FDAは日常的アスピリンについての方針を逆転した

アスピリンの用量

早分かり -

  • 低用量のアスピリンは心臓血管病から安全かつ効果的に保護することを科学研究が証明できなかった
  • アスピリンは胃腸内出血や脳内出血、潰瘍、腎不全、視力喪失その他多くの重篤な問題につながる
  • 心臓の健康へのより安全で効果的なアプローチは食生活、運動、日光浴、大地に素足で立つことを通して慢性的炎症を軽減すること
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Dr. Mercolaより

心臓発作を経験した方はアスピリンを避けるべきです...

数十年もアスピリンを推奨してきたFDAが、今や、心臓の問題を体験したことがなければ、遺伝的に心臓病の傾向があったとしても日常的にアスピリンを服用すべきではないと方針転換しました。

FDAのウェブサイトにはこのように書かれています:

「FDAは、アスピリンの使用を心臓発作や心臓血管問題がまだ起きていない人による予防的投与として、つまり一次的予防手段として正当化しうるデータはないと結論しました。このような人々においては効能は実証されたことがなく、むしろ—脳内や胃内の危険な出血 — などのリスクがまだあります。」

この発表は、バイエルがアスピリンラベルを健常人の心臓発作を予防するのを助けるという表記に変更する申請を提出したのがきっかけでした。アスピリンは例えば2013年には127憶ドルもの売上をバイエル社にもたらし、バイエルの申請により誰もがこの医薬品を服用するとよいかのように書き換えさせようとしていたのです。

FDAは「さほど早急にはしない」として—その方針は正しかったのです。アスピリンを予防用に使用することを根拠づける証拠は弱い以上にさらに弱くなり、結局存在しなくなりました。

このため私はこれまで十数年かけてアスピリンはよくないと言い続けてきました。アスピリンはたとえ「低用量アスピリン」(LDA)でも効能どころかさらに大きな害を与えるように見えます。

実際に心臓発作や脳卒中の経験があったとしても、アスピリンに心臓血管病から保護する効能があるかいなかについては議論が多いのです。

最近の科学研究では、アスピリンが貢献しうる何らかものがもしあったと仮定しても、多くの重篤な副作用の影に隠れてしまうほどよく、特にこれより安全な自然な代替手段が存在することが明らかになりました。

アスピリンは進行中の心臓の異常を隠す

毎年約800,000万人が(米国で)心臓血管病のために死亡しており、これには心臓発作や脳卒中を含みます。

このため心臓の健康は主な焦点であり続けてきたし、アスピリンが安全で効果的な予防薬だという信仰を抱いている人によって「奇跡の薬」とまで称賛されたのです。しかし事実はそれとは逆の方向に露わになっていきます。

十数年前にイギリスのハル大学心臓学者Dr.ジョンG. F.クリーランド(John G. F. Cleland)がBritish Journal of Medicineに心臓発作予防にアスピリンを使用しても効果がなさそうだとする優秀な記事を発表しました。

Antithrombotic Trialists' Collaboration(抗血栓トライアリストコラボレーション、心臓病のリスクが高い100,000人を超す患者を追跡した膨大な研究)に基づくメタ分析により、Dr. クリーランドはアスピリン治療が命を救っていないという結論に達しました。むしろ、アスピリンは血管病が発症する経路を変えただけだったのです。

非致死的症例数は減っても、突然死数は実際に増加しており、これは驚くべきことにアスピリンが進行中の心臓の異常を隠すのが原因であることをほとんどの医師が知らないからです。

Dr. クリーランドはアスピリンの効能を唄う研究は深刻な虚偽であり、こうした研究の解釈は偏向していることも発見しました。クリーランド氏の当初の研究が出て以来、,さらに数多のアスピリンの失敗事例が暴露され、以下にそれをご紹介します。

アスピリンは出血のリスクを高める

アスピリンは心臓発作や脳卒中の蔓延を軽減できなかったばかりではなく、研究が進むにつれて重篤な作用のほうが多く発見されてきています。その主なものに、アスピリンが血小板(血液凝固を助ける血液細胞)に干渉することによる胃腸出血が挙げられます。

高齢者の場合アスピリンはさらに、脳内出血のリスクも高めます。ある研究は、頭部の外傷を負ったときに予防的にアスピリンを摂り続けていた高齢者が結局脳内出血で死亡する率が高いことを発見しました。

アスピリンは胃腸内壁を破壊する

日常的にアスピリンを服用していると胃腸の内壁も破壊し、十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染、クローン病、憩室疾患、炎症性腸疾患(IBD)、小腸穿孔リスクを高めます。

低用量アスピリンを服用している患者の10%以上が胃潰瘍に罹っています。胃で消化された食物が最初に入っていく小腸のいちばん上端に当たる十二指腸に対するダメージのために十二指腸潰瘍にまで悪化します。十二指腸は出血しやすい器官です。低用量アスピリンでさえ問題が起きることは実証済みです。

ある日本の研究は低用量アスピリン(LDA)療法を受けている十二指腸潰瘍患者の潰瘍部位での出血率がLDAを服用していない患者より高いことを発見しました。

オーストラリアのある研究も、心臓血管保護のために使用される低用量(80mg)でもアスピリンが胃十二指腸を損傷することを発見しています。日本の研究者らは、研究参加者の80%にアスピリン治療をたった二週間受けた後でさえアスピリンが「小規模な腸の負傷」を引き起こしたことを発見しました。

バイエルが抗弁しようがない事実

アスピリンその他のNSAIDs薬剤が原因で毎年、15,000人が死亡し、100,000人が入院しています - しかもこれらは控えめな推計値であると思われます。

しかしアスピリンは最も伝統的な殺し薬の一種であると言っても構いません!アスピリンの過剰服用 が1918年のインフルエンザ疫病の際に高い死亡率の主要因であったことがわかっています。アスピリンの毒性は溢血や肺内の液体蓄積を促し、死に到らせます。

スタルコ氏の研究をさらに裏付ける事実として、2010年に行われたある動物実験からインフルエンザに解熱剤(アスピリン等)を使用すると死亡リスクが高まることが判明しています。その研究は動物実験でしたが、研究結果は研究者らがヒトの研究を直ちに開始すべきことを勧めるほどじゅうぶんな説得力があるものでした。

アスピリンはビタミンC、ビタミンE、葉酸、鉄、カリウム、ナトリウム、亜鉛、を含む重要な栄養素を体内から枯渇させ、メラトニンの生産も阻害します。 

アスピリンの身体に悪い項目がますます増えるのに加え、日常的なアスピリンの服用はさらに数多くの健康上の問題と相関性があります:

  • 一種類の乳がん(ER/PR陰性)リスク増加
  • 腎不全のリスク増加
  • 白内障、黄斑変性症、視力喪失
  • 聴覚損失と耳鳴
  • 勃起不全:アスピリンその他のNSAIDが勃起不全(ED)リスクが22%増加することと関連していると、80,000万人以上の男性について調査した米国のヘルスケア企業カイザーの研究者らが報告しています

心臓を守る真の鍵は慢性的炎症の軽減にある

心臓について話しを戻すと、これほど重篤な副作用があるにも拘わらず、より効果的な代替策があるのにも関わらずアスピリンを服用するリスクを負う理由はありますか?

鍵は慢性的炎症の対処です。これは食事、運動、日光浴、地面に素足で立つことを含むライフスタイルの特定のことを変えると達成できます。

心臓の健康ヒント#1:心臓に健康な真の食事を摂る

私の「心臓に健康な食事」は科学的根拠に基づいている点で政府規制当局や大部分の従来式心臓専門医の推奨とはまったく異なります。

下表に、そのいずれも慢性的炎症を軽減するのに役立つ基本的栄養の摂り方についてのアドバイスをまとめました。

加工食品や遺伝子操作食品(GMO)を制限するか全て止める

グルテンとアレルギー性の高い、炎症を促す食品を全て止める

全てのトランス脂肪(サラダオイル、マーガリン等)を止め、アボカド、生バターやココナッツオイル等の健康的脂肪に切り替える

食品の3分の1は生食(自分で賄える範囲)とする

食事に新鮮野菜を増やす

自然に発酵させた食品を毎日食べると、腸内細菌叢がバラエティーに富む内容になり、慢性的炎症を極力軽減できる

全ての人工甘味料を止める

食事から砂糖特に精製果糖を避ける果糖は一日25 g未満に制限する、これには生のフルーツも含めます。インスリン抵抗性、糖尿病、高血圧、心臓病の人は果糖の摂取を一日15 g未満に抑える

可能な限り有機食品を食べ、グリフォサート等有害な農薬への暴露を避ける

オメガ3/オメガ6比のバランスを回復するためには、オキアミ油等の高品質オメガ3サプリメントを摂り、サラダオイル(トランス脂肪)による加工オメガ6脂肪を止める

清水を豊富に飲む

心臓の健康ヒント#2:トランス脂肪を避けるのが肝心な取組

アスピリンはシクロキシゲナーゼを阻害し保護的効能があるので炎症性プロスタグランジンをうまく調整しますが、このため血小板の生成を減らし、「血液を薄くする」ことがわかっています。しかしこの経路に有利な影響があるその他の効果的な手段が多くあります。

トランス脂肪は血液を薄くするプロスタシクリンの形成を阻害します。よく注意してトランス脂肪を一切とらないようにすることで、身体がプロスタシクリンを生産しやすくなり、血液をさらさらに維持するので心臓発作や脳卒中を予防できます。

トランス脂肪を避けることは心臓血管の健康のために欠かせません。これこそトランス脂肪を食べてアスピリンを飲み、血をさらさらにするよりはるかに効果的な戦略です。

心臓の健康ヒント#3:運動し食事計画を変える

運動の主なメリットの一つはインスリンとレプチンレベルを最適化するのに役立つことです。食事について上記のガイドラインを参考にしていれば目標達成に近づけますが、運動もすればさらに効果が上がります。

空腹時インスリンレベルが3を超していれば、これが3以下になるまでは穀類と砂糖を制限することを真面目に検討すべきです(果糖に関しては一日に15 gまでを目標にする)。

間歇的絶食を食事と運動計画に取り入れれば、進歩が加速します。

間歇的絶食はインスリン/レプチン感度とミトコンドリア効率を高め、酸化ストレスを軽減し、成長ホルモンの生産を促し、余分な体脂肪を削るのを助けます。インスリン/レプチン抵抗は大部分の心臓血管病のコアをなすのでこの点を念頭に置いてください。

心臓の健康ヒント#4:大地に素足で立って血液をさらさらにする

大地に素足で立つは実際に血液凝固を予防するための最適な秘訣の一つです!簡単に言えば、接地(身体を大地に触れさせる)は地面、草地、砂地、煉瓦等の上を素足で歩くだけでできます。

自由電子が足を通って大地から体内に移転し、これらの電子は人間に知られている最も効能がある抗酸化剤のひとつです。

大地に触れることについて最も重要な発見のひとつが血液の粘度を下げ(さらさらにし)、心臓血管の健康に深遠な意義があることです。心臓血管病のほぼ全ての側面は血液粘度の増加と相関性があるからです。

Coumadin等の抗凝固薬を服用する人は接地を始めてからその用量を減らす必要があるほど接地は血液をさらさらにする効果があります。

大地に素足で立つと赤血球細胞の表面電荷が増し、このため相互に弾き合うようになるので「くっつきあって」凝固しにくくなります。このため血液はさらさらになり、血圧が下がります。

たとえ極めて僅かな血液凝固であっても体内の基幹的部位で凝固すると死に至ります。このため「血をさらさらにする」ことは健康に深遠な効果があります。一つの警告:Coumadinを服用している方は接地しないことが必要です。接地すると血液が薄くなり過ぎるからです。