10歳前の初潮・思春期: 新たな「普通」のことなのか?

思春期の若年化

早分かり -

  • 早熟な思春期つまり陰毛や乳房の成長などの二次性徴が8歳前に生じるあるいは9歳前の初潮といった現象は、米国の子供5000人のうち少なくとも1人に見られ、この比率は増加しています
  • 早熟、早すぎる思春期は感情的、行動的問題に関連し、成人してからのがん以外にも糖尿病や心臓病その他心臓血管病のリスク増大をともないます
  • 環境内の化学物質や特にこれを含む製品から容易に体内に浸出するエストロゲン類似の「性別を屈折させる」化学物質にはフタレート、パラベン、PFOA、ビスフェノールA (BPA)その他があります(これらの環境内の化学物質はがんや心臓病などその他の健康リスクにも関連している)
  • 早熟を防止する最適な方法は子供(および妊婦)が内分泌攪乱化学物質やストレスに晒されないようにし、子供のビタミン D濃度を最適にし、規則的運動プログラムを行うことです
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Dr. Mercolaより

早熟な思春期つまり陰毛や乳房の成長などの二次性徴が8歳前に生じるあるいは9歳前の初潮といった現象は米国の子供5000人のうち少なくとも1人に見られ、この比率は増加しています。

過去30年の間でさえ子供(特に女の子)の早熟が若年化し続けてきました(早熟な思春期は男の子より女の子によく起きる)。

かつて15歳が普通だった思春期は7、8歳や9歳から始まっている

19世紀に初潮はおよそ15歳頃が普通でした。今や初潮の平均年齢はおよそ12歳です。思春期中およびその前の時期は急速な成長と変化の時期であり、このため初潮についてはたとえ数カ月でも早いと問題です。初潮前、女子は乳房の「蕾が膨らむ」現象や陰毛発生などの成熟の兆しがあります。

こうした兆候が今では7、8歳や9歳の女の子の間で不安になるほど早年化しており、この程度は健康管理従事者の多くがどこかが間違っているとして、診断せずに単に普通の定義を変えるだけになったほどですけれども、これほどの幼い年齢で初潮があることは本当に「普通の」ことなのでしょうか?

早熟な思春期の場合には解答より疑問が多い状況ですが、明らかなことは10年や20年あるいは30年前より女子の早熟が進んでいることです。

早熟が感情的、行動的問題の素地になる場合があり、自尊心欠如、鬱病、飲食障害、飲酒、処女性喪失の早年化、複数の性的パートナー、性病リスク増大に関連しています。早熟の女子は成人してからのがん以外にも糖尿病や心臓病その他心臓血管病のリスクが高いです。

可能性が高い要因としての環境内の化学物質

早熟率増大について科学者らはいくつもの考えうる説明を行っていますが、特に注目に値するものは環境内の化学物質でありとりわけ食品や飲料を含む触るものすべてを汚染しているエストロゲン類似の「性別を屈折させる」化学物質です。

今回取り上げたNew York Timesの記事は次のように伝えています:

「....環境内の化学物質が身体を早熟させる場合があることは動物実験で示された。特に懸念のあるものは「キセノエストロゲン」すなわちエストロゲン類似物質などのO内分泌かく乱物質。こうした化合物質はステロイドホルモンに似た機能をし、身体の成熟を速める場合がある。

明らかに倫理的理由から、子供に対するこうした化学物質の直接的影響を実証する対照試験を行うことはできないので、研修者らはいわゆる「自然な実験」事例を探しており、その一つは1973年にミシガン州で牛が難燃剤PBBエストロゲン類似物質で汚染した穀物の餌を偶発的に与えられたときに起きた。

PBBで汚染された肉を食べ、PBBで汚染したミルクを飲んだ妊婦から生まれた女子は同年齢より早く初潮が始まっていた。」

これは極端な一例ですが、内分泌攪乱化学物質に囲まれている現代生活の中では、真実私たち皆が一種の「秘密の実験」の一環に含まれています。人工エストロゲンとして機能する石油化学工業物質ビスフェノールA (BPA)はプラスチックや錫製缶の内面コーティング、歯用のシーラント、レジのレシートに含まれています。環境作業団体(EWG)が出資した実験室分析からはBPAが試験した新生児の90 %の臍の緒-- からその他の230種類の化学物質とともに検出されました。

発育する胎児または幼い子供が数百種類の化学物質に暴露されることの帰結を把握している者はいません。こうした化学物質の多くは体内の自然なホルモンに類似した機能をし、成人になってからでも体内に大きな変化を起こす場合があります。影響を受け易い(子宮内でも幼い子供でも)発育時期はもちろんのことです。

BPAは一例にすぎません。その他の物質にはフタレートというポリ塩化ビニル(PVC)などのプラスチックを柔軟で耐久性があるものにするために使用されている工業化学物質が挙げられます。これらの物質は内分泌かく乱物質のなかで最も蔓延しています。食品の包装やシャワーカーテン、洗剤、おもちゃ、ネールポリッシュ、ヘアスプレー、シャンプー、デオドラント、香料等の化粧品類にも含まれています。

PCBとDDE (農薬DDTの分解生成物)などその他の環境内の化学物質も女子の早熟に関連するものと考えられています。DDEとPCBともに性ホルモンに類似しており、性ホルモンを阻害します。

こびりつかない調理器具に使われているペルフルオロオクタン酸(PFOA)は米国の大部分の上水道に添加されているフッ素化合物と同様こうした危険物質に分類されています。フッ素化合物で処置された動物は 循環するメラトニンが少なく、このことは動物の尿にメラトニン代謝生成物が少ないことからわかります。微量しかない体内を循環するメラトニン -- 予想がつく事実 -- はフッ素化合物で処理したメスの早熟に現れていました。

