必要な夕刻に産生を弱めます。
青や白の波長帯域の明るさや暴露がメラトニンの産生に悪影響するようであり、これはまさにタブレットやノートパソコン、コンピュータから出ている波長です。睡眠を保護するために、コンピュータやデジタル機器は就寝の少なくとも1時間前に消しましょう。
カフェインを減らす — コーヒーやダークチョコレート、コーラ、その他の飲料に含まれるカフェインは半減期が5時間あります。つまり10時間経っても25 %は体内に残っています。夜よく寝るには、昼食後はカフェイン入り食品や飲料を控えましょう。
ストレスおよびコルチゾール濃度を下げる — メラトニンの分泌はノレピネフリンという別のホルモンが分泌されることが条件です。ストレスが大きくのしかかりその結果出るコルチゾールの分泌がノレピネフリンの分泌を阻害し、このためメラトニンも分泌されなくなります。就寝前のストレス軽減法に役立つかもしれないのは、ヨガ、ストレッチ、瞑想そしてお祈りなどです。
マグネシウムの多い食品を増やす — マグネシウムは夜間の脳活性を下げる機能をしており、リラックスして寝やすくしています。これはメラトニンと並行的に機能します。マグネシウムが豊富な食物にはアーモンドやアボカド、かぼちゃの種、緑葉野菜が挙げられます。
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