警告:「スマホ首」になっていませんか?

首痛

早分かり -

  • スマートフォンその他のデバイスを使うためしょっちゅう頭を前傾していると、悪い姿勢につながり、「スマホ首」と言う問題につながります
  • 悪い姿勢は首痛、頭痛、若くして変性円板疾患やうつ病その他重篤な健康の問題につながります
  • 終日立ち上がりもっと動くことで姿勢の問題を減らせるほか、座り過ぎによるダメージを減らすのにも有用です
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Dr. Mercolaより

数十億人が今やスマートフォンに向かい背中を丸めて歩いています。スマホで書く行為の害悪には自動車事故、EMF(電磁場)への暴露、噴水に踏み入れるなどがありますが、さらに新たな害悪が加わりました:「スマホ首」がそれです。

ニューヨーク州の脊柱外科医ケネス・ハンスラジ氏はか頭の前傾姿勢が頸椎に及ぼす増分的影響を評価したある研究を行いました。

頭の重さがボーリングのボール数個に相当することを想像してみてください!

人間の頭は約5.44kgあり頻繁に前傾姿勢でいると、つまり頭が下向きでスマホに書いているときやメールしたりゲームしているときの姿勢が頸椎に大きく作用します。

この姿勢が脊柱に影響する程度は傾きの角度とこの姿勢でいる時間により異なります。

ハンスラジ氏は同氏の研究で頭を15°前傾すると実効重量は約5.44kgから約12.5kgに増えます。45°にすると約22.2kg、60°では約27.2kgの力が掛かり、これでは首に毎日数時間8歳の子供を着けているようなものです!

また、脊柱への圧力は頭を約2.5cm前傾するごとに二倍増えると主張する人もいます。CTIA, The Wireless Association(無線協会)によると、2013年に約1兆9100億件のスマホメッセージが米国で送られました。スマートフォンユーザーはデバイスに向かった前傾姿勢で一日に2~4時間平均して過ごしており、これは年間換算すると700~1,400時間をこれだけのストレスを脊柱に掛けていることになります。高校生はさらに状況が悪く、この姿勢で以上の平均値以外に5,000時間を年間費やします。

ハンスラジ氏によると「スマホ首」は若くして脊柱の摩損や引き裂き現象、若くして変形性脊椎症につながる場合があります。首を反復して引いたり延ばしたりするので、時間とともに炎症が起き、筋挫傷や神経断裂、椎間板ヘルニア、首の異常な曲線につながります。

この前傾首の姿勢は頭痛や神経系の問題、心臓病にもつながることがわかっています。首が健康的で自然な姿勢でいるのは比較的容易なのでこの事実は悲しむべきことです。顎を45°上げるだけのことで、頭が肩から後ろへ傾くので胸が開かれます。

Dr.ハンスラジ氏に賛成の人ばかりとは限らない

携帯電話はある程度まで悪い姿勢の原因であることにたいていの人は同意しますが、専門家の一部には携帯電話が脊柱ダメージの続発に寄与しているわけではないとする人もいます。

ワシントン大学の神経外科医アイアン・ドーウァード氏はデータ出所が明示されていないとしてハンスラジ氏の研究を批判しました。Dr.ドーウァードは読書のときなどさまざまな角度や姿勢に頭を一定に保てるように人間が進化したことを指摘します。

脊柱に作用する生体力学的応力や肥満および座り過ぎによる悪い姿勢のほうがはるかに深刻な懸念事項である、と同氏は言います。私もこれは正当な議論であると思います。

ドーウァード氏は前傾姿勢で長時間いることによる筋骨格的問題が懸念であることは確かに認めています。しかし、Dr.ハンスラジは子供への影響に関して言うなら特殊な点を取り上げています:

「その問題は若者の間で実に根深い。首にこれほど過剰なストレスが掛かると脊柱の治療が必要な若者が出始めるかもしれない。両親がもっと指導するようにして欲しい。」

10歳児を対象にした最近のあるイギリスで行われた研究では、最大10%がすでに背中の異常の前段階になっており、9%はすでに変性円板疾患になっていることが判明しています。その研究者はこの事実を重い学校の教科書を背負ったり、テレビを視たり、ビデオゲームをしたりすることが原因であるとしていますが、メッセージを打ち込むことがたいへん作用しているかもしれません。