これらの化学物質はがんや心臓病リスクも高める

ある化学物質が人体の生殖機能成長に影響しうる場合、他のホルモンの影響を受け易い成長過程に影響しうることも頷けます。このことは実際に起きています。

例えば、ある新たな研究では乳がん組織標本の99%からパラベンエステルが検出されました。パラベンはエストロゲン類似の機能をする化学物質であり、エストロゲンは思春期の成熟過程だけではなく乳がん発生にも関わっているホルモンの一つです。この物質は多くの家庭用品に含まれています:

デオドラント、発汗防止剤

シャンプー―、コンディショナー

シェービングジェル

練り歯磨き

ローション、サンスクリーン(日焼け止め)

化粧品類

医薬品

食品添加物

ある最近の研究も以前は知られていなかった発がん性エストロゲン類似化合物を確認しました。その通りで、様々な金属が「メタリックエストロゲン」として機能し、人体のエストロゲンによる負荷をさらに大きくしており、乳がんリスクを高め、早熟も促していると考えられます。ワクチンも含む何千種もの消費者製品に添加されている以下の金属は細胞のエストロゲン受容体に結合し、生理的エストロゲンの機能もすることがわかっています:

アルミニウム

アンチモン

ヒ素

バリウム

カドミウム

クロム

コバルト

水銀

ニッケル

亜セレン酸塩

バナジン酸塩攪

老若男女を問わず内分泌かく乱物質を避ける必要がある

早熟という現象は幼い女の子が内分泌かく乱物質に暴露されていることが見えますが、その他の兆候はすでに発病するまで現れず、油断のならないものもあります。早熟な思春期やその他の長期的健康の問題につながるかもしれない一般的な有毒物質から自分と子供を保護するために今すぐ行える11の対策を以下に挙げます:

  1. 添加ホルモン、農薬、肥料への曝露を減らすために、可能であれば、有機農産物、放し飼いで育てた有機肉を食べる。遺伝子操作された成長ホルモン(rBGHまたはrBST)を含む牛乳やその他の乳製品も避ける。
  2. 主に生の新鮮な物を食べましょう。加工食品や事前にパッケージされた食品は(どんな種類でも)、大豆およびBPAやフタル酸エステルなど化学物質の主な発生源です。
  3. 食品の貯蔵は、プラスチック製よりもガラス製の容器にし、ビニール製のラップや缶詰の食品(生産ラインがBPA含有生産ラインと並置されている)の使用を避ける。
  4. ガラス製の哺乳瓶を使用し赤ちゃんのためBPAを含まないカップ類を使う。
  5. おしゃぶり類やその他子供が口に入れやすいものなら何でも、赤ちゃんのおもちゃはBPA非含有のものを必ず調達する。
  6. 自宅では天然素材のクリーニング用品を使用し、フタレート類を避ける。
  7. シャンプー、練り歯磨き、制汗剤、化粧品などは、ナチュラルブランドのトイレタリーに切り替えます。
  8. ホルモンバランスを崩す人工エアリフレッシャー、ドライヤーシート、衣類の軟化剤その他の合成香料を避ける。
  9. こびりつかないタイプの鍋やフライパンは、セラミック製またはガラス製の調理器具に買い換えてください。
  10. 自宅を修理する際は、 普通のペンキやビニール床仕上げ材ではなく「グリーン製品」を捜して使用してください。
  11. ビニール製のシャワーカーテンを布製のもので置き換えてください。
  12. 特に妊娠中や乳児用調製品なら未発酵大豆を避ける。

早熟にも関連するビタミンD欠乏

赤道に近い地域の女の子ほど北方地域に住む女の子より初潮が遅いことが示されました。これは日光浴に関連している可能性があることを示すので、研究者らはビタミンDが実際に関連していないか研究することにしました。5~12歳の242人の少女のビタミンD濃度を測定したミシガン大学公衆衛生校の研究者らは、欠乏している女の子は濃度が高い子より研究期間中に初潮がある確率が2倍高いことを発見しました。

具体的にみると、ビタミンD不足の女の子のうち、57%は研究期間中に初潮が始まった一方、適正なビタミンDがある人は23%にとどまっていました。しかし、研究者らが使った適正ビタミンD濃度とは ≥ 30 ng/mLなので、これではまだ不足しています! 最適な健康のためにビタミンD濃度は少なくとも50 ng/mLあるべきで、このためビタミンD不足の早熟な女の子はこの研究が報告しているよりはるかに多いはずです。

初潮が早いほど乳がんなどのがんリスク要因である女性ホルモンエストロゲンに多く暴露されます。この点は研究の対象である早熟とがんの間の主な「相関性」を示していますが、ビタミンD不足はがんや心臓病、その他多くの病気の主なリスク要因でもあります。早熟によるリスク増大がビタミンD不足と相関しているかもしれません。

肥満ストレス、運動について知っておくべきこと

肥満(エストロゲンは脂肪組織に貯蔵され生産されるのでエストロゲン暴露量が増える)は早熟のもう一つの可能性が高い要因です。

ストレスに関しても、早熟と相関性があり、3歳から8歳の間に両親が離婚した女の子は初潮が早い確率がはるかに高いことが判明しました。

「進化心理学の観点からその理論を構築しうる」と、New York Timesが伝えています。「子供の時期にストレスが多いと身体は早く成熟し、生活が困窮していると、若くして成熟するのが最適な傾向がある。しかしこうした理論は実証が困難である。」興味深いことに、環境内の化学物質、肥満、ストレスを避ける以外にも、ビタミンD濃度の最適化、日常の運動は早い思春期を予防するための最適な既知の方法の一つかもしれません。