化学物質のアンバランス神話と抗うつ薬の害悪

うつ

早分かり -

  • 推定1730万人の米国成人(成人人口の7.1%)は2017年に少なくとも一回の重大なうつ状態を体験しています。最高発生率は18~25歳でした
  • 抗うつ薬に有意な効能があるかはまったく根拠がなく、患者が受ける説明より害悪の方が大きいことが、多くの根拠からわかっているにも拘らず、その断然多数は抗うつ薬をいまだ処方されています
  • 数十万人もの乳児も抗精神病薬を投与されており、子供たちの将来の精神的、肉体的健康について心配になるほか、重大な倫理的疑問を投げかけています
  • うつ病が脳内化学物質のアンバランスの結果であることを示す科学的根拠は存在しません。不健康な生活環境が問題の根源にあることを多くの証拠が示しています
  • 抗うつ薬は長期的に便益がなく、抗精神病薬は精神分裂病などの精神病患者にとって長期的に結末を悪化させます
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Dr. Mercolaより

米国では、推定1730万人の成人(成人人口の7.1%)は2017年に少なくとも一回の重大なうつ状態を体験しています。最高発生率は18~25歳でした。うつ病の臨床以前の症状を大げさに臨床症例として診断する行為は蔓延しているという根拠が存在するだけではなく、通常誤った処置を受けていることを示す根拠も存在します。

過剰診断に関しては、2013年のある研究が臨床医により診断されたうつ病患者の38.4%しか重篤なうつ病発症を示す基準DSM-4に該当せず、 65歳以上の高齢者の14.3%しかその判断基準を満たしていません。

治療に関しては、抗うつ薬に有意な効能があるかはまったく根拠がなく、患者が受ける説明より害悪の方が大きいことが、多くの根拠からわかっているにも拘らず、その断然多数は抗うつ薬をいまだ処方されています。

ある監視団体が公表したデータによると、数十万人もの乳児も抗精神病薬を投与されており、子供たちの将来の精神的、肉体的健康についての心配とともに、重大な倫理的疑問を投げかけています。

最近の研究も多くの抗うつ薬の依存性に注目し始めており、こうした薬の副作用 — 自殺念慮を含む — はある反面、効能はないことが判明し、これまで何十年も軽視、無視されてきたので、患者は不要なリスクに晒されてきました。

化学物質のアンバランス神話

こうした重要な精神衛生問題についての意識高揚を推進している一人の研究者は、活発な製薬業界の批判家であり、デンマークの医師・研究者ピーター C. ゲッチェ教授です(著作「Deadly Medicines and Organized Crime: How Big Pharma Has Corrupted Healthcare」(致死性の薬と組織犯罪:製薬大手がいかにヘルスケアをだめにしたか)のタイトルがこのことを示しています)。

過去数年間、ゲッチェ氏は抗うつ薬に関するいくつもの科学論文や事実について考察する記事や著作を出してきました。2019年6月28日にゲッチェ氏は化学物質のアンバランスに関する「害悪のある神話」 — 抗うつ薬の使用をいまだに推進し続けている反証済みの仮説に関して論じています。同氏の説明から一部引用させていただきます:

「精神科医は通常、脳内化学物質のアンバランスのために患者が病気になったので、これを治す薬を出すと言う…」

前の夏、研究者らと私はうつ病に関する情報を10カ国の39の人気ウェブサイトから収集し、そのうち29 (74%) のウェブサイトはうつ病が化学物質のアンバランスが原因であるとしているか、抗うつ薬がそのアンバランスを直せるまたは補正しうるとしていることを特定した。…

よくある精神異常が脳内化学物質のアンバランスから生じるのかは証明できたことはいまだにない。この点を主張していた研究はすべて信頼できない。

例えば精神分裂症患者と健常人の間のドーパミン濃度差からは、この精神病の原因について何も把握できない。… ライオンが攻撃して来れば私たちはひどく恐れストレスホルモンが出るが、ストレスホルモンが恐れを生んだのではない。

精神病患者はしばしば過去に外傷的体験をしており、こうした外傷を原因と見るべきであり、異常を、原因ではなく精神病の結果そうなった可能性が高い何らかの、存在するのだとしても、化学物質のアンバランスに還元してしまうわけにはいかない。

化学物質のアンバランスという神話は非常に有害である。このため人は何か重大な悪しきことが自分の中で起きていると思い、時には遺伝性であるとさえ言われる。

その結果、患者は有害な薬を何年も、おそらく一生飲み続けることになった。患者は薬を止めたら何が起きるのかが怖く、特に精神科医が患者の状況はインスリンが必要な糖尿病患者のようなものと言われると特にそう感じる。」

うつ病の真の原因は通常無視されている

ゲッチェ氏によると、脳内化学物質のアンバランスが原因で起きる精神異常は知られていません。多くの場合、真の原因は不明だが「よくあることは、不健康な生活環境への応答である」と同氏は説明しています。

