グルコシノレートとイソチオシアネートがいかに健康を増進するか

グルコシノレートとイソチオシアネート

早分かり -

  • 不活性なグルコシノレートがミロシナーゼという酵素により生体活性イソチオシアネートに変換され、これにはスルフォラファンが含まれます
  • スルフォラファンは熱衝撃タンパク質も活性化し、これがタンパク質の折りたたみと凝集に重要な機能をしており、 分子シャペロンとして機能してタンパク質が本来の状態を維持できるようにしています
  • モリンガにはモリンギンというスルフォラファンに匹敵し、分析からこれより効能が強いことがわかっている強力なイソシアネートが含まれます
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Dr. Mercolaより

ジョンズホ・プキンズ医学校の栄養生化学助教授であり、カルマン化学保護センター所長のジェド・フェイヘイ理学博士は野菜の植物化合物と医療的効能を40年以来研究してきました。同氏の広範な学問的知識は植物生理学、人の栄養、植物化学、栄養生化学に及びます。

90年代初めにジョンズホプキンズの著名な薬理学者でありがん予防専門家ポール・タラレーと共同研究を始めました。タラレー氏は2019年3月に95歳で亡くなりました。

「25年前、予防とはとても急進的な理論でしたが、タラレー教授との協力を嬉しく受け止めました」 と、フェイヘイ氏が語っています。「これまでの25年間、私たちはかなり多くのことを行いました。

私たちはこういう言い方が好きなので言わせていただきますと、より多くの植物を食べるべき、というお勧めを咀嚼しようとしました。 … 植物化合物がいかに健康でいられる年数を延ばし、生気一杯で長生きできるようにするかについて、それはなぜかについて把握し、公表しようとしました。」

昆虫には有毒でも人には有益

健康メリットがあることが周知の一つの植物化学物質にスルフォラファンがあり、ブロッコリなどのアブラナ科の野菜に主に含まれます。スルフォラファンはブロッコリの芽や種に最も豊富に含まれるグルコラファニンというグルコシノレートから産生されます。

それ自体不活性なグルコラファニンがミロシナーゼという酵素によってスルフォラファンという生体活性イソシアネートに変換されます。

「イソチオシアネートは生体活性があり、摂食抑制物質として機能します」と、フェイヘイ氏は説明します。「これらの化学物質は昆虫に対しては毒素として機能します。その多くは異なる程度の殺菌性があります。」

このため(植物の中では)自然な害虫阻害剤として機能します。進化論的にはこれらの物質は、このような機能をするように設計されていました。食べるとこれらの化合物は細胞内の保護酵素を活性化し、内生的防御機構を活性化し、その一つに核因子様2タンパク質(Nrf2)経路があります。

「これこそジョンズホプキンズで研究者らが発見した主な物質で … Nrf2経路はイソチオシアネートにとてもよく応答し、いくつもの抗酸化酵素やその他の保護酵素を活性化します」と、フェイヘイ氏は言います。

興味深いことには、スルフォラファンとモリンギン(モリンガ オレイフェラという植物に含まれる)およびその他のイソチオシアネートも核内因子κB(NF-κB) という炎症促進性の因子の応答性を人体の中で抑制します。

これらの物質は実際にはタンパク質の折りたたみに関連し、タンパク質を損傷から救う熱衝撃応答効果があります。これらのイソチオシアネート類にある有益な生体活性には驚くほど多くあります。しかしNrf2経路こそ、ここで研究を開始した主要な対象の経路であることは確かであり、これこそ活性化される主な防御機構です。」

スルフォラファンなど間接的抗酸化物質のメリット

重要な点として、直接的抗酸化物質はフリーラジカル — 有益なフリーラジカルを含む — を無差別に阻害するので、抗酸化サプリメントを分析した多くの研究が、サプリメントで長寿や健康でいられる期間が延びないようであると結論した理由がこのことのようです。

一方、スルフォラファンやその他の間接的抗酸化物質は必要なときのみ抗酸化応答因子の活性化を刺激します。さらに、Nrf2の活性化は概してホルミシス的に制御されていると考えられており、すなわち、少量では有益だが大量では害があります。

「用量についてはまだ把握できていない」と、フェイヘイ氏は認めています。「用量について研究してきましたが … 例えばブロッコリ [やモリンガ]を多く食べる人が食べるであろうと考えられる用量を概略知ることはできます。 …

化学知識に基づくとこ、うした植物に含まれるグルコシノレートの量を測定できますが、人によって多少の変動が激しいです。」

フェイヘイ氏は、スルフォラファンは無くなるまである時期体内に残る酵素の生産と活性を基本的に増大させるので、3日おきといったあまり頻繁でない用量がよいと考えます。

熱衝撃タンパク質の活性化が主な効能

スルフォラファンはタンパク質の折りたたみにおいて重要な機能をする熱衝撃タンパク質も活性化し、折りたたみ不正のあるタンパク質が正しく活性化されるように直します。たいていの人はタンパク質の折りたたみ直しの必要性などまったく気づきません。