背中の痛み発生率は成人だけではなく子供にも増加しています。このことは現代のテクノロジーが生んだ習慣が原因であると一部は言えますが、これよりも大きな要因は貧疎な食生活、不活発さ、座り過ぎ、肥満かもしれません。

猫背以上の異常

姿勢は思考や気持ち、行動に影響しており、以前考えられていたより強力です。悪い姿勢は肉体的に身体に悪影響を及ぼすだけではなく、気分や自己概念、他者が自分をどう見るかにも影響するこおはわかっています。

例えば、前かがみでいると内蔵器官を圧迫し、機能を制限し、外見が重ったい感じになります。開かれた拡大的で背筋が伸びた姿勢を「権力の姿勢」としてとらえるのは人間だけではなく、その他の類人猿でも同様です。姿勢が悪いと記憶力も悪くなる:

「しょげた格好で下を見て座ると、研究参加者は失望やふがいなさ、無力、いやな思い出が簡単に蘇り、力が湧く積極的な記憶はあまり出て来ないと答えました。

背筋を伸ばして前を見て座ると、研究参加者は失望やふがいなさ、無力、いやな思い出をよみがえらせるのは困難であるか参加者の多くにとってはほぼ無理であり、力が湧く積極的な記憶はすぐに出て来るということでした...

背筋を延ばして座ると脳へ行く血流と酸素が増え、一部の説明によると最大40%増加するそうである。」

悪い姿勢は以下に挙げるような身体へのいくつもの悪い影響があります。このため、頭や首、肩の位置を含む姿勢への注意は全体的健康計画の基幹的項目にするべきです。

肩や首、背中の痛み

変性円板疾患

脊柱後弯症(胸郭脊柱が前曲、円背)

うつ病、ストレス増大、勢力減退

リビドー減少

筋収縮性頭痛(緊張性頭痛)

便秘や胃酸の戻り、ヘルニアなどの消化の問題

呼吸の制約

心臓血管の不整(迷走神経の炎症に関連)

重篤な健康の問題に関して「スマホ首」より長時間着座がはるかに重大

長時間の着座はよい姿勢につながらず、最近の研究は、姿勢の問題がデスクに拘束されている場合の唯一の懸念事項ではないことを示しています。Dr.ジェームズ・レビンによると、長時間の着座は体重過剰、2型糖尿病、早死に等多くの慢性病につながります。Dr.レビンは『Get Up!:』『Why Your Chair Is Killing You and What You Can Do About It』(立ちましょう!椅子で死ぬ訳と対策)の著者です。

農業環境での生活を分析した研究が農村の人々は平均一日に三時間座ることを示しています。これを一日に13~15時間座る傾向があるアメリカのオフィス労働者と比較すると、この人たちの頭はその座っている時間の大半前傾している確率が高いです。

しかし仕事の後毎晩ジムへ行くとしたらどうでしょうか - これで不活発さによるダメージから保護できるのでしょうか? 益々多くの研究は否定的結論であり、その根拠は圧倒的に説得力があります。現在10,000件を超す研究が、座っていると健康を破壊する多くの経路を明らかにしました。Dr.レビンによると座り過ぎにより少なくとも 24種類の慢性病や慢性的異常が存在します。

18の研究を分析したある研究から、最も長時間座っていた人は最も座っている時間が短かった人と比較して、糖尿病または心臓病の危険が倍増することが分かっています。その研究の主執筆者で研究主任のトーマツ・エイツMDによると:

「普段活発な人でさえ、長時間座ることが糖尿病や心臓血管病、腎臓病等の独立的リスク要因であるように思われる。」

2009年のある研究も同じ結果に至っていました。着座時間が長いほど、日常運動している人でさえ、2型糖尿病や心臓病、その他の蔓延する慢性的健康の問題と相関性が高いことがわかっています。端的に言うと、座る時間が長いほど慢性的健康の問題が起きやすくなります。