「Anxiety — The Inside Story: How Biological Psychiatry Got It Wrong」(不安 - 内実:生物学的精神医学がいかにミスを犯したか)というナイアル・マクラレン医学博士の著作も引用する中で、マクラレン氏は不安は大部分の精神異常の主な要因であり起爆剤であることを証明しています。

「抗精神病薬を稀な症例でしか使用しない、私がおおいに尊敬するある精神科医は… ほとんどの人は気が滅入る生活を送っているからうつ病になると言っている」と、ゲッチェ氏が説明しています。

「どんな薬でも生活を改善するには無用である。抗精神病薬が人の生活を改善しうる — 勤務に戻る、人間関係や学業の改善、犯罪や非行の防止など - ことがプラセボ対照試験で証明されたことはいまだにない。少なくとも長期的には、こうした薬は生活を悪化させる。」

ゲッチェ氏が抗精神病薬こそ化学物質のアンバランスを生み、治せないと指摘するのは正しいです。一群として見ると、これらは精神異常状態に効かないので、名前が間違って付けられています。むしろ患者を受動的に変える安定剤です。しかし患者を落ち着けても、多くの場合に、そもそも精神異常を起こした原因である根本的外傷体験が直るわけではありません。

子供の時の外傷 - 性的虐待、肉体的虐待、感情的/心理的虐待、無視、親の死、いじめを含む - およびその後の精神病リスクを分析した研究について検討した、ある2012年のメタ分析には次のような説明があります:

「すべての研究設計に共通して、災難と精神異常の間に強い相関性が存在する。… 精神異常患者は対照群より子供のころに災難に晒された確率が2.72倍高い。… 推定される人口におけるリスクは33% (16%~47%)であった。以上の事実から子供の頃の災難は精神病になるリスクを高める強い相関性が存在することが示された。」

依存性にする抗うつ薬の性質が結果を歪ませる

ゲッチェ氏は記事の中で抗うつ薬検査で使用された戦略の中にはいくつか、効能を誇張し、害悪を過小評価しているものがあることを批判的に検討しています。抗うつ薬が正式に認めているよりはるかに依存性にする傾向が強いという事実は、薬に有利な結果が出るように研究にバイアスを加えるほとんど知られていない一つの真実です。同氏は次のように、こうしたことは結果が歪むのを便宜的にいかに隠しているかについて説明しています:

「検査においてほぼ全患者がすでに偽薬との対照で使用する検査薬と同じような薬を服用している。従って、薬が依存性にするので、患者の中には偽薬をランダム化して適用したとき… 禁断症状が出る人がいる。…

こうした禁断症状はベンゾジアゼピンを止めようとするとき体験することと非常に似ている。新薬が禁断症状の結果として害悪を受けたことがある患者において偽薬より優ることは想像がつく。

患者が薬を飲むべき期間を見極めるには、いわゆる継続(投与停止)研究が実施されたことがあるが、こうした研究も禁断症状のために支障を受けている。先端の精神医学者はこの点を把握していないか把握していないふりをしている。

抗うつ薬の維持研究を、たいていの人は、これらは薬が新たなうつ病の発症予防に非常に効果的であることおよび患者はこのため長年または一生薬を飲み続けるべきであるという意味に解釈する。」

抗うつ薬で自殺や暴力のリスクが高まる

6月4日の記事でゲッチェ氏は抗うつ薬は致死のリスクがあることも強調しています。2016年に公表された同氏の研究の一つでは、抗うつ薬で「健常な成人ボランティア参加者の自殺や暴力につながりうる事象の発生率が倍増」したことを発見しました。

別の研究は抗うつ薬は「子供や思春期の少年少女の攻撃性が2~3倍増加すること — 多くの学校乱射事件では犯人がうつ病薬を使用していたことを考えると重要な事実である」と、ゲッチェ氏は説明しています。

ストレスによる尿失禁がある中年女性において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SNRI)ドゥロキセチン(失禁治療にも使用される)が精神異常発症リスクを倍増させ、暴力や自殺のリスクを4~5倍増加させることが証明されており、執筆者らは害悪がメリットよりはるかに優るという結論になりました。

「こうした薬が、自殺やその他の種類の暴力から保護すると、製薬会社や先端精神医学者らが私たちを説得しようする際に使う汚い手口と科学的虚偽を、私は説明してきた」と、ゲッチェ氏は説明しています。「FDAさえ2007年に、うつ病薬が自殺や狂気を年齢を問わず起こしうることを少なくとも間接的に認めざるを得なくなった。

うつ病薬の大量投与は有害であることは疑いもない。この関連性について研究がなされたすべての国で、精神異常が原因による障害者給付の急増は抗精神病薬の使用増加と一致しており、抗うつ薬こそこれまでに最も使われてきた薬である。薬が有用であればこうしたことは予想されないはずのことである。」