注目すべきは、体内で作られるタンパク質の1/3は折りたたみ不正があり、つまり正しく機能していません。その多くは機能しない凝集体を形成します。熱衝撃タンパク質がこれを機能する形に折りたたみ直し、折りたたみ不正が激しいために活性化できないときは破壊してリサイクルするようにマークします。これがイソチオシアネートによる主なメリットの一つです。フェイヘイ氏はさらにこう説明しています:

「熱衝撃経路または熱衝撃応答は極めて重要で、こうしたタンパク質チャペロンは確かに生物学的に非常に重要である。…

自分は熱衝撃の専門家ではないが … それでも語っておきたい興味深い事実は、スルフォラファンやモリンガのモリンギンその他のイソチオシアネートは熱衝撃応答をよくするようである。

およそ10年前にハーバード大学とマサチューセッツ総合病院で勤務していたアンドリュー・ツィマーマン博士が自閉症の専門家であることをタラレー氏に伝えた。

同氏は『興味深いことに、自閉症があり発熱する子供のなかには症状が解消する子がいる。とても回復する。解熱されると症状が戻る。あなたのチームやその他の人々は…スルフォラファンが熱衝撃応答をよくすることを実証した。これらの事実に関連性があり、スルフォラファンが自閉症に対して効果があるのだとしたらよいことではないか』といった。」

スルフォラファンは自閉症の子に効果があるかもしれない

このことはちょっと拡大解釈のように聞こえますが、フェイヘイ氏が参加していたタラレー博士のチームは、ツィマーマン氏と2007年に小規模な臨床研究を行い、2014年に公表されました。44人の自閉症の男子と若い男子(13歳から27歳)に毎日経口でスルフォラファンを18週間投与しました。

「とても注目すべきことは、自閉症がほぼ半数以上の子供で大幅に軽くなった」と、フェイヘイ氏が言っています。しかしスルフォラファンを止めると症状が元に戻りました。

3年後に参加者を再検査した追跡研究では、介護者のほとんど全員が、市販のスルフォラファンサプリメントを子供に与えたら、多くの症例は軽くなったそうです。現在、合計して5件の追跡研究が自閉症に対するスルフォラファンの使用に関して進められています。

「おそらく熱衝撃が関わっているという前提からすべての仮説が導かれている」と、フェイヘイ氏は説明します。「追跡研究の中から少なくとも数件が熱衝撃応答の生化学的分子マーカーを探している。」

サプリメントのタイミング

スルフォラファンは毒素分子を除去するのを助ける肝臓とチトクローム酵素を活発にして解毒しやすくもします。普通人の代謝はだいたい2つの段階から成ります:

  1. オートファジー — 分解段階(自食作用)
  2. カタボリズム — 再建段階(同化作用)

デトックス酵素は空腹段階に生じるオートファジー段階で最適に活性化されます。スルフォラファン サプリメントを摂るタイミングを具体的に調べた研究が存在しない一方、フェイヘイ氏はこの基本的理論と同感です。

すなわち、一日の最後の食事後16時間空腹でいた後に、最適なメリットが得られることを意味します。それでもフェイヘイ氏は朝起きたら空の胃にまずこれを飲むとメリットがあるかもしれないという検討を加えています:

「例えば大気汚染等に晒され始めたり一日の仕事を開始する前の胃が空の朝に飲むとよいかもしれない。

体内におけるスルフォラファンの機能 — 活性化するあるいは保護的酵素 — が迅速に起きるのだとしたら(実際にそうである)、一日の間に被る攻撃から保護するため、朝いちばんで飲むのがよいかもしれない。」

その反論として、毒素は概して脂肪細胞に貯蔵され、デトックス段階に分解されるということが考えられます。しかしさらに別の視点から見ると、酵素の活性化は3日間までは(実際にそれだけ続くようである)継続するなら、タイミングは若干関連性が薄いようである。

ジョンズホプキンズで行われた研究が3か月毎日投与してもNrf2経路の応答を低下させなかった、つまり身体が耐性を起きなかったことはよいことです。言い換えると、継続的な長期投与が解毒システムを阻害したり「摩耗」させないということです。

グルタチオンの活性化は主なメリットかもしれない

既述の通りで、デトックスといえばイソチオシアネートは植物性毒素であり — 害虫や細菌、真菌などには有毒な化学物質 —、人間が摂取すると有益です。フェイヘイ氏はこの理由について明快な解答を持っていませんが次のことを推論されています:

「同僚のユーシェン・ツァン氏の20年前の研究に基づいて — 身体の細胞がスルフォラファンと接触すると、吸収する。急速に吸収される。これは細胞中に血液や腸組織の数百倍高濃度で濃縮されている。

グルタチオンと急速に共役結合し、細胞からそっとかつ迅速に排出される。この過程で細胞内のNrf2経路やその他の経路が活性化される。しかしこの物質は毒素と見なされる。そこで解毒される。

しかもこのデトックスの仕組みつまり体内で最も優勢な抗酸化物質であるグルタチオンの活性化こそよい現象である。活性化されるのは直接的抗酸化物質である。しかもこれらの分子はスルフォラファンが無くなった後長時間残留する。」

多くの臨床医はデトックス増進のためにグルタチオンサプリメントを勧めますが、私の考えではそれは誤りです。吸収が悪く高価なだけで、身体に作らせるほうが外部から取り込むよりはるかによいです。スルフォラファンを利用してグルタチオンを活性化するほうがずっとよい方法のようであり、 そのためにサプリメントは不要です — 以下のようなイソシアネートが豊富な食品を食べるとよいです:

  • モリンガには(アルファ-L-ラムノピラノシロキシ)ベンジルグルコシノレートすなわちモリンギンという強力なイソシアネートが含まれ、スルフォラファンと同じほど強力で、一部の分析ではこれより効能が高いことがわかっています。
  • ブロッコリとブロッコリの芽。スルフォラファンを含む。
  • アルグラ — 化学保護効果があるイソシアネート エルシンを含み、有益な一酸化窒素になる栄養硝酸塩が最も豊富な植物。
  • カラシの種 — アリルイソシアネートの他にもミロシナーゼ酵素を豊富に含む(グルコラファニンを生体活性があるイソチオシアネートに変換するために必要)。例えば、ブロッコリのスルフォラファンの生体利用能を大きく高める方法には少々からしの種や大根、ケール、ワサビ、西洋わさび(すべてミロシナーゼを含む)といっしょに食べることえす。

調理案内

フェイヘイ氏が「加工食品では自殺に等しい」と言う通りです。フェイヘイ氏の業績は本物の食品がいかに重要かを本当に実証しました — よくある加工食品には以上で取り上げた植物化合物は含まれていません。しかもそれが無ければ多くの貴重な自己治癒の仕組みを利用できずにいることになります。

しかし正しい準備と調理が重要です。この野菜を食べると中のミロシナーゼが放出され、これは不活性なグルコラファニンを生体活性があるイソチオシアネートに変換するために必須の物質です。特定の腸内細菌もこの変換過程でミロシナーゼ産生を助けます。

「イソチオシアネートは時間と個体別に異なるしかたで産生されている」と、フェイヘイ氏は言います。生体利用能を研究すると、地図全体に及ぶ。このためどの物質がどんな機能をしているかを予測するのは困難である。腸内は細菌がいっぱいいて …これらの微生物にミロシナーゼ活性がある。細菌が変換する。」

ブロッコリの健康メリットを最適に得るには適度な調理が肝要です。アブラナ科の野菜やモリンガを生で食べると活性ミロシナーゼが摂れます。調理の程度がある程度まではミロシナーゼを不活性化します。「適度なまたはかなりわずかに調理するか蒸す程度がじゅうぶんですが、ミロシナーゼをすべて保持できるとは限らない」と、フェイヘイ氏は言います。

サプリメントとティー

アブラナ科野菜が嫌いな人の場合、グルコラファニン サプリメントはよい選択であると、フェイヘイ氏は言います。ミロシナーゼをこれからは摂れないとしても(優先できるミロシナーゼ入りサプリメントは確かにあるが)、腸内細菌は必要な変換ができる必要があります。とはいえ、人によってこの変換率が不足していればより多くの用量が必要になります。

「尿検査と科学分析を行わない限、り変換率については定かなことは言えない」、と同氏は注意します。ミロシナーゼ入りサプリメントを買う場合、ミロシナーゼは時間と共に分解する酵素なので冷蔵したほうがよいでしょう。

サプリメントのもう一つの欠点は品質です。「サプリメントは市販されているが、よいものもあれば無用なものもある」と、フェイヘイ氏は言います。もう一つの方法はモリンガ葉のティーで、フェイヘイ氏がその健康メリットを調査し、論文にしました。

「私はモリンガ葉のティーを2、3杯仕事しながら飲んでいます。カフェインに気が乗らないときはコーヒーよりこっちを飲みます。その効果を得るにはさまざまな方法があります。科学論文を読む方ならモリンガティーについての論文を追跡しましょう。」