その一方、あまり椅子に座らず、より長い時間を軽度の日常活動で過ごすと、ジムに行くか行かないかに関わらず、慢性的健康の問題リスクが大きく減る。

重力は有利にも不利にも作用する

重力は身体に常時力を加えているので組織が強く維持されますが、姿勢が悪いと悪影響が及びます。宇宙空間などで無重力(あるいは反重力)状況にいるとき身体は急速に弱体化し、このためにこそ多くの時間とエネルギーを宇宙飛行士の無重力条件下での保護のために費やします。

Dr. ジョーン・バーニコス(元NASA生命科学部部長、著作「Sitting Kills, Moving Heals, 」(座ると死ぬ、動きが癒す」)によると長時間座っていると低重力環境と似た影響を受けます。

Dr.バーニコスによると: 「生涯健康でいるためのカギは週に3~5回行う従来式のジムトレーニングではありません。その答えは、終日重力ベクトルを利用する自然な軽度の運動以外の動作が主体のライフスタイルを見直すことです。」

調理、ガーデニング、床から靴下を拾い上げるなどで普通の活動をすると身体に重力の作用が増します。その効果を得るにはこうした活動を終日おしなべて行うことが要件です。Dr.

バーニコスの研究によると、心臓血管リスクを生じさせないために着座から立ち上がる必要がある最小頻度は一日に35回です。このことから週に数回激しく運動しても適切ではないことがわかります。姿勢と全体的健康をよくするには、終日断続的な動きを行い、着座は可能な限り避けることです。

姿勢によい最適な癒し: 断続的な動き

断続的な動き(運動外活動)は長時間背中を丸めて座らないので姿勢のためによいです。断続的な動きがいかに重要かをますます自覚した私は着座の弊害対策として戦略をまとめました。

私のアプローチは姿勢の矯正と体幹強化運動、Dr.バーニコスのお勧めである頻繁に立ち上がること、各種の迅速な運動を終日行うことです。正しい姿勢で電子機器を操作するに関しては、首を曲げずに見下ろす習慣を身に付け、機器を高めに置くようにするとよいです。眼鏡を使うならレンズ仕様が現在の目の状態に合致していることを確認してください。

  • 出来る限り頻繁に立ち上がる —立ち上がりデスクを試すとよいかもしれません。確かに終日立ち続ける必要はないでしょうが、姿勢がよくなりおよび動くチャンスが増えるので、立つ方がよいです。立っていては仕事ができない方の場合、終日着座を中断する取り組みが必要です。一日中分散させて35回以上立ち上がるように心がけてください。
  • もっと歩きましょう —フィットネストラッカーを身に付け、毎日7,000~ 10,000歩(約8km以上)歩く目標を目指しましょう。これだけの距離なら一回で歩けるでしょうが、終日の間に均等に、予定が許す限り、配分するのが最適です。私は毎日12,000~16,000歩歩くようにしており、日中のビーチウォーキングに集中して行っています。階段を使ったり入口から遠い場所の駐車場に止めるといったことを習慣づけましょう。
  • 30秒から60秒の運動のために中断する —Dr. バーニコスは単に立ち上がり、座り直すだけでも効果はあると言いますが、もっと対策はできるはずです。終日立っているとき各種の異なる身体動作を加えてみてください。
  • ファウンデーション-トレーニング —私はDr. エリック・グッドマンが開発した背中側の筋肉連鎖にある弱点やアンバランスに対処するファウンデーショントレーニングを日常行っています。この点についてさらに詳しくはDr.グッドマンとのインタビューをお聞きください。
  • 姿勢トレーニング —米国では悪い姿勢は例外ではなく蔓延しています。米国人口の推定約80%は人生の間にいつかは背中の痛みを体験すると言われ、姿勢の悪さがその主な原因です。一つの手段としてはゴカール法があり、これを利用すると身体は「原始的姿勢」にリセットされ、傷みの原因かもしれない習慣を矯正できます。