何十万人もの乳児が抗精神病薬を飲んでいる

抗精神病薬に伴ういくつもの重篤な心理的、肉体的リスクを考えると、米国では数十万人の赤ちゃんが抗精神病薬を飲んでいることは衝撃的事実です。2014年に精神衛生の監視団体Citizens Commission on Human Rights(人権市民委員会)が2013年のデータを強調しています:

  • 1歳以下の乳児274,000人は抗精神病薬を飲まされている — このうち249,699人はザナックスなどの抗不安薬、26,406人はプロザックやパキシルなどの抗うつ薬、1,422人はリタリンやアデエラルなどのADHD薬、654人はリスパーダルやズィプレキサなどの抗精神病薬を飲んでいた
  • 乳幼児分類(2~3歳)において、318,997人が抗不安薬、46,102人が抗うつ薬、10,000人はADHD処方薬、3,760人が抗精神病薬を飲んでいた
  • 5歳以下の子どもでは1,080,168人が抗精神病薬を飲んでいた

これらは筋が通らない衝撃的統計です。いかに、なぜこれほど多くの子供が乳児さえ含め、依存性にする危険がある精神を変性させる薬を飲んでいるのでしょうか? 以上の統計は6年前の古いものであることを考えると、おそらく現在はさらに増加したものと考えられます。成長期の幼いい子供たちに今後何が起きるのでしょうか? その記事ではこう説明しています:

「ADHDの治療に使われる抗精神病薬に関して言うなら、これらの薬はある理由によって「子供向けコカイン」と呼ばれる。リタリン(メチルフェニデート)、アデラル(アンフェタミン) 、コンセルタはすべて連邦政府が分類II薬 — 最も依存性が高いと見なしている。

米国国立衛生研究所(NIH)によると、ADHD薬には興奮、偏執狂、攻撃的行動、敵対的行動、ひきつけ、幻想、さらに突然死などの重篤な副作用もある。…

高精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬に関してはFDAおよび国際医薬品規制機関は副作用が限定されることなく精神異常、偏執狂、自殺念慮、心臓発作、脳卒中、糖尿病、さらに突然死さえ含むことを挙げている。」

保険適用外抗精神病薬をますます処方される子供たち

事情をさらに悪化させることとしては、最近のある研究が示すように、保険適用外の薬を処方される子供も増加傾向にあります。研究結果報告が載っているStudyFinds.orgに記載されている一例は、「ADHDの症状に対して抗うつ薬を勧める医者」です。

「医者は1つ以上の保険適用外全身標的薬を来院患者の18.5%に使用しており、 通常は(74.6%)、未認可状態であることが原因である。保険適用外薬の処方は新生児(83%)では比例的にいってもっともよく使われ、絶対数でいうと思春期に多く使われている(来院件数1000のうち322件で処方)。

保険適用外薬の処方は女性、副専門医、多科目薬局、慢性状態と関連していた。保険適用外薬処方率と理由は年齢に応じて大きく変動があった。

保険適用外薬処方の相対率と絶対率は経時的に増加してきた。よくある分類のなかでは抗ヒスタミン薬や向精神薬のいくつかの保険適用外薬処方は経時的に増加してきた…

米国の医務室を持つ医師はますます多くの子供に全身性保険適用外薬を処方しており、子供に対してはエビデンスを強化し、薬の認可を増加させる取り組みが行われてきたにもかかわらずていていの症例では未認可状態に対してであった。」

研究者らはこうした事実に衝撃を受け、この傾向に対して重大な懸念を表明しました。合法的であっても保険適用外処方薬の多くが年少の子供や思春期の少年少女に安全で効能があるかは適正に試験されたことがないものばかりです。

ラトジャーズ・ローバート・ウッド・ジョンソン医学校の小児科・小児リューマチ学助教授、主執筆者のダニエル・ホートン氏は、「私たちは必ずしも保険適用外薬が、成人のように薬に応答するとは限らない子供にいかに影響するかを把握しているわけではありません。こうした薬に子供は期待通り応答せず、有害な影響を受ける可能性がある」と、説明しています。

リスクについてよく知る

ご自身または子供その他家族の一員が抗精神病薬を使用しているなら、その真のリスクを知り、安全な方法に変えるようお勧めします。子供に関しては抗精神病薬をよちよち歩きの乳幼児に与えることが必要な状況がいったいあるのか、私には想像できませんし、抗精神病薬が必要であると主観的評価に基づいて判断する医者が多数存在することは驚くべきことです。

うつ病や不安の診断と治療については以下の記事をご参照ください: 「運動でいかにうつ病が治るか」、「うつ病のための代替処置法」、「不安は遺伝性の性質かもしれない」、「不安がうつ病に取って代わりNo. 1の精神衛生の課題